差し歯の予定。保険でも審美の上手な歯科医院を探したい!

相談者: katsuさん (46歳:男性)
投稿日時:2008-10-16 01:29:07
初めて質問します。
先生方のお人柄に甘えて少しご教示願うべく参りました。


とある大学でメディカルアート(医学書の挿絵のようなものです。)を教えております。

職業柄の形や色には幾ばくかの興味を持っております。


この度自分の前歯を治療すべく、歯科のことを少しばかり調べてみましたところ、少なからず疑問が沸いてまいりました。

昔から保険はダメで自費治療は良いという話はよく聞きます。
具体的には材料や技術の違いだということは判りました。


ところがとある生徒に聞いたところ、某歯科医院で保険の前歯を作ってもらったのだが大変美しいとの事。
で見せてもらいましたら

これが素晴らしい。
上の中切歯側切歯合計4本、解剖学の本に載せてもいいくらいの出来栄えでした。

しかも作ってもらってもう7年になるとか。
変色や劣化も見られず(素人目ですが)、そこの先生曰く、今の保険の材料はだいぶ良くなっていてしかもそこの歯科技工士の人の腕は抜群なんだとか。


それに比べてうちの弟は、別の歯科医院で一本8万円もしたという前歯、確か上の前歯全部だったと思いますが、マッシロでタイル張りのように四角いものが並んでおりました。

しかも作った3日後には端っこが欠けてしまい、直すには全部作り替えないとだめで半額ぐらいは払わないといけないと言われたそうです。

実際先生の技術や技工士さんの技術(特に技工士さんの技術の差って大きいんじゃないかと私睨んでおりますが)による違いはすごくあると思います。



そこで質問なのですが、そういう違いってHPなんかには載ってないですよね。

無痛治療や歯を抜かない治療、もしくはインプラントなどの高額治療を売りにしたHPばかりで、「うちは保険もかっこいいのつくりますよ!」といった宣伝文句は見た事がない。
あまりニーズがないんでしょうか。

私個人としては悪い歯は治さなくちゃしょうがないし少々痛いのは一時我慢できる。
でもはめた挿し歯は毎日鏡で見なくちゃいけない。

そしてそうそう高額治療を受けるわけにはいかない人も少なからずいると思うのです。

例にもれず私も公僕故お金はありません。
保険で素晴らしいものが出来ればそれに越したことはないんです。

そして保険のきかないところも、その医院で白くしてもらおうという気になると思います。


そういうことは、歯科医院の受付などで聞いたら教えてもらえるのでしょうか。

挿し歯がはまってから後悔したくないのです。

貧乏人のくせにわがままですみません。
保険治療の限界もあると思います。

でも某歯科医院の保険の歯を見たらなんだかうらやましくて。
そういうことを見極めるポイントなどありましたらお教えください。


どうかよろしくお願いします。
長々とすみません。


回答 回答1
  • 回答者
回答日時:2008-10-16 02:50:58
保険でも保険外でも、やはり重要なのは歯科医師歯科技工士の腕ですので、保険でも保険外より良いものができるということは十分ありえます。

ただ、確率的には低くなるということと、やはりこだわったものを作るとなると、保険よりも保険外のほうが良いと思います。


実際、katsuさんの生徒さんの場合はたまたま会心の一撃が炸裂したのかもしれませんし、元々色が合わせやすかったのかもしれませんし、後々保険外で行うために保険で練習中だったのかもしれませんし、比較された保険外のの出来があまりにも酷かったのかもしれませんし、いろんなことが考えられます。


・・・で、実際に上手い歯科医院を見極めるポイントとしては、

1.過去の症例写真を見せてくれる
2.いざという時の保障内容をはっきりと示してくれている

の2点ではないかと思います。


あと、これは可能な人が限られてきますが、もしお近くに歯科関係者がいればその人に聞くというのも有効だと思います。


僕の場合はパッと見の見た目以上に適合性が気になりますし、適合の良いものをコンスタントに作ろうと思ったら保険ではとてもやってられないと思いますので、患者さんがある一定以上のレベルのものを望まれる場合には、やはり保険外を前提に考えるようにお伝えすることが多いです。

回答 回答2
  • 回答者
回答日時:2008-10-16 05:23:48
katsuさまおはようございます。


田尾先生も仰っているように結局歯科医技工士さんの腕で決まると思います、それを知るのは治療してもらった患者さんでしょう。

とはいっても何軒もの歯科医院で作るわけにはいかないので最後は口コミではないでしょうか。



仰るようにHPではいいことばかりの宣伝文句が多いと思いますが、しかしそこには何らかのニュアンスも漂っているように思います。

その辺りを患者さんとしては嗅ぎ分ける嗅覚も必要だと思います。


実際材料的には私が歯科医になった30数年前と比べると前装冠のレジンも本当によくなりました、隔世の感があります。

結局の所保険適応の前装冠が上手に作れない歯科医は、自費の冠も上手には作れないと思います。



腕のいい歯科医を何とかして探してください。

回答 回答3
  • 回答者
回答日時:2008-10-16 09:58:17
私の歯科医院でも、過去、私が装着した健康保険適応の前歯を、とても美しい状態で長期間管理されている患者が多数いらっしゃいます。

もう、20年近くたっているのに未だに美しいといった症例もあります。

その一方で、同じ術式、同じ材料で作製した健康保険適応の前歯が数ヶ月で変色を起こし、あるいは破折する症例も見受けられます。


何故このような違いが生まれてくるのか色々考えてみました。

田尾先生・山田先生が述べておられるように、歯科医技工士さんの腕もかなり影響することは間違いありません。
これに関しては、作製して装着した直後に、その良し悪しの判断が出来ることが多いと思います。


しかし、決してそれだけでは説明できない事もあります。
その原因と考えられるものを列記してみます。

? 患者さんの食生活
? 患者さんののお手入れの仕方
? 患者さんの前歯の噛み合わせの問題
? 患者さんの奥歯がきちんと咬める状態かどうか
? 患者さんに、はぎしり等の悪習慣がないこと

これらが、前歯の美しさに非常に微妙に影響しているとしか考えられない症例が実に多いのです。


katsuさんは、自分の歯なのに、よくもまぁこれだけ汚いものだと感心させられるような人に出会った事はありませんか?

自分の歯でも?〜?の条件が整っていない場合には、この世のものとは思えないくらい、醜く汚い状態になります。


健康保険適応の前歯は、その物性から、御自分の歯よりも汚れが付着し易く、その管理(清掃)には、それ相応の気遣いが必要になります。

ご自身の歯の治療の際には、このような点についても、主治の歯科医にきちんと説明を聞いて、丁寧な管理に勤めて下さい。


奥歯に虫歯があって咬みづらいといった状態で、高価な自費治療の前歯を入れても、長持ちしない事が多いでしょう。

一方、上記?〜?の条件が整っているケースでは、健康保険適応の前歯を歯科医もびっくりするくらい、美しい状態で長持ちさせる事も不可能ではありません。


ただ、?〜?の条件を整えるゆとりを与えてくれないのが、現代社会の抱える問題点である気がしてなりません。

回答 回答4
  • 回答者
回答日時:2008-10-16 13:02:06
はじめまして。


他の先生方と同じ感想です。

もちろん保険では使用出来ない材料も多いですから、レジンセラミック、金属の物性的な違いなどは如何ともしがたい部分がありますね。

この辺りは理工学的な専門知識も必要かも知れませんが、当サイトをよく検索されれば必要な知識は得られると思います。



技術的な面にだけ話を絞れば、

保険、自費
上手い、下手?

は別個の話だと思います。

ただし田尾先生もお書きの様に、確率が変わってくるとは思いますよ。



【自費か保険かについて?】

実際、保険で使える材料が極端に悪いとは思いません。

健康保険は「必要最低限」のレベルかと思いますが、日本の場合の「必要最低限」は、使用できる材料だけ見れば、かなり高いレベルにあると思いますよ。

手先も素晴らしく器用だと思います。

ただ、報酬が少なすぎます。。。
大雑把に言って欧米の10分の1〜20分の1ですからね。

下らないことですが、この話の本質はその辺りにある気がしますね。



例えば、歯科医院に既に経済的基盤が出来ていれば、上手いかどうかは別としても保険診療で丁寧に時間をかけて診療を行うことは可能だと思います。

経済的基盤がなければ、コストを下げるか回転を良くするか、手を抜くか等考えなくてはならないと思います。(嫌な話ですけどね・・)


一般の患者さんに注意して頂きたいのは、保険収入で不足している分を、保険と同じクオリティー(手間やコストのかけ方)の自費診療分で補うスタイルです。

あるいは保険で十分な利益があっても、質の低い自費診療で更に利益を稼ごうとするスタイルも、当然有り得る話ですよね。


更には経営的理由だけで自費診療をアピールして、質の低い自費診療だけをやれば・・。

自費でも「なんだこれ?」的な治療の存在は確かによくあるのですが、こういった理由で説明はつくのかなと思っています。

あくまで個人的な意見ですが。



【上手いか下手かについて?】

これは見極めが非常に難しいですよね。

当サイトでもよく話題にはなるのですが、「高ければ良いというものでもない」と言うのは正にその通りだと思います。

審美的な点だけであれば、過去の症例や口コミだけでも随分ヒントにはなるかと思いますよ。

一般的には自費がハイレベルな先生は、保険でも十分以上に上手いことが多いです。

逆も・・言えるのかも知れません。


でも中には、自費は神業だけど、保険は信じられないほど手抜きする・・と言う話も稀にですが聞くことはありますよね。

傾向としては自費が上手い≒保険も上手いと考えられるとは思いますが、そういう先生のところは「保険診療=赤字」、「自費でなんとか補填」の場合もありますから、このサイトで、

「自費に力を入れる先生のところで保険を!」

とはちょっと勧められないですよね。。。^^;


高級料亭の超特価ランチ(実は赤字?)は確かに期待できそうなんですが、そればかりが売れてしまうと人件費・設備費・質の維持は難しそうな気がします。

いっそ「ウチは特売はしない」という医院の方が潔くて期待出来そうなのですが、「技術は最高だけど人柄的に全く信頼出来ない・・」という例もよく聞きます。

なかなか難しいです。。。



因みに、このサイトで500回とか回答している様な先生になると、文章や貼り付けた画像を見て、同業者ならたぶん治療レベルは想像がつくと思いますよ。

私も「この治療に関してはこの中だと大体何番目・・」とか分かってるつもりです。
(どんどん順位が落ちていって惨めなんですが・・ 苦笑)

このサイトに長期間かじりついてる様な歯チャンネラーな方々も、知識量が半端じゃないので、たぶん同じだと思いますよ。

私自身も身内や元患者さんを他の回答医の先生にお願いしたことがあるのですが、そういう時だけは一抹の不安も感じなかったですね。

こういったことをヒントに考えれば、まずはこの先生にこそ!と思う場合には、katsuさん自身も予め専門的な予備知識を身につけておかれて、とことん話し合われることが重要なのかも知れませんね。


そして過去の症例なども見せてもらって、保険自費関係なく、人柄も含めて納得出来れば、良いのではないでしょうか。

相談者からの返信 相談者からの返信
相談者: katsuさん
返信日時:2008-10-17 00:54:59
先生方のあまりに迅速かつ丁寧なお答にただただ驚愕です。
ありがとうございます。


正直歯科の現状を知るまでは、技工物の出来はある程度均一なものだと思っておりました。

考えてみれば全てがオーダーメイドの一点ものなんですよね。

先生の手でを削り、型を取ってそれに合わせて技工士さんが
一つ一つ手作りで作る。 
技術の差がでないわけはありません。


更に昨今の不景気と歯科医院過剰で一層の格差がでているようですね。
「技術の差」プラス「モラルの差」でしょうか。
渡辺先生の言われるとおり「人柄」は重要な選択肢ですね。


歯医者、「医者」と名がつくかぎり患者の健康を第一に考え、それに全力を尽くす。
自分の生活を犠牲にしてでも。

そんな歯医者さんはほとんどいないと思いますが
(それに近い先生ならこのサイトにはおられるかな?(笑))


自分のできる範囲内で実直、正直に仕事をする。
そんな先生に巡り合いたいものです。
その先生が凄腕ならなおよしですが。


それどころか最近私の周りでは、歯医者さんを半ば見下すような言動がまま見受けられます。

「どこどこの歯医者でこんなひどいことされた。」
「こんなにお金を取られた。」

決して信頼する対象への言葉ではありません。
普通のお医者さんに「取られた」などとはあまり言いません。


田尾先生の言われるような「いい先生の確率」そのものが、下がってきているように思います。



先頃ニュースで「中国産技工物から鉛」といった背筋が凍るような記事を見ました。
海外の話かと思っていたら、いやいや日本でも十分ありえる話なんですね。

こちらの掲示板でもそれに関連した質問があり読ませていただきましたが、先生のお答の中に

「お金に困った技工士が勝手に海外に委託してやっていることで、なにも知らされていない歯医者には責任は無い。」

というようなことが書かれていたように思います。
この言葉は同業者にむけて書かれたものかもしれませんが、正直ぞっとしました。 

確かに責任はないかもしれませんが、そこに「医療従事者としてのモラル」は存在すると思います。


これからは「いい歯医者さん探し」は宝探しですね。

すみません、えらそうなことを書き並べました。
回答 回答5
  • 回答者
長崎大学大学院包括的腫瘍学講座の中本です。
回答日時:2008-10-17 01:04:05
katsuさん、こんにちは。


本題からずれるコメントですが、私はkatsuさんがお仕事とされている「メディカルアート」に大変興味があります。

今となってはもう大昔の話なのですが、私が歯学部2年生、解剖実習を行っている時、『分担解剖学』というテキストを愛用していました
(…というか、今でも時々見ています)。

そこに書かれているイラストが秀逸、いや言葉では表現できない美しさとパーフェクトさを感じ、当時の解剖学の教授に尋ねたところ、

「メディカルアートという専門の仕事をされている方がおられる」

というお話をうかがったことがあります。


その後も、私のこの分野の興味は尽きず、色々とリサーチをしていると、確か昨年だったか、芸術学部系の大学を卒業された方がメディカルアートを専攻されて、今は解剖学系の大学院生になられている、という記事を目にしたように思います。

katsuさんも同じようなお仕事をなされているのでしょうか?


もし、ご支障がなければ、メディカルアートというお仕事について、いま少し詳しくお話いただければ幸いです。

相談者からの返信 相談者からの返信
相談者: katsuさん
返信日時:2008-10-18 02:09:53
中本先生、コメントありがとうございます。

残念ながら先生のご期待にお応えするような、たいしたものではありません。

私の専門は美術です。
医学ではありません。


大昔の話ですがカナダのトロント大学というところで少し学びました。
当時(今もかな)日本にはメディカルアーティストという資格はありませんでしたので。

私が学んだのは専ら「anatomical art」で「clinical art」ではありません。

簡単に言えば「どこにどんな形の臓器があるのかはわかる。」けど「どこをどう切って開いたらいいかわわからない。」といった感じでしょうか。
所詮は美術教師の特技の一つにすぎません。
申し訳ありません。


ところで今日本でメディカルアートといえば、いわゆる「顔面補綴」のことを指すことが多いようですね。
義眼や義鼻、義耳といった人工臓器をつくる仕事のようです。

こうなるともはや私の知識の及ぶところではありませんが。

そして面白いことにこの仕事には歯科技工士のスキルが大いにいかせるらしいのです。

中本先生ならもうご存じのことかもしれませんが、案外日本でメディカルアーティストに一番近いのは歯科技工士のみなさんかもしれませんね。



タイトル 差し歯の予定。保険でも審美の上手な歯科医院を探したい!
質問者 katsuさん
地域 非公開
年齢 46歳
性別 男性
職業 非公開
カテゴリ 保険のクラウン(前歯:レジン)
クラウンの治療費・費用
審美歯科治療(人工の歯)
その他(保険と保険外)
回答者




  • 上記書き込みの内容は、回答当時のものです。
  • 歯科医療は日々発展しますので、回答者の考え方が変わることもあります。
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