新人歯科医です。くいしばりが強い患者さんの治療方法について

相談者: そのさん (26歳:女性)
投稿日時:2011-06-16 00:46:16
はじめまして。
まだ新人の歯科医師で、そのと申します。
宜しくお願いします。


このたび、質問させて頂きたいのは、食いしばりがきつく、全顎的に咬耗している患者さんの補綴について相談させて頂きたく書き込んでいます。



Krは人工透析を受けており、そのストレスもあってか、ほとんど物を食べられないとおっしゃるのにほぼすべての歯が歯髄腔が見えるほど咬耗しており、実際に歯冠部が飛んでしまい残根状態になっている歯も見受けられる状態です。
カリエスはありません)

主訴は右上一番の痛みだったのですが、これは歯根が縦に破折していたため内科と連絡を取りながら先週EXTしました。
その後の補綴について相談があります。


現在、左上一番と右上二番を支台とするBrをセットするつもりで、抜歯時に生PZで形成しプロビジョナル(というよりもTEK)を入れたのですが、その時点でクリアランスは2〜3mmほど確保していましたし、TEKの破折を防ぎたかったのでバイトもほとんど当たらないような状態にして帰って頂きました。

(ちなみにクリアランスを作るため、支台歯歯冠長は4〜5mm、最悪抜髄覚悟での形成でした)

しかし、3日後にTEK破折で来院されてしまい、途方に暮れています。


クリアランスは十分あったかと思いますし、側方運動時にきつい接触のありそうなところも見受けられず、くいしばりのせいで起きたのではないかと思っているのですが、そうなると最終補綴も同じ設計でしてしまうと破折もしくは脱離が起こるのではないかと考えています。




そこで相談なのですが、私はこのKrの場合、痛みなどはないものの右上二番と左上一番を抜髄し、そのうえで、コア付きの前装冠Brを入れれば脱離は防げると考えました。

しかし、この場合今回抜歯になったように歯根破折が起きてしまう可能性を消すことはできません。

どちらの危険も回避できるような補綴の処置はあるのでしょうか?
先生方どうか知恵をお貸しいただけませんでしょうか?



ちなみに院長に相談しても、なんでもいいやん、といった感じでアドバイスはもらえませんでした…
Krも、くいしばりがあるためBrのset後にはマウスピースの着用をお願いしているのですが、自分はくいしばっていない、顎に力が入らないとの一点張りで聞き入れてくれるか微妙です。


まだ経験が浅くこういった難しい症例に対処しきれないのが悔しいのですが、教科書などを漁っても突破口を見つけられず相談させて頂いています。

アドバイスのみでもありがたいので何か知恵を貸して頂ければ幸いです。

宜しくお願いします。


回答 回答1
  • 回答者
回答日時:2011-06-16 07:15:57
技工士さんに相談して三日でブリッジを作ってもらう。

印象して石膏模型を作っておき補強線等を入れる。
そして毎日テックを新しくする。

石膏模型を作っておき、前歯にはないはずの咬合面があるので、その部分だけメタルで作りテックを作ってセットする。



ただどれも正しい対処方とは言えないかもしれません。
歯ぎしりだけではなく、酸蝕症も診査してくださいね。

入院して筋電図をつけて歯ぎしりの検査があるかもしれません。


どんな歯科医も完璧な人はいませんが、そのさんができる事をするしかないと思います。
例えば別の医院を紹介することも含めて。

回答 回答2
  • 回答者
回答日時:2011-06-16 07:16:34
そのさんおはようございます。

本当に食いしばりですか。

右上の1番のVRFは食いしばりではありませんよ。

昨年の歯科医展望3月号だったかに掲載されていた横浜歯科臨床座談会の記事を参考になさってください。


原因が特定できなければ何も解決しません。

回答 回答3
  • 回答者
回答日時:2011-06-16 07:36:06
おはようございます。

自分がそのさんの立場なら、手を出さずに院長の許可を得て大学病院に回しますね。

自分の守備範囲を考えるのも大切ですよ。

で出来れば、患者さんなり大学の担当医と仲良くなって、治療に同行したり、その後の処置内容や予後を教えて貰ってそのさんも勉強させて貰うのが理想的かと思います。



ご自身なりに手を尽くしてなんとかしようとする今の姿勢もとても素晴らしいと思いますよ。

回答 回答4
  • 回答者
回答日時:2011-06-16 08:35:45
おはようございます。

ノア先生に同意です。


チャレンジできる範囲でトライして行く事は大切ですが、明らかに自分の限界を超えていると感じた場合、間違った治療を施して不幸になるのは患者さんです。

チャレンジする場合でも、自分の考えに賛同し、協力してもらえる患者さんに限るべきです。
そうしないと万が一、トラブルになった場合には患者さんのみならず、ご自身も不幸になりますよ。

回答 回答5
  • 回答者
回答日時:2011-06-16 09:24:55
ご相談ありがとうございます。


>ノア先生に同意です。

に、賛成です。

お話だけでは断定できませんが、かなり難しい治療になりそうです。
全体の噛み合わせと、ご本人の協力への配慮も加える必要がありそうです。

それを前歯だけの計画で進めることはさらに破壊してしまう危険が出そうな気がします。

大学病院などの専門家に相談した上で、ご当人にも許可が得られればかかわった責任上もずっと立ち会っていく、という計画に大賛成です。

回答 回答6
  • 回答者
藤森歯科クリニック(兵庫県西宮市)の藤森です。
回答日時:2011-06-16 16:14:09
立ち姿を横から見ると、胸部が前方へ、腰部・臀部が後方に突き出た体型の方でしょうか?

患者さんが、立っているとき、歩いているとき、特徴的な何かを感じませんでしたか?

どういったお仕事をされている方でしょうか?一日で立っている・歩いている時間はどれ位か?睡眠時間はどれ位?熟睡出来ているのか?どういった薬を飲まれていますか?・・・・・・etc.


もし私なら、これらの事を時間を掛けてなるべく正確な情報を得ようと思います。

「これは何故起こっているのか?」等々全く分からないことはしょっちゅうですが、少しでも何か分かれば、その患者さんの、そして次からの患者さんにプラスになるかもしれません。

相談者からの返信 相談者からの返信
相談者: そのさん
返信日時:2011-06-16 23:20:12
先生方、有難うございます。

このKrが自分の手に余る症例であること、このことに関しましてはTEKの破折の段階でわかってはいました。

初めて初診でお会いした時も症例の難しさを説明し、大学病院への紹介の説明もさせて頂いたのですが、Krの歩くのがつらく、近所の歯医者にしか行けない、という訴えでこちらの医院でさせてもらうことになりました。
今では後悔していますし、力不足で申し訳ないとも思っています。

しかし無理に大学病院へ行ってもらうこともできないし近所の歯医者さんに紹介するのは院長が許さないだろうし…私がこれからすべきなのは院長にもっと真剣に話を聞いてもらえるよう努力することなのかもしれません。
今頼れる一番身近な人は院長なのですし…




>藤森先生

Krの立ち姿のイメージは杖をついており少し前かがみになって歩いておられるが、付き添いも必要なく割としっかりとしておられる感じがします。

現在お仕事はされておらず、睡眠薬を飲まないと眠れない、動くのは病院に行かれている時ぐらい、というお話を伺っています。


私の勝手なイメージなのかもしれませんが、人工透析を受けておられるKrは多くの方がこのように歯冠咬耗してしまっているイメージがあります。
人工透析と咬耗の関係性はありますでしょうか?




>柴田先生

先生のおっしゃるBrは歯冠継続歯のBrでしょうか?
それとも一般的なBrでしょうか?

私の考える歯冠継続歯のBrを入れる治療は一般的なのでしょうか…?




>山田先生

去年の3月の歯科医展望ですね、一度探してみます。

しかし、言い訳ですが、あの手の本に書かれているお話は正直難しすぎてわからないことが多く、基礎すら実習とたった一年の臨床研修程度でほおり出された私にはまだ先のレベルの話かと思っていたり…今はまだ、衛生士さんと若手歯科医師に送る本、みたいな初歩的な本で知恵をつけている最中です。

しかしKrは待ったなしで難しい症例も来るので…この症例が自分のレベルに合っていないと判断する能力も磨いていかねばならないということですね。
相談者からの返信 相談者からの返信
相談者: そのさん
返信日時:2011-06-16 23:31:30
あ、本当にいまさらですが、初診時歯根が割れてしまった右上一番は前装冠でした。

コアがかなり長かったので、くいしばりや歯ぎしりによって力がかかり破折してしまったのだと思ったのです。


ちなみにその前装冠を入れたのは一年半前で、前の歯医者さんは不幸があり閉まってしまったということでした。
回答 回答7
  • 回答者
回答日時:2011-06-17 02:05:47
そのさんごめんなさい。

2010年4月号でした。

http://www.ishiyaku.co.jp/search/details.aspx?bookcode=021154

回答 回答8
  • 回答者
回答日時:2011-06-17 07:45:05
そのさんへ

普通のブリッジです。

特急便だと三日で作れないことはないと思います。
テックが三日で壊れたので三日でブリッジを入れようということです。


わざわざ生活歯失活歯にする事には賛成しかねます。
一般的ではないと思います。

回答 回答9
  • 回答者
藤森歯科クリニック(兵庫県西宮市)の藤森です。
回答日時:2011-06-17 10:26:12
非常に難しいケースのようですね。

噛み締めの進行(?)というか、上顎と下顎との距離を常に短くしようとする仕草をされているとしたら、そのさんが一生懸命に修復されたものを再び破壊なさらないとも限りません。


もし進行性のケースでなかったとしたら・・、クラウンレングスニング(時には、エクストルージョン併用)のテクニック習得がまだでしたら、これを機会に勉強なさったら良いと思います。

TEK(と呼ぶと、堂島の某先生に怒られるかも)の調整の際に、思いっきり下顎前方位で大丈夫かもチェックしておきましょう。
例えば、睡眠時など「ええ?こんな咬み方??」と驚くことをされているかもしれません。



この方は大学病院紹介が困難という事でしたが、今後のこともあるので、時間を掛けて、「この症例ならxx科のxx先生なら、治療出来そう」といった情報を蓄積していきましょう。

もし、習得したいスキルなら見学させてもらいましょう(大学の決まり事はあるかもしれませんが)。




>人工透析を受けておられるKrは多くの方がこのように歯冠咬耗してしまっているイメージがあります。
>人工透析と咬耗の関連性はありますでしょうか?

素晴らしいことを気付かれましたね。

今度もし、人工透析を受けておられるのに咬耗の無い方に出会われたら、その方が咬耗のある方とどこが違うのかを是非考えてみてください。
またこの場に報告してくださいね。




>Krの立ち姿のイメージは杖をついており少し前かがみになって歩いて

そっくりその真似をして歩いてみると何か感じませんか?
例えば、自然に前歯を噛み締めてしまいそうだとか。
また、その方の膝が痛いとしたら、左右どちらかを伺って自分の頭にインプットしておく癖をつけておくと将来何か分かるかもしれませんよ。

只、’思い込み’でなかったかどうか常に問いかけておく必要もあると思いますけどね。



>睡眠薬を飲まないと眠れない

薬の名前を聞いて副作用をチェックしておきましょう。
将来、講演を聴いたり本を読んでいるときなど、ある瞬間に、その僅かな記憶が突然にアラームを発する(?)かも知れませんよ。

その喜び(?)を何度も何度も味わってみてください。

回答 回答10
  • 回答者
回答日時:2011-06-17 19:20:26
>今では後悔していますし、力不足で申し訳ないとも思っています。
>しかし無理に大学病院へ行ってもらうこともできないし近所の歯医者さんに紹介するのは院長が許さないだろうし…私がこれからすべきなのは院長にもっと真剣に話を聞いてもらえるよう努力することなのかもしれません。

そうですね。

確かに院長先生に担当を変えてもらった方が良いかもしれません。

もし、それも叶わないのであれば、患者さんにそのさんの思われている事(自分のキャパシティを超えている事)を率直に伝えられた方がよろしいかと思います。

その上で、「それでも、その先生に診てもらいたい」と言われるのか、「それなら他の歯科医院に行く」とおっしゃるのか、それは患者さん自身が決める事ですから…。



幸い、僕は患者さんに恵まれたのか、いろいろなトライをさせていただき、良かった事も「ゴメンナサイ」な事も経験させていただきました。

相談者からの返信 相談者からの返信
相談者: そのさん
返信日時:2011-06-18 00:39:51
先生方、様々なアドバイスをありがとうございました。


院長とKrとに相談し、結局、院長と一緒に経過を見ていく形で生PzのBrを作ってみることとなりました。

KrにはBrセット後のナイトガードの使用をもう一度しっかり説明しお願いしているところです。
この後もずっと経過を見させてもらう旨をご了承いただけました。




先生方にアドバイスをいただき、今後のことを見据えた勉強方法というのに気付いたというか…目覚めたというか…『経験』と一言にいっても過去の失敗や成功を記憶、吟味していかなければならないのだと再確認しました。

私はまだまだ未熟ですが、何年か先、何十年か先に、先生方の足元に及べるぐらいの歯科医師になりたいと思います。

今後もお世話になるかもしれませんが、その時はどうぞよろしくお願いします。


有難うございました。
回答 回答11
  • 回答者
回答日時:2011-06-18 04:58:42
こんばんわ。

ご自身の経験を一番大切にしてください、その中にはたくさんのヒントが隠されています。

よく講習会に参加ばかりなさるDrがいますがご自身の技量とかけ離れたことを教えてもらっても何も出来ません、むしろできるようになったと錯覚してとんでもないことをしてしまうでしょう。

我々の仕事にはブレークスルーはありません、一歩一歩確実に進むしかありません、ご自身の臨床経験をひとつひとつ吟味反省しながら進んでいくのが結局大きな実を結ぶと思います。

ご自身の臨床結果をを一つ一つ写真に残し見返しながら患者さんの顔を思い出して反省しながら進んでいくのがいいと考えています。

高名な先生の講義を聞いたところでご自身の臨床に取り入れるのは余りにもかけ離れていておそらく無理なことだと思います。

千里の道も一歩一歩進んでいけばやがてゴールは見えてくると思います、応援していますよ。




タイトル 新人歯科医です。くいしばりが強い患者さんの治療方法について
質問者 そのさん
地域 非公開
年齢 26歳
性別 女性
職業 非公開
カテゴリ 歯軋り(歯ぎしり)
補綴関連
専門的な質問その他
回答者




  • 上記書き込みの内容は、回答当時のものです。
  • 歯科医療は日々発展しますので、回答者の考え方が変わることもあります。
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