質問 |
京介 2023/04/11(Tue) 13:35
タイトルのとおりなのですが、この中で
二次カリエスが1番起きにくいものはどれになりますか?
金パラは、キッチリと作るとマージンの封鎖性も良くて延びるので良いそうなのですが
本当でしょうか?
セラミックは、伸びないのでマージンが大きく開いてしまい
二次カリエスになりやすいと聞きます。
チッピングは、金以外は全部起きてしまうと聞きます。
また、静岡で保険の金パラでも精度よくできる医院がありましたら
教えてください。
よろしくお願いします。 |
回答1 |
Dr.ふなちゃん 2023/04/11(Tue) 15:01
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船橋歯科医院(岡山市北区)の船橋です。
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こんにちは。2次虫歯は内部から進行する場合もありますから、修復物をどんなにピッタリ作っても血糖コントロールが上手く行っていないとダメかもしれませんが、それは、歯科の範疇外ですから、歯科医が出来る事は出来るだけきちんと合った修復物で穴埋めしておく事だけになりますね。
ちょっと昔は、まだネット上にもたくさん記載が残っていますが、レジンが象牙質に上手くくっつかなかったお粗末な時代があった為、セメントで裏層してその上に形態的に上手く適合したものにかなりこだわって技を競っていましたが、今はレジンが象牙質にきちんとくっ付きますから、レジンで完全に外部からの汚染ルートをシーリングして修復治療をする事が推奨されて大きく変わって来ています。
窩洞形成や、形成した後レジンコーティングすることで、象牙細管をシーリングするのです。これは普通の保険治療でも簡単ですから大抵の歯科医院でされ加算もあります。(生活歯の支台歯形成時は保険)
樹脂の良いところは、歪みにも強いので、それを上手に使って再汚染ルートを遮蔽しておくのです。
強度が物足りなかったり、適切な形態付与が大変だったり、物性的にも操作上でも問題があるので、レジンでシーリングした後、型採りし、より強度が高く物性が良い材料で穴を塞ぎ必要な機能形態を付与しておく修復治療が追加されます。
それが、昨今、7番以外は保険適用になったCAD/CAMでの修復だったり、まだ保険適用外のジルコニアだったり、e.max などの多種あるガラスセラミックだったりします。
保険の金パラでも良いし、純チタンでも良いし、金でも良いのです。
金が良いと言われるのは、人の歯は使えば使うほどすり減りますから、金なら同じようにすり減ったり延びて形を変えて調和し続けてくれるからですね。
色が嫌がられますから、最近はハイブリッドセラミックでいいのでは?と言われています。それならほぼ保険適用です。
昔ながらの合着用セメントを使わない接着修復を保険でも受けられるようにすでになっていますから、静岡にもたくさんあると思います。
レジン系セメントは多少の割高感はあるかもしれませんが、保険診療で、どこの歯科医院でも大抵使ってくれているでしょう。
CAD/CAM用ハイブリッドセラミック(セラミックで強化した樹脂)治療も7番以外保険適用です。登録歯科医院であれば保険で治療を受けられます。
長期的に何か生じて、チッピングで欠けたりして問題が生じたら都度、そこだけ樹脂で穴埋めしたら良いです。もちろん、やり直し治療を受けても良いでしょう。定期的にチェックアンドメンテナンスしてもらうと致命的にはなりません。
チッピングポイントはほぼ噛み合わせで決まっていますから、そのポイントを避けるように窩洞辺縁を設定出来ていないと何でやってもダメです。まぁ、下手なら金でしてもらうと良いので、噛み合わせ面に窩洞辺縁が来るものは金でしておくと誰にしてもらってもとりあえず安心できると考えられています。
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返信1 |
京介 2023/04/12(Wed) 17:50
ご丁寧にありがとうございます。
汚染ルートをレジンでシーリングするというのは
こちらからお伝えしないと、やらない医師がいるのでしょうか?
レジンコーティングについては、いつもお伝えしているのですが、それでも二次虫歯になってしまいます。
CADCAMインレーは、マージンに適合させるのがものすごく難しいと聞きますが、仮に適合しなくても
また、金パラでもレジンコーティングさえすれば、二次カリエスへのリスクは問題ないでしょうか?
チッピングポイントは、難しいんですね。
その点も医師に相談してみます。
よろしくお願い申し上げます。
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回答2 |
Dr.ふなちゃん 2023/04/12(Wed) 18:21
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船橋歯科医院(岡山市北区)の船橋です。
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〉レジンコーティングについては、いつもお伝えしているのですが、それでも二次虫歯になってしまいます。
レジンコーティングは加算がありますから依頼しやすいですよね。やってもやらなくても点数に違いがないものは依頼し難いでしょうし、わかりにくいですよね。
〉CADCAMインレーは、マージンに適合させるのがものすごく難しいと聞きますが、仮に適合しなくても
また、金パラでもレジンコーティングさえすれば、二次カリエスへのリスクは問題ないでしょうか?
単純な形に形成できればデジタルで勝手に線引きしてくれます。細かく凸凹に形成がブレていると点をたくさん打って繋がないと形成ラインと合致した線引きにできないという事になりますから形成の出来が命という感じですね。内面は空いていてもそこに接着用レジンが入りますから結果硬くて緻密な殻を被ったレジン充填というイメージになるはずです。接着用レジン系セメントの物性によりけりですが結構硬い樹脂にしてあるものもあります。
短期間で二次カリエスになるのは何かおかしいですね。
10年以上無問題というものが多数出て来ていると思いますが、何しろ劇的に進化している分野ですから古いシステムを使っているのかもしれませんね。
金や金属と樹脂との接着はメタルプライマーを使うのですが、金属は熱伝導性が高い為化学的接着力がどれくらい生きるのか?はわかりません。
論文ではサーマルサイクル(5-55°C水中 接着界面 各1分浸漬 熱サイクル50,000回)の接着力への影響は見られなかったとあります。もっと氷食べたり熱いお茶飲んだり色々しそうですけど、綺麗な表面処理ができた被着面を作れたのか?にも大いに左右されるでしょう。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/adhesdent/40/1/40_2/_pdf
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返信2 |
京介 2023/04/16(Sun) 22:06
舟橋様
ありがとうございます。いただいたお返事につきまして
素人で知識がないのでいろいろ調べておりました。
短期間で、二次カリエスになった理由は
インレー不適合が大きな理由と思っています。
きっとレジンコーティングをしていても、インレーがあまりにも不適合だとダメなんですね。
メタルプライマーは専門のを使わないと接着力が低下してしまうとのことでした。ただ、メタルプライマーも高価なため、安価な複合型を使っているところが多いようです。
保険でも形成からセットまですべてマイクロで診療している先生の話によると、概ね船橋様の見解と同じで、長期的な臨床を経ても金パラが劣っているところはないようです。その先生によると、EMAXなども金パラに劣っているようです。(チッピングなど)あと、金パラと金を比較しても大差ないようです。
この繰り返しの熱サイクルで接着力が維持されるかどうかについては
わかりませんでしたが、すくなくとも10年くらいのレベルで見た場合
大きな問題にはなっていないようです。
船橋様のように真実をありのままに伝えている歯科医は本当に少なく
この富士、富士宮市の地域240医院を対象とした調査で
セラミックと金パラを比較して、金パラの方が二次カリエスのなりやすいのか確認したところ、ほぼすべての医院でセラミックの方がなりにくいとのことでした。
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回答3 |
Dr.ふなちゃん 2023/04/17(Mon) 10:44
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船橋歯科医院(岡山市北区)の船橋です。
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金属の場合、よくご存知だと思いますが、疲労破壊という問題があります。
疲労強度に関する論文では、https://www.jstage.jst.go.jp/article/jfes/79/2/79_58/_pdf
保険診療で使用される金銀パラジウム合金は、12%しか金が入っておらず、これは日本独自の安価な保険診療でより多くの国民に最低限の健康状態を与える為の苦肉の策で作り出した合金と言われています。(しかも既に安価な材料費を通り越して高価な材料費になり保険診療を圧迫していますからシフトチェンジが急がれています)
ですから特性は日本の論文から拾ってくる事になります。例えば、
https://cir.nii.ac.jp/crid/1571980077010370432
疲労強度はas castで321.5MPa、軟化熱処理で288.8MPa、硬化熱処理で320.8MPaとありますから、案外低いんだなと感じられるのではないかと思います。
試験法が異なる為、比較は難しいのですが、例えばe.max の場合、曲げ強度400MPaを出している物もあり、ジルコニアになると最大で1200MPaを出しているものもあります(細かく成分比率や物が変わる為各種でかなりの違いがありますが)
金属とセラミックでは全く特性が異なる為、臨床仕様での比較のしようはないです。薄いといとも簡単に割れるのがセラミックというイメージは皆お持ちですよね。
ですからそれぞれに適した形成を行う事となっています。
保険診療では、出来るだけ費用負担が少ないように無理矢理色々な工夫を課して診療ができあがります。懐具合が悪いながらなんとかやり繰りしながら皆が色々な不満を抱えつつもなんとか維持できていくと国民に利があるだろとあちこちに無理を強いながら頑張っているというイメージです。
補綴関連から言えば、
「金銀パ ラジウム合金 のJIS規 格 による組成 は,金 の含有量が2%以 上 と規定された1964年 以降,金 の量 は徐々に増加 し,い ったんは20%ま で達 した後,現在 の12%に 落 ち着 いている.本 来,金12%,パ ラ ジ ウム20%の 合金では,そ の耐腐食性は十分 とはいえず,い わゆるホワイトゴールドのレベルである金 45.5%の 含有 を要するとされ るが,そ れで もパラジ ウム15~20%は 不可欠 で あ り,JIS規 格 の変遷 にみ られる数%の 金の増量 ではほ とん ど意味 を もたない といわれ ている。ま た,1976年,金 の含有 量 が20% になった際には,融 点 の上昇 によ りオーバー ヒー トしやす くな り,か えって使い勝手が悪 くなった との報告 もみ られた。そ して,1980年 初頭 の金 の国際的 な高 騰が発端となり,以 来,金 の含有量は12%と なった が,こ れ は歯科理工学的見地 と経済的見地か らの妥協 点であって,パ ラジウムの含有量が25%に 満た ない こともあわせ,け っして現在 の12%金 銀 パ ラジウム 合金が最良の歯科用鋳造用合金 とい うわ けではない。」
との見解が公式に出されており、元々が保険行政上の苦肉の策の合金だという事をご承知おきください。
また、実際の技工では常にボタン問題があります。いわゆる金属の使い回しですね(誤認されると問題ですから、キャスト時には鋳溜まりが必要ですからそれをまたバージンメタルに加えてキャストしていく事になります)。金属価格の問題と保険制度内収入の問題からフルバージンメタル物を期待出来ませんから何度もキャストされた金属が混ざり鋳造欠陥に繋がります。CAD/CAMでは保険上も1ミリング使い捨て制度が確立されています。
マイクロで見えているのは見えないより良い程度の倍率になります。また金属を透過して見る事はできませんから、マイクロ利用といえども毎回除去して見える倍率内で確認するしかありません。見えないより見える化できるのは素晴らしい事ですから、そちらを判断指標とされるのを否定するものではありません。
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返信3 |
京介 2023/04/22(Sat) 22:40
船橋様
ご丁寧にありがとうございます。
私の理解が追い付かず、頭がパンクしてしまいました。
臨床で経験積んでいる先生と、素人が知識だけ積んだだけでは
やはりかなり難しいのですが、それでもわかりやすく教えていただきありがとうございます。
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