質問 |
森川 2010/11/15(Mon) 23:29
山本先生>
>森川先生が行われている治療法で、効果を上げている小児歯科の先生も多数おられます。
私がいつも行っている治療法を山本先生はご存知なのでしょうか?
>ただ、この方法はそれを継続して、本人がこの方法がもっとも安心できるスタイルと自覚できるようになるのに、少し時間がかかることが多いのではないでしょうか?
確かにそのとおりだと思います。歯科治療への慣れは時間がかかることが多いですね。
抑制治療は、治療が必要な時は即座に行えるというのが最大のメリットですね。他の方法ですと、(場合によっては治療開始に数ヶ月も期間がかかり)必ずしも必要なときに即座に行えるわけではありませんから。
他の方法では適切な時期を逃してしまう可能性があります。(もちろん、急患に対して即座に全身麻酔の対応ができるような医療機関であれば話は別ですが)
>治療回数は、治療計画をたてればきわめて少ない回数でおわります。
たとえば(うちでは頻繁にありますが)多数歯の感染根管治療をきわめて少ない回数で終わる計画というのは、対象歯をすべて抜歯するということでしょうか?
>「辛い思いをさせて申し訳ないなあ」という気持ちです。決して拷問を加えている気持ちなどはありません。
ご自分の抑制下での治療は拷問ではなくて、(実際見たわけでもない)他の先生の治療は拷問の可能性があるというのは、いったいどういった理由なのでしょうか? |
回答1 |
山本 彰美 2010/11/16(Tue) 01:21
森川先生>
>私がいつも行っている治療法を山本先生はご存知なのでしょうか?
私自身ROMが多いですが、過去ログから判断したものなので、私の思っているものと違っていたら申し訳ありません。
>たとえば(うちでは頻繁にありますが)多数歯の感染根管治療をきわめて少ない回数で終わる計画というのは、対象歯をすべて抜歯するということでしょうか?
基本的には通常の治療と同じ対応になります。対象歯の数と患者の年齢や体力にもよりますが、保存可能と判断される場合は感染根管治療を行います。
根治後当日に、充填または冠作製までを行ってしまいます。
あまりにも数が多すぎる場合は、片側のみ行うこともあります。
治療の内容は、鎮静(行動調節)後に初めて口腔内診査をおこなって、そこで決定することもよくあります。
可能であれば、1度で終えられるようにもっていきます。
印象が必要な場合や、あまりにも長時間(3時間超など)の場合は、排尿なども含めて、我慢できる限界を超えてきますから、複数回にわけることもあります。
全身麻酔による歯科治療を、例えば医科大学(歯科大学ではない)の口腔外科などが行う場合、全身麻酔は基本的に手術室での対応となることが多く、他の診療科も使う清潔エリアで、歯科の切削器具を用いて、口腔という消毒しにくい領域での飛沫粉が飛散する状況が認められていない場合などでは、おっしゃるような抜歯となることもあろうかと思います。全か無かみたいに健全のままか抜歯のどちらかということは、現在では少ないと思います。
>ご自分の抑制下での治療は拷問ではなくて、(実際見たわけでもない)他の先生の治療は拷問の可能性があるというのは、いったいどういった理由なのでしょうか?
私自身はあまり、抑制の方法はとりません。自分の医院では、笑気吸入鎮静法または静脈内鎮静法、静脈麻酔法がほとんどです。全身麻酔は、それほど多くありません。
県歯障害者歯科センターの運営副委員長をしていましたが、登録医による輪番制の場合、全員のスキルが同一とは限りませんから、同じ診療室内でも、抑制下の治療を行っている場合はあります。
輪番制の弊害は、毎回担当者が代わるということで、これでは患児も担当医を信頼すること自体が困難です。小児歯科において、抑制下治療を適切に行っている医院では、同じ術者が回数や時間をかけることによって、そのメリットがあると思っています。
よって、拷問の可能性ではなく、本人にとっては拷問としか感じられていないという可能性です。
数人で押さえつけて、泣き叫ぶ状態でシーラント処置が終わってしまっただけなら、知的レベルにもよりますが、レストレーナーで落ち着く・安心できるという状況になる以前の状態で、次につながる段階まで進んでいるとは考えにくいと思われます。
また重度の自閉症の場合には、歯科治療にたいするこだわりが、どのようにもたれているかにもよりますが、見たわけではない治療が今後もうまく功を奏しているならば、まったく問題ないことであり、シーラントの除去程度の処置ならば、安心して同じ医院で継続されればよいですし、新たにシーラントもおこなっても良いと思います。
そうなっていなかったのならば、患児がつらく感じていたのかもしれない・・そのように感じたまでです。
あくまで推測の範囲で述べているので、違っていることもあり得ると思いますが、転医してしまっているならば、その事実がどうであったかと確証する必要があるとも思えません。
治療の手法はいろんな方法があって然るべきだと思います。
各人がそれぞれ良い方法を用いて、患者にとってよりよいと思われる医療を行っていくことが重要だと思っています。
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回答2 |
森川 2010/11/17(Wed) 13:31
なかなか時間が取れなくて返答が遅くなり申し訳ございません。
まだ色々質問したいことがありますので、一つずつ聞かせてください。
>自分の医院では、笑気吸入鎮静法または静脈内鎮静法、静脈麻酔法がほとんどです。全身麻酔は、それほど多くありません。
私の経験では(特に小児の場合)笑気吸入だけで十分な鎮静が得られることはそれほど多くはないような印象があるのですが、いかがでしょうか?
また、(特に小児の場合)静脈内鎮静法も、意識を保ったまま、歯科治療が容易に行えるような鎮静状態を得るのは簡単ではないように思うのですがいかがでしょうか?
前にも書きましたが年齢7歳以下程度を想定してお答え願います。
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回答3 |
山本 彰美 2010/11/17(Wed) 19:37
>私の経験では(特に小児の場合)笑気吸入だけで十分な鎮静が得られることはそれほど多くはないような印象があるのですが、いかがでしょうか?
セキムラ(笑気吸入鎮静法の機器の会社です)のセミナー講師を10年間程度行っていましたが、小児歯科治療がもっとも笑気吸入鎮静法の効果が高い領域だというふうに話してきました。
私自身は、ほとんどの場合、小児治療では笑気吸入鎮静法を用いますが、知人の中には「小児歯科では笑気は基本セット」といいきるものまでいます。(まあこれは大げさではありますが、個人的には納得いく言葉だと感じました)
成人よりもやや高濃度で導入し、比較的治療しやすい鎮静を得られます。
技術的にはとても簡単に行えますし、安全ですので、私自身笑気吸入鎮静法をもちいない小児治療は考えられないと思っています。
>また、(特に小児の場合)静脈内鎮静法も、意識を保ったまま、歯科治療が容易に行えるような鎮静状態を得るのは簡単ではないように思うのですがいかがでしょうか?
意識を保ったままの鎮静を、小児で得ることはとても難しいです。
ほとんどの場合、意識はなくなってしまいます。
意識のない状態での治療は、通常よりも困難ですが、健常な小児の場合静脈内鎮静法を用いることはめったにありません。(それほど笑気吸入鎮静法単独で十分だと感じてます)
自閉症や、重度知的障害、また不随意運動のあるような脳性麻痺などでは笑気吸入鎮静法では対応することは難しいです。あまり適応とも考えていません。
その場合は鎮静法をもちいるならば、静脈内鎮静法や静脈麻酔法を用いますが、呼吸や循環動態を監視しながら、治療を行っていきます。
それでも困難な場合は、全身麻酔の適応になりますが、通常健常な7歳以下の小児の場合、そのようなケースはまずないと思います。
あまり上手く表現できなくてすみませんが、宜しくお願いいたします。
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回答4 |
森川 2010/11/17(Wed) 21:33
>安全ですので、私自身笑気吸入鎮静法をもちいない小児治療は考えられないと思っています。
>私自身は、ほとんどの場合、小児治療では笑気吸入鎮静法を用いますが、知人の中には「小児歯科では笑気は基本セット」といいきるものまでいます。(まあこれは大げさではありますが、個人的には納得いく言葉だと感じました)
うちでは笑気吸入鎮静をはじめた頃、1日複数例行っていましたが、その後しばらくして、診療報酬支払基金より「笑気吸入の算定が多すぎるのでは?」といった意見を書面で受けました。つまり、少なくとも千葉県における保険診療では基本セットではないです。
また、私の感覚では(難しいケースしか使用しないのも関係あるかと思いますが)あまり有効でないケースが多く、笑気を使用しなくても何ら治療中(および治療後)に問題がないので最近はあまり行ってません。
号泣する小児においては笑気吸入鎮静法は適応ではないというのが一般的だと思いますがいかがでしょうか?
(今話題にしているのは、歯科治療困難な(≒号泣し暴れる)小児ですので、それを念頭においてお答え願います。)
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回答5 |
山本 彰美 2010/11/18(Thu) 22:48
>うちでは笑気吸入鎮静をはじめた頃、1日複数例行っていましたが、その後しばらくして、診療報酬支払基金より「笑気吸入の算定が多すぎるのでは?」といった意見を書面で受けました。つまり、少なくとも千葉県における保険診療では基本セットではないです
おそらくかなりの都道府県で、この査定はおこっていると思われます。私自身ももちろん減点査定された経験はあります。前に述べた「笑気は基本セット」と述べた歯科医師の話も、それくらい笑気をつかった小児治療は効果が大きいという現状を誇大に表現したまでです。(その先生も当然ながら、査定の話は伺っています)
どのケースでは減点で、どのケースでは請求が認められるという解釈がはっきり決まっていないと思われることが多いので、また各都道府県でも解釈が違う場合がよくあるので、
この点については、私からはコメントは何とも申し上げにくいです。
私個人としては、いわゆる外科処置(抜歯や切開など)は請求し、非外科処置(充填など)では請求していないことが多いです。(外科処置では基本的に用いてよいような解釈が記載されていますので・・記憶のみでここに書いているので、いわゆる青本の文面は多少違うと思います)
使用しても請求しないことは、違法でもなんでもないので、歯科治療が笑気を用いない場合に比べて、はるかに容易にスムーズに行える点を考えると、笑気無しの小児歯科治療は考えられないと言うのが正直な感想です。
難しいケースに用いるのでなく、通常治療でも行えるケースに用いることにより、治療のしやすさがかなり向上します。通常の治療に用いずに、困難症例にのみ用いるという考えでは、「笑気は役にたたない」と普通は感じられてしまうに違いないと思います。
>号泣する小児においては笑気吸入鎮静法は適応ではないというのが一般的だと思いますがいかがでしょうか?
普段あまり使うことなく、小児の号泣ケースにいきなり用いても、先生のおっしゃるとおり絶対に失敗します。(その場合は適応ではないと断言していいと思います)
ただ私は号泣ケースでも使用して、最終的には痛みや怖さを感じさせることなく、にっこり笑って帰ってもらうというふうにもっていく場合が多い(100%ではありませんが、かなりの高率)ですが、これには少しテクニックが必要です。笑気の鎮静は、「危険」という誤った認識が想像以上に歯科界に広まっているなかで、この手法を知らしめるのは難しいです。
(ちなみに、号泣はまったく問題ないですが、暴れるのは困難ケースです)
先に書いたセキムラでのセミナーでは、号泣ケースで鎮静していく症例をビデオ画像で、セミナー参加者の方々にお見せしていましたが、「これをみてすぐにみなさんが出来ると思わないでください。普通のケースで使い始めて、その後困難症例に徐々に用いていくようにしてください」と説明していました。(前日夜から歯痛がおきて、夜間も泣き続け、翌日に全くの初診で来院し、母親の膝にしがみついている状態から始まって、ラバーダム防湿を行ったうえで、軟化牙質除去しCR充填まで行って、全行程で15分間という3歳女児の治療内容です)
このテクニックは、容易なケース(あまり治療を嫌がるでもなく、比較的協力的な患児など)で、術者が笑気の効果をある程度経験した上で、より高度な鎮静にもっていくという少し修練的な要素が必要だと思います。実際はそれほど困難なものではないですが、文面で説明するのは、難しい(というよりかなり長くなる)ので省略します。
かなり専門的な内容の記載になってきて、またこの歯チャンネルの掲示板のなかで記載する内容からかけ離れつつあるように思うので、これ以降はまた別の機会にしていただいてもよろしいでしょうか?
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回答6 |
森川 2010/11/19(Fri) 13:41
>かなり専門的な内容の記載になってきて、またこの歯チャンネルの掲示板のなかで記載する内容からかけ離れつつあるように思うので、
そんなことはないでしょう。
>これ以降はまた別の機会にしていただいてもよろしいでしょうか?
笑気吸入鎮静法がそれほどまでにいいのでしたら、それを知らしめる良い機会ですから続けましょうよ。
笑気吸入鎮静法の解説書や、私が母校で習ったこととはまったく異なる見解ですからぜひとも知りたいです。(セキムラの人ですらそこまでは言ってなかったように記憶してます)
暴れる子にも有効だとのことですが、暴れる子を抑制しないでどうやって笑気を吸入させるのでしょうか?
>容易なケース(あまり治療を嫌がるでもなく、比較的協力的な患児など)で、術者が笑気の効果をある程度経験した上で、より高度な鎮静にもっていくという少し修練的な要素が必要だと思います。
>>(難しいケースしか使用しないのも関係あるかと思いますが)
私の↑これ間違いですね。
7歳以上も含めると数百例は経験してます(簡単な症例で有効なのは体験済み)が、そんなんじゃまったく足りないと言うことでしょうか?
あと、より高度な鎮静って、いったい何のことなんでしょうか?
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回答7 |
森川 2010/11/29(Mon) 00:23
私も、嘔吐しやすい小児や、恐怖心の強い大人にはよく笑気吸入鎮静法を行いますので、笑気吸入鎮静法が価値のある方法だということに、異論はありません。
また術者によってかなりの差があるとは思いますが、ただ、それほどまでに優れた方法であるとも思いません。
抑制治療に関しても、確かに誰が行ってもうまくいく方法だとは思っていませんが、拷問などというほどに極端に避けるべき方法だとも思っていません。
医療機関によっても、患者さんによっても、良い治療法は異なる可能性がありますし、(全身麻酔や、経過観察ではなくて)抑制治療を希望される保護者の方が少なくない以上、治療の選択肢として抑制治療を排除すべきでないと考えます。(常識的に考えて、拷問ウンヌンと言った表現は不適切な治療法という意味で使われると思いますので)
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回答8 |
藤森 隆史 2010/11/29(Mon) 15:08
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藤森歯科クリニック(兵庫県西宮市)の藤森です。
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拷問・・・・・・・・・・
生体が一生懸命に上げようとしている血圧を薬剤でを下げること・・?
でも、これは大義名分立ちそうでなのでパス。
発熱させようとしているのに、解熱剤を飲むこと!
これも、場合によっては必要あり、・・ですか?
でも、世の中にはいっぱいありそうですよ・・、拷問治療!
無関係な書き込みでスミマセン。
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