親知らずの炎症により、口が開かない。全身麻酔による抜歯は可能か?
相談者:
痛いさん (28歳:男性)
投稿日時:2008-09-07 22:40:43
回答1
長崎大学大学院包括的腫瘍学講座の中本です。
回答日時:2008-09-07 23:13:59
痛いさん、こんにちは。
親知らずの痛みでお困りのことと思います。
【1】
ご質問の内容をうかがう限り、智歯周囲炎を起こしているものと思われます。
その場合、おっしゃる通り、今の急性症状が引いた後で、親知らずは抜歯されることをお勧めします。
>このような場合、口腔外科に行くべきなのでしょうか?
そうですね。
可能であれば口腔外科が良いと思います。
痛いさんがお住まいの地域には大学病院がありますので、そちらでも良いと思います。
【2】
>痛みに弱いので全身麻酔を希望するのですが、全身麻酔する必要があるか否かの判断はどこでするのでしょうか?
親知らずの全身麻酔は、一度こちらの過去ログにも目を通されてください。
・歯科相談室:全身麻酔による親不知の抜歯
私の個人的意見ですが、結論からいうと、親知らずの抜歯(特に1本の抜歯)で全身麻酔は安易に行うべきものではない、と考えます。
痛いさんの「痛みに弱い」といわれるのが、どういったレベルのものかは分かりません。
たとえば、痛みのせいで、その他の体調の変化があらわれてくる(意識を失いそうになる、全身からの発汗や体のこわばりが出てくる…など)のであれば、全身麻酔も選択肢の一つかもしれません。
ですが、単純に痛いのがイヤだ、痛いのが怖い・嫌い…といったレベルで全身麻酔を選択することは、とてもお勧めできるものではありませんし、それは基本的に他の歯科医師でも同様の判断をすると思います。
全身麻酔はただ単に痛みを感じさせない間に全ての治療を終えてくれる優れもの…といった万能の側面だけではありません。
麻酔薬の強力な力が全身に作用するのです。
体に大きな負担をかけます。
だからこそ、全身麻酔は本来どうしても必要な場面(大きな手術)などの際に限定して使用するものです。
その場合であっても麻酔同意書を必要とします。
これは、今でも約5万件に1件くらいの割合で、命の危険を伴う偶発事故が生じてしまうためです。
そういった事情のもと、親知らずの1本抜歯で安易に全身麻酔を選択することは、とても一般的とはいえません。
一方で親知らずの抜歯でも、他の病気との関連や極度の歯科恐怖症の場合などで、真に全身麻酔の必要な場合もあります。
この場合は、担当医にしっかりとその旨をお伝えし、担当医の判断を仰がれてください。
いずれにしても、今一度ご自身でも本当に全身麻酔が必要なのか、また「痛みに弱い」と言われる意味を、再度見返してください。
【3】
最後にもう一つコメントを加えます。
多くの方が「親知らずの抜歯=痛い」と思われていますが、通常の麻酔をしっかりと作用させて、経験豊富な口腔外科医が行う抜歯は、抜歯中はほとんど痛みはありません。
ところが、麻酔から覚めた後は、ほぼ全ての方に腫れと痛みが訪れます(これは正常な生体反応ですし、これをゼロにすることは不可能です)。
局所麻酔であろうが全身麻酔であろうが同様です。
ですので、「痛みに弱い」といわれるのであれば、抜歯中よりも抜歯後の方がお辛いかもしれません。
そういう観点からも、果たして抜歯時に全身麻酔が本当に必要か、よく吟味されてください。
以上、ご参考になれば幸いです。
お大事にどうぞ。
親知らずの痛みでお困りのことと思います。
【1】
ご質問の内容をうかがう限り、智歯周囲炎を起こしているものと思われます。
その場合、おっしゃる通り、今の急性症状が引いた後で、親知らずは抜歯されることをお勧めします。
>このような場合、口腔外科に行くべきなのでしょうか?
そうですね。
可能であれば口腔外科が良いと思います。
痛いさんがお住まいの地域には大学病院がありますので、そちらでも良いと思います。
【2】
>痛みに弱いので全身麻酔を希望するのですが、全身麻酔する必要があるか否かの判断はどこでするのでしょうか?
親知らずの全身麻酔は、一度こちらの過去ログにも目を通されてください。
・歯科相談室:全身麻酔による親不知の抜歯
私の個人的意見ですが、結論からいうと、親知らずの抜歯(特に1本の抜歯)で全身麻酔は安易に行うべきものではない、と考えます。
痛いさんの「痛みに弱い」といわれるのが、どういったレベルのものかは分かりません。
たとえば、痛みのせいで、その他の体調の変化があらわれてくる(意識を失いそうになる、全身からの発汗や体のこわばりが出てくる…など)のであれば、全身麻酔も選択肢の一つかもしれません。
ですが、単純に痛いのがイヤだ、痛いのが怖い・嫌い…といったレベルで全身麻酔を選択することは、とてもお勧めできるものではありませんし、それは基本的に他の歯科医師でも同様の判断をすると思います。
全身麻酔はただ単に痛みを感じさせない間に全ての治療を終えてくれる優れもの…といった万能の側面だけではありません。
麻酔薬の強力な力が全身に作用するのです。
体に大きな負担をかけます。
だからこそ、全身麻酔は本来どうしても必要な場面(大きな手術)などの際に限定して使用するものです。
その場合であっても麻酔同意書を必要とします。
これは、今でも約5万件に1件くらいの割合で、命の危険を伴う偶発事故が生じてしまうためです。
そういった事情のもと、親知らずの1本抜歯で安易に全身麻酔を選択することは、とても一般的とはいえません。
一方で親知らずの抜歯でも、他の病気との関連や極度の歯科恐怖症の場合などで、真に全身麻酔の必要な場合もあります。
この場合は、担当医にしっかりとその旨をお伝えし、担当医の判断を仰がれてください。
いずれにしても、今一度ご自身でも本当に全身麻酔が必要なのか、また「痛みに弱い」と言われる意味を、再度見返してください。
【3】
最後にもう一つコメントを加えます。
多くの方が「親知らずの抜歯=痛い」と思われていますが、通常の麻酔をしっかりと作用させて、経験豊富な口腔外科医が行う抜歯は、抜歯中はほとんど痛みはありません。
ところが、麻酔から覚めた後は、ほぼ全ての方に腫れと痛みが訪れます(これは正常な生体反応ですし、これをゼロにすることは不可能です)。
局所麻酔であろうが全身麻酔であろうが同様です。
ですので、「痛みに弱い」といわれるのであれば、抜歯中よりも抜歯後の方がお辛いかもしれません。
そういう観点からも、果たして抜歯時に全身麻酔が本当に必要か、よく吟味されてください。
以上、ご参考になれば幸いです。
お大事にどうぞ。
相談者からの返信
相談者:
痛いさん
返信日時:2008-09-08 00:47:50
返信ありがとうございます。
大変参考になりました。
麻酔の件については納得しました。
経験から局所麻酔がなかなかきかないことが多かったために、質問しました。
(大抵、追加で1〜2本打つことが多かった為)
さらに、指2本分しか開かない状態では、意識がある状態ではなにかと迷惑がかかるかもと思った次第です。
今回は担当医の判断に素直に任せるつもりです。
おそらく、口腔外科と歯科での麻酔は異なると思いますので、効かないことはないと思いますし。
追加の質問です。
>今の急性症状が引いた後で、親知らずは抜歯されることをお勧めします。
これは、指2本分しか開かない状態では、局所麻酔での手術は厳しいということでしょうか?
私都合ですが、仕事をしていますので、なるべくベストな状態で病院に行き、1日で済ませ、翌日は発熱などないという状態に持っていきたいです。
抜歯後の痛みや発熱は仕方がない場合があることは承知していますが、出来るだけ仕事に穴を空けたくない為、このような表現で書かせていただきました。
度重なる質問で申し訳ないですが、よろしくお願いします。
大変参考になりました。
麻酔の件については納得しました。
経験から局所麻酔がなかなかきかないことが多かったために、質問しました。
(大抵、追加で1〜2本打つことが多かった為)
さらに、指2本分しか開かない状態では、意識がある状態ではなにかと迷惑がかかるかもと思った次第です。
今回は担当医の判断に素直に任せるつもりです。
おそらく、口腔外科と歯科での麻酔は異なると思いますので、効かないことはないと思いますし。
追加の質問です。
>今の急性症状が引いた後で、親知らずは抜歯されることをお勧めします。
これは、指2本分しか開かない状態では、局所麻酔での手術は厳しいということでしょうか?
私都合ですが、仕事をしていますので、なるべくベストな状態で病院に行き、1日で済ませ、翌日は発熱などないという状態に持っていきたいです。
抜歯後の痛みや発熱は仕方がない場合があることは承知していますが、出来るだけ仕事に穴を空けたくない為、このような表現で書かせていただきました。
度重なる質問で申し訳ないですが、よろしくお願いします。
回答2
長崎大学大学院包括的腫瘍学講座の中本です。
回答日時:2008-09-08 01:31:11
痛いさん、あらためまして。
>指2本分しか開かない状態では、局所麻酔での手術は厳しいということでしょうか?
この段階での抜歯は厳しいというより不可能です。
口が指2本分しか開かない状態であると、そもそも抜歯が物理的にできないです。
また、今のような急性症状を起こしている際に外科処置を行うことは、治癒の遅れや炎症の拡大の危険を伴いますので一般に行いません。
したがって、まずは抗生剤の服用等により、急性症状が落ち着いた段階で抜歯をすることになります。
もう一点、先ほどの回答の際に見落としていたのですが、
>現在も、口は開かない状態です。
とのことに関して、これは炎症が軟組織まで波及し、口の開け閉めに関わる筋肉を障害している可能性があります。
耳鼻科を既に受診されているということですが、明日以降も口が開かないのであれば、なんとか時間を作られて口腔外科を受診された方がよいと思います。
その必要性と緊急性は高いと思われます。
場合によっては、抜歯とは別に膿を外に出してやる応急処置が必要かもしれません。
いずれにしても、まずは口が開くようになってからの抜歯になると思います。
お仕事の都合等色々とお困りのこととは思います。
お大事になされてください。
>指2本分しか開かない状態では、局所麻酔での手術は厳しいということでしょうか?
この段階での抜歯は厳しいというより不可能です。
口が指2本分しか開かない状態であると、そもそも抜歯が物理的にできないです。
また、今のような急性症状を起こしている際に外科処置を行うことは、治癒の遅れや炎症の拡大の危険を伴いますので一般に行いません。
したがって、まずは抗生剤の服用等により、急性症状が落ち着いた段階で抜歯をすることになります。
もう一点、先ほどの回答の際に見落としていたのですが、
>現在も、口は開かない状態です。
とのことに関して、これは炎症が軟組織まで波及し、口の開け閉めに関わる筋肉を障害している可能性があります。
耳鼻科を既に受診されているということですが、明日以降も口が開かないのであれば、なんとか時間を作られて口腔外科を受診された方がよいと思います。
その必要性と緊急性は高いと思われます。
場合によっては、抜歯とは別に膿を外に出してやる応急処置が必要かもしれません。
いずれにしても、まずは口が開くようになってからの抜歯になると思います。
お仕事の都合等色々とお困りのこととは思います。
お大事になされてください。
相談者からの返信
相談者:
痛いさん
返信日時:2008-09-08 22:26:05
タイトル | 親知らずの炎症により、口が開かない。全身麻酔による抜歯は可能か? |
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質問者 | 痛いさん |
地域 | 非公開 |
年齢 | 28歳 |
性別 | 男性 |
職業 | 非公開 |
カテゴリ |
抜歯:8番(第三大臼歯、親知らず) 親知らずの抜歯 親知らずの痛み 全身麻酔 全身麻酔による親不知の抜歯 |
回答者 |
|
- 上記書き込みの内容は、回答当時のものです。
- 歯科医療は日々発展しますので、回答者の考え方が変わることもあります。
- 保険改正により、保険制度や保険点数が変わっていることもありますのでご注意ください。