膿胞と嚢胞の違いと、根管治療の失敗について
相談者:
かれん10さん (40歳:女性)
投稿日時:2008-01-19 01:36:06
こんにちは、初めて質問させていただきます。
5年以上前に左上、2番の前歯を虫歯で抜髄し、再度同じ歯が虫歯になりました。
その後転院し、根管治療をした後差し歯にしました。
歯茎に膿胞が出来、レントゲンで歯茎の中の骨が溶けてなくなっているとのことでした。
今回、根管治療と思われる処置をし、一週間後に再来院する予定です。
先生に聞いたところ、これで直らなければ抜歯や歯肉を切開するということでした。
また、同じ病院で抜髄した別の歯の歯茎にも今回のものより小さな膿胞が時々出来る状態を繰り返しています。
(質問)
1. 上記の症状は、根管治療がうまくいかなかったからと、いうことでしょうか?
2. 私は、歯を出来る限り残したいのですが、根管治療等で治せないでしょうか?
3. ある場合、どんな方法がありますか?
4. 先生によると、はっきりとした原因は不明とのことでしたが、ストレスの関与も原因として考えられますか?(長い間、相当なストレスがかかっている状況です)
以上、ご回答をどうぞよろしくお願いします。
5年以上前に左上、2番の前歯を虫歯で抜髄し、再度同じ歯が虫歯になりました。
その後転院し、根管治療をした後差し歯にしました。
歯茎に膿胞が出来、レントゲンで歯茎の中の骨が溶けてなくなっているとのことでした。
今回、根管治療と思われる処置をし、一週間後に再来院する予定です。
先生に聞いたところ、これで直らなければ抜歯や歯肉を切開するということでした。
また、同じ病院で抜髄した別の歯の歯茎にも今回のものより小さな膿胞が時々出来る状態を繰り返しています。
(質問)
1. 上記の症状は、根管治療がうまくいかなかったからと、いうことでしょうか?
2. 私は、歯を出来る限り残したいのですが、根管治療等で治せないでしょうか?
3. ある場合、どんな方法がありますか?
4. 先生によると、はっきりとした原因は不明とのことでしたが、ストレスの関与も原因として考えられますか?(長い間、相当なストレスがかかっている状況です)
以上、ご回答をどうぞよろしくお願いします。
回答1
長崎大学大学院包括的腫瘍学講座の中本です。
回答日時:2008-01-19 02:20:51
かれん10さん、こんにちは。
ご質問にある“膿胞”とはおそらく“嚢胞”のことであり、左上2番に発生している嚢胞と別の部位の歯肉に“今回のものより小さな膿胞が時々出来る状態を繰り返しています”というのは、異なる症状であることが考えられます。
以下、上記の件について回答します。
“嚢胞”とは、顎の骨の中に袋状の空洞の病変が生じた状態であり、かれん10さんの左上2番の歯(歯茎)がこの状態にあると思われます。
原因の一つとして、歯の根の病変(5年前の治療時)が完全に消えておらず慢性化した状態が考えられます(これを歯根嚢胞といいます)。
ご質問に書かれているように、以前の根管治療がうまくいかなかったということも考えられますが、原因の確定は困難です。
この場合、担当の先生が言われるとおり、再根管治療を行い、それでもこの嚢胞が治癒しない場合は、外科処置(歯根尖切除)、さらに最終的には抜歯ということも考えられます。
一方、
>同じところで抜髄した別の歯の歯茎にも今回のものより小さな膿胞が時々出来る状態を繰り返しています。
というご質問の症状に関しては、嚢胞ではなく“フィステル”という症状であることが考えられます。
※参照 歯チャンネル歯科大辞典「フィステル」
フィステルが生じているのは、膿が出てくるための通り道であって、嚢胞と違い顎の骨が無くなって袋状の病変ができているわけではありません。
フィステルは再度根管治療をしっかりと行うことで消失する可能性が嚢胞よりは高いと思われます。
いずれにしても、正確な診断は実際にお口の中を拝見して見なければ分かりませんので、担当の先生に良くお話をうかがった上で、今後の治療に臨まれてくださいね。
それではお大事にどうぞ。
ご質問にある“膿胞”とはおそらく“嚢胞”のことであり、左上2番に発生している嚢胞と別の部位の歯肉に“今回のものより小さな膿胞が時々出来る状態を繰り返しています”というのは、異なる症状であることが考えられます。
以下、上記の件について回答します。
“嚢胞”とは、顎の骨の中に袋状の空洞の病変が生じた状態であり、かれん10さんの左上2番の歯(歯茎)がこの状態にあると思われます。
原因の一つとして、歯の根の病変(5年前の治療時)が完全に消えておらず慢性化した状態が考えられます(これを歯根嚢胞といいます)。
ご質問に書かれているように、以前の根管治療がうまくいかなかったということも考えられますが、原因の確定は困難です。
この場合、担当の先生が言われるとおり、再根管治療を行い、それでもこの嚢胞が治癒しない場合は、外科処置(歯根尖切除)、さらに最終的には抜歯ということも考えられます。
一方、
>同じところで抜髄した別の歯の歯茎にも今回のものより小さな膿胞が時々出来る状態を繰り返しています。
というご質問の症状に関しては、嚢胞ではなく“フィステル”という症状であることが考えられます。
※参照 歯チャンネル歯科大辞典「フィステル」
フィステルが生じているのは、膿が出てくるための通り道であって、嚢胞と違い顎の骨が無くなって袋状の病変ができているわけではありません。
フィステルは再度根管治療をしっかりと行うことで消失する可能性が嚢胞よりは高いと思われます。
いずれにしても、正確な診断は実際にお口の中を拝見して見なければ分かりませんので、担当の先生に良くお話をうかがった上で、今後の治療に臨まれてくださいね。
それではお大事にどうぞ。
相談者からの返信
相談者:
かれん10さん
返信日時:2008-01-19 23:28:02
中本先生、お忙しい中さっそくの丁寧なご回答をありがとうございました。
>今回の左上2番の“嚢胞”と別の歯にできる状態をくりかえしている“フィステル”と考えられる症状は違うと思う
そういえば、そのような事を言われました。
リンク、ありがとうございました。見させていただきました。
また、右上の3番も以前痛みが出、一度目は
「まだ神経が生きているので、よくブラシをかけて」
との事で痛みは和らいだのですが、その後あまり時間をおかずに再度痛みが出て来院した際に
「神経が既に死んでしまっているので、その処置をする」
という、随分急だった感じの経過があるのと、歯肉炎の為、歯の掃除に定期的に通ってもいて
「最近は、それ程悪くない歯肉の状態」
と、掃除後にもらう紙にはあったので
1. なぜ、こんなに次々に歯内のトラブルが出るんだろう?という疑問があるのですが、よく起こり得る稀じゃないケースなのでしょうか?
2. また、今回の左上2番の件でも
「大学病院等では、抜歯といわれるだろう」といわれたのですが、
こちらのサイト等を見させていただいていると、根管治療はもっと手間や時間をかけているようなので
1)大学病院や他院で一度見てもらった方がいいのかな?
2)その際、現況のまま少し時間を置いても大丈夫なのかな?
3)一度他院で治療を受ける等すると、お医者さんの気分を害してしまいそこには戻りづらくなるのでは
などと悩んでいます。
今の先生は、なるべく歯を残したいと思って診療なさっている様ですが、今までと今回に関しても治療を始める際に説明を受けることなく始まるという印象が強く、この件も不安に感じています。
中本先生のおっしゃるように、先生によく話を伺った上で治療に臨めれば不安も少なくなりますよね。
長文ですみません。
お忙しいと思いますが、ご回答いただけると幸いです。
>今回の左上2番の“嚢胞”と別の歯にできる状態をくりかえしている“フィステル”と考えられる症状は違うと思う
そういえば、そのような事を言われました。
リンク、ありがとうございました。見させていただきました。
また、右上の3番も以前痛みが出、一度目は
「まだ神経が生きているので、よくブラシをかけて」
との事で痛みは和らいだのですが、その後あまり時間をおかずに再度痛みが出て来院した際に
「神経が既に死んでしまっているので、その処置をする」
という、随分急だった感じの経過があるのと、歯肉炎の為、歯の掃除に定期的に通ってもいて
「最近は、それ程悪くない歯肉の状態」
と、掃除後にもらう紙にはあったので
1. なぜ、こんなに次々に歯内のトラブルが出るんだろう?という疑問があるのですが、よく起こり得る稀じゃないケースなのでしょうか?
2. また、今回の左上2番の件でも
「大学病院等では、抜歯といわれるだろう」といわれたのですが、
こちらのサイト等を見させていただいていると、根管治療はもっと手間や時間をかけているようなので
1)大学病院や他院で一度見てもらった方がいいのかな?
2)その際、現況のまま少し時間を置いても大丈夫なのかな?
3)一度他院で治療を受ける等すると、お医者さんの気分を害してしまいそこには戻りづらくなるのでは
などと悩んでいます。
今の先生は、なるべく歯を残したいと思って診療なさっている様ですが、今までと今回に関しても治療を始める際に説明を受けることなく始まるという印象が強く、この件も不安に感じています。
中本先生のおっしゃるように、先生によく話を伺った上で治療に臨めれば不安も少なくなりますよね。
長文ですみません。
お忙しいと思いますが、ご回答いただけると幸いです。
回答2
長崎大学大学院包括的腫瘍学講座の中本です。
回答日時:2008-01-20 15:43:38
かれん10さん、こんにちは。
上記の御質問について回答します。
>1. なぜ、こんなに次々に歯内のトラブルが出るんだろう?という疑問があるのですが、よく起こり得る稀じゃないケースなのでしょうか?
これは、あまりお気にされない方が良いのでは、と思います。
むしろ、今色々と口の中の状況が分かってきて適切な対処ができることで、ご自身の歯を長持ちできる、とポジティブにお考えになられた方が良いのでは、と個人的には考えます。
>2.
>1)大学病院や他院で一度見てもらった方がいいのかな?
>2)その際、現況のまま少し時間を置いても大丈夫なのかな?
このご質問に関しては、かれん10さんのお気持ち次第であると思います。
かれん10さんが今の歯科医院を信頼して、このままお願いしようとされるのか、それとも別院で治療をしようとされるのか、あるいは、まずは別院でセカンドオピニオンを受けるのか…これによって変わります。
一般に、明らかに信頼関係が破綻している場合などは、私も転院をお勧めすることがあるのですが、かれん10さんのご質問をうかがうかぎり、そういった状況ではないですし、また、今かかられている歯科医院も、特段問題があるようにも思えないです。
そういうわけで、私から積極的に他院を受診してみたらとも、そのまま経過観察してみたら、とも言うことは難しいです。
最後に、
>3)一度他院で治療を受ける等すると、お医者さんの気分を害してしまいそこには戻りづらくなるのでは
とのご質問ですが、本来医療というものは、自分の受けたい治療を自分の受けたい病院で受けることが大原則ですから、特別ご心配になることはありません。
ただし、一つの歯の治療について、病院を転々とすることは決して好ましいこととは言えませんし、歯科医院としても困ってしまいます。いわゆるドクターショッピングというものにもつながります。
もちろん、かれん10さんはそのようなことはないでしょうし、前記回答しましたように、セカンドオピニオンを求めるということは、患者さんの本来の権利です。
色々と、ご自身で選択するには難しいこともあろうかと思いますし、かれん10さんが抜歯を極力回避して歯を残したい、というお気持ちも当然のことと思います。
かれん10さんにとって最善の道が見つかることを願っています。
お大事にどうぞ。
上記の御質問について回答します。
>1. なぜ、こんなに次々に歯内のトラブルが出るんだろう?という疑問があるのですが、よく起こり得る稀じゃないケースなのでしょうか?
これは、あまりお気にされない方が良いのでは、と思います。
むしろ、今色々と口の中の状況が分かってきて適切な対処ができることで、ご自身の歯を長持ちできる、とポジティブにお考えになられた方が良いのでは、と個人的には考えます。
>2.
>1)大学病院や他院で一度見てもらった方がいいのかな?
>2)その際、現況のまま少し時間を置いても大丈夫なのかな?
このご質問に関しては、かれん10さんのお気持ち次第であると思います。
かれん10さんが今の歯科医院を信頼して、このままお願いしようとされるのか、それとも別院で治療をしようとされるのか、あるいは、まずは別院でセカンドオピニオンを受けるのか…これによって変わります。
一般に、明らかに信頼関係が破綻している場合などは、私も転院をお勧めすることがあるのですが、かれん10さんのご質問をうかがうかぎり、そういった状況ではないですし、また、今かかられている歯科医院も、特段問題があるようにも思えないです。
そういうわけで、私から積極的に他院を受診してみたらとも、そのまま経過観察してみたら、とも言うことは難しいです。
最後に、
>3)一度他院で治療を受ける等すると、お医者さんの気分を害してしまいそこには戻りづらくなるのでは
とのご質問ですが、本来医療というものは、自分の受けたい治療を自分の受けたい病院で受けることが大原則ですから、特別ご心配になることはありません。
ただし、一つの歯の治療について、病院を転々とすることは決して好ましいこととは言えませんし、歯科医院としても困ってしまいます。いわゆるドクターショッピングというものにもつながります。
もちろん、かれん10さんはそのようなことはないでしょうし、前記回答しましたように、セカンドオピニオンを求めるということは、患者さんの本来の権利です。
色々と、ご自身で選択するには難しいこともあろうかと思いますし、かれん10さんが抜歯を極力回避して歯を残したい、というお気持ちも当然のことと思います。
かれん10さんにとって最善の道が見つかることを願っています。
お大事にどうぞ。
タイトル | 膿胞と嚢胞の違いと、根管治療の失敗について |
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質問者 | かれん10さん |
地域 | 非公開 |
年齢 | 40歳 |
性別 | 女性 |
職業 | 非公開 |
カテゴリ |
根管治療の失敗・再治療 根管治療に関するトラブル 根管治療その他 |
回答者 |
|
- 上記書き込みの内容は、回答当時のものです。
- 歯科医療は日々発展しますので、回答者の考え方が変わることもあります。
- 保険改正により、保険制度や保険点数が変わっていることもありますのでご注意ください。