右上親知らずだけが残存の場合、どういう総入れ歯を作るべき?
相談者:
八郎さん (52歳:男性)
投稿日時:2009-09-08 01:44:27
回答1
山田歯科医院(兵庫県姫路市)の山田です。
回答日時:2009-09-08 06:23:36
八郎さまおはようございます。
1本だけ残った親知らずをどうするか、患者さんにとってはずいぶん深刻な問題だと思います。
現在この親知らずにクラスプをかけて義歯を維持しているのなら、おそらく抜きたくないと思っていらっしゃるのではないでしょうか。
義歯を維持するためには色々な条件があります、物を咬んだ時義歯がしっかり安定するような咬みあわせを作ることが出来るのなら、何でもバリバリ咬める入れ歯になるでしょう。
しかし右で咬めば左が浮いたり、左で咬めば右が浮くような入れ歯ではクラスプに頼らなければ義歯は外れてしまいます。
このような設計の入れ歯ならクラスプを掛けた歯(鈎歯)に過大な力がかかって鈎歯はいずれぐらついてくるでしょう、コーヌスにした所で同じです。
つまりかんだ時鈎歯で義歯の転覆を抑えようとすると、鈎歯はやがて負担過重でだめになります。
もうひとつ義歯の維持に大切なのは吸着力です、これは吸盤が吸い付く力と考えてください。
一本だけ歯が残っていると吸盤に穴が開いているのと同じです、従って吸着力はほとんどないといえるでしょう。
残りは義歯の接着力です、これは二枚のガラスの間に水を入れてくっつけるとぴったり接着しますねこれのことです、つまり義歯と粘膜との間に唾液が入ってくっついている状態です。
接着面積の大きさとと接着面がぴったりしているかどうかで決まります、従って歯が残っていてもほとんど関係がありません。
これを踏まえたうえでどうするかということになります、義歯にかかる力は咬む時に一番大きな力がかかります、従って咬んだ時義歯が転覆しないことが一番重要な条件です。
これは転覆テストで確かめて、転覆しないかみ合わせになるよう人工歯を配列します。
次いで咀嚼運動時に開口した時義歯が外れてくるようでは物を咬むことが出来ません、外れないようにするには吸着と接着とクラスプで維持させることになります。
此処で吸着で義歯を維持するのか、クラスプで維持するのかどちらかに頼ることになります。
しかしクラスプに頼ると八郎さまの場合は片方しかクラスプを掛けることが出来ないのと、歯を残しているので吸着力は少ないためクラスプがかかっているところ以外は外れてくると思います。
親知らずを抜歯して吸着に頼るような設計にすると、義歯全体で維持されるので片方だけくっついているようなことは無いでしょう。
しっかり何でも咬めて快適な義歯をどう作っていくかは他にも色々な要素が絡んでくるので、これだけで全てを解決できるわけではありませんが、この三つが少なくとも義歯の維持に関する基本的で一番重要な力学になります。
したがってこの様な義歯を安定させるための力学が分かっていれば、抜歯して総義歯になさるのが一番いいと思います。
参考になさってください。
山本式総義歯の性能判定表
http://www.yamadashika.jp/img/yamamoto_denture.pdf
1本だけ残った親知らずをどうするか、患者さんにとってはずいぶん深刻な問題だと思います。
現在この親知らずにクラスプをかけて義歯を維持しているのなら、おそらく抜きたくないと思っていらっしゃるのではないでしょうか。
義歯を維持するためには色々な条件があります、物を咬んだ時義歯がしっかり安定するような咬みあわせを作ることが出来るのなら、何でもバリバリ咬める入れ歯になるでしょう。
しかし右で咬めば左が浮いたり、左で咬めば右が浮くような入れ歯ではクラスプに頼らなければ義歯は外れてしまいます。
このような設計の入れ歯ならクラスプを掛けた歯(鈎歯)に過大な力がかかって鈎歯はいずれぐらついてくるでしょう、コーヌスにした所で同じです。
つまりかんだ時鈎歯で義歯の転覆を抑えようとすると、鈎歯はやがて負担過重でだめになります。
もうひとつ義歯の維持に大切なのは吸着力です、これは吸盤が吸い付く力と考えてください。
一本だけ歯が残っていると吸盤に穴が開いているのと同じです、従って吸着力はほとんどないといえるでしょう。
残りは義歯の接着力です、これは二枚のガラスの間に水を入れてくっつけるとぴったり接着しますねこれのことです、つまり義歯と粘膜との間に唾液が入ってくっついている状態です。
接着面積の大きさとと接着面がぴったりしているかどうかで決まります、従って歯が残っていてもほとんど関係がありません。
これを踏まえたうえでどうするかということになります、義歯にかかる力は咬む時に一番大きな力がかかります、従って咬んだ時義歯が転覆しないことが一番重要な条件です。
これは転覆テストで確かめて、転覆しないかみ合わせになるよう人工歯を配列します。
次いで咀嚼運動時に開口した時義歯が外れてくるようでは物を咬むことが出来ません、外れないようにするには吸着と接着とクラスプで維持させることになります。
此処で吸着で義歯を維持するのか、クラスプで維持するのかどちらかに頼ることになります。
しかしクラスプに頼ると八郎さまの場合は片方しかクラスプを掛けることが出来ないのと、歯を残しているので吸着力は少ないためクラスプがかかっているところ以外は外れてくると思います。
親知らずを抜歯して吸着に頼るような設計にすると、義歯全体で維持されるので片方だけくっついているようなことは無いでしょう。
しっかり何でも咬めて快適な義歯をどう作っていくかは他にも色々な要素が絡んでくるので、これだけで全てを解決できるわけではありませんが、この三つが少なくとも義歯の維持に関する基本的で一番重要な力学になります。
したがってこの様な義歯を安定させるための力学が分かっていれば、抜歯して総義歯になさるのが一番いいと思います。
参考になさってください。
山本式総義歯の性能判定表
http://www.yamadashika.jp/img/yamamoto_denture.pdf
相談者からの返信
相談者:
八郎さん
返信日時:2009-09-08 21:52:21
山田先生、詳細かつ平易な回答まことにありがとうございました。
とても参考になりました。
感謝いたします。
とても参考になりました。
感謝いたします。
タイトル | 右上親知らずだけが残存の場合、どういう総入れ歯を作るべき? |
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質問者 | 八郎さん |
地域 | 非公開 |
年齢 | 52歳 |
性別 | 男性 |
職業 | 非公開 |
カテゴリ | 総入れ歯 その他 |
回答者 |
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- 上記書き込みの内容は、回答当時のものです。
- 歯科医療は日々発展しますので、回答者の考え方が変わることもあります。
- 保険改正により、保険制度や保険点数が変わっていることもありますのでご注意ください。