回答1
湯浅です。
回答日時:2008-09-06 13:09:36
舌神経麻痺
ちょっと一般の方には、詳しすぎるかもしれません。
これだけ勉強したら、たぶん、一般の歯科医師より詳しすぎることになりますが、単なる知識として、不安を軽減するためにのみご利用ください。
これで、自己診断や、自己治療しないようにお願いします。
口腔外科医の診察が大切です。
○解剖学的に基礎から勉強したい:Evidence-based means of avoiding Lingual Nerve Injury following Mandibular Third Molar Extractions
http://www.dentalindia.com/lingual.html
○予測:舌神経の位置は、MRI、CTでも同定は、不可能です。
よって、舌神経の位置が異常の場合、一般的な術式でも麻痺の可能性はあります。
○頻度:Queral-Godoy Eらは、0.5%と報告。
実際の日本での発生率は、さらに低いです(他の神経も含めて、0.7%:)。
すなわち、0.1%以下と推測されます。
これでは、一般的に、術前に説明しないのが普通となります。
Queral-Godoy E, Figueiredo R, Valmaseda-Castellón E, Berini-Aytés L, Gay-Escoda C. Frequency and evolution of lingual nerve lesions following lower third molar extraction. J Oral Maxillofac Surg. 2006 Mar;64
(3):402-7.
染矢源治,瀬尾憲司,田中 裕,豊里 晃,山崎由美子 三叉神経の損傷と治療
http://www.dent.niigata-u.ac.jp/nds/journal/321/r321_someya.pdf
○本邦で少ない理由:歯の大きさが小さいので、抜歯の時に、舌側の歯肉を大きく剥離しない(Pogrel MA)。
また、海外では、舌方向へ、歯を倒すように抜いたりすることもある。
Pogrel MA, Goldman KE. Lingual flap retraction for third molar removal. J Oral Maxillofac Surg. 2004 Sep;62(9):1125-30
○予防:歯科臨床御法度/一覧 歯科臨床のインシデントレポートピットフォール
http://dentist.noblog.net/blog/index.html
には、舌側の歯肉を剥離してプロテクトとあるが、これを行うと、舌の麻痺(Gomes AC)や術後の嚥下痛が著しく強くなる(経験)。
Gomes AC, Vasconcelos BC, de Oliveira e Silva ED, da Silva LC. Lingual nerve damage after mandibular third molar surgery: a randomized clinical trial. J Oral Maxillofac Surg. 2005 Oct;63(10):1443-6.
○予後・治療法:画期的なのはありません。
時間が経つと徐々に改善(recovery)することが多いです。
舌神経でなく、下歯槽神経の研究で、1年以上すると、かなり改善したという論文があります
(舌神経の論文も同一著者であるけど、症例数が少ないので分析が困難と考えられる)。
Queral-Godoy E, Figueiredo R, Valmaseda-Castellón E, Berini-Aytés L, Gay-Escoda C. Frequency and evolution of lingual nerve lesions following lower third molar extraction. J Oral Maxillofac Surg. 2006 Mar;64
(3):402-7.
Queral-Godoy E, Valmaseda-Castellón E, Berini-Aytés L, Gay-Escoda C. Incidence and evolution of inferior alveolar nerve lesions following lower third molar extraction. Oral Surg Oral Med Oral Pathol Oral Radiol Endod. 2005 Mar;99(3):259-64.
・マイクロで舌神経を縫合:
http://ci.nii.ac.jp/naid/40015892837/
根来 健二 1 稲山 雅治 2 松本 隆司 他 3下顎第三大臼歯抜歯時に生じた舌神経損傷に対して顕微鏡下神経縫合を行った3例 Vol.54, No.2 (2008/2) pp. 64〜67日本口腔外科学会 ISSN:00215163
・レーザーで回復:
Ozen T, Orhan K, Gorur I, Ozturk A. Efficacy of low level laser therapy on neurosensory recovery after injury to the inferior alveolar nerve. Head Face Med. 2006 Feb 15;2:3.
http://www.head-face-med.com/content/2/1/3 Free
○経過観察について:モニターしていきましょうとあります。
Robinson PP, Loescher AR, Yates JM, Smith KG. Current management of damage to the inferior alveolar and lingual nerves as a result of removal of third molars. Br J Oral Maxillofac Surg. 2004 Aug;42(4):285-92.
○その他の情報検索:
(1)
http://www.meteo-intergate.com/journal/search.html
↑
こちらで、「舌神経 抜歯」を検索キーワードにしてください。
(2)
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/sites/entrez/
↑
こちらで、「lingual nerve mandibular third molar」を検索キーワードにしてください。
注意:神経麻痺は、その経過で、見解が異なることもあります。
よって、その時期によって、歯科医師のコメントが異なります。
いろいろな病院に行ったけど、言うことが異なるということになりますので、混乱されないようにしてください。
ちょっと一般の方には、詳しすぎるかもしれません。
これだけ勉強したら、たぶん、一般の歯科医師より詳しすぎることになりますが、単なる知識として、不安を軽減するためにのみご利用ください。
これで、自己診断や、自己治療しないようにお願いします。
口腔外科医の診察が大切です。
○解剖学的に基礎から勉強したい:Evidence-based means of avoiding Lingual Nerve Injury following Mandibular Third Molar Extractions
http://www.dentalindia.com/lingual.html
○予測:舌神経の位置は、MRI、CTでも同定は、不可能です。
よって、舌神経の位置が異常の場合、一般的な術式でも麻痺の可能性はあります。
○頻度:Queral-Godoy Eらは、0.5%と報告。
実際の日本での発生率は、さらに低いです(他の神経も含めて、0.7%:)。
すなわち、0.1%以下と推測されます。
これでは、一般的に、術前に説明しないのが普通となります。
Queral-Godoy E, Figueiredo R, Valmaseda-Castellón E, Berini-Aytés L, Gay-Escoda C. Frequency and evolution of lingual nerve lesions following lower third molar extraction. J Oral Maxillofac Surg. 2006 Mar;64
(3):402-7.
染矢源治,瀬尾憲司,田中 裕,豊里 晃,山崎由美子 三叉神経の損傷と治療
http://www.dent.niigata-u.ac.jp/nds/journal/321/r321_someya.pdf
○本邦で少ない理由:歯の大きさが小さいので、抜歯の時に、舌側の歯肉を大きく剥離しない(Pogrel MA)。
また、海外では、舌方向へ、歯を倒すように抜いたりすることもある。
Pogrel MA, Goldman KE. Lingual flap retraction for third molar removal. J Oral Maxillofac Surg. 2004 Sep;62(9):1125-30
○予防:歯科臨床御法度/一覧 歯科臨床のインシデントレポートピットフォール
http://dentist.noblog.net/blog/index.html
には、舌側の歯肉を剥離してプロテクトとあるが、これを行うと、舌の麻痺(Gomes AC)や術後の嚥下痛が著しく強くなる(経験)。
Gomes AC, Vasconcelos BC, de Oliveira e Silva ED, da Silva LC. Lingual nerve damage after mandibular third molar surgery: a randomized clinical trial. J Oral Maxillofac Surg. 2005 Oct;63(10):1443-6.
○予後・治療法:画期的なのはありません。
時間が経つと徐々に改善(recovery)することが多いです。
舌神経でなく、下歯槽神経の研究で、1年以上すると、かなり改善したという論文があります
(舌神経の論文も同一著者であるけど、症例数が少ないので分析が困難と考えられる)。
Queral-Godoy E, Figueiredo R, Valmaseda-Castellón E, Berini-Aytés L, Gay-Escoda C. Frequency and evolution of lingual nerve lesions following lower third molar extraction. J Oral Maxillofac Surg. 2006 Mar;64
(3):402-7.
Queral-Godoy E, Valmaseda-Castellón E, Berini-Aytés L, Gay-Escoda C. Incidence and evolution of inferior alveolar nerve lesions following lower third molar extraction. Oral Surg Oral Med Oral Pathol Oral Radiol Endod. 2005 Mar;99(3):259-64.
・マイクロで舌神経を縫合:
http://ci.nii.ac.jp/naid/40015892837/
根来 健二 1 稲山 雅治 2 松本 隆司 他 3下顎第三大臼歯抜歯時に生じた舌神経損傷に対して顕微鏡下神経縫合を行った3例 Vol.54, No.2 (2008/2) pp. 64〜67日本口腔外科学会 ISSN:00215163
・レーザーで回復:
Ozen T, Orhan K, Gorur I, Ozturk A. Efficacy of low level laser therapy on neurosensory recovery after injury to the inferior alveolar nerve. Head Face Med. 2006 Feb 15;2:3.
http://www.head-face-med.com/content/2/1/3 Free
○経過観察について:モニターしていきましょうとあります。
Robinson PP, Loescher AR, Yates JM, Smith KG. Current management of damage to the inferior alveolar and lingual nerves as a result of removal of third molars. Br J Oral Maxillofac Surg. 2004 Aug;42(4):285-92.
○その他の情報検索:
(1)
http://www.meteo-intergate.com/journal/search.html
↑
こちらで、「舌神経 抜歯」を検索キーワードにしてください。
(2)
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/sites/entrez/
↑
こちらで、「lingual nerve mandibular third molar」を検索キーワードにしてください。
注意:神経麻痺は、その経過で、見解が異なることもあります。
よって、その時期によって、歯科医師のコメントが異なります。
いろいろな病院に行ったけど、言うことが異なるということになりますので、混乱されないようにしてください。
タイトル | 親知らず抜歯後の味覚障害を引き起こす、舌神経麻痺についてのまとめ |
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質問者 | 湯浅 秀道さん |
地域 | |
年齢 | 44歳 |
性別 | 男性 |
職業 | |
カテゴリ |
抜歯後の痛み・異常・トラブル 抜歯:8番(第三大臼歯、親知らず) 親知らずの抜歯 口腔外科関連 親知らず抜歯後の後遺症・トラブル |
回答者 |
|
- 上記書き込みの内容は、回答当時のものです。
- 歯科医療は日々発展しますので、回答者の考え方が変わることもあります。
- 保険改正により、保険制度や保険点数が変わっていることもありますのでご注意ください。