根の神経(根管)がありそうで無いケースもある?

相談者: 主婦Aさん (36歳: )
投稿日時:2007-07-14 17:09:00
いつもこちらの相談室を興味深く読ませて頂いております。
今日は、私の上顎左7番(抜髄済み)について質問させてください。

治療途中で転院しており、近いうちに再根管治療になると思われるです。

もう過ぎたことですし思い返すのもつらいのですが、転院前の医院で受けた治療について、今いちど客観的に把握し、自分が受けた治療がどうであったのかを総括したうえで、これからの再根管治療に向き合っていきたいと考えての相談です。

よろしくお願い致します。


この歯は、自宅近くにある「よくある保険中心の医院」で治療を行いました。

根管充填まで行きましたが、コアをたてる前に他院に転院しました。

当時、並行して別な病院にかかっており(水平埋伏智歯抜歯のため)、そこで

歯科治療というのは良い医療機関とそうでないところで、かなりの差があるようだ」

ということにたまたま気付いてしまい、しかもその落差が大きすぎて精神的に参ってしまいました。

もう近所の医院での治療続行は困難だと感じ、そのまま智歯抜歯を行ったところに転院してしたという経緯です。

転院先の病院で、14枚法にてデンタル撮影したところ、件の上顎左7番は、3本根があるようだけれど2本しか充填されていないようだということが分かりました。

その時の医師の説明を細かくは覚えていませんが、私も説明を受けながらデンタルを見たところ、3本足なのに、1本だけガッターパーチャが白く写っておらず、何も入っていない根がありました。

近所の医院で根充を行った際は、衛生士の方がデンタル撮影し、「オッケーです」と診断を下されて帰されましたので、この点について医師の説明はありませんでした。

また、この根充後のデンタルを医師は見ておらず、そのまま次の予約時に保険のメタルコアのための印象を採られました(コアの選択肢はきかれていません…)。

転院先の先生の話では、この空白の1本は、根管を探れなくてこうなったのか、あるいは神経があるように見えて、無いというケースもあるというようなことも言われました。

(もっと違うような説明の仕方だったかもしれないのですが、だいたいこんな感じに言われたように思います、自信はありませんけど……)


質問項目を整理します。


1.
転院先の先生の話のように、神経があるように見えて無い??というようなケースは、実際にどのくらいの確率であるのでしょうか。

客観的なデータがあるようでしたら是非知りたいです。

上顎の臼歯には、第四根管も存在する場合があるというぐらいなので、神経があるように見えて無いなんて、かなりレアケースでしょうか。


2.

私の場合、抜髄後、次の予約時にすぐに根充されました。

友達にきくと「充填までに何度も消毒したりしてもらった」という話も聞くのですが、面倒な根っこでなければ(湾曲とか狭窄していなくて)、抜髄後すぐ翌週に充填というのはふつうの手順だったと考えてよいのでしょうか。


3.
近所の医院では、ラバーダムはもちろんですが、キャナルメーターというのも使っていませんでした。

色々調べていてエンド専用のバーもあるというのを知りましたが、そういうものを使ってもらっていたのかどうかも……?? 

他の質問回答のなかで、井野先生のご師匠の「エンドはある程度の知識があれば、後は技術と道具で決まる」というお話しがありましたが、ラバーダム以外の道具の面では、前述のような道具はやはり必須アイテムだったのでしょうか。


4.
貼薬をして仮封されて帰宅したあと、貼薬が漏れているのか、口のなかが絶えず薬っぽい匂いでした。

他スレを読ませて頂いていても、私に使われた仮封剤がいいかげんなものだった可能性が高いなぁと思ったのですが、このように仮封後に薬っぽい味がしてくるのは普通ではないですよね?


5.
根管充填前に根の洗浄というのをきちんとしてもらった記憶がありません(他サイトで読んだのですが、数十分も行うとか??)。保険治療だとこれが普通なのでしょうけれど、理想的な根管治療においては、一般的にどのくらい洗浄などの前処置を行うものでしょうか。



細かい質問ばかり、申し訳ありません。今はラバーダムを使ってもらえるところに転院していますので安心ではありますが、再根管治療は正直とても怖いです。しかし、きちんと気持ちを整理して、正しい情報を得たうえで立ち向かっていきたいと思いますので、よろしくお願い致します。


回答 回答1
  • 回答者
回答日時:2007-07-14 18:15:00
1、
神経があるように見えて無い??というようなケースは、実際にどのくらいの確率であるのでしょうか。客観的なデータがあるようでしたら是非知りたいです

客観的なデーターはまずないと思います。

見えれば神経を取るし、見えなければ、神経管が閉じてしまっていたでかたづけてしまうでしょう。

当然、顕微鏡で治療した方が探しきれなかった根管まで治療することが出来ます。

裸眼では、たまたま見つけない限り第4根管の治療はしません。


2、
何回もお薬を交換するより痛み、不快症状がなければ短期間で治療する方が良いです。

薬の交換の度に細菌が入り込み感染するおそれがあるからです。

歯周病に関しては凄い方はいますが、歯内治療において衛生士の知識は素人に毛が入った程度です。

あまり鵜呑みにしない方がいいでしょう。


3、
これは私の師匠ですね。

正直、腕があっても(自分で言うのもなんですが)道具が揃っていない場所では殆ど周りの先生と同じような治療しかできません(開業前のバイト先で経験しました)

ただ、保険の治療では採算が合わない為に正直医療先進国と同じ医療体制は無理です。

また、先生の取組み方次第で必要な道具も変わってきます。
一概に何が必要かは言えません。


4、
>このように仮封後に薬っぽい味がしてくるのは普通ではないですよね

半分近く(それ以上だと材料屋さんには聞いています)がストッピングと言う材料を使っています。

の中の薬が漏れ出しているのでそのような味がします。

当然唾液も歯の中に進入してしまいますから、細菌感染してしまう恐れが高いです。


5、
洗浄時間については、長い場合は30分以上洗浄することはざらにあります。

ただし、正しい根管形成をしないと何分洗っても意味がありません。洗浄液が貫流する形態が必要になります。

そう言った意味ではNi-Tiファイルはマストアイテムになりますが、やはりコストの面が絡んできます。


正しい情報を得て治療に望まれるのはとても素晴らしいことだと思います。

ただ、現行の保険治療ではあまり患者さんの無理に答えられないことも知っておいてくださいね。

保険制度は素晴らしい制度ですが、コスト面も含めこれが日本の医療の形がと思ってください。

国民全員が歯1本に20万も払えないですよね。

人より良い治療を望まれれば自費治療専門の歯科医院となってしまいますね。

回答 回答2
  • 回答者
回答日時:2007-07-15 04:30:00
こんにちは。
あまりストレスに感じない様にして下さいね。

1.について

言葉をちょっと区別しますね。

「根っこ」は外から見て分かる文字通り根っこ
「神経」は(歯髄のあった)根管

とします。

で、発生学的に言えば神経のないところに根っこは出来ないと思います。
ただし複数の神経の周りにまとまって1本の根っこになる場合はあります。

ですから根っこの中に神経は最低ひとつ。
多いとそれ以上あるのが理屈になるかと思います。

ということで、見えない・見つけられないというのが臨床的にどれぐらいの頻度で起きるかと言うと、データは知りませんね。

私の場合は、1本の根っこに1本の神経も見つけられないのは年間に数根管、あるかないかぐらいだと思いますので、たぶん1%未満でしょうか。

2本目以上は大分見落としていると思います。

根管治療は苦手意識があり、ルーペやマイクロスコープは使用している、というちょっと特殊(?)な条件下の話です。


2.について

井野先生のおっしゃる通り、そのこと自体は特に心配はないと思います。

抜髄(※初回治療)は、元々ほぼ清潔なところの消毒
感染根管処置(※再治療)は、汚れきった管の中の消毒

と理解してもらえるといいと思います。

ですから、神経を見逃していてもわざわざ汚してなければ問題ありません。

いい加減な抜髄の時こそ、むしろ早めに終わって頂きたいものです。


3.について

私は、道具はあまり関係ないと思っています。

現実にここ何十年も、道具は進歩したのに根管治療の成功率には大した変化がありません。

とは言っても自分がやる時にはこれとこれとこれはないと!という道具はありますけど、重要なことではないと思いますよ。


4.について

私もこれをメインで使用するのですが、「水硬性セメント」という種類は結構薬品の味がします。

冷える事で固まるストッピングと違って唾液を吸って固まるセメントなので、膨張しますから隙間があくことはほとんどないのですが、少し表面が柔らかいのと若干溶けるのか、これも結構味はします。


5.について

明確な基準や比較研究はないと思いますが、欧米の専門医はいわゆる「薬の交換」だけのアポイントを、1時間とか1時間半ぐらい取る様です。

そのうちのラバーダム装着や古い薬の除去、仮の蓋の装着など諸々を差し引けば、井野先生がおっしゃる様に30分前後ぐらいになるかも知れませんね。

詳しくは分かりません。


主婦Aさんの場合は、根尖病変はありましたっけ?

それと症状がなければ今のところ再治療の必要すらありませんから、あまり気を落とさないで下さいね。。

相談者からの返信 相談者からの返信
相談者: 主婦Aさん
返信日時:2007-07-15 21:29:00
井野先生はじめまして、そしてコメントありがとうございました。

渡辺先生も、いつも本当に本当にお世話になりありがとうございます。

お二人の先生の解説を併せて読んでみて、要するにただ神経を一本取り逃がしていたというような状態なのかなと思いました。

今の先生の説明を私が曲解して難しくとらえていただけかも。

神経管が閉じていたというような状態だったのかどうなのか、過去の先生にもう尋ねることはできませんが、ともかくこれでスッキリしました。

2番の話については、抜髄→すぐ根充というのはアリだというのもわかり、ホッとしました。

実は、二次カリエスで神経まで行ってしまったのは初めてだったので、治療のプロセスがよく分からなかったのです(転院したあとでさんざん調べまくりました)。

衛生士さんが根充の診断っていうのは、本当に私にとっては今でも納得がいかず……

いやいや、考え過ぎるとまたクレンチング発生するので、忘れることにします。


3番については、すみません、タイヨウ先生と勘違いしていたので、修正しておきます。井野先生、たいへん失礼いたしました。

道具のことをお尋ねしたのは、別スレでもラバーダムの話がまた出ていますが……根管治療の成否に関わるアイテムとして、やはりラバーダムが最も重要なのか、他は関係ないのかどうなのか気になったからというのもあります。

また、根管治療関係の他サイトもさんざん読んだのですが、道具も技術的な面もかなりこまごまとした手法がたくさんあるようで、そういう患者には分からない部分が予後に影響するのかも気になっていました。

こちらではラバーダムに話題が集中していますが、他所を覗くと根管の拡大のこととか、違う方面の話題が多かったのでどうなのかと…。


4番については、治療に使用する材料についてもある程度相談できる環境に今はいるので、聞いてみようと思います。


5番のことも、状況は理解できました。
洗浄の時間だけでは治療の質は判断できないのだなと思いました。


>渡辺先生へ

「主婦Aさんの場合は、根尖病変はありましたっけ?」

転院して間もない頃(=他院で根充して間もない頃)に一度撮影して、それから最近はX線で撮影していないので、あるかないか未確認なのです。

近々、久しぶりに撮ることになると思われます。
ちょっと恐怖です。

「それと症状がなければ今のところ再治療の必要すらありませんから、あまり気を落とさないで下さいね。。」

ありがとうございます。。。

ただ、3本足のうち1本は、まるまるガッターパーチャが入っていないということは、再治療の対象ですよね……!?

探れなかった根管のなかって、歯髄がまだ生きていたりするんでしょうか。

痛みとかフィステルとかは無いですが、そのを頬側から触るとくすぐったいような感覚があって、ヘンな感じがしてイヤ〜な予感が。(;_;)


この上顎7番と、以前もご相談した下顎7番(遠心側に深いカリエスがあった…)が、私の口のなかでは最も予後が心配だと言われていて、ドキドキです。

あー、でも心配してばかりでも仕方ないですね。
担当の先生を信じて頑張ります!
回答 回答3
  • 回答者
回答日時:2007-07-16 01:47:00
>まるまるガッターパーチャが入っていないということは、再治療の対象ですよね……!? 

についてですが、これは違いますよ。

治療の対象とされる先生も多い、というだけで、

・自覚症状がない
レントゲン上で異常が認められない

の2点を満たしていればわざわざ今入っているクラウンを外してまで再治療を行う必要はないと思います。

主婦Aさんならすでにご存知かとは思いますが、小児などでよくされる、「生活歯髄切断法」みたいな方法もあるぐらいです。

つまり生きている歯髄でも、無菌的(=残存している細菌が生体の許容範囲内)に周囲が処置されていれば成人であっても普通に機能し続けます。

(※神経が生きていくための栄養源は根尖孔から供給されており、歯冠部の髄はなくても生きていけます)

例えば上顎6番の第4根管などは臨床上ほとんどが見逃されているのですが、だからと言ってそのほとんどが根尖病巣を持っている訳ではありませんからね。

神経が残っていることと再治療の必要性は、別の話ですので、これについても心配なく。

相談者からの返信 相談者からの返信
相談者: 主婦Aさん
返信日時:2007-07-16 10:53:00
渡辺先生、再びコメントありがとうございました。

私の場合、意図して神経を残したのではないと思うのですが、結果的に生活歯髄切断法(通称"生切"っていうやつのことですよね?)のような状態になっている可能性があるのですね!

神経が残っているのと再治療の必要性は別だとのこと、なるほどと納得しました。

前医で、仮封をはずし、コアのための印象採得を行う直前に、医師から「何か感じる?」と言われてをコンコンとされたので、その先生は神経を意図して生活しているまま残したというわけではなく、きっと取れなかったんだと思います。

実は、コアを入れられる前に転院していますので、被せるのはこれからなのです。

転院して治療をやり直すならばコアを入れる前だ!と考えてのことでした。

今の先生は、自分の手で根管治療をきれいにやり直してから被せたいような雰囲気です。

ともかく、X線を撮ってみて根尖病変の有無も診て頂いて、よーく相談したいと思います。

ありがとうございました。m(_ _)m
回答 回答4
  • 回答者
回答日時:2007-07-16 22:51:00
あ、何度もすみません、まだコアは入ってない状態でしたか?
てっきりもうクラウンが入っているのかと思っていました。

それでしたら是非とも根管治療を受けて下さい。

に(クラウン、コア除去に伴う)ダメージがある訳でもないですし、もうついでですから。

それに主婦Aさんのネタが色々増えていいじゃないですか(笑)

今は根管治療専門医の井野先生も回答に参加して下さっていますから、病院で担当の先生に直接聞けない様な主婦Aさんの超マニアな質問に、とことん答えて頂けると思いますよ^^

相談者からの返信 相談者からの返信
相談者: 主婦Aさん
返信日時:2007-07-16 23:40:00
渡辺先生、またまたありがとうございます。

そうなんです、コアの印象採得後、セットされないうちにそのまま前医のもとを去りましたもので。。。

(きちんとキャンセルの旨だけは連絡した上ですが、技工物についてはゴメンナサイという感じなんですけど。。。)

転院直後に、最初に診て頂いた先生に、再根管治療をしないでよい可能性もあるようなことを言われたこともあったのを思い出しました。

これはたぶん、渡辺先生が解説してくださった生切のような状態だったら必要ないという意味だったのかなと、今になってスッキリ合点がいきました。

そんなこともあって、再根管治療にならなくて済んだらいいなぁ〜なんていう淡い期待も。。。

(やっぱりコワイです、パーフォレーションとかになったらどうなるんだろうとか、よけいな知識を仕入れすぎて悪いことばかり想像しています)

でも確かに、ネタが増えていいかもしれないですね(笑)。

私の場合、今は一回の予約で1時間〜1時間半ぐらい診て頂いていますが、治療後にさらに質問をしようと思うと、さすがに聞きたいことすべてはお聞きできないのが現状です。。。

自分で勉強して解決できないことは、この場でまた質問させていただきますので、よろしくお願い致します。
回答 回答5
  • 回答者
回答日時:2007-07-17 00:12:00
聞き流すつもりで聞いてください

アメリカの専門医の一部は、根管治療後、接着性の仮封材で仮封しない3ヶ月を経過したは、(日本では良い所で水硬性のセメントなので接着していません)どんなに上手く根充してあってもリゲージが既に起こっていると考え再治療をおこないます。

日本の保険治療には当てはまりませんが、私も自費歯内療法をするる限り自費ではこの基準に従って行ないます。

ただ、そんな私も、コアがしっかり入っている10年経過のショート根充症例などには手を出しません。

薬が入っていなくても根管内が綺麗であれば問題ないと考えています。

主婦Aさん

こんなこと言っといてなんですが、あまり神経質にならない方がいいですよ、気になるとずぅ〜〜〜と気になります。

現代の技術ではインプラントもある訳ですしね。
当然自分の歯が残った方がいいに決まっていますが。

相談者からの返信 相談者からの返信
相談者: 主婦Aさん
返信日時:2007-07-17 07:43:00
井野先生、またまたコメントありがとうございました!
アメリカの専門医のお話、参考になります!!

私も3ヶ月過ぎてしまっていますし、現在の担当医も根管治療をやり直してから被せたいようですので、やっぱりやり直しが妥当なのでしょうね。

そう、神経質になりすぎかもしれません。

過去の歯科治療では何も知らなさすぎて失敗していて、しかも過去の歯医者さんと今かかっている歯医者さんで落差が大きすぎて、反動もあって勉強しまくるようになってしまいました(爆)。

しかり知りすぎるとまた「こわいよ〜」と思うことも増えてしまうんですが。。。

歯チャンネルがあるし、インプラントもあるし。。。ということで、前向きに頑張ってきます。

貴重なお話をたくさんありがとうございました。m(_ _)m



タイトル 根の神経(根管)がありそうで無いケースもある?
質問者 主婦Aさん
地域  
年齢 36歳
性別  
職業  
カテゴリ 根管治療の治療法
根管治療の失敗・再治療
根管治療その他
根管治療関連
回答者




  • 上記書き込みの内容は、回答当時のものです。
  • 歯科医療は日々発展しますので、回答者の考え方が変わることもあります。
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