再根管治療の成功率30%というのは本当でしょうか

相談者: まめkoさん (34歳:女性)
投稿日時:2010-08-05 19:58:34
参考:過去のご相談
抜髄せず経過観察中だか歯が痛む


2回目の投稿で失礼致します。
度々で申し訳ございません。


10年以上昔に根管治療した後にほんの少し歯が浮いたような違和感があったので、クリニックでレントゲンを取っていただいたところ、右下6番の歯の根っこの周りに黒い影が写っていました。

詰め物を取って再治療します」

とおっしゃるので、

「成功率は何%くらいですか」

と尋ねると、

「一般的には30%くらいと言われています。」

との回答でした。
(※マイクロスコープラバーダムを使用しているクリニックです。)


「失敗すると2〜3年でまた病巣が出来、数回治療し直すと歯が削られてもろくなるので最終的には抜歯ということになります。」

とのことです。



1.こちらの書き込みを見ると再根管治療でももう少し希望の持てる成功率のようなのですが・・・
実際はどうなのでしょうか。


2.それほど低い成功率なのであれば、何度も失敗して歯が薄くなる前に、初めから意図的再植をお願いしてみたほうが良いのでしょうか。


ご回答いただければ幸いです。
よろしくお願い致します。


回答 回答1
  • 回答者
回答日時:2010-08-05 20:24:07
こんばんは。

何をもってして30%と判断するかという議論となれば、これまた厄介なので割愛させていただきます。

今回のまめkoさんのケースが再治療の難易度が高くそう言われたのか。
それともごく一般的というそのままの意味でそう話したのか。
この辺りは判断出来ません。


ただ今の現状として根尖病巣があると思われる事に加え、該当する歯には自覚症状があるわけです。
であるとするならば、まずは根管処置を目指す事が成功率云々を考えるよりも先にあって然りだと思います。

根尖にできた感染病巣は残念ながら飲み薬などでは治ってはくれません。
必ず何か処置が必要となるでしょう。


ただ意図的再植術は一般的な通法通りの治療を施しても治癒が見込めなさそうな場合に行われるものです。

例えば既に歯質が薄く、補綴物の除去自体が困難であったりなども含まれます。

また普通の歯内療法を行う事の方が、意図的再植術で外科的な侵襲を加えるよりははるかに歯やその周囲組織にはダメージが少ないわけですから、まずは根管処置が可能というところを飛び越えて再植術に踏み切るのはおすすめ出来ません。



医療は何でもそうです。
まずは一般的治療法が第一選択である事が多いと思います。

回答 回答2
  • 回答者
回答日時:2010-08-05 20:47:17
こんにちは、田中先生のおっしゃられる通りなのですが、

>「一般的には30%くらいと言われています。」
>との回答でした。
>(※マイクロスコープラバーダムを使用している

気にしなくていいと思います。
そこまで成功率が低ければ誰も治療しませんよ^^;



>2.それほど低い成功率なのであれば、何度も失敗して歯が薄くなる前に、初めから意図的再植をお願いしてみたほうが良いのでしょうか。

6番であれば歯の構造上、意図的再植術は難しいですね。

まず再治療が本当に必要なのか、通法の根管治療が可能なのか考えられた方がいいと思いますよ。


外科処置は最後の一手であり、まずは根管治療からでいいと思います。


おだいじに
 

回答 回答3
  • 回答者
回答日時:2010-08-06 00:26:59
こんばんは。

まず、一般的な「失敗の定義」ですが

処置後4年経過時に
レントゲン上で根尖病変が確認出来る もしくは
・自覚症状が発現している

ものを、臨床研究においては「失敗」とすることが多い様です。

参考⇒根管治療の「成功」と「失敗」は、いつ分かる?



つまり、例えば「自覚症状がなければ成功」と言う基準にするなら、成功率が相当に跳ね上がりますし、あるいは4年後までにいなくなってしまった患者さんを数えない場合も、成功率は大きく変わります。
(予後の悪い方の方が転院率は高いはずなので)

処置後数ヶ月以内に痛みを訴えられる様なことが滅多にないから成功している、みたいに数え出すと数値は全く異なってきます。



成功率についての研究は過去いくつもありますから、大体の数値ははっきりしていますね。
このサイトの根管治療の解説ページでも書かれている通りです。



成功率を考える時には、

【専門医が行う治療】
【日本の保険治療】

あるいは

抜髄(初めて神経を抜く治療)
感染根管治療(抜髄が失敗した場合に行う治療)

を区別する必要があります。
(本当は歯の種類やら治療前の病変の大きさ、根管充填の質、インレー等の修復物の質など色々あるのですが、その辺は割愛します・・)



【専門医が行う治療】

であれば、

抜髄・・90%前後
感染根管治療・・60%前後

ぐらいが、おおよそコンセンサスの得られている数字かと考えられます。
(※感染根管治療については、近年日本のあるグループで、入念にデザインされた研究で約80%という成功率も報告されています)



【日本の保険治療】

については、実際のところ信頼出来るデータがありません。
保険治療と似た内容で行われた海外の大昔の研究報告や、国内の報告から推測するに、正確とは言えませんがおおよそ

抜髄・・50%前後??
感染根管治療・・30%前後??

あたりがおそらくは妥当な数字かと私も思っています。

どちらかと言うと抜髄の成功率に関してはまあまあ信用出来そうなのですが、感染根管治療については海外と事情が異なりすぎるために、やや想像の域を出てないかも知れません。


この辺りは過去にも詳しく書いていますから、良かったらご覧になってみて下さいね。
(昔の回答なので少し遠まわしに書いてます^^;)

参考⇒ラバーダムは理想論!?(根管治療の成功率)



ここから下は私個人の臨床実感ですが、来院される患者さんのCT像を観察していると、無髄歯(神経をぬいてある歯)の約半数に明らかな根尖病変が認められます。

(※CTの画像は鮮明すぎ、これで診断して良いのかどうかは議論の余地もありますので、小さい病変については除外しています。因みに上のリンク先で引用している日本の報告では、8割近くで病変を確認したとのこと)


抜髄歯、感染根管治療歯、再根管治療歯、病変が治癒途中の歯など混ざっていますからここから正確な数値を想像することはもちろん出来ないのですが、大雑把に考えれば

保険の一般的な抜髄 ⇒ 半数ぐらいが失敗
保険の一般的な感染根管治療 ⇒ 大体失敗

と考えると辻褄が合う様に感じます。
ちょっとゾッとしますけど。。


それと数字はあくまで数字ですから、実際にはもっとずっと上手な先生、上手でない先生、色々ですから、数字は参考程度にして下さいね。






前置きが長くなってしまいましたが、



>1.こちらの書き込みを見ると再根管治療でももう少し希望の持てる成功率のようなのですが・・・
>実際はどうなのでしょうか。

個人的には一般的な保険治療の話だとしたら「30%」には違和感はありません。

ラバーダムマイクロスコープを使って無菌的な処置に十分配慮して、何時間もかけて行う「専門医的」処置内容の話だとすれば低すぎる数字の様な気がしますね。




>2.それほど低い成功率なのであれば、何度も失敗して歯が薄くなる前に、初めから意図的再植をお願いしてみたほうが良いのでしょうか。

これは考え方が色々出来ますが、いきなり意図的再植というのは田中先生のおっしゃる通り、ナシかな、と思いますよ。

少なくとも言えるのは、抜かなくて良い神経なら抜かない方がいいですし、止む無く抜く場合、止む無く再治療を行う場合は出来る限り最善の治療を受けられた方が良いと思います。


根管治療はダイレクトに将来の「抜歯」に繋がる話ですから、見た目がいいだけの白いクラウンなんかよりも、頑張らなくてはいけない部分だと思います。



お大事にして下さい。

回答 回答4
  • 回答者
回答日時:2010-08-06 01:47:13
こんばんは。

ミモフタモナイ言い方ですが、先生次第だと思いますよ。
あと、その歯の現状にもよるでしょうし・・・。

「難しそうな歯は抜歯
というのと
「難しそうだけどダメモトでやってみる」
というのでも、また成功率が違ってくるのは当然だと思います。

研究や統計は、色んな条件をある程度整えてされるわけですから、それはそれで参考にはなるんじゃないでしょうか。

ただ、その確率がまめkoさんに当てはまるとは限りません。


再根管治療をすることにメリットが多いと判断されたから、担当医は治療を勧められれているのでしょうから、それはお任せして良いのではないでしょうか。

一応あるかもないかもな「将来の可能性」を説明されているわけですから、丁寧な(心配性な?)先生のような気がします。


担当医が言われるように、まずは根管治療をしてもらうことから始められれば良いのではないでしょうか。


お大事にどうぞ。

回答 回答5
  • 回答者
回答日時:2010-08-06 05:28:07
まめkoさまおはようございます。

再根管治療をすることになり成功率を訊ねたら「一般的には30%くらいと言われています。」との回答だったので少し驚かれたわけですね。

何を根拠にそういうお答えになったのか判りませんが、個人的にはもっと成功率はいいように思います。


しかし根管の状況はやって見ないことには判らないというのもあながち間違いではありません。

感染根管になっているわけですから此処は根管治療をやってみるしかないと思います、仮にうまく行かないようであればその原因によって色々な対処方法が考えられます。


仰るような意図的再植法もそのうちの一つになります、治療経過を追っかけながら主治医と相談なさって治療方法を選択することになろうかと思います。



感染根管治療
http://yamadashika.jp/infection.html
 
根管治療難症例 
http://yamadashika.jugem.jp/?cid=160

意図的再植法 
http://yamadashika.jugem.jp/?cid=189

相談者からの返信 相談者からの返信
相談者: まめkoさん
返信日時:2010-08-06 11:58:20
先生方、お忙しいところ大変親切で丁寧なご回答をいただき、本当にどうもありがとうございました。


山田先生
再根管治療をすることになり成功率を訊ねたら「一般的には30%くらいと言われています。」との回答だったので少し驚かれたわけですね。

おっしゃるとおりです。
気持ちを汲んでくださってありがとうございます。

7割方失敗する治療を受けて5年後くらいには歯を無くしてしまうのかと思うとやりきれなくて・・・
自業自得なんですけど。



渡辺先生
成功率に関するご回答は疑問に思っていたことでしたので、詳細な情報をいただいて大変有り難かったです。

だいたい失敗というのは確かにぞっとしますが・・・
できるだけ抜髄をしなくてすむように今後出来る限り努力しようと思います。

今回は自由診療でお願いして、せめて5分5分くらいと言っていただき希望を持てると良いのですが・・・



吉岡先生
>一応あるかもないかもな「将来の可能性」を説明されているわけですから、丁寧な(心配性な?)先生のような気がします。

歯の状態が成功率に関係するのは大前提ですが、先生の腕や情熱は患者には量れませんから、今の先生のことを信じて再根管治療をお願いしたいと思います。

ありがとうございます。




井野先生
>気にしなくていいと思います。
>そこまで成功率が低ければ誰も治療しませんよ^^;

一番ひっかかっていたところなので心救われました。
ありがとうございます。



田中先生
>ただ今の現状として根尖病巣があると思われる事に加え、該当する歯には自覚症状があるわけです。
>であるとするならば、まずは根管処置を目指す事が成功率云々を考えるよりも先にあって然りだと思います。

自覚症状があるというのはやはり深刻な状態ということですよね。

意図的再植は最終手段だということは先生方のご意見を伺って納得できましたので、成功率が低くてもまずは再根管治療をお願いします。
ありがとうございます。


治療方針については納得したうえで処置に臨みたいのですが、素人考えで色々と質問すると担当の先生に不愉快に思われそうで、いつも黙って帰ってきてしまいます。

その結果こちらの先生方にご迷惑をおかけしてしまい、申し訳ございません。
親身になっていただき、心より感謝申し上げます。



タイトル 再根管治療の成功率30%というのは本当でしょうか
質問者 まめkoさん
地域 非公開
年齢 34歳
性別 女性
職業 非公開
カテゴリ 根管治療の治療法
根管治療の失敗・再治療
回答者




  • 上記書き込みの内容は、回答当時のものです。
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