アレルギーがあるため、MTAの種類や成分等について教えて下さい

相談者: 青海さん (33歳:女性)
投稿日時:2009-01-11 22:48:03
はじめまして、MTAの種類についてお伺いします。

先生に、酸化第二鉄のアレルギーがある事を相談したところ、MTAの成分中には入っていないので使えます。


こちらで紹介されているMTAの成分とは違うので、別タイプのMTAだと思います。


そこで、酸化第二鉄の入っていないMTAの特徴、全成分、成分比率について教えて頂けませんか?

以前、こちで坂田先生が仰っていた硬化時に、より膨張するタイプなのでしょうか?

歯根破折の治療に使われるようなので、破折部位への影響についても気になります。
ガッタパーチャは使用しません)


どうぞ宜しくお願い致します。


回答 回答1
  • 回答者
回答日時:2009-01-12 12:30:49
なるほど‥。

MTAセメントには2種類(ホワイトとグレー)がありまして、日本国内で通常入手可能なものはホワイトタイプになります。

ホワイトタイプの主要化学成分は酸化カルシウム、二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化第二鉄なのですが、グレータイプとの組成に違いがあるか‥。

MTAは井野先生が詳しいと思うので、井野先生の回答に期待しましょう(笑)。


グレータイプのMTAセメントは個人輸入しないと手に入らないと思いますが、そちらの先生は入手経路をお持ちなのかも知れませんね。

とすると、僕よりも詳しい先生と言う事になると思いますから、そちらの先生に直接聞かれた方が良いかも知れませんよ。

回答 回答2
  • 回答者
回答日時:2009-01-12 13:00:35
おおっ、出ましたね。
タイヨウ先生のムチャ振り。


私が知っている範囲で答えますね。
タイヨウ先生が言われるように、MTAにはホワイトタイプとグレータイプの2種類があります。

日本ではホワイトタイプのみ購入が可能です。

もしグレータイプと言うことになると、先生が海外の業者と取引しているはずです。


また酸化第二鉄ですが、ホワイトタイプには極少量含有されています。

グレータイプは取り扱い説明書がないので正確には言えませんが、グレータイプのMTAから鉄分成分を引いてホワイトタイプを作ったはずなので。
ホワイトタイプより多く入っている気がしますが・・・


手元にある資料で見ても、鉄酸化物はグレイタイプに多く含まれています・・・


基本的にグレーでもホワイトでも入っている物は同じだと思います。
組成は同じで、配合比率が異なるだけだと記憶しています。

ペンシル大学のキム教授が顕微鏡学会で来日された時に、配合比率の違いを成分分析のグラフで提示されていましたが。
Ca,Fe、Mgはグレータイプに多く含まれているというものでした。


ただ多くの論文はグレー、ホワイト性質上の大差はないとしています。
が臨床的に言えば微妙に感じが違うような感じがすると聞きます。

話がずれました^^;


>硬化時に、より膨張するタイプなのでしょうか?

どちらも膨張しますが、グレータイプの方が膨張率は大きかったと思います。
パーセントまでのデーターは忘れました^^;


歯根破折の治療に使われるようなので、破折部位への影響についても気になります。

これは???
破折へのMTAの使用は本来適応症ではないので。
破折線に沿って埋める先生もおられますが今のところ一般的な方法というよりトライケースですね。

学会誌には載っていましたが、この方法をしている先生は日本でもかなり限られると思います。



>全成分、成分比率について教えて頂けませんか?

これについては企業秘密で、我々歯科医師にも公開されておりません。

ポルトランドセメントを精製して配合を調節したものがMTAであり、ここを開示するとどこの企業も真似が直ぐに出来るので・・・
MTAは

デンツプライ三金
http://www.dentsply-sankin.com



酸化第二鉄のアレルギーはあまり聞いたことがないですし、入っていても極々微量なものなので入っていないと思われてしまうかもしれません。

極少量しか入っていない成分だと、私も見落としてしまうことがあります。


まず、先生にメーカーに問い合わせをしてもらい確認してもらった方がいいですよ。
 

相談者からの返信 相談者からの返信
相談者: 青海さん
返信日時:2009-01-12 22:12:12
タイヨウ先生、井野先生ご回答有難うございました。

>先生に直接聞かれた方が良いかも知れませんよ。

>先生にメーカーに問い合わせをしてもらい確認してもらった方が いいですよ。

タイヨウ先生、井野先生、仰ることはごもっともです。 
そうできたら一番いいのですが、きっぱりと

「入っていません。」

と、確認されたうえでのお答えだったので、この件でこれ以上はお伺いできそうにありません。
先生との関係が悪くなりそうで・・・
(気が弱いもので・・・)


>破折線に沿って埋める先生もおられますが今のところ一般的な方法というよりトライケースですね

こちらは今度詳しく伺ってみます。
丁寧なお答え感謝しております。


先生方、お忙しいところを有難うございました。
また、質問することもあるかと思いますが、その時はどうぞ宜しくお願い致します。
回答 回答3
  • 回答者
回答日時:2009-01-12 22:44:50
>そうできたら一番いいのですが、きっぱりと

>「入っていません。」

>と、確認されたうえでのお答えだったので、この件でこれ以上はお伺いできそうにありません。

お気持ちは分りますが、アレルギー問題があるのなら早目に聞いた方がいいです。

私も患者さんから指摘され気づかされることは色々あります。

アレルギーは出てしまうと長く悩まされます。
ですから、少し勇気を持って先生に話してください。


青海さんの場合アレルゲンが分かっているのですから^^
先生には、「Google」でたまたまMTAの記事が載っていてそれを見ていたら少し気になったのででいいです。

「MTA 酸化第2鉄」で検索
http://www.google.co.jp/search?sourceid=navclient&hl=ja&ie=UTF-8&rlz=1T4ADBR_jaJP306JP307&q=MTA%e3%80%80%e9%85%b8%e5%8c%96%e7%ac%ac%ef%bc%92%e9%89%84

これで話をしてみてください。
証拠は大丈夫ですよ^^


この問題は早めに解決しておかないと、後で大きくなる可能性を秘めていますので少し心配です。

今のままの不安な状態であれば、今後治療を受けていても不信感しか生まれないと思いますよ。


歯科医学とは日に日に色々な材料が発売され、私たちも色々調べないといけません。
たまたま私はこの分野のことを専門としているので、多少知識がある程度ですが、他のこととなると勘違い、知識が足りないところも多々あります。


このような患者さんからの相談で「はっ」と思うことも多々あります。

先生に言うことで「今のを注意深く観察しましょう」、「次の1手を考えましょう」など多少治療方針が変わるかもしれません。


もう1つ。
セカンドオピニオンなどのを大学の保存科方に行ってみるのもいいかもしれません。

MTAは一般開業医ではまだまだ一般的な材料ではありませんから。
 

回答 回答4
  • 回答者
坂田歯科医院(愛知県豊明市)の坂田です。
回答日時:2009-01-13 21:25:46
MTAの2種類に関しては、井野先生が話されていることくらいしか私にも分かりません。

MTAを歯根破折の治療に使用されるとのこと。。。
井野先生も話されているように、トライケースのように私も感じます。

私自身も破折のケースに使用したことがありますが、破折部分をかえって広げてしまったケースがあります。


参考までに。。。

相談者からの返信 相談者からの返信
相談者: 青海さん
返信日時:2009-01-13 21:33:11
井野先生、心に沁みるお言葉を頂いて、大変有り難く思って居ります。

担当の先生も、井野先生のようなお考えをお持ちなら良いのですが・・・

今まで、このように親身になって下さった先生に出会った事が無いので・・・


>今のままの不安な状態であれば、今後治療を受けていても不信感しか生まれないと思いますよ。

仰るとおりですね。
このままでは大きな不安を抱えたまま治療を受ける事になります。

井野先生のアドバイスに従い、担当の先生にもう一度伺ってみます。
(何とか勇気を振り絞って!)

その結果により、セカンドオピニオンも視野にいれ、考える事に致します。


本当に有難うございました。
相談者からの返信 相談者からの返信
相談者: 青海さん
返信日時:2009-01-13 22:45:34
坂田先生、ご回答有難うございました。
色々勉強させて頂いて居ります。


>破折部分をかえって広げてしまったケース

それはMTAの硬化時による膨張が原因という事ですね?
これはケースにより、抜歯になる可能性もでてきますか?

また、MTAセメントがいずれ、極々微量ながらも体内(口腔内)に溶け出る可能性はあるのでしょうか?

お忙しいとは存じますが、お答え頂ければ幸いです。
回答 回答5
  • 回答者
坂田歯科医院(愛知県豊明市)の坂田です。
回答日時:2009-01-14 12:45:31
多分、硬化時膨張により破折部分が広がったためと思われます。

でも、患者さんが動揺も痛みも患の周囲の歯肉のポケットの状態も3mm程度で治まっているので、今は予後観察しています。
術後半年ほど経過しています。


MTAセメントは、硬化が遅い材料です。
よって、口腔内には溶けだすと思います。

硬化した後のMTAの状態ですが、C/P比が1.45のNaやMgを含んだカルシウム欠損アパタイトで、骨や歯を構成するアパタイトと類似したものであるという論文も愛知学院から発表されています。


参考までに

相談者からの返信 相談者からの返信
相談者: 青海さん
返信日時:2009-01-14 13:59:37
坂田先生お返事有難うございました。

勉強不足で大変申し訳ありませんが


硬化後のMTAは生体親和性があるという事なのでしょうか?
硬化後、セメントが溶け出しても安全性が高いという事ですか??

参考までにとコメントして下さったのに理解不足ですみません。
ご回答頂ければ幸いです。
回答 回答6
  • 回答者
回答日時:2009-01-27 23:16:33
MTAのグレーとホワイトの違いですが、硬化時間が一時間ほど違うのと、水に対する溶解度が異なるようですね。


また、MTA自体の正体はいわゆるポートランドセメントです。 
モルタルの原料です。

ですので、水には溶けます。 
臨床的には溶けにくいと言われていますが 実際には水や体液の中の加水分解酵素によって溶ける可能性はあります。

回答 回答7
  • 回答者
回答日時:2009-01-28 13:05:27
ついでなので、もう少しだけ書いておきますね。

MTAのグレーは初期硬化に40〜60分、完全硬化に5〜6時間要します。

MTAのホワイトはこの硬化時間が1時間ほど長いです。

また、膨張もホワイトの方が大きいですし、溶解度もホワイトがグレーよりは大きな値を示しています。 


生体適合性に関してはマクロファージと繊維芽細胞に対する細胞障害性を報告している論文もありますが、多くの論文では、まぁ問題ないんじゃない?という報告になっているようです。


白もグレーも生体適合性に関しては差がないという報告もあれば、差があるという報告もあります。

それは、硬化した表面の形態の違いじゃないかな?と考察しているようです。

また、ある研究では硬化して28日以降のものでは、細胞に対する適合性をみると、初期のものに比べると表面での細胞増殖が低下することから、徐々に生体適合性の低下がおきるのでは?なんてことも報告されております。



ポートランドセメントに近いものなのですが、厳密にはポートランドセメントから重金属を省いて、清潔にして、内部の抗生物質の精査をしているので似て非なるものではあります。 

細かく言うと、ケイ酸セメントですね。  
ま、安全な材料ではあると思います。

相談者からの返信 相談者からの返信
相談者: 青海さん
返信日時:2009-02-04 16:52:26
タカタ先生、お返事が遅れ大変申し訳ありませんでした。

>多くの論文では、まぁ 問題ないんじゃない?という報告になっているようです。

新しい材料という事もあり不安もありましたが、様々な報告結果を拝見し、一応安全であるという事が分かり安心致しました。

又、丁寧なご回答を頂きましたこと感謝致して居ります。
本当にどうも有り難うございました。



なお、その後の報告ですが、再度、担当の先生にMTAセメントの成分について話をさせて頂きましたが、やはり鉄は入っていないとの事でした。

先生方には色々とご心配をおかけ致しました。



タイトル アレルギーがあるため、MTAの種類や成分等について教えて下さい
質問者 青海さん
地域 非公開
年齢 33歳
性別 女性
職業 非公開
カテゴリ アレルギーその他
材料・機材関連
歯科用材料によるアレルギー
MTA
回答者




  • 上記書き込みの内容は、回答当時のものです。
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