インプラントの老後に手入れが出来なくなった場合の問題点

相談者: のうさぎさん (58歳:女性)
投稿日時:2014-04-15 20:54:10
母親の介護をしていて、ふと思ったことがあります。
インプラントに関する不安ですが、よろしくお願いします。


インプラントはメンテナンスが大切ということですが、高齢、あるいは病気等で定期的な通院がきびしくなる、あるいは病気による手指の麻痺などのため自分で十分なお手入れがむずかしくなってしまったような場合は、どうなるのでしょうか。

また、インプラントにして10年20年過ぎて、再手術が必要になった場合、もし70歳でもやっぱり再手術ということになるのでしょうか。


私もインプラントをすすめられますが、今はOKでも人間、歳をとります。
先生は、こういったことに関してはどのようにお考えになるのでしょうか。
参考までにお聞きできればありがたいです。
[過去のご相談]


回答 回答1
  • 回答者
回答日時:2014-04-15 21:19:01
ご相談ありがとうございます。


現代の高齢化社会ではそれが問題となります。

ケアができなくなるか、認知症で何も受け入れられなくなると、インプラントが危険な障害物となる事があります。

それを想定しておく計画が大事です。



具体的には、インプラントをねじ式に固定する治療方法を採用しておいて、最後にはネジを緩めてかぶせ物を外し、顎の骨に残っているインプラントにフタをネジ止めします。

すると自然の歯を抜歯したかのように、そのフタの上を歯茎がすっかりおおって隠してしまい、口の中に何も飛び出さないように変えられます。


そうすれば障害物となる危険が無くなります。
又ふつうあり得ない事ですが、あとから、もう一回フタを外して歯をつける事もできるし、そのままで総入れ歯を作る事も可能です。

ただ少々工夫が必要で、フタのねじ穴には詰め物をしておかないと化膿の原因となります。



高齢化社会では人生の後半に治療する場合、中年までの若い時とは治療計画をガラリと変えておく事が必要です。

その場限りの歯が入れば良い、という思いはとても危険です。
若い時の治療も、高齢になってからも、必ず将来を考えて治療計画を立てましょう。

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回答 回答2
  • 回答者
回答日時:2014-04-15 21:19:43
インプラントはメンテナンスが大切ということですが、高齢、あるいは病気等で定期的な通院がきびしくなる、あるいは病気による手指の麻痺などのため自分で十分なお手入れがむずかしくなってしまったような場合は、どうなるのでしょうか。

定期的な通院がきびしくなる場合は、往診などによるケアを受けることも方法の1つです。

慢性的に舌を動かして傷を作るような場合などでは、かぶせ物を外して入れ歯にするなどです。
状況によって変わってくるので担当医と相談することになると思います。



>また、インプラントにして10年20年過ぎて、再手術が必要になった場合、もし70歳でもやっぱり再手術ということになるのでしょうか。

状態によると思います。
個人的には元気で希望した80歳過ぎの患者さんにインプラントを治療をしたことはあります。健康状態にもよりますね。



>私もインプラントをすすめられますが、今はOKでも人間、歳をとります。
>先生は、こういったことに関してはどのようにお考えになるのでしょうか。参考までにお聞きできればありがたいです。

こういったことが起こることは既に問題としてあげられています。
往診を行っているような歯科医院では、介護におけるインプラントケアが問題になっているようです。

全てではないですが、ワンピースインプラントは対応が困難であることから避けるべきだと言われています。

理由は、2ピースであるほとんどのインプラントはネジでかぶせ物が取り外すことが可能ですし、状態によってはインプラントも(抜歯が出来る状態であれば)除去キットで意外と簡単に除去もでき対応ができますが、1ピースはチタンを削っていかなくてはならず、時間もかかり大変で、インプラント除去はもっと大変になるからです。


ですので、できるだけ1ピースは将来を考える上では選択しないほうが個人的には良いように思います。

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相談者からの返信 相談者からの返信
相談者: のうさぎさん
返信日時:2014-04-15 23:20:29
さがら先生、加藤先生

ご回答ありがとうございます。


提示された「入れ歯ブリッジインプラント」という選択肢から軽々しくひとつ選ぶというのではなく、インプラントの場合は、特に【将来を考えて治療計画】が大切と改めて思いました。

「今はインプラントがあたりまえ」のような口調で一番にすすめられ、迷っていると「なぜ、どうして、どこが問題なの」というような展開になります。
先生はインプラントをしたくてたまらないとさえ感じてしまいます。良いことをすすめてくださっているとは思いますが、自分の先々のこ
とを踏まえて治療計画というものを考えたほうがいいんですね。



ケアについては、地域によっても状況は大きく違ってくると思いますが、地方では、インプラントを行っているような歯科医院で通常治療と並行して往診を行っているような歯科医院はとても少ないと思います。
それでなくても予約が取れないほどの忙しさの中、とても往診は無理だと思ってしまいます。

近所にあればいいのですが、歩くと30分はかかる距離を80歳過ぎるまで歩ける自信もないです。


どんなにいいものでも、なかなかむずかしい状況にあると痛感しています。
おふたりの先生のご回答、本当に参考になりました。
ありがとうございました。
回答 回答3
  • 回答者
回答日時:2014-04-16 08:07:25
ご返信ありがとうございます。

インプラントであろうと、入れ歯であろうと、人工的な欠点が必ずつきまといます。
よく考えれば、自然の歯がいかに優れているかが分かりますよね。


という訳で私は30年以上前から一生自分の歯を残すことを提案させて頂いています。

その成果の一つとして、30年くらい通院されて、最初の頃に前医の中途半端な治療のやり直しをしただけで、以来どの歯も削ることなく抜くことなく、歯周病も治し、最後は80歳代でお亡くなりになるまで、全部ご自分の歯で過ごして頂いた方もいらっしゃいます。


ことわざ通り、予防に勝る治療はありません。
本当の予防医療とは、一生歯を削らず、抜かないことです。

また今回お気づきになったように、治療をする時にも、将来の問題を予想して用心することが大事で、実はこれも立派な予防医療なのです。


全ての治療に予防の考えを入れましょう。
そうすればきっと良くなります。

回答 回答4
  • 回答者
回答日時:2014-04-16 09:58:37
のうさぎさんが心配されている通りで、やはり身体の自由がきかなくなった様な場合にインプラントは問題があると思います。

ですがこれは、入れ歯でも天然歯でも差し歯でも同じです。

例えば寝たきりになって唾液が出にくくなると、誰かがよほど上手にケアをしてくれない限り歯の付け根あたりがむし歯だらけになるでしょうし、歯周炎が進んで歯肉が腫れてくることもあります。

こんなことなら歯なんてなかった方が楽だったのに・・となることも現実的に考えられます。
実際介護をする側としては、歯磨きするよりも総入れ歯を預かって洗う方が楽だと言う声も聞きます。



ですが間違いなく言えることは、元気に美味しく食事が出来ることが、身体の健康を維持するのには有効だということです。

身体が不自由になったら歯(インプラント)は苦労する、というのは事実ですが、身体が不自由にならない為には歯(インプラント)で何でも噛める方が良い、というのも事実だと思いますね。

何でも美味しく噛めるためには部分入れ歯や総入れ歯よりはインプラントやブリッジ、差し歯が有利というのもまた一面です。

身体が不自由になる前提で考えるよりも、健康を維持することを考えるのが発想としては自然なのではないでしょうか。



(※当然ながらインプラントの様な、取り外しの難しいものを安易に選ぶことには最大限慎重になるべきですし、歯に勝るものではないですから、歯科医はインプラントを入れることよりも歯を残すことに全力を捧げるべき、というのは話の大前提です。
インプラントを入れたがる歯科医(?)よりも、歯を残そうとする歯科医を選ぶことも大切なことだと思います。)

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相談者からの返信 相談者からの返信
相談者: のうさぎさん
返信日時:2014-04-16 11:27:28
先生方、ありがとうございます。

●【予防に勝る治療はない】
●【歯を残そうとする歯科医を選ぶことも大切】

この2点は、本当に歯を守る原点だと再確認できました。
回答 回答5
  • 回答者
回答日時:2014-04-16 12:20:13
のうさぎさん、今日は

今まで、施設のに入所されている要介護者を含めて、お多くの患者さんを診てきて思うことで、あくまでの個人的な意見ですが。


施設に訪問診療に伺いますと、入れ歯を入れてみえる方は、入れ歯を紛失する、どこか痛みがある、ご自身で入れ歯の着脱ができなくなる、針金をかけた歯がとれて義歯が不安定になるなど多くのトラブルを抱えています。

外して洗えるからと言っても、実際に外して綺麗に清掃されてみえる方はあまり多くありません。
また、ご自身の歯も、入れ歯を入れていることで、食べかすがたまりやすく、歯がとびとびに抜けていると、歯磨きもしにくくなります。

結果的に義歯を使用せず、ミキサー食になってしまっている現場をみることがあります。



インプラントの場合、入れ歯のように上記に書いたような問題を起こすことはありません。
また、ご自身の歯のように虫歯になることもありません。

一番問題になるのは、歯周病と似たような状況で、インプラント周囲炎という病気にかかることがあります。


インプラント周囲炎にかかると、周りの粘膜が腫れますが、あまり痛みを感じることはないようです。

そのまま放置するとだんだんに骨が吸収して行きますが、歯周病のように歯が動いて噛めなくなると言うことはありません。


歯周病ですと、骨が吸収しても、歯は簡単に抜けずに、ぐらぐら動き出し、噛もうとするとあたって痛くて噛めないため、歯を抜かなければならなくなります。

しかし、インプラントの場合、骨がかなり吸収しても、動くことはなく、最後はポロんととれてしまいます。


食事は老後の大きな楽しみです。
快適に食事ができる為にも、インプラントは良い選択だと思います。


当院でも80代の方にインプラントを入れて、快適に食事ができるようになったと喜んでいただいたこともあります。



追加で、いつでも外しやすいように、ねじ止めにしてもらわれた方が良いでしょう。

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相談者からの返信 相談者からの返信
相談者: のうさぎさん
返信日時:2014-04-16 19:16:01
小牧先生

ありがとうございます。


入れ歯にも多くの問題点があるんですね。
健康であれば老後のインプラントライフもなかなかいいものだと思いました。

こちらのサイトは比較的お若い先生が多いようにお見受けしますが(お写真から見てですが)、比較的ご高齢で、ご自身がインプラントになさっている先生がいらっしゃったら感想をお聞きしてみたいです。
回答 回答6
  • 回答者
回答日時:2014-04-17 11:07:52
特別養護老人ホームでの仕事を7年以上して来た経験上、口腔内で高齢者で大きな問題になるのは天然歯です。

天然歯は虫歯になります。
高齢者は、必ず歯茎の境目が虫歯になってしまって、ある日痛みなく歯冠が折れ、歯がなくなったと大騒ぎになります。

そして、歯茎が荒れ、骨にまで炎症が波及し痛んだりして大事に成ったりします。


インプラントが、と言う言い方をされる方はインプラント反対派なだけで正確にどう言う経過を辿られるのか?を科学的、医学的、歯科学的に考察なされていません。

現場で見ていると、歯が駄目に成って問題起こすので、インプラントがあってくれるなら、義歯を支えてくれて役に立つモノとしてインプラントは使えるんです。
現状の指摘される問題点は、その統合的、総合的、複合的予測と治療対応がまだまだ行き届いていないことから来ている、と私は思っています。


それと言うのも、義歯系の先生はインプラントに疎いし、インプラント系の先生は義歯に縁遠いからです。

今後は両方の利点を活用して、欠点が補えるような治療の普及が望まれることでしょう。


高齢者は、活動は落ち段々と生きる力が減って行っても、思いの外噛む力、咀嚼することに対する機能、意欲は無くなりません。
個人的経験で、噛み付かれて痛い思いをしたことは数限りありません。

それだけ力が発揮出来るんです。

私は、生まれて直ぐ母乳を吸入する、亡くなる寸前まで末期癌の患者さんでも好きなものを少しでも噛み締めて食べたいと希望している、と言うふうに生涯に関われる医療として、歯科は非常に重要な医療だと確信しております。
言い過ぎかも知れませんが、歯科こそが生涯に関われる唯一の医療だ、と思っています。

全ての人生の時期に関われる、亡くなる寸前まででも関われる、それによって患者さんの人生のQOL、ADLの維持に関われるものだ、と個人的責任で明言します。



話しはずれますが、こう言うことを理解して下さる医師が極端に少ないのが困るんです。
そして、そう言う医療現場で、インプラント批判が起きている、と言うことをご理解下さい。

医師はインプラントを正しく理解されてない方が殆どですから。

しかし、患者さんは歯科医の言うことより医師の言うことを重視されます。
分かってないのに、です。

そこも今後改善して行かなければならない重要な課題なんです。


インプラントだけを個別に論って批判する意見とかを読まれることが多い時代かと思いますが、天然歯がそこまで良いものじゃない、義歯はとても気持ちが悪く、患者さんは自分の歯があった時を必ず懐かしがる、と言うことを知って下さい。
それへの対策として、インプラントの有効活用がとても良いんです。

有効活用がチャンと出来る時代が早く来るように、我々も頑張らないといけないです。


失礼しました。

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相談者からの返信 相談者からの返信
相談者: のうさぎさん
返信日時:2014-04-17 13:17:30
松元先生

素晴らしいお考え、ご意見をうかがうことができました。
十分な説明があれば、年齢に関係なく、義歯でもインプラントでも迷わず決めることができると思います。

一部という前提ですが、医院内では自由診療であっても、結局は保険診療と同じライン上でコマが回っていき、このようなお話をお聞きすることなど到底できなかったと思います。

もし、最新技術のインプラントが正しく理解されていないとすれば、患者側だけでなく、歯科医師側のおかれている現状にも改善が必要なのかもしれないですね。理想を求めても、最後は「今の保険制度では」というオチがあるので、むずかしい部分が大きいと推測します。

先生のお話で、今後また違った角度でどうするかを考えることができそうです。先生のような歯科医師に出会えるのは宝くじに当たるくらいの確率かもしれませんが。

ありがとうございました。
回答 回答7
  • 回答者
回答日時:2014-04-17 14:35:03
>比較的ご高齢で、ご自身がインプラントになさっている先生がいらっしゃったら感想をお聞きしてみたいです。

高齢ではありませんが、自身にストローマンインプラントが入っています。

10年以上経過しておりますが、特に問題はありませんし、今後の不安も無いですね。


「お手入れ」に関しててですが、諸先生方が書かれているように「インプラントだから特別」ではなく、「天然の歯と同じように大切にする」事が大切だと思っています。



加藤先生が書かれている

「ワンピースインプラントは対応が困難であることから避けるべきだと言われています。」

も大切な事だと思います。


以前、ワンピースインプラントのメーカーの方に

「もし、寝たきりになったりしたらどうするの?」

と聞いたら

「そんなこと聞かれたのは先生が初めてです。
誰もそんな先の事は考えてませんよ。」

と答えられました。
正直言って呆れましたね。

そんなメーカーもあるんですよ。



歯科医師側のおかれている現状にも改善が必要なのかもしれないですね。

そう思います。
現在の保険診療は「診療の質(説明の時間も含めて)」が最優先ではなく、「効率と数」が求められます。



>先生のような歯科医師に出会えるのは宝くじに当たるくらいの確率かもしれませんが。

もちろん、出会いも大切ですが、それを求め、探しだせる「患者力」を身につける事が大切だと思います。

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相談者からの返信 相談者からの返信
相談者: のうさぎさん
返信日時:2014-04-18 22:20:43
櫻井先生、ありがとうございます。
(暴露してしまってよかったのでしょうか・・・・)


ストローマンってメーカーさんですね。

患者力」・・・自分のことですからそれは大切なことだと思いますが、なかなかむずかしいです。「はい」「はい」と言うだけで精一杯。

(決してご高齢ではない)櫻井先生の貴重なご回答、ありがとうございました。
なかなかうかがえないお話でした。



タイトル インプラントの老後に手入れが出来なくなった場合の問題点
質問者 のうさぎさん
地域 非公開
年齢 58歳
性別 女性
職業 非公開
カテゴリ インプラント治療法
インプラントその他
回答者




  • 上記書き込みの内容は、回答当時のものです。
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