[写真あり] オーバー根充で違和感。再根管治療や歯根端切除について
相談者:
きなささん (51歳:男性)
投稿日時:2010-06-20 18:28:55
ご相談いたします。
2009年8月、右上1番のさし歯が土台ごと抜け根管治療をしましたが、最終充填材が根の先からかなり出てしまいました。
痛みはありませんが、押すと若干違和感があり、抜けたさし歯を仮歯として仮付して様子を見ることになりました。
このまま仮付のままでも構わないとのことで、最終の土台・冠を作ってもらえないうちに違和感が増してきて、不安になり他院で相談することにしました。
一つ目の医院では、すぐ再根管治療と歯根端切除術をしたほうがいいと言われ、二つ目の医院では、再根管治療をし、歯根端切除をせず外科治療でオーバー根充を取り除こうと言われ、三つ目の医院では、このまま様子をみてよいと言われました。
言われることが違っているので判断に困っております。
添付した写真では、根管治療後1ヶ月(画像1)に比べ最近の同9ヶ月(画像2)のほうが根元の病巣が大きくなっているように見えるのですがいかがでしょうか。
私としては、オーバー根充は時がたつと吸収されてしまうと聞きましたので、オーバー根充はそのままにして根管治療専門医で再根管治療だけで解決できたらと思っているのですが。
先生方のご意見を伺えたら幸いと存じます。
画像1 画像2
2009年8月、右上1番のさし歯が土台ごと抜け根管治療をしましたが、最終充填材が根の先からかなり出てしまいました。
痛みはありませんが、押すと若干違和感があり、抜けたさし歯を仮歯として仮付して様子を見ることになりました。
このまま仮付のままでも構わないとのことで、最終の土台・冠を作ってもらえないうちに違和感が増してきて、不安になり他院で相談することにしました。
一つ目の医院では、すぐ再根管治療と歯根端切除術をしたほうがいいと言われ、二つ目の医院では、再根管治療をし、歯根端切除をせず外科治療でオーバー根充を取り除こうと言われ、三つ目の医院では、このまま様子をみてよいと言われました。
言われることが違っているので判断に困っております。
添付した写真では、根管治療後1ヶ月(画像1)に比べ最近の同9ヶ月(画像2)のほうが根元の病巣が大きくなっているように見えるのですがいかがでしょうか。
私としては、オーバー根充は時がたつと吸収されてしまうと聞きましたので、オーバー根充はそのままにして根管治療専門医で再根管治療だけで解決できたらと思っているのですが。
先生方のご意見を伺えたら幸いと存じます。
画像1 画像2
回答1
回答日時:2010-06-20 18:40:32
こんにちは。
あまり症状は強くはない様ですが、このまま仮付けのままということは封鎖が不十分となり、coronal leakage(根管治療後の歯冠側からの微少漏洩)が起こる危険が考えられま、私としては最低限本付けまではしたいところですね。
となると当然、現在使用しているコアは一度は外すことになりますから、それなら念のため、外れてる間に根管充填材が細菌感染なども起こしているはずですから、出来るだけの根管治療はしたくなります。
問題は、根管の外に飛び出しているオーバー部分ですが、これについては、これだけの量ですと自然吸収は残念ながら見込めません。
一つ目の医院〜三つ目の医院さんとも方針は理解出来ますが、私だったら二つ目の医院さんのお勧めの様に、オーバーしている根充剤だけは外科的に取り除いておきたいところですね。
影の大きさの変化についてはこの画像ではよく分かりませんが、影があることには違いもありませんし、違和感もある様ですから、やはり取り除いておきたいです。
費用や技術的に可能ならついでに歯根端切除+逆根管充填までしてしまっても良いかも知れませんが、いずれにしても根管治療専門医か専門医的な医院でよく相談してみて下さいね。
お大事にどうぞ。
あまり症状は強くはない様ですが、このまま仮付けのままということは封鎖が不十分となり、coronal leakage(根管治療後の歯冠側からの微少漏洩)が起こる危険が考えられま、私としては最低限本付けまではしたいところですね。
となると当然、現在使用しているコアは一度は外すことになりますから、それなら念のため、外れてる間に根管充填材が細菌感染なども起こしているはずですから、出来るだけの根管治療はしたくなります。
問題は、根管の外に飛び出しているオーバー部分ですが、これについては、これだけの量ですと自然吸収は残念ながら見込めません。
一つ目の医院〜三つ目の医院さんとも方針は理解出来ますが、私だったら二つ目の医院さんのお勧めの様に、オーバーしている根充剤だけは外科的に取り除いておきたいところですね。
影の大きさの変化についてはこの画像ではよく分かりませんが、影があることには違いもありませんし、違和感もある様ですから、やはり取り除いておきたいです。
費用や技術的に可能ならついでに歯根端切除+逆根管充填までしてしまっても良いかも知れませんが、いずれにしても根管治療専門医か専門医的な医院でよく相談してみて下さいね。
お大事にどうぞ。
相談者からの返信
相談者:
きなささん
返信日時:2010-06-21 02:01:58
渡辺先生、御返答ありがとうございます。
新たな写真を添付します。
今回の画像1は根管治療後3ヶ月の写真ですが、これと前回の画像1(根管治療後1ヶ月)の写真を比べると変化がよくわかると思いますが、いかがでしょうか。
オーバー根充についてネット上の論文
・http://ci.nii.ac.jp/naid/110007151262
の中で、2mm以上の過剰根充の場合、注意深く対応する必要があるとされて、私の場合約3mm程度と思われるので問題ないわけではないですが、3mm、2.5mm、3.5mmの症例ではほとんど吸収されていたと報告されています。
但し、私の場合は、今回の画像2の写真でわかるとおり、オーバー根充後やり直してまたオーバー根充をしたので吸収は難しいと考えたほうがいいのかもしれませんが。
外科治療をするとして、歯根端切除をやるかどうかの判断はどのようなことなのでしょうか。
また、再根管治療と外科治療は一緒にしたほうがいいと言われたことがありましたが、たとえば、再根管治療をした結果を見て外科治療をするというのはいいのでしょうか。
それと、根管治療専門医と口腔外科どっちがいいのでしょうか。
また、逆根管充填すると、中に細菌がいても外に出て行かないので、再根管治療をしなくてもいいとは考えられませんか。
前回の画像1:根管治療後1ヶ月、前回の画像2:根管治療後9ヶ月(その1)
今回の画像1:根管治療後3ヶ月、今回の画像2:根管治療後9ヶ月(その2)
画像1 画像2
新たな写真を添付します。
今回の画像1は根管治療後3ヶ月の写真ですが、これと前回の画像1(根管治療後1ヶ月)の写真を比べると変化がよくわかると思いますが、いかがでしょうか。
オーバー根充についてネット上の論文
・http://ci.nii.ac.jp/naid/110007151262
の中で、2mm以上の過剰根充の場合、注意深く対応する必要があるとされて、私の場合約3mm程度と思われるので問題ないわけではないですが、3mm、2.5mm、3.5mmの症例ではほとんど吸収されていたと報告されています。
但し、私の場合は、今回の画像2の写真でわかるとおり、オーバー根充後やり直してまたオーバー根充をしたので吸収は難しいと考えたほうがいいのかもしれませんが。
外科治療をするとして、歯根端切除をやるかどうかの判断はどのようなことなのでしょうか。
また、再根管治療と外科治療は一緒にしたほうがいいと言われたことがありましたが、たとえば、再根管治療をした結果を見て外科治療をするというのはいいのでしょうか。
それと、根管治療専門医と口腔外科どっちがいいのでしょうか。
また、逆根管充填すると、中に細菌がいても外に出て行かないので、再根管治療をしなくてもいいとは考えられませんか。
前回の画像1:根管治療後1ヶ月、前回の画像2:根管治療後9ヶ月(その1)
今回の画像1:根管治療後3ヶ月、今回の画像2:根管治療後9ヶ月(その2)
画像1 画像2
回答2
ネクスト・デンタル(荒川区西日暮里)の櫻井です。
回答日時:2010-06-21 15:36:11
>オーバー根充後やり直してまたオーバー根充をしたので吸収は難しいと考えたほうがいいのかもしれませんが。
どうなんでしょうね。
と、言うよりも、9か月経過で根の先の透過像が消失していない時点で吸収するとかしないとかと言う問題では無いように思いますが…。
>外科治療をするとして、歯根端切除をやるかどうかの判断はどのようなことなのでしょうか。
>また、再根管治療と外科治療は一緒にしたほうがいいと言われたことがありましたが、たとえば、再根管治療をした結果を見て外科治療をするというのはいいのでしょうか。
根管治療自体はかなり精度良く行われたとすれば、嚢胞摘出のみを行い、根端切除&逆根充は行わないかもしれません。
しかし、根端1/3には神経の側枝が多いと言われていますので、根端側3mm程度を目安に切除してしまった方が感染源を取り残してしまうリスク回避にはなると思います。
つまり、1回のオペで病変および感染源のリスクを回避したいと考えれば「嚢胞摘出+歯根端切除+逆根充」まで行った方がよろしいと思います。
1回目のオペで病変の除去のみを行い、治らなかった場合には2回目のオペを行っても良いとお考えであれば「歯根端切除をせず外科治療でオーバー根充を取り除こう」もアリかもしれません。
ただ、多くの患者さんは「痛い思いをするのは1回だけにして欲しい」と考えますので、1回のオペで終わらせる事を考えます。
>根管治療専門医と口腔外科どっちがいいのでしょうか。
以前は口腔外科の範疇と考えておりましたが、(僕は)マイクロスコープを使用して歯内療法の先生が行った方が成績が良いように思います。
>逆根管充填すると、中に細菌がいても外に出て行かないので、再根管治療をしなくてもいいとは考えられませんか。
考える事は可能ですよ。
ただ、細菌は目に見えるものではありませんから「感染源になりうる」と考えられるものは極力除去した方がよろしいかと思います。
どうなんでしょうね。
と、言うよりも、9か月経過で根の先の透過像が消失していない時点で吸収するとかしないとかと言う問題では無いように思いますが…。
>外科治療をするとして、歯根端切除をやるかどうかの判断はどのようなことなのでしょうか。
>また、再根管治療と外科治療は一緒にしたほうがいいと言われたことがありましたが、たとえば、再根管治療をした結果を見て外科治療をするというのはいいのでしょうか。
根管治療自体はかなり精度良く行われたとすれば、嚢胞摘出のみを行い、根端切除&逆根充は行わないかもしれません。
しかし、根端1/3には神経の側枝が多いと言われていますので、根端側3mm程度を目安に切除してしまった方が感染源を取り残してしまうリスク回避にはなると思います。
つまり、1回のオペで病変および感染源のリスクを回避したいと考えれば「嚢胞摘出+歯根端切除+逆根充」まで行った方がよろしいと思います。
1回目のオペで病変の除去のみを行い、治らなかった場合には2回目のオペを行っても良いとお考えであれば「歯根端切除をせず外科治療でオーバー根充を取り除こう」もアリかもしれません。
ただ、多くの患者さんは「痛い思いをするのは1回だけにして欲しい」と考えますので、1回のオペで終わらせる事を考えます。
>根管治療専門医と口腔外科どっちがいいのでしょうか。
以前は口腔外科の範疇と考えておりましたが、(僕は)マイクロスコープを使用して歯内療法の先生が行った方が成績が良いように思います。
>逆根管充填すると、中に細菌がいても外に出て行かないので、再根管治療をしなくてもいいとは考えられませんか。
考える事は可能ですよ。
ただ、細菌は目に見えるものではありませんから「感染源になりうる」と考えられるものは極力除去した方がよろしいかと思います。
回答3
回答日時:2010-06-21 15:45:00
素晴らしいですね、ご自身で文献にまであたられているとは^^
専門家として身の引き締まる思いです。
いい加減な発言は出来ませんね。
私はこの文献については読んだことがありませんでしたし、正確には全文を読みたいところですね。
色々示唆してくれますので大変興味深いのですが、今回の場合、
【文献のケース】
《症状について》
・3症例中1症例で、打診痛が長期残存したほかには特記事項はほとんど認められなかった
《部位について》
・大臼歯2本と小臼歯1本(※一般的にオペ困難〜不可能)
【きなささんの場合】
《症状について》
・違和感が増してきている+一度コアごと脱離してその後仮着のままで、再感染を起こしている可能性がある
《部位について》
・上前歯(※一般的にオペがもっとも簡単)で、コアも仮止めの状態
と言った違いがありますので、あまりそこ(根充剤の吸収)に固執しなくて良いかと思いますよ。
そもそも3ケースだけですので、興味深くはあってもevidence levelとしてはまだ弱いです。
私たち臨床家も、文中の自分に都合の良いところばかりに目が行きがちなのですが、きなささんの場合にこれが参考になるかどうかでを考えた方が良いですよね。
それと臨床的な経験からは、おそらく十年以上も根充剤が残存しているケースというのは時折目にすることがあります。
おそらく根尖外で細菌感染が併発している場合とそうでない場合でも結果は異なるのではないでしょうか?
エックス線像の変化については、その様に見えなくもないのですが、実はネット上で、エックス線写真を見て私たちが「○○(病名)ですね」と言ってしまうと診断行為となり、違法行為になってしまいます。(医師法20条「無診察診療の禁止」)
ですので、あまりこれ以上食い下がらないで下さい・・^^;
どちらにしても、現像の状態や角度などが異なるので、正確な比較には苦しみます。
あとは・・
>外科治療をするとして、歯根端切除をやるかどうかの判断はどのようなことなのでしょうか。
このあたりは施術される先生次第となります。
私であれば、まず歯根端切除を行う前提で再根管治療を行います。
理由は、
・症状がある
・脱離、仮着をしているので、根管内の感染を疑う
・仮止めしてあるので、コア除去時のリスクがない
・根管内から歯根破折などないかの確認もしたい
・根尖がすでに破壊されていて、理想的な根管充填が出来ない
などが挙げられます。
その後、根尖の外の根管充填材がおそらく取り残されてしまうので(実は取れる可能性もありますが・・)、根管充填を歯根端切除前提でMTAセメントで行い、外科時にははみ出たMTAセメントと感染を疑う歯根端を少し切るだけ(=逆根管充填なし)で終了すると思います。
>再根管治療と外科治療は一緒にしたほうがいいと言われたことがありましたが、たとえば、再根管治療をした結果を見て外科治療をするというのはいいのでしょうか。
多くの場合は、まずは再根管治療を試みて、結果が悪い場合に、根尖付近の側枝や根管外感染を疑って、歯根端切除を検討する、というパターンです。
ところがきなささんの場合は、
・再根管治療だけで対応できそうにない
・症状の原因として、オーバー根充剤(+細菌感染)がいかにもあやしい
・オペが簡単・確実に行える
という条件が揃っています。
加えて
>逆根管充填すると、中に細菌がいても外に出て行かないので、再根管治療をしなくてもいいとは考えられませんか。
と言うご意見ももっともですが、逆に仮着のコアを外せば古い根管充填材が見えるのに、わざわざ汚れているものを残しておく理由もなくはないでしょうか?
MTAセメントが出てきたことでleakageについてはかなり安心出来る様になりましたが100%確実とも言えませんし、他の材料だともっと不確定な場合もあります。
コアを外すこと自体があぶなっかしい・・と言う様な場合には当然再根管治療なしで歯根端切除+逆根管充填で対応しますし、常にメリットとデメリットを比較した上での判断となります。
>それと、根管治療専門医と口腔外科どっちがいいのでしょうか。
最終的には肩書きではなくて先生次第なのですが、まずは
・マイクロスコープを使用する
・根管治療に力を入れている(資格がなくても構いませんが、傾向としては口腔外科の先生はむしろ苦手です)
を最低限度の基準として探されるのが良いと私は思います。
歯根端切除術自体はMTAを使わなければ保険治療でも出来ることなのですが、大多数の先生は歯根端切除術は出来ません。
出来る先生の中でも、切るだけではなくて逆根管充填までを十分に行える先生はごくごく一部ですし、マイクロスコープも必須なのですが、普及率がまだ数%です。
必然的に選択肢はかなり狭くなるかと思いますよ。
専門家として身の引き締まる思いです。
いい加減な発言は出来ませんね。
私はこの文献については読んだことがありませんでしたし、正確には全文を読みたいところですね。
色々示唆してくれますので大変興味深いのですが、今回の場合、
【文献のケース】
《症状について》
・3症例中1症例で、打診痛が長期残存したほかには特記事項はほとんど認められなかった
《部位について》
・大臼歯2本と小臼歯1本(※一般的にオペ困難〜不可能)
【きなささんの場合】
《症状について》
・違和感が増してきている+一度コアごと脱離してその後仮着のままで、再感染を起こしている可能性がある
《部位について》
・上前歯(※一般的にオペがもっとも簡単)で、コアも仮止めの状態
と言った違いがありますので、あまりそこ(根充剤の吸収)に固執しなくて良いかと思いますよ。
そもそも3ケースだけですので、興味深くはあってもevidence levelとしてはまだ弱いです。
私たち臨床家も、文中の自分に都合の良いところばかりに目が行きがちなのですが、きなささんの場合にこれが参考になるかどうかでを考えた方が良いですよね。
それと臨床的な経験からは、おそらく十年以上も根充剤が残存しているケースというのは時折目にすることがあります。
おそらく根尖外で細菌感染が併発している場合とそうでない場合でも結果は異なるのではないでしょうか?
エックス線像の変化については、その様に見えなくもないのですが、実はネット上で、エックス線写真を見て私たちが「○○(病名)ですね」と言ってしまうと診断行為となり、違法行為になってしまいます。(医師法20条「無診察診療の禁止」)
ですので、あまりこれ以上食い下がらないで下さい・・^^;
どちらにしても、現像の状態や角度などが異なるので、正確な比較には苦しみます。
あとは・・
>外科治療をするとして、歯根端切除をやるかどうかの判断はどのようなことなのでしょうか。
このあたりは施術される先生次第となります。
私であれば、まず歯根端切除を行う前提で再根管治療を行います。
理由は、
・症状がある
・脱離、仮着をしているので、根管内の感染を疑う
・仮止めしてあるので、コア除去時のリスクがない
・根管内から歯根破折などないかの確認もしたい
・根尖がすでに破壊されていて、理想的な根管充填が出来ない
などが挙げられます。
その後、根尖の外の根管充填材がおそらく取り残されてしまうので(実は取れる可能性もありますが・・)、根管充填を歯根端切除前提でMTAセメントで行い、外科時にははみ出たMTAセメントと感染を疑う歯根端を少し切るだけ(=逆根管充填なし)で終了すると思います。
>再根管治療と外科治療は一緒にしたほうがいいと言われたことがありましたが、たとえば、再根管治療をした結果を見て外科治療をするというのはいいのでしょうか。
多くの場合は、まずは再根管治療を試みて、結果が悪い場合に、根尖付近の側枝や根管外感染を疑って、歯根端切除を検討する、というパターンです。
ところがきなささんの場合は、
・再根管治療だけで対応できそうにない
・症状の原因として、オーバー根充剤(+細菌感染)がいかにもあやしい
・オペが簡単・確実に行える
という条件が揃っています。
加えて
>逆根管充填すると、中に細菌がいても外に出て行かないので、再根管治療をしなくてもいいとは考えられませんか。
と言うご意見ももっともですが、逆に仮着のコアを外せば古い根管充填材が見えるのに、わざわざ汚れているものを残しておく理由もなくはないでしょうか?
MTAセメントが出てきたことでleakageについてはかなり安心出来る様になりましたが100%確実とも言えませんし、他の材料だともっと不確定な場合もあります。
コアを外すこと自体があぶなっかしい・・と言う様な場合には当然再根管治療なしで歯根端切除+逆根管充填で対応しますし、常にメリットとデメリットを比較した上での判断となります。
>それと、根管治療専門医と口腔外科どっちがいいのでしょうか。
最終的には肩書きではなくて先生次第なのですが、まずは
・マイクロスコープを使用する
・根管治療に力を入れている(資格がなくても構いませんが、傾向としては口腔外科の先生はむしろ苦手です)
を最低限度の基準として探されるのが良いと私は思います。
歯根端切除術自体はMTAを使わなければ保険治療でも出来ることなのですが、大多数の先生は歯根端切除術は出来ません。
出来る先生の中でも、切るだけではなくて逆根管充填までを十分に行える先生はごくごく一部ですし、マイクロスコープも必須なのですが、普及率がまだ数%です。
必然的に選択肢はかなり狭くなるかと思いますよ。
回答4
中山歯科医院(石川県金沢市)の中山です。
回答日時:2010-06-21 17:07:34
オーバー根管充填自体が問題があるわけではありません。
感染がなければ、オーバーでも治癒はしていきます。
(けっして吸収をさしているのではありません)
ただし、感染があった場合に、オーバー根管充填では、GPの除去が
通法の根管治療では適切に行えない場合があり、その時は、歯冠端切除術の適用となります。
では、いざ歯根端切除術を行うとして、根管充填と、手術を同一初診内で行われるのは、やはり、逆根管充填をして、封鎖はするものの、やはり根管内もキレイになっていた方が、より再感染の可能性は低いだろうという予測の元に行われます。
さて、現状、まだコアなどの土台の処置は行われていないと言うことですので、まずは、根管治療専門医の先生にご相談されることをお勧めします。
うまくいけば、通法の治療で、オーバーした部分を取り除くことも可能かもしません。
個人的には、土台がない状態で、仮付けでようすを見ていると言うことなので、これは再感染のリスクが高いと思います。
感染がなければ、オーバーでも治癒はしていきます。
(けっして吸収をさしているのではありません)
ただし、感染があった場合に、オーバー根管充填では、GPの除去が
通法の根管治療では適切に行えない場合があり、その時は、歯冠端切除術の適用となります。
では、いざ歯根端切除術を行うとして、根管充填と、手術を同一初診内で行われるのは、やはり、逆根管充填をして、封鎖はするものの、やはり根管内もキレイになっていた方が、より再感染の可能性は低いだろうという予測の元に行われます。
さて、現状、まだコアなどの土台の処置は行われていないと言うことですので、まずは、根管治療専門医の先生にご相談されることをお勧めします。
うまくいけば、通法の治療で、オーバーした部分を取り除くことも可能かもしません。
個人的には、土台がない状態で、仮付けでようすを見ていると言うことなので、これは再感染のリスクが高いと思います。
相談者からの返信
相談者:
きなささん
返信日時:2010-06-23 01:50:09
タイヨウ先生、渡辺先生、中山先生、御返答ありがとうございます。
[オーバー根充の細菌感染について]
根管治療後9ヶ月経過しているのに根の先の透過像が消失していないのは、その部分には細菌がいて、オーバー根充は細菌感染をしているということであるから、オーバー根充は確実に取り除かなければならないということですか。
オーバー根充でない場合でも、根の先に透過像が残っていることがあります。
その場合でも、根管内の充填材が細菌感染することがあると思いますが、透過像内のオーバー根充もその程度には考えられないのですか。
ところで、私の根の先の透過像は根管治療前かなり大きくて、透過像は根管治療前の病変のために骨が粗くなったもので、細菌感染ではないと聞いていたのですが・・・
[オーバー根充の吸収について]
調べすぎて渡辺先生にあきれられていますが、
・http://jcpg.jp/pdf/vol19_2005_2.pdf
の38pに次のような記述があります。
穿孔部へ充填されたガッタパーチャポイントは、生体に吸収され、繊維性結合組織に被包されるといった見解がありますが、調査報告は少なく、その中の1つとしてMolvenとHalseは、11〜16年間の研究において突出したガッタパーチャポイントの80パーセントが消失し、突出した長さによって治療成績が影響されることはないと報告しています。
[根端3mmの切除について]
タイヨウ先生の書かれた
「根管治療自体はかなり精度良く行われたとすれば、嚢胞摘出のみを行い、根端切除&逆根充は行わないかもしれません。
しかし、根端1/3には神経の側枝が多いと言われていますので、根端側3mm程度を目安に切除してしまった方が感染源を取り残してしまうリスク回避にはなると思います。」
というのは、一般的な根管治療にも言えることですから、必ずしも処置しないでもいいように素人としては考えてしまうのですが、渡辺先生が書かれた「根尖がすでに破壊されている」ということと関係があるのでしょうか。
[根尖がすでに破壊されていて理想的な根管充填が出来ないことについて]
根尖が破壊されているからオーバー根充になるのでしょうか。
根菅充填には一般的に行われているオーバー根充になりやすい垂直加圧法以外にもいろいろな方法があると聞きましたが、やはり難しいのでしょうか。
[根管治療だけで出来ないものでしょうか]
外科治療、特に歯根端切除は最後の治療法で成功率が60%程度と低いとも聞いているので、出来ればやりたくないのですが。
渡辺先生、中山先生は根管内からオーバー根充は取れる可能性があると言われています。
それが出来ないとしても、オーバー根充を放置し、根端部の側枝の治療が程度よく行われ、根管充填が理想的に出来て、根管治療だけで出来る可能性は少ないのでしょうか。
[オーバー根充の細菌感染について]
根管治療後9ヶ月経過しているのに根の先の透過像が消失していないのは、その部分には細菌がいて、オーバー根充は細菌感染をしているということであるから、オーバー根充は確実に取り除かなければならないということですか。
オーバー根充でない場合でも、根の先に透過像が残っていることがあります。
その場合でも、根管内の充填材が細菌感染することがあると思いますが、透過像内のオーバー根充もその程度には考えられないのですか。
ところで、私の根の先の透過像は根管治療前かなり大きくて、透過像は根管治療前の病変のために骨が粗くなったもので、細菌感染ではないと聞いていたのですが・・・
[オーバー根充の吸収について]
調べすぎて渡辺先生にあきれられていますが、
・http://jcpg.jp/pdf/vol19_2005_2.pdf
の38pに次のような記述があります。
穿孔部へ充填されたガッタパーチャポイントは、生体に吸収され、繊維性結合組織に被包されるといった見解がありますが、調査報告は少なく、その中の1つとしてMolvenとHalseは、11〜16年間の研究において突出したガッタパーチャポイントの80パーセントが消失し、突出した長さによって治療成績が影響されることはないと報告しています。
[根端3mmの切除について]
タイヨウ先生の書かれた
「根管治療自体はかなり精度良く行われたとすれば、嚢胞摘出のみを行い、根端切除&逆根充は行わないかもしれません。
しかし、根端1/3には神経の側枝が多いと言われていますので、根端側3mm程度を目安に切除してしまった方が感染源を取り残してしまうリスク回避にはなると思います。」
というのは、一般的な根管治療にも言えることですから、必ずしも処置しないでもいいように素人としては考えてしまうのですが、渡辺先生が書かれた「根尖がすでに破壊されている」ということと関係があるのでしょうか。
[根尖がすでに破壊されていて理想的な根管充填が出来ないことについて]
根尖が破壊されているからオーバー根充になるのでしょうか。
根菅充填には一般的に行われているオーバー根充になりやすい垂直加圧法以外にもいろいろな方法があると聞きましたが、やはり難しいのでしょうか。
[根管治療だけで出来ないものでしょうか]
外科治療、特に歯根端切除は最後の治療法で成功率が60%程度と低いとも聞いているので、出来ればやりたくないのですが。
渡辺先生、中山先生は根管内からオーバー根充は取れる可能性があると言われています。
それが出来ないとしても、オーバー根充を放置し、根端部の側枝の治療が程度よく行われ、根管充填が理想的に出来て、根管治療だけで出来る可能性は少ないのでしょうか。
回答5
回答日時:2010-06-23 02:49:22
続きますね。
論破出来たつもりでいたのですが^^;
因みに個人的にはきなささんの様な悩み方は嫌いじゃないですよ。
何か・・必死でオペを避けているのかな、、と感じてしまうのですが、嫌なら無理にしなくていいですからね。
ただ決めかねている様でしたので、一専門家としてはこちらの方がいいと思いますよ、という助言程度ですので。。
「理屈じゃなくてとにかく嫌!」 というのも立派な理由になります。
誰でもなく、ご自身の身体のことですから。
先に、
>外科治療、特に歯根端切除は最後の治療法で成功率が60%程度と低いとも聞いているので、出来ればやりたくないのですが。
についてですが、たぶん1990年のkvistらの論文だったかと思います。
過去にも何かの回答で引用していると思います。
この頃はマイクロスコープもなしで、MTAセメントもまだない頃です。
正式なデータとしての公表はおそらくまだだと思うのですが、近年の米国ペンシルベニア大学歯内療法科のプロトコールでは、90〜ほぼ100%の成功率だろうと聞いています。
簡単に言えば、kvistの頃とはマイクロ+MTA(あと超音波も?)と言う違いなのですが、もちろん他にも色々留意して、最高の技術を持った先生が、厳しい状態の歯で出した結果になります。
因みに1980年代の論文だったと思いますが、再根管治療+歯根端切除+逆根管充填で確か85%ぐらいだったと思います。
(これも過去の回答で引用しています。)
あと、上顎前歯部の根尖部って、横から見ると粘膜のすぐ裏(↓画像)なので、手技的にはとても楽なんですよ。
この辺りがきなささんの検索では見えてこないところなのかなぁと感じています。
>透過像内のオーバー根充もその程度には考えられないのですか。
エックス線写真にはエックス線の透過量しか写っていませんから、それだけを何年眺めていてもその黒い部分が、正常な肉芽組織なのか細菌感染で生じている反応性の病変なのか、はたまたのう胞なのかいつの間にかゴム風船が埋められていたのかなどの答えは出てきません。
色々な可能性や展開を考えることは出来ますが、トータルで判断するべきだと思います。
>ところで、私の根の先の透過像は根管治療前かなり大きくて、透過像は根管治療前の病変のために骨が粗くなったもので、細菌感染ではないと聞いていたのですが・・・
確かに診断には重要な情報ではありますが、治療方針の立案にはそこまで重要でもないと考えます。
>「根管治療自体はかなり精度良く行われたとすれば、嚢胞摘出のみを行い、根端切除&逆根充は行わないかもしれません。
これについては専門医が使う教科書には載ってないと思います。
>根端1/3には神経の側枝が多いと言われていますので、根端側3mm程度を目安に切除してしまった方が感染源を取り残してしまうリスク回避にはなると思います。」
これは載っていると思います。
手術までするのなら少しでもリスクを排除しておこうと考えるのは医学的に妥当な判断でしょう。
>根尖が破壊されているからオーバー根充になるのでしょうか。
オーバーが、と言うよりも、根充自体がとてもしにくいです。
参考⇒抜髄後、根管からの出血が止まらないのは何故でしょうか?
ちくわに片側の穴から、きゅうりを詰めるにしてもチーズを詰めるにしても、反対側の穴ぴったりに揃えるのは困難ですよね?
ペースト状のもので固まるものをわざとはみ出させておいて、反対側を包丁で切ってしまうのが確実で綺麗です。
(回答3で書いた方法)
>根管治療だけで出来る可能性は少ないのでしょうか。
↑の方法に較べれば少ない、というだけのことです。
文献的には、オーバーがなかった場合で前歯も奥歯も混ぜて60-80%の成功率ですから、前歯と言うのはプラス要因ですけど極端なオーバーをしている分、少し差し引いて考えた方がいいと思います。
画像1
論破出来たつもりでいたのですが^^;
因みに個人的にはきなささんの様な悩み方は嫌いじゃないですよ。
何か・・必死でオペを避けているのかな、、と感じてしまうのですが、嫌なら無理にしなくていいですからね。
ただ決めかねている様でしたので、一専門家としてはこちらの方がいいと思いますよ、という助言程度ですので。。
「理屈じゃなくてとにかく嫌!」 というのも立派な理由になります。
誰でもなく、ご自身の身体のことですから。
先に、
>外科治療、特に歯根端切除は最後の治療法で成功率が60%程度と低いとも聞いているので、出来ればやりたくないのですが。
についてですが、たぶん1990年のkvistらの論文だったかと思います。
過去にも何かの回答で引用していると思います。
この頃はマイクロスコープもなしで、MTAセメントもまだない頃です。
正式なデータとしての公表はおそらくまだだと思うのですが、近年の米国ペンシルベニア大学歯内療法科のプロトコールでは、90〜ほぼ100%の成功率だろうと聞いています。
簡単に言えば、kvistの頃とはマイクロ+MTA(あと超音波も?)と言う違いなのですが、もちろん他にも色々留意して、最高の技術を持った先生が、厳しい状態の歯で出した結果になります。
因みに1980年代の論文だったと思いますが、再根管治療+歯根端切除+逆根管充填で確か85%ぐらいだったと思います。
(これも過去の回答で引用しています。)
あと、上顎前歯部の根尖部って、横から見ると粘膜のすぐ裏(↓画像)なので、手技的にはとても楽なんですよ。
この辺りがきなささんの検索では見えてこないところなのかなぁと感じています。
>透過像内のオーバー根充もその程度には考えられないのですか。
エックス線写真にはエックス線の透過量しか写っていませんから、それだけを何年眺めていてもその黒い部分が、正常な肉芽組織なのか細菌感染で生じている反応性の病変なのか、はたまたのう胞なのかいつの間にかゴム風船が埋められていたのかなどの答えは出てきません。
色々な可能性や展開を考えることは出来ますが、トータルで判断するべきだと思います。
>ところで、私の根の先の透過像は根管治療前かなり大きくて、透過像は根管治療前の病変のために骨が粗くなったもので、細菌感染ではないと聞いていたのですが・・・
確かに診断には重要な情報ではありますが、治療方針の立案にはそこまで重要でもないと考えます。
>「根管治療自体はかなり精度良く行われたとすれば、嚢胞摘出のみを行い、根端切除&逆根充は行わないかもしれません。
これについては専門医が使う教科書には載ってないと思います。
>根端1/3には神経の側枝が多いと言われていますので、根端側3mm程度を目安に切除してしまった方が感染源を取り残してしまうリスク回避にはなると思います。」
これは載っていると思います。
手術までするのなら少しでもリスクを排除しておこうと考えるのは医学的に妥当な判断でしょう。
>根尖が破壊されているからオーバー根充になるのでしょうか。
オーバーが、と言うよりも、根充自体がとてもしにくいです。
参考⇒抜髄後、根管からの出血が止まらないのは何故でしょうか?
ちくわに片側の穴から、きゅうりを詰めるにしてもチーズを詰めるにしても、反対側の穴ぴったりに揃えるのは困難ですよね?
ペースト状のもので固まるものをわざとはみ出させておいて、反対側を包丁で切ってしまうのが確実で綺麗です。
(回答3で書いた方法)
>根管治療だけで出来る可能性は少ないのでしょうか。
↑の方法に較べれば少ない、というだけのことです。
文献的には、オーバーがなかった場合で前歯も奥歯も混ぜて60-80%の成功率ですから、前歯と言うのはプラス要因ですけど極端なオーバーをしている分、少し差し引いて考えた方がいいと思います。
画像1
相談者からの返信
相談者:
きなささん
返信日時:2010-06-23 18:27:27
タイトル | [写真あり] オーバー根充で違和感。再根管治療や歯根端切除について |
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質問者 | きなささん |
地域 | 非公開 |
年齢 | 51歳 |
性別 | 男性 |
職業 | 非公開 |
カテゴリ |
根管治療の治療法 根管治療の失敗・再治療 根管治療後の痛み 歯根端切除術 その他(写真あり) |
回答者 |
- 上記書き込みの内容は、回答当時のものです。
- 歯科医療は日々発展しますので、回答者の考え方が変わることもあります。
- 保険改正により、保険制度や保険点数が変わっていることもありますのでご注意ください。