金属アレルギー治療における歯科材料の選択について

相談者: naganoさん (40歳:女性)
投稿日時:2008-07-30 02:43:58
20年来悩んでいたアトピー性皮膚炎の原因が歯科金属にある可能性があることから、現在充填金属の除去とそれに伴う根管治療をしています。


金属アレルギーのパッチテストの結果、Hg, Ni, Zn, Co に対し陽性反応が出ました。

また、レジンセメントについてもパッチテストで炎症の兆候があったため、医師からは非レジン系接着剤であるカルボキシレートセメントグラスアイオノマーセメントの2種を薦められています。


調べたところ、カルボキシレートセメントは酸化亜鉛が主成分とあります。

また根管充填材の、ガッタパーチャも酸化亜鉛が主成分のようです。


担当医師は

「根管部につける薬液は歯肉と接するので、亜鉛フリーのものを
使わなければまずい」

と言って現在探してくれているのですが、根管充填材や接着剤までは含有亜鉛を気にする必要はないのでしょうか?


回答 回答1
  • 回答者
回答日時:2008-07-31 12:25:49
こんにちは。
それは大変ですね、お辛いことと思います。

さて今回の件につきましては、担当の先生が非常によく調べて下さっているご様子ですし、お任せした方が良いかと思うのですが・・。



参考までに個人的な意見を書いておきますね。

しっかりとした専門家の統一見解みたいなのがあるのかどうかは分かりませんが、一応体表にも出てくるセメントに関しては、将来的にごくごく微量ながらも溶出してくる可能性は確かにあるとは思います。

根管充填の際のシーラーは、体表には出ませんが、一応根管から飛び出して、体内に吸収されて行く可能性は微量ながらも完全には否定出来ないかと思います。
ただ必ずしも使わなくても良い?材料でもあります。

根管充填剤については、通常溶けていく様なものでもありませんから、セメントやシーラーに較べると一番心配は少ないかなとは思いますよ。



因みに私が使用している根管充填材だと、

●オブチュレーションガッター(東洋化学研究所)
成分;天然ガッタパーチャ、ワックス類、充填材およびその他の混合物

と書いてあります。
その他の混合物・・などはメーカーに問い合わせるべきでしょうし、本当に心配なら一応これらも全てアレルギーのチェックを事前に行うべきでしょうね。

それとこちらを使用するには、多少の設備投資なども必要になってきてしまいますので、やはり担当の先生の現在使用のシステムなど、多角的な検討が必要かと思いますよ。




ご存知かと思いますが、調べていたら以下の様なサイトもあり、非常に有意義な情報を公開して下さっていますのでご紹介しておきます。
担当の先生にもお知らせ頂くと良いかも知れません。

合着・接着用材料
http://www.dh.nagasaki-u.ac.jp/pros2/set.html

充填・仮封用材料
http://www.dh.nagasaki-u.ac.jp/pros2/fill.html

Niを含有する材料
http://www.dh.nagasaki-u.ac.jp/pros2/index.html

Coを含有する材料
http://www.dh.nagasaki-u.ac.jp/pros2/index.html

Znを含有する材料
http://www.dh.nagasaki-u.ac.jp/pros2/index.html


※全て長崎大学歯学部歯科補綴学第2講座
http://www.dh.nagasaki-u.ac.jp/pros2/index.html
で、実際に分析して公開されている様です。



それと消去法では大変ですから、担当の先生から直接メーカーに問い合わせて相談されるなどするのが、一番効率的な気がしますよ。

naganoさんも担当の先生も大変かと思いますが、協力して頑張られて下さいね。

相談者からの返信 相談者からの返信
相談者: naganoさん
返信日時:2008-08-02 12:31:18
渡辺先生

お忙しい中、早々の回答本当にありがとうございました。
先生の心温まる励ましとアドバイスに感謝しております。

長年苦しめられた手部湿疹から解放される可能性に掛けているものの、今後の治療のことを考えると体力面、メンタル面双方でかなり滅入っておりました。
先生の言葉に救われました。

シーラーが必ずしも使わなくても良い材料というのは初めて知りました。
(シーラーは亜鉛フリーを既に持っていたということで、それを使いました)



また、重ねて質問があるのです。

全てを金合金(20K)に入れ替えると100万を優に超えるお金がかかるとのことで二の足を踏んでいます。

医師からは20Kを14Kまで下げれば100万程度にはなると言われました。

14Kでも金、銀、銅だけで自分で配合して加工するそうですが、ネットで調べた限り、18K以下で金、銀、銅以外の成分の無いものは皆無ですが、これは単に加工等のし易さから配合されているということでしょうか?

上記三成分だけで作られた14Kというのは、歯科材料として特段に問題のある(強度等の面で)ものではないのでしょうか?

また、治療箇所(小臼歯大臼歯)や用途(コア、インレークラウン)によっては多少変わるような気がするのですが、一律14Kにすることに対しては多少疑問を抱いています。

金合金であっても配合割合で向き、不向きというのはあるのでしょうか?
回答 回答2
  • 回答者
回答日時:2008-08-02 13:26:38
金・銀・銅以外の成分配合については加工のしやすさで配合されているわけではなく、加工後の物性に関係があります。

加工のしやすさだけの問題であれば純金(24K)で補綴物を制作してもよいのですが、あまりに柔らかいため長期安定性に乏しい物しか出来上がりません。

各メーカーが色々と製品を出しておりますが、配合比率は様々な考え方で作ってあります。

個人的には単にカラット数を下げて金・銀・銅以外の物を添加しない補綴物を制作する方法を行ったことがないので判断に迷いますが、金銭面の問題を解決出来るのであればメーカー製の金属を使用した方が長期的に安心出来るかなぁ、とは思います。

回答 回答3
  • 回答者
回答日時:2008-08-02 23:58:30
アレルギーはなかなか完治することのない病気で、本人の苦痛よりも、はたからは軽く見られがちでつらいものですね。


金合金の場合、14でも20Kでも金以外の金属が使われるわけです。
其の中には微量金属といって、表に表示されないものが含まれます。
加工しやすくするためのものです。

そういったものまですべてテストしないと意味がありませんので、ご注意ください。



皮膚科の先生の研究報告で以下のものを聞いたことがありますので参考にしてください。

歯科から金属アレルギーの疑いで以来を受けた患者さんに、パッチテストをして、反応の出た患者さんのお口の中からすべての金属を取り除く治療をした結果。

3・4割の人は、アレルギー反応に改善が見られなかったか、より悪くなった。

回答 回答4
  • 回答者
回答日時:2008-08-03 00:28:19
難しい問題ですね・・。

私も細かい組成について詳しくは分かりませんが、一般論として、ハイカラットにした方が成分は溶出しにくいそうです。

アレルギーはアレルギーを引き起こす成分が溶出してくることで起きますから、基本的にはハイカラット(=溶けにくい)の方が安心かとは思います。

費用の問題も非常に出てくるのですが。。。

同じ24Kでも、産出(?)国によってなぜかちょっとずつ違うなどの話もあったり、キリはないのですが。



因みに、私が以前診させて頂いた患者様で、金属アレルギーがあって、皮膚科でいくつか陽性のものを調べてそれを持参されたことがあります。

やはり予算のご都合もありまして、様々な方法・可能性を話し合った上で、卑貴金属(カラットの低い金合金)で、陽性の金属だけは含まない合金(製品)を選び、それを患者様に購入して頂いてこちらで加工、クラウン義歯を製作したことがあります。

その後半年ぐらいまでしか来院されませんでしたから今は分かりませんが(※アレルギー症状が抜けるのには半年以上などかかる場合もあるそうです)、アレルギー症状は残念ながら改善しませんでした。

となるとこれを貴金属にしておけばもっと良かったかも・・とか、他の金属に反応してたのかも??とか、あるいはレジンセメントがダメだったのかも・・とか色々な後悔が残ってしまいました。

と言ってもこちらでお金を出す訳にも行かないですから、無理なことは無理なのですが・・。



と言う訳ですから、経験からのアドバイスとしては、例え望みが低いとしても、事前に出来る限り十分に調べてから、可能な限りのことはしてみた方が良いかとは思いますよ。

ご家族とも十分に話し合われて下さいね。

相談者からの返信 相談者からの返信
相談者: naganoさん
返信日時:2008-08-06 01:24:05
荒木先生、小牧先生、渡辺先生
週末にお疲れのところご丁寧な回答誠にありがとうございました。


20K合金は金銀銅だけというメーカーが多いようですが、ローカラットだと微量でも脱酸剤として亜鉛添加があるものが多く、かといって担当医師が提案したように金銀銅だけで配合して加工する場合、鋳巣が発生しやすいという欠点もあるようです。

先生方のご回答を参考に家族とも話し合いましたが、ハイカラットのメーカー品使用を前提に検討したいと思います。

現在は金属パッチテストの再検(17項目)を行っているところです。

これからレジンのパッチテスト等も含め、渡辺先生のおっしゃられるとおり可能なことは事前に調べあげておきたいと思います。



タイトル 金属アレルギー治療における歯科材料の選択について
質問者 naganoさん
地域 非公開
年齢 40歳
性別 女性
職業 非公開
カテゴリ 歯科金属アレルギー
歯科用材料によるアレルギー
アトピー
回答者




  • 上記書き込みの内容は、回答当時のものです。
  • 歯科医療は日々発展しますので、回答者の考え方が変わることもあります。
  • 保険改正により、保険制度や保険点数が変わっていることもありますのでご注意ください。

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