上6番の虫歯処置方法で迷っている、覆髄と抜髄の判断基準を教えて!

相談者: applepie_dearさん (28歳:女性)
投稿日時:2008-07-11 16:03:05
こんにちわ、いつも歯チャンネル、参考にさせていただいています。
質問させてください。

今上6番の虫歯の処置方法で悩んでいます。


先生方の覆髄抜髄の判断基準は何でしょうか?


今覆髄で歯髄を保存することはとても意義あることだと思うのですが、がんばって自費で最終補綴までして、1年や2年後に結局感染根幹になって再治療となると、時間や費用の面からも、根幹治療の成功率からも今抜髄したほうがいいような気もするのです。

もちろん予後に影響を与えるたくさんの因子が絡んでくるので、一概にコレと示せないものなのでしょうが、メインとされている抜髄か覆髄かの判断基準を教えていただけないでしょうか?

論文にもたくさんあたったのですが、確かなEBMレベルの論文が見つけられず、何を信じていいのか分かりません。

よろしくお願いします。


回答 回答1
  • 回答者
回答日時:2008-07-11 21:04:07
applepie_dear さん
こんばんは

世界で最も信頼できる研究は
コクランライブラリーから検索(carie AND pulp)できます。

http://www.mrw.interscience.wiley.com/cochrane/clsysrev/articles/CD004484/frame.html

Pulp management for caries in adults: maintaining pulp vitality

は、私たちが行ったレビューです。
確かに、あまり良い研究はありません。
だからと言って信頼できない治療しかないわけではありません。

------------

抜髄覆髄かの判断基準」ですが、
そのの状態がもっとも大切な情報です。

初めての虫歯か再治療か
今症状があるのかどうか
虫歯の深さはどうか

これらを教えてください。

相談者からの返信 相談者からの返信
相談者: applepie_dearさん
返信日時:2008-07-13 00:42:05
宮下先生、回答ありがとうございます。

アブストラクトだけですが、レビューを読ませていただきました。

------------

ここで今回の私の質問の背景を説明させてください。

このサイトで回答者の先生は、相談者の方たちの担当医に対する評価の根拠のひとつとして「神経を残す努力をすること」をあげられています。

もちろん症例を選んでという大前提のもとでだと思いますが、歯髄保存=善といった認識があるよう感じます。


「ただ最初の神経を残す処置なんかをしてくれたなんて良い先生の1つの指標になると思いますが。(推測ですよ・・・)」(by井野先生)

「文面のやりとりから、なんとか神経を残そうと考えて下さる、とても良い先生の様に思いますよ。」(by渡辺先生)


もちろん保存できるのであれば保存するのが良いと思います。
しかし、保存して数年後には感染根幹抜髄になるという蓋然性が高ければ、成功率が高いうちに抜髄という判断をすべきなのではないでしょうか。

最終的には患者がどのようなリスクを引き受け、どこにメリットを見出すかという自己決定の範囲なのかもしれません。

その自己決定をするためにも、抜髄か保存かの判断の医学的に確かな基準やデータが必要だと考えるのです。


ただ、長期的予後を調査した論文にはバイアスがかかっているものがとても多いように感じ、エビデンスだけでなく先生方の臨床経験からもアドバイスいただけたらうれしいなと思い投稿させていただきました。

------------

?まず一般論としての抜髄と歯髄保存の基準について

宮下先生の上記論文abstractのbackgroundの中に

「If the tooth is symptomatic or if there are periapical bone changes, then endodontic treatment is required. 」

とありますが、symptomaticとはどのような状態を指しているのでしょうか?

------------

?次に私の場合について

>初めての虫歯か再治療か

一回目の治療…レントゲン撮影なし、ラバーダム拡大鏡う蝕探知液なしで削ってグラスアイオノマーを詰めていただきました。


二回目の治療…その治療の2ヵ月後。
一度チョコレートを噛んだときに一瞬しみたことがあり(氷水では冷水痛なし)長期海外旅行を控えていたので、心配になり受診しました。

3分ぐらいエキスカでガリガリなさって(麻酔なしでしたので、冷や汗をかくほど痛かったですが我慢できる程度でした)アイオノマーで蓋をしていただいたようです。


三回目の治療…旅先で受診できるほど英語力がないため不安になり、翌日別の歯科を受診。
レントゲン撮影・拡大鏡・う蝕探知液ありで麻酔をして削って、「レジンのみで覆髄」とのことです。



>今症状があるのかどうか

3回目の治療から5ヶ月経ちますが、3回目の治療直後から一切痛みはありません。
帰国後は他のの治療をしてもらっており、最終補綴はまだです。


>虫歯の深さはどうか

「神経ぎりぎりだった」と聞いています。
回答 回答2
  • 回答者
回答日時:2008-07-14 10:10:16
こんにちは。

あのー・・applepie_dearさんって、何か医療関係とかのお仕事なんでしょうか?
applepie_dearさんと、宮下先生の超ハイレベルなやりとりが始まりそうなので私は勉強させて貰いたいと思います^^;



で口を挟む余地はないのですが、

>?次に私の場合について

の内容を拝見する限り、私の臨床であれば間違いなくそのまま「歯髄保存」と判断します。
「神経が残せて良かったですね」
ぐらいの言葉までかけてしまうかも知れません。



>1年や2年後に結局感染根幹になって再治療となると、時間や費用の面からも、根幹治療の成功率からも今抜髄したほうがいいような気もするのです。

個人的な感想ですが、その発想だと
「どうせいつかはもなくなるんだし、抜いて入れ歯にすれば良い」
「どうせいつかは死ぬんだから・・」
的にも感じてしまいます。

大げさかも知れませんが、言われてみれば歯科治療自体が正義とも言えず、中には迷惑に感じる方もおられるのかな・・と、違う方向に思いをめぐらせてしまいました。


もちろんapplepie_dearさんは抜髄処置と感染根管処置の成功率の違い(※と言っても、この場合は10%程度の差だったと思います)も勉強してお知りになった上での高度な話と言うのは理解しているのですが、なんだかネガティブに感じてしまいます・・。



一応、権威(さえも全くないそこら辺の歯科医)者のイチ意見として、必要ないですけど書き残しておきます^^;

思えば自分の臨床は、「歯髄が残せる」と言う冷静な判断、確信よりも、「何とか残したい」(=正義?)と言う想いの方が先行しています。。。



今回のケースは自分としては際どくもないところと思うのですが、本当に際どい(と思っている)判断の根拠を、エビデンスベースで経済効果まで絡めて話しきる自信がないので(・・ってこれ、臨床家として問題ありますね 泣)

あとは一読者として読ませていただきたいと思います。



余談ですが、applepie_dearさんの文章には、当相談室始まって以来、TOP3には入りそうなスーパー患者さんの気配を感じます・・。

是非、当サイトを長く見守って下さいね。

相談者からの返信 相談者からの返信
相談者: applepie_dearさん
返信日時:2008-07-14 15:36:52
渡辺先生、こんにちわ。
ご回答ありがとうございます。


>あのー・・applepie_dearさんって、何か医療関係とかのお仕事な>んでしょうか?

いえ、全く…単なる一般人です。


>>?次に私の場合について
>の内容を拝見する限り、私の臨床であれば間違いなくそのまま
>「歯髄保存」と判断します。

心強いです。
そうおっしゃってくださる渡辺先生に(積極的に髄保存を行ってらっしゃるからこそ)伺いたいのですが…

渡辺先生の臨床経験上、覆髄の長期的予後はいかがですか??

(5年、10年の間に方法や材料を変えられたりなさっていると思いますので、一概には言えないでしょうが、アバウトにでも教えていただけるとうれしいです。)




>なんだかネガティブに感じてしまいます・・。

はい。。。私も感じてます。。。

エビデンスから判断基準を理論的に突き詰めて考えると、結論は抜髄の方向に傾いてしまいます。

医学的に最適と導き出された答えが、結果として(歯髄保存という意味での)患者の利益と矛盾してしまうのです。

ですので、患者としては

>思えば自分の臨床は、「歯髄が残せる」と言う冷静な判断、確信よりも、「何とか残したい」(=正義?)と言う想いの方が先行しています。。。

このように考えてくださる先生がありがたいのだと思います。
きっと渡辺先生のこの発言に多くの方が感動なさってます。
(私もその一人です)


しかし、やはり自分の体のこと。
最後に責任をとるのは、自分です。
どのようなメリットのためにどのようなリスクを引き受けるのか、しっかり考えた上で決断したい思うのです。


回答してくださる先生方には本当に感謝しています。
ほんと、あつくるしい質問ですいません。
回答 回答3
  • 回答者
回答日時:2008-07-14 17:59:55
applepie_dear さん
こんにちは

遅くなりました。
渡辺先生、返答ありがとうございました。
大体は良いと思います。(ちょっと甘いかな)

-----------

「symptomaticとはどのような状態を指しているのでしょうか?」

臨床症状があるということです。

------------

applepie_dear さんの症状を考えた場合、、、

>初めての虫歯か再治療か

一回目の治療…グラスアイオノマーを詰めていただきました。

二回目の治療…一度チョコレートを噛んだときに一瞬しみた(氷水では冷水痛なし)エキスカでガリガリ(麻酔なしでしたので、冷や汗をかくほど痛かったですが我慢できる程度でした)アイオノマーで蓋。

三回目の治療…麻酔レジンのみで覆髄



>今症状があるのかどうか

3回目の治療から5ヶ月経ちますが、3回目の治療直後から一切痛みはありません。


>虫歯の深さはどうか

「神経ぎりぎりだった」


ということから、
あまり心配しなくて良いのではないかと思います。
一回目二回目の治療間に凍みたのはグラスアイオノマー充填なので、リーケージがあったのではないかと思います。

チョコレートにより凍みるのは、象牙質が封鎖されていない場合に起こります。

エキスカで痛いのは、麻酔していないからですから、問題外です。

-------------

これまでも、症状があまりないのですから
将来的なことは今心配されなくて良いと思います。

何もしない時に何か違和感を感じるとかが
これまでに一度もなかったのであれば、
補綴してもらって良いのではないでしょうか?

-------------

私のクリニックでは
歯髄を保存するかどうかの判断は

1:そのの歯髄の状態がどうなのかの判断

次に
2:その歯髄を治療する必要があるかの判断

そして
3:その歯をどのように治療するのかの判断

(ここには本当は歯髄を取らなくても良いケースなのに取っておきたいと考える患者さんもいらっしゃいます。)

(逆に本当は歯髄を取らないといけないが、敢えて取らないと決定する患者さんもいらっしゃいます。)

の順で患者さんに説明して相談して決めます。


そんなに不安になりすぎないでくださいね。
まず、

1:レントゲンではわかりません
ほとんど過去の臨床症状と過去の治療経験、そして現在の臨床症状でほぼわかります。

臨床症状がある場合、歯を治療した上で、さらに判断します。
う蝕があるかどうか。歯髄が近いかどうか。露出したかどうか?

------------

ですから
applepie_dear さんの
1回目の治療の前の症状と
なぜ、その歯を最初に治療したかがわかれば、もう少し
正確に状態が判断できますよ。

相談者からの返信 相談者からの返信
相談者: applepie_dearさん
返信日時:2008-07-15 20:31:00
遅くなってしまってごめんなさい。
宮下先生、回答ありがとうございます。

-----------

「symptomaticとはどのような状態を指しているのでしょうか?」

>臨床症状があるということです。

>私のクリニックでは
歯髄を保存するかどうかの判断は

1:そのの歯髄の状態がどうなのかの判断
2:その歯髄を治療する必要があるかの判断
3:その歯をどのように治療するのかの判断

の順で患者さんに説明して相談して決めます。


すごいですね…やはり医療は奥深いです…

いくつかの論文(エビデンスレベル低)が判断基準として「臨床症状」について言及していたのですが、やはりただ単に「ズキズキとした痛み」の有無といったことだけでなく、ほんとうに様々な角度からみて診断なさっているのですね。

一般論としての判断基準は何か?なんて愚問ですね。。。

-------------

>これまでも、症状があまりないのですから
将来的なことは今心配されなくて良いと思います。
補綴してもらって良いのではないでしょうか?

ありがとうございます。
本当かどうかわかりませんが、組織学的には象牙質う蝕の段階ですでに刺激象牙質が形成されているということを見たことがあり、神経ギリギリということは「象牙芽細胞突起→象牙芽細胞→歯髄」と細菌感染を起こしているのではないかと不安でした。

感染してはいるが、臨床的には大丈夫なのでしょうか?

------------

>1回目の治療の前の症状と
なぜ、その歯を最初に治療したかがわかれば、もう少し
正確に状態が判断できますよ。


あまり詳しく覚えていないのですが、1回目の治療前の症状は明らかに冷水痛がありました。
温水痛はしみるのではなく、感じるというかんじでした。

最初に治療した理由は、明確には分かりません。
奥歯がしみるのですが…」と歯医者さんに行ったところ、レントゲンは撮らず、視診で「虫歯ですね。」と…

削ってアイオノマー充填で10分弱でした。
回答 回答4
  • 回答者
回答日時:2008-07-16 17:26:06
applepie_dear さん

情報ありがとうございました。


-----------

「一般論としての判断基準は何か?なんて愚問ですね。。。」

あんまり考えないで答える(一般論)のであれば、
自発痛露髄=必ず抜髄 です。

ですが実際は

によっても若干症状がことなりますし、
患者さん毎に価値観が違うと思いますので、
そう答えたくないだけです。


-------------

感染してはいるが、臨床的には大丈夫なのでしょうか?」

applepie_dear さんを拝見していませんから、
絶対に大丈夫というわけにはいきません。

しかし、

1回目の治療する前に臨床症状が軽かったこと
1回目の治療の前にレントゲンを撮らないで診断できたこと
1回目の治療が簡単な処置であったこと
1回目の治療後の凍みるのはチョコレートによること
神経ぎりぎりとは言われたが、露髄したという報告はないこと


以上は、良い知らせとも言えますので、
あまり気にしないで良いのではないかと思います。

悪い場合は、
A:凍みる感じがやはり続く
B:何もしないでも違和感が数秒あることがある

です。

------------

相談者からの返信 相談者からの返信
相談者: applepie_dearさん
返信日時:2008-07-17 02:26:49
宮下先生、ご回答ありがとうございます。

「そう答えたくないだけです。」

すてきですね。臨床家としての熱意を感じます。

-------------

>あまり気にしないで良いのではないかと思います。


私の不安にお付き合い頂いて本当にありがとうございます。

患者としては歯髄保存を素直に喜ぶべきなのですが、論文を読めば読むほど様々な見解があり、自分の中で理論をどのように解釈すればいいのか混乱してしまっていました。

おかげさまでスッキリしました。



最後に…さしでがましいですが、宮下先生の論文を読ませて頂いたいちファンからのメッセージです。

宮下先生の書かれる論文は検討視角がたくさん盛り込まれていて、読み進めるなかでたくさんの発見があり、楽しかったです。

先生がある論文の中で触れておられた髄の防御反応のメカニズムに興味を持ちましたので、調べてみたいなと思っております。

また質問してしまうかもしれませんが、よろしくお願いします。
今後もご活躍、楽しみにしています。


渡辺先生、宮下先生

すばらしい先生方にご回答いただけたことを感謝します。
回答 回答5
  • 回答者
回答日時:2008-07-17 03:17:48
ちょっと甘い(ほんとはとっても甘い)渡辺です。


>渡辺先生の臨床経験上、覆髄の長期的予後はいかがですか??
>(5年、10年の間に方法や材料を変えられたりなさっていると思いますので、一概には言えないでしょうが、アバウトにでも教えていただけるとうれしいです。)

せっかくのハイレベルなやりとりに、かり出さないで貰いたいのですが・・^^;
映画鑑賞中にポテチを勧められた気分です(笑)

一応食べます。



覆髄と言ってもapplepie_dear さんの場合は直接覆髄ではなくて間接覆髄ですよね?

参考→[写真あり] インレーの下の虫歯を治療と、直接・間接覆髄法について
http://www2.ha-channel-88.com/soudann/soudann-00020416.html


私の臨床経験と言っても根管治療は実質3年ちょっとなので、何の参考にもなりませんけど・・

間接覆髄なら私はまず何も使用しません。
レジンだけですので、「間接覆髄」と言うよりも単なる「レジン充填」です。

数え切れないほどやっていますが、その後のトラブルは記憶にある範囲ではたぶん一度もなかったと思います。


因みに直接覆髄でも以前はレジンのみ、最近だとMTA+レジンでやることが多く、「良かれと思って」(※患者さんの同意の上で)適応ではない症例にまで手を出したことがありますが、失敗はレジンの時に数回あったぐらいでしょうか。
(分母は大体50-60症例とか?)

失敗と言っても麻酔が切れてからの痛みが強く、それからすぐに抜髄していますから、感染根管化(※歯髄が完全に壊死して、レントゲン上で根尖病変が確認出来る状態)はしていませんので、成功率に悪影響は出てないと思います。


MTAを使用し始めてからは以前だと諦めていた様なケースでも操作がしやすくなって(と言っても難しいのですが・・)、今のところ全部上手く行ってますし、色々理由があって安心感も増しました。

と言ってもこれはごく最近の話で、症例数もたぶんまだ一桁です。


これらが5年後、10年後にトラブルを起こさないかと言われれば何の保証も出来ませんが、患者さんには自分の価値観(歯髄は全力で保存)を押しつけたくなってしまいますね。

自分のならよほどの強い自覚症状でもない限り、必ずそうすると思いますよ。



それとエビデンスではなくて経験則ですが、歯髄が近い場合&露出した場合に、セメント系を多く使って封鎖すると長期予後は芳しくなさそうな気がします。



直覆の文献でも最初は良かったのに時間経過後に成績が多少悪化する傾向がありましたよね?

たしか健全な歯(?)を露髄させて直覆して、その後の成功率を追った文献で、当初はほぼ100%の成功率が1年後と4年後ぐらいに10%ずつ失敗していって、その後はそのまま10年後まで推移していく・・と言う内容で、

1年後のは症例選択ミス、4年後のはリーケイジの問題ではないかとイエテボリのReit先生が推察されていたのを、宮下先生の通訳で伺った覚えがあります。

(※論文を検索したのですが、分かりませんでした)

もっと遙かに成功率の低いのもあります。(サンプル、材料の違いが大きいのかな?)

参考→直接覆髄法の成功率は92%なのに、私は失敗してしまったのでしょうか?
http://www2.ha-channel-88.com/soudann/soudann-00020898.html

セメントは僅かな隙間(リーケイジ)が出来る危険が大きいですから、直接覆髄であれ間接覆髄であれ、感染歯質を取りきるのはもちろんですが、出来ればレジン等で接着してキチンとした封鎖をするのが長期予後のキモではないかと思いますよ。(※私見)




宮下先生の真似をして、

「あんまり考えないで答える(一般論)のであれば、」

今回のケースなら私は歯髄は保存した方が良いと思います。
押しつけと思われてもいいです。

もちろん絶対安全とは言えませんが、もしも抜髄したら、それが100%上手く行くと言う保証こそ絶対にありません。



●このまま保存→おそらく数パーセントもあるかないかで歯髄が不可逆性の炎症起こす→抜髄(成功率は普通の抜髄と同じ。90%前後で済む可能性が大。悪くて歯髄壊死・感染根管化、80-85%程度の成功率)→再発→再治療(成功率60%前後)→運悪く何度か繰り返してそのうち抜歯



●今回抜髄(成功率は普通の抜髄と同じ。90%前後)→再発→再治療(成功率60%前後)→運悪く何度か繰り返してそのうち抜歯

の比較になると思います。(思いっ切りネガティブですが・・)
しかもこれらの成功率は、欧米の専門医並の治療での話ですよ。


applepie_dear さんならその辺りもきちんと見極められるでしょうが、そうは言っても他人に身を預ける行為・・。
またしっかりした治療だと費用もしっっかりかかります。

日本で一般的に行われている抜髄処置は成功率が50%も切ってしまうのではないかと言うのが私の見解です。(※正確なデータはないと思います)

であれば・・・。

いかがでしょう?

回答 回答6
  • 回答者
回答日時:2008-07-17 18:13:47
渡辺先生
こんばんは

「エビデンスではなくて経験則ですが、歯髄が近い場合&露出した場合に、セメント系を多く使って封鎖すると長期予後は芳しくなさそうな気がします。」

僕もそう思ってます

---------

「健全な(?)を露髄させて直覆して、その後の成功率を追った文献で、当初はほぼ100%の成功率が1年後と4年後ぐらいに10%ずつ失敗していって、その後はそのまま10年後まで推移していく・・と言う内容で、

1年後のは症例選択ミス、4年後のはリーケイジの問題ではないかとイエテボリのReit先生が推察されていたのを、宮下先生の通訳で伺った覚えがあります。」
(※論文を検索したのですが、分かりませんでした)


あの研究は Horsted らの研究で、人の後向き研究です。
「健全な歯(?)を露髄させて」ではなく
臨床研究なので、治療中たまたま露髄した症例がほとんどです。


--------

相談者からの返信 相談者からの返信
相談者: applepie_dearさん
返信日時:2008-07-17 23:22:39
渡辺先生、宮下先生
論文…これ…でしょうか…

Horsted,P.,Sandergaard,B.,Thylstrup,a.,ElAttar,K.&Fejerskov,O.:A retrospective study of direct pulp capping with calcium hydroxide compounds. Endod. Dent. Traumatol.,1:29〜34,1995.

英語論文の引用の仕方すら分からないので間違ってるかもしれませんが。。。



渡辺先生、ポテチ無理やり押し付けてすいません。

お忙しいのに、臨床のお話など具体的でとても分かりやすい説明をしかも長文で回答くださって、ありがとうございます。


>しっかりした治療だと費用もしっっかりかかります。

もしかしたら、私がこの質問をさせていただいたのは、理論が気になる以上に、最終補綴にはしっかり費用がかかるので、そういった面から何年もちそうなのか気にしていただけなのかもしれないです。
回答 回答7
  • 回答者
回答日時:2008-07-18 12:15:07
宮下先生、applepie_dearさん、ありがとうございます。

やっぱり文献は治療中の露髄の話だったんですね。
10年後なのでおかしいと思ったんですよ^^;
後ろ向き(研究)じゃないと無理ですしね、後ろ向き・・
まるでapplepie_dearさんの様な・・(笑)


PubMedでもabstractが読めないのが残念ですが、95年の時点で10年以上前の治療の話ですから、まだまともなレジンの接着修復が出来てない時代の話ですね。

象牙質にレジンがガチッと接着する様になったのは大体2000年頃からですから、今と較べれば相当酷いと思います。

それなのに約80%もの歯髄が生き残れているのですから、髄の生命力と言うのはやはり相当強いのだと感じますね。

applepie_dearさんもそう悲観的にならず、ご自身の歯髄の生命力をもっと信じてみてはいかがでしょうか?(←って、我ながらすごいセリフ・・)



>私がこの質問をさせていただいたのは、理論が気になる以上に、最終補綴にはしっっかり費用がかかるので、そういった面から何年もちそうなのか気にしていただけなのかもしれないです。

頭で理解して、納得してから治療を受けられるのはとてもいいことだと思いますよ^^

文献的な成功率も大事な目安になりますが、ご自身がお手入れを頑張れるかや、それをサポートしてくれる歯科衛生士、技術の高い先生&技工士さんを見つけられるかどうかの方が重要な気もします。

相談者からの返信 相談者からの返信
相談者: applepie_dearさん
返信日時:2008-07-18 15:22:09
>後ろ向き・・まるでapplepie_dearさんの様な・・(笑)

…(笑) はい、すいません!


象牙質レジンがガチッと接着する様になったのは大体2000年頃からですから、今と較べれば相当酷いと思います。

確かに、接着技術が要になってくると思うので、そうだとすると今の接着技術での長期的予後は明るくなりそうですね。


>文献的な成功率も大事な目安になりますが、ご自身がお手入れを頑張れるかや、それをサポートしてくれる歯科衛生士、技術の高い先生&技工士さんを見つけられるかどうかの方が重要な気もします。

どんなに調べても治療してくださるのは先生ですものね。
私はお手入れをがんばって、長期予後の記録にいどみます。

宮下先生、渡辺先生ありがとうございました。



タイトル 上6番の虫歯処置方法で迷っている、覆髄と抜髄の判断基準を教えて!
質問者 applepie_dearさん
地域 東京23区
年齢 28歳
性別 女性
職業 自営業・フリーランス
カテゴリ 根管治療の治療法
根管治療その他
根管治療関連
根管充填
覆髄・覆罩(覆ずい・覆とう)
回答者




  • 上記書き込みの内容は、回答当時のものです。
  • 歯科医療は日々発展しますので、回答者の考え方が変わることもあります。
  • 保険改正により、保険制度や保険点数が変わっていることもありますのでご注意ください。

歯磨きをしても虫歯になる原因 デンタルフロスは効果無し? 歯ブラシとデンタルフロスどっちが先? 歯科衛生士が就職前に絶対に知っておきたい