ダイカルを使ったシールドレストレーションについて

相談者: コッパイオンさん (32歳:男性)
投稿日時:2023-09-02 21:42:10
以前に左上奥歯7番の虫歯を治療する際に、虫歯が神経に近いために一回で取り切らず、ダイカル(水酸化カルシウム)を置いて象牙質で神経との間に距離が出来てからもう一度削るステップワイズエキスカベーションをすることになりました。

処置後、滲みたり痛み等が出ないために、先生からあえてリエントリーしないシールドレストレーションにしましょうといわれ、経過観察のまま3年以上過ぎました。

その時の先生がいなくなり自分も引っ越しで医院が変わり、現在も経過観察中なのですが、調べてみるとダイカルは接着力が弱い?劣化しやすい?とのことでシールドレストレーションの場合はダイカル等の薬を置かずに封鎖するほうが良いという意見が多いことがわかりました。

3年以上症状が出ていないですが、リエントリーしてダイカルを抜き取って、残った虫歯を取り切ってもらい、ステップワイズエキスカベーションにしてもらったほうが良いのでしょうか。

またその場合は露髄に備えて、ラバーダムを使ってくれるところが良いのでしょうか。


回答 回答1
  • 回答者
船橋歯科医院(岡山市北区)の船橋です。
回答日時:2023-09-03 12:21:59
こんにちは。

ダイカルは昔はよく使われていましたが、強度が不十分で接着もしない材料ですから昨今は使用のメリットがあるケースが限られて来たように思います。
それで、その事を歯科医が書いているのを読まれたのでしょう。

ご希望であれば除去して修復をやり直ししてもらえるでしょうが、保険のルールでの取り扱いが難しそうです。
受診の際には、経緯をしっかりお伝えされた方がよい治療につながるでしょう。

ステップワイズエキスカベーションで作られた第三象牙質は、通常の象牙質より質が悪いですから、間違って削り取られない事が大切でしょうから、経緯を伝えて歯髄保存の希望を伝えておかれた方が良いと思います。

やり直ししなくても問題なく経過する場合もありますが、外見やレントゲンから判断はできない為、ご希望が強ければという事になると思います。

相談者からの返信 相談者からの返信
相談者: コッパイオンさん
返信日時:2023-09-03 16:15:09
丁寧なご回答ありがとうございます。

当初は殺菌作用があるのと、神経への滲みる症状が出にくくなるとの説明でダイカルを入れていました。
たぶんメリットがあると判断して先生が入れてくれたとは思いますが、今となっては、接着力がないことによっていつか壊れてしまうのではないかと心配になってしまいました。

万が一露髄してしまった時にMTAなどでしっかり保護してもらいたいので、自由診療でもいいかなと思ってますので、歯科医とよく話し合って決めようかと思います。
回答 回答2
  • 回答者
回答日時:2023-09-06 08:27:04
こんにちは、私もシールドレストレーションをしますが、まず歯の中に入れる薬剤の種類で予後は大きく変わりませんよ。

また中に入れる材料は、薬剤の薬効を期待する意味で入れるもので強度は上に詰める材料で得ます。


歯科治療は小外科処置ですから、治療の度に体の一部を取り除き人工物の体積は増えます。
また治療の度に歯髄は刺激を受けますので、材料の入れ替えを目的に治療を行っても神経を取るリスクも上がります。
  
MTAですが直接覆髄材としては優秀ですが、そこまで歯にはレジンのように強固にくっ付きませんし、少量であればそこまで期待するような強度もないです。(強度を得ようとすれば、MTAの上に水を置き完全硬化してから上部の修復を行うので治療は2回以上かかりますが、その間細菌感染リスクも上がる可能性があります)

シールドレストレーションの目的は歯髄保存です。
文献的には、直接覆髄より間接覆髄(シールドレストレーションはこちら)の方が長期予後が良いので、わざわざ露髄させてMTAを入れても文献上いまより予後が悪くなる可能性もあります。 
 
 
>当初は殺菌作用があるのと、神経への滲みる症状が出にくくなるとの説明でダイカルを入れていました。
 
これは保険治療ですよね!?

基本的に、虫歯が大きければ神経を取るのが一般的な治療ですからきちんと説明をして、わざわざ手間のかかる処置をしてくれたと思います。
 
後、神経保存の処置は興味のある歯科医師と興味のない歯科医師でも大きく治療方針は変わりますし、丁寧さも異なります。
 
次の先生が歯髄保存にあまり興味がなければ、MTAを使っても今より悪い結果にもなりかねないので、その点は知っておかれた方がいいと思いますよ。
 
おだいじに

相談者からの返信 相談者からの返信
相談者: コッパイオンさん
返信日時:2023-09-06 11:31:26
ご回答ありがとうございます。

ダイカルが自分が調べた限りでは、現在はステップワイズエキスカベーションには有効だけど、シールドレストレーションに使う際には接着力が確保しにくいから使用せず、レジンでの完全な封鎖のほうが良いといったような印象に思えていました。

特にダイカル等を入れたものと、入れずにレジンで修復したものとの予後を比較している例が見つけられなかったので、気になっていました。

たぶんリスクは、

直接覆髄>ステップワイズ>シールド

だろうけど、シールドレストレーションの時にダイカルを使うことで長期的に見ると、ステップワイズよりリスクが上がったりするのではと考えていました。

ですが、深い部位へのリエントリーによる歯髄への刺激や、露髄のリスクを考えると、何が何でも再治療したほうが良いとも言えないですね。

再治療したほうが更に予後が伸びるなら自費ラバーダム防湿をしっかりして削り取ってもらい、もし露髄してしまった時にはすぐにMTAで直接覆髄できる環境を用意してもらい、インレーもゴールド等出来る限りもってくれる素材を〜みたいに考えていました。

当時は普通に保険治療で対応してくれて、3年以上問題なく来ているので、きっと丁寧にやってくれた良い先生だったのですね。

今の先生にも経緯を話して意見をもらい、再治療か経過観察かを考えていこうと思います。
正直削られるのは嫌いなので経過観察のほうが嬉しいです...

>こんにちは、私もシールドレストレーションをしますが、まず歯の中に入れる薬剤の種類で予後は大きく変わりませんよ。


この意見が聞けたことでものすごく安心しました。
ありがとうございます。
回答 回答3
  • 回答者
回答日時:2023-09-06 13:04:39
>シールドレストレーションに使う際には、接着力が確保しにくいから使用せず、レジンでの完全な封鎖のほうが良いといったような印象に思えていました。
 
ですね。
今は間接覆髄治療は、覆髄材を入れなくていいという保存学会の見解です。
 
ただ、MTAもダイカルと一緒ですよ。
レジンの接着にはマイナス要素になります。
 
後、ダイカル詰めたといっても、極少量なので強度もMTAを詰めたとて殆ど同じだと思います。
 
逆にMTAの方が硬化が遅いので、硬化の早いジェネリックMTAなどを使わないと、ボンディングの際にMTAとボンディング剤が混じり接着に不利になることも十分考えられます。
 
後、ジェネリックMTAは論文数が極端に少ない為、先発薬のMTAと同じ効果が出るとはならない面もあるので、薬剤に関していえばメリットを取れば、逆にある面デメリットは目をつぶるしかありません。
 

私が予防の先生に教えてもらったシールドレストレーションの考えは「どら焼き理論」であんこ(虫歯と覆髄材)が漏れ出ないように生地(レジン)で包めば(封鎖がしっかり出来ていれば)、予後はいいと教えられました。
 
つまり薬剤ではなく、封鎖性という技術が予後にとって大きな因子になっていると思います。
 
逆に言えば、ベストな覆髄材料を置いても、封鎖性が乏しければまた細菌感染し問題が起こります。

 
>3年以上問題なく来ているので

この先もうまく行くと良いですね。
 
 
おだいじに

回答 回答4
  • 回答者
回答日時:2023-09-06 20:53:42
>たぶんリスクは
直接覆髄>ステップワイズ>シールド

個人的にはステップワイズの方が少ないと思います。

もっとも、ちゃんとしたシールドに出会っていないだけかもしれませんが。

ド○クスセメントもシールドの1種になるかどうかはわかりません。
三回ぐらいしか遭遇してませんが、三回ともド○クスセメントの症例は酷かったですね。

相談者からの返信 相談者からの返信
相談者: コッパイオンさん
返信日時:2023-09-07 16:33:15
>>井野先生

現在のかかりつけ医にピンスポットでレントゲンを撮ってもらい、神経がひいている?のが見え、かなりの距離の象牙質が出来ているのが確認でき、シールドレストレーションでも通常の虫歯治療でも、神経に近いのならダイカルで刺激を遮断することは良くあり、このまま経過観察で良いでしょうと意見を頂けたため、リエントリーしないこととしました。

今後症状が出たり、レントゲンで虫歯の進行が見られたり、詰め物に破損が見られたりしない限りはこのままが良さそうですよね。

後、シールドレストレーションについて調べてる時に、井野先生のブログを拝見させて頂いてたことに気づきました。

すごく勉強になってます。
今後も拝見させて頂きます!
相談者からの返信 相談者からの返信
相談者: コッパイオンさん
返信日時:2023-09-07 16:42:26
>>柴田先生

ステップワイズとシールドのリスクは、状況によるといったところでしょうか。

単純に露髄のリスクはステップワイズが高いというか、シールドは露髄はしないけど、その後の感染リスクについてはステップワイズは露髄しなければ虫歯を取り切れる確率があり、シールドは封鎖性で決まるから歯科医の技術や残っていた虫歯の状況に左右されそうで、状況を見ないことには単純に比較できるものではなさそうですね。

自分の今の状況としては、シールドが3年以上持っているから、後はダイカルや詰め物の損傷が起こらなければ進行のリスクが少ないと思いますが、先生は、今からステップワイズへ切り替えるほうがリスクが少ないと思いますか?
回答 回答5
  • 回答者
回答日時:2023-09-12 05:35:25
レントゲン、冷温診、EPTで歯髄の状態のある程度の把握をしないといけないと思います。

自覚症状ZEROでも病変ができることはありますので。




タイトル ダイカルを使ったシールドレストレーションについて
質問者 コッパイオンさん
地域 千葉
年齢 32歳
性別 男性
職業 会社員(事務系)
カテゴリ 虫歯治療
う蝕関連
材料・機材関連
回答者




  • 上記書き込みの内容は、回答当時のものです。
  • 歯科医療は日々発展しますので、回答者の考え方が変わることもあります。
  • 保険改正により、保険制度や保険点数が変わっていることもありますのでご注意ください。

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