既に金属冠がありますが、差し歯をすることでアレルギーが起こる可能性は?

相談者: ぽっちゃりさん (41歳:女性)
投稿日時:2009-10-07 15:43:33
初めて投稿させて頂きます。

1週間ほど前に硬いスルメをかじって、前歯(右上1番)を折ってしまいました(その前歯は、6年程前に虫歯にかかり神経を抜き治療済)。

その直後に、近隣の歯科にて仮歯を入れていただき、金属の土台及び差し歯の型を取る予定にしていました(保険適用内での治療予定)。


ところが、ホワイトゴールドのネックレスでかゆみが出たことがある旨伝えたところ、金属アレルギーがある場合には対応できないと断られてしまいました。

紹介された東京医科歯科大学アレルギー外来科に問い合わせたところ、検査待ちの方が込み合っているため、予約が先になり、検査にも数週間かかると言われました。

しかし、現在、保険診療内での治療済みのが複数本あり、少なくとも5本は金属で丸々覆われている状態です(右上6、左上6、右下6と7、左下6)。

治療時期は、歯によって5〜20年ほど前になると思います。



質問としては、

(1)すでに金属が治療に施されているのに、追加で金属を入れた場合にアレルギー反応を起こす可能性はそれほど高いでしょうか?

保険適用内治療でも、治療時期によっては、治療に使われる金属の含有物が異なることがありますか?


(2)多少のリスクはあるものの、アレルギー検査をせずに、治療を進める場合、保険適用内及び適用外のそれぞれの場合でどのような選択肢がありますでしょうか?

また、それぞれの治療についてのアドバイス(メリット・デメリット)をいただきたくお願いいたします。


以上、お手数ですがよろしくご回答いただきますようお願い申し上げます。


回答 回答1
  • 回答者
回答日時:2009-10-07 19:01:19
>(1)

アレルギーというものは、基本的に「いつ起こるかわからない」ものです。
ですから「今まで大丈夫だったからこれからも大丈夫」というものではありません。

身近なアレルギーの代表として「花粉症」があります。
時々いらっしゃいませんか「去年まで大丈夫だったのに、今年花粉症になっちゃったよ」と言う方。

歯科金属アレルギーも一緒です。


しかし、

>追加で金属を入れた場合にアレルギー反応を起こす可能性はそれほど高いでしょうか?

のご質問に回答するとすれば「そんなに高くは無いはず」という感じです。


保険適用内治療でも、治療時期によっては、治療に使われる金属の含有物が異なることがありますか?

金属メーカーによって微量な金属は異なりますから、当然、含有物は異なります。


>(2)

保険内では残念ながら前歯へのメタルフリー素材の適応はありません。
(前歯に硬質レジンジャケットクラウンって適応ですか?)


保険外であれば「ハイブリッドセラミックスジャケットクラウン」「(ジルコニアを含む)オールセラミックスクラウン」などが適応になると思います。


田尾先生のオヤジギャグも合わせて参考にされてください。
参考:クラウン、被せ物、差し歯

回答 回答2
  • 回答者
回答日時:2009-10-07 22:43:11
アレルギーを理解するためのイメージとして「コップの中に水を入れていって、溢れた時に発症する」という説明をしたりします。


・コップの大きさには個人差があります

花粉症の方でも発症する時期が違うのは、これで説明できます。
コップが大きな人は、かなり遅れて涙と鼻水が襲ってきます(>_<)


・入れていく水量によって発症する時期は変わります

原因となるものが多いよりは少ない方が遅くなるのは分かりますよね。


・コップに排水機能(!?)がついていたら、なかなか溢れません

「デトックス」なんて言われたりしているものです。
誰しもが多かれ少なかれ持ち合わせている機能だと思います。
漢方なんかでは、この機能を高めることで対応しようとしていますね。

・なにが「水」に相当するかは調べてみないと分かりません


花粉症だったら、スギ花粉とかブタクサ、イネとか・・・色々ありますよね。
なにがアレルギー源なのかを調べることは意味があると思います。


・原因となる「水」を止めても表面張力状態だったら・・・

原因を排除したからといって、症状が止まるとは限らないという意味です。
特に「排水機能」が弱っていたら・・・
(原因が他のものだったということもあるとは思いますが・・・)


>(前歯硬質レジンジャケットクラウンって適応ですか?)

適応できたように記憶しています。
(好んで使うことはないので、確かではありませんが・・・)

材質的には、タイヨウ先生が書かれた「ハイブリッドセラミックスジャケットクラウン」「オールセラミックスクラウン」の方がモノが良いのですが、その分治療費はかかります。

心配であれば、アレルギーの検査をされてから治療を受けられた方が安心できるかと思います。

回答 回答3
  • 回答者
回答日時:2009-10-08 09:52:21
吉岡先生の回答を拝見して感激してしまいました。

このように説明されると理解しやすいですね。


ぽっちゃりさんの悩みは金属アレルギーの原理が理解できていればおのずと答えが出てきそうですね。



それでは、私は吉岡先生のお話を少し掘り下げて、できるだけ詳しく『金属アレルギー』について御説明いたします。


金属アレルギーは、病気の中でもとても「個性的」な病気であると言うことが出来ます。

ひとつの物質に対してアレルギー反応を起こす人もあれば、全く反応しない人もいます。

これは、アレルギー全般に渡って言える事ですが、アレルギー反応が直ぐに現れる型のものと、5年とか10年後になっていきなりアレルギー反応が現れる場合があります。

歯科領域での金属アレルギーはかなり時間が経ってから反応が現れるパターンが多く、これが診断を難しくしたり、治療を遅らせる原因になっています。



さて、なぜ金属アレルギーが起こるのでしょうか?

金属そのものは生体に対して特別にアレルギーを起こす事はありません。

しかし、金属がイオンとなって溶け出し、体の中に存在するタンパク質と結合する事により、これを全く別の、本来体の中に存在しないタンパク質に変化させてしまいます。

こうして出来上がった新しいタンパク質は、生体にとって異物とみなされます。

人間の体には、本来あってはならない物質の進入を拒否し、これを排除しようとする作用があります。これを『免疫』と言うのはもう御存知の事と思います。



本来体内に存在しない種類のタンパク質は、生体にとって抗原とみなされ、これに対する抗体が作られます。

生体に異物が認識され、次回の侵入を防ぐために記憶されることを感作(かんさ)といいます。

一度感作されると、金属アレルギーは一生といってよいくらい長い間持続し、金属アレルギー自体の治療は著しく困難になります。

そして、再び同じ金属イオンが体内に微量でも侵入すると、その部位に抗原抗体反応を及ぼすだけでなく、全身の他の部位でも過剰反応を起こすと考えられています。



お口の中の金属アレルギーは、金属を使用してから数十年を経て突然発症することも多く、すぐに症状が現れるとは限りません。
原理は花粉症やアトピーと同じで、決して特殊なものではありません。

そのため、今現在、金属アレルギー反応のない方でも、お口の中の金属によって、アレルギーになってしまうおそれがあります。

言いかえると、お口の中に金属が存在し続ける以上、金属アレルギーになる危険性に常にさらされていることになります。

ただ、この抗原抗体反応は人によって違い、ある人は銅イオンに対して抗体を作ってしまい、別の人はニッケルイオンに対して抗体を作ってしまいますし、また全然抗体を作らない人もいます。

それこそ千差万別で、原因をはっきりと特定することをより難しくしています。



さて、解決策ですが、タイヨウ先生・吉岡先生と全く同じ意見です。

私は個人的には、ぽっちゃりさんのような患者さんには、
オールセラミックスクラウン
ジルコニアクラウン
をお勧めします。


今後の長い人生を考えた場合に、最も良い選択肢を選んで頂ける事を祈念いたします。

相談者からの返信 相談者からの返信
相談者: ぽっちゃりさん
返信日時:2009-10-08 10:53:02
タイヨウ先生、
吉岡先生、
坂上先生、

お忙しいところ、丁寧なご回答をいただきましてありがとうございました。
金属アレルギーについてとてもわかりやすくご説明をいただき、よく理解できました。


なによりも、通院した歯科医院に、金属アレルギーを持っていると、一般の歯科では対応できないように言われ、とても大変な治療になってしまうのではないかと不安を抱いていました。

先生方からのアドバイスをいただいたことでその不安も同時に払拭できたことはとても大きな喜びです。

心より感謝申し上げます。ありがとうございました。

アドバイスを参考に、早速治療に入りたいと思います。



タイトル 既に金属冠がありますが、差し歯をすることでアレルギーが起こる可能性は?
質問者 ぽっちゃりさん
地域 非公開
年齢 41歳
性別 女性
職業 非公開
カテゴリ 保険のクラウン(前歯:レジン)
その他(保険と保険外)
歯科金属アレルギー
回答者




  • 上記書き込みの内容は、回答当時のものです。
  • 歯科医療は日々発展しますので、回答者の考え方が変わることもあります。
  • 保険改正により、保険制度や保険点数が変わっていることもありますのでご注意ください。

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