いきなり再診で抜歯されてしまった。虫歯の進行速度と診断に疑問

相談者: Dr.Monkyさん (33歳:男性)
投稿日時:2009-12-19 13:02:19
このような相談が適切かどうかわからないのですが、相談させてください。

【状況】

今日、ある歯医者に行きました。
もともと私は、虫歯が少なく、歯医者に言った経験も成人するまでほとんどなかったのです。

ところが、7年ほど前に左下6番臼歯のみ、1本だけひどい虫歯(C3)になり、クラウンで補修していていました。

しかし、今年の半ばにそのクラウンが取れてしまいました。
どうしても仕事が多忙で歯医者に行く時間もなく、しかも以前の歯医者がひどい腕で、余りに痛かったので腰が引けていたのもありますが、しばらくほうっておいてしまい、かなり悪化してしまいました。

それで、家の近くの歯医者に勇気をしぼっていくことにしました。
壮年の先生はいかにもお医者さん、といった感じで、経験も自信もある感じで、初回の印象はとてもよい印象でした。
説明も非常に丁寧でわかりやすかったと思います。

の様子はかなり悪かったらしく、そのときの診断結果は、

「半分だけ割って抜いて、6番とブリッジか、インプラントだねえ。
インプラントはかなり良いけど保険外だから20万前後かかるし時間もかかるから、忙しいみたいだし、ブリッジが良いよ。
ただ健康な歯を削るからその辺は少しだけ被害あるねえ。。。
入れ歯はアンマリ薦めないから前者2者だね。
まあ、次まで考えておいて。」

といわれました。

健康な歯を削るのは抵抗ありましたが、抜くよりもマシと思い、2週間後の今日、再診すると、何の説明もなく、いきなり歯を抜かれてしまいました。

びっくりして聞くと、

「かなり虫歯が進行していたから、勝手に判断して、いきなり抜いてしまった。
最初に一声かけて説明しておけばよかった。
申し訳ない。」

と言って、本日の治療費は無料にしてはくれましたが。。。


私の質問は下記3点です。

【1】虫歯の進行およびその加速度について

なくした歯は戻っては来ないので、今更何を言っても仕方ないとは思いますが、2週間やそこらで虫歯とは一気に進行したり、診断結果が変わるものでしょうか?

私は、先生が自分の説明を忘れていたか、間違えたのだと思っています。

【2】自分のプライベートについての情報公開

私は、医者でも薬剤師でもないですが、工学部出身で、薬学分野(生物物理化学)での学位も取得しています。
その先生には無論そんなこと言いませんでしたが。
本サイトを拝見すると、自分も勉強していることを示すと良いようなことが書かれていました。

こういった場合、会話の中で、そういうところを言うのは吉でしょうか?

【3】客観的に見たこの先生の診療手順

おそらくミスだろうと思いますが、最後に歯を抜いてしまった以外、何かミスらしいミスはあるとお思いでしょうか?

以上、長文失礼しました。
よろしくのご回答お願い申し上げます。


回答 回答1
  • 回答者
回答日時:2009-12-19 13:38:14
こんにちは。
いきなりのことでびっくりされましたよね。

この文面から見た僕自身の意見です。


1:その全部抜歯になるか、半分根っこを残すかは紙一重です。
最初見たときに半分残るかな?と思っても、日を改めて見ると「やっぱりダメか?」と思うことはあります。

初診日は歯を切削したのでしょうか?
もし、そうでないならば軟化象牙質を削除して治療方針が変更になることはあります。

たとえX線写真を撮っていても実際目で見ないとはっきりしないことがあるので・・・。

このサイトでは歯科用CTを使いもっとしっかりした判断を下す先生がおられますが、一般の開業医までなかなか浸透していません。
それに歯科用CTは保険適用ではありません。

ひょっとしたら、先生は抜歯になるかもと言う腹づもりはあったかもしれません。
言葉に出さなかったかもしれませんが。

ヘミセクション歯根分割)した後のブリッジですが、よっぽどしっかり歯肉の管理をしないと歯の動揺につながり予後が悪くなることもあります。

その辺をみこしたのかな?

僕の想像です。


2:これは先生次第ですね。
先生の性格に絡んでくると思います。
患者さんと一緒に治していこうとする先生には手の内を見せてやっても良いとは思いますが、中にはかんに障る先生もいますので、ケースバイケースとおもいます。

知識を入れていて、言われたことに対して自分で判断されたらいかがでしょう?

要は患者さん、歯科医の信頼関係の問題ですよね。


3:個人的には特に落ち度はないと思います。
診療方針ですが最終的なものは決まっていても、ここの状態によって途中の処置、治療は絶えず変わります。
その範囲内ではないかと思うのですが。


歯科、大学病院には保存科、補綴科、口腔外科歯周病科、放射線科、麻酔科、小児歯科歯科矯正科、インプラント治療科などに細分化しています。

一般開業医は歯科、小児歯科、矯正科、口腔外科の4種類しか看板に掲げることはできません。

なので、卒後どこで何を学んできたかによってその先生の得意分野を生かそうとする傾向は出てきてしまいます。
基本の軸はありますが、先生によって治療方針というものは手順はかなり変わります。

抜歯された歯ですが、同じ状態で多数の先生が見てどういった判断を下すかは先生それぞれ違います。

抜歯せずにトライする方、ヘミセクションをする人、抜歯をして補綴処置に入る先生。
それぞれの考え方勉強してきた内容によって根本にある考えかたが変わります。

いずれにせよ、抜歯をされたのですからその後の治療はきちんと継続された方が良いと思います。
今の歯科医院でやるかそれとも他院でやるか、それはお任せします。

ご参考にしてください。

相談者からの返信 相談者からの返信
相談者: Dr.Monkyさん
返信日時:2009-12-19 14:10:34
田部修先生

丁寧なご回答ありがとうございます。
なるほど、納得できるものが多いです。

いくつかまた質問させてください。


1.へのご回答

>その全部抜歯になるか、半分根っこを残すかは紙一重です。
>最初見たときに半分残るかな?と思っても、日を改めて見ると「やっぱりダメか?」と思うことはあります。

なるほど・・・ご回答の意味から解釈するに、別に虫歯が進行したのではなくて、初診時点での印象の(データで言えば解釈)が異なったことによっておきたことというわけですね。
このあたりは数字で割り切れない部分だから難しいという解釈なのでしょうか?


>初診日は歯を切削したのでしょうか?
>もし、そうでないならば軟化象牙質を削除して治療方針が変更になることはあります。
>たとえX線写真を撮っていても実際目で見ないとはっきりしないことがあるので・・・

診断に用いた機器は、3〜5枚のX線写真(3次元方向から?専門的になんというかわからないのですが・・・)と拡大鏡(おそらくはX40倍くらいのデジタルマイクロスコープ広角。開口数不明)の画像でした。

診断の機器分析としては問題ないでしょうか?

ちなみに、少し歯は切削して、初診のときは仮の詰め物をしてもらいました。


>ヘミセクション歯根分割)した後のブリッジですが、よっぽどしっかり歯肉の管理をしないと歯の動揺につながり予後が悪くなることもあります。
>その辺をみこしたのかな?

歯肉の管理というのは、定期的に歯医者に通うという意味でしょうか?
確かにそういった意味では難しいですね・・・

ちなみに、予後は抜いてからのブリッジが大変いいと説明受けましたが、それは事実でしょうか?


2.について

ここで相談するのもすこしためらわれたのですが・・・仕事でも大学の先生などと渡りあうことも非常に多いので、おっしゃることは良くわかります。
このことは実際には相手を見て、ということでしょうね。


3.について

先生が見ても特に問題は見当たらないということですね。
客観性が確保されるなら、私はまったく問題ないとは考えています。
ただ、なれないもので、少しびっくりしましたので・・・
ちなみに先生もそのようなことはおありなのでしょうか?

いろいろ細かいようですが、お時間ありましたらよろしくお願い申し上げます。 
回答 回答2
  • 回答者
回答日時:2009-12-19 15:42:47
>このあたりは数字で割り切れない部分だから難しいという解釈なのでしょうか?

判断は難しいですよ。そりゃ。

残したけれど、やっぱり抜歯した方が良かったかなと思ったり、逆に残せることができたかもと振り返ることがある。
どういった状態だと保存不可能かと言うある程度の指標はありますが、臨床の場では教科書的なことが通用しない事は良くあります。


>診断の機器分析としては問題ないでしょうか?
>ちなみに、少しは切削して、初診のときは仮の詰め物をしてもらいました。

必要最小限の事はしているのではと思います。


歯肉の管理というのは、定期的に歯医者に通うという意味でしょうか?
>確かにそういった意味では難しいですね・・・
>ちなみに、予後は抜いてからのブリッジが大変いいと説明受けましたが、それは事実でしょうか?

抜歯をした後の処置は義歯、ブリッジ、インプラントの3種類しかありません。
その中から選択するしかありません。

この先生は義歯を選択から外しました。
なのでインプラントブリッジの者選択と言うことになるのでしょう。

何を使うかは先生の考え、患者さんの習慣、口腔内の状態等を考慮して決めます。
今回の場合ほとんどむし歯がない状態なので、私だとブリッジを勧めることを躊躇します。
その理由として健全な歯質を削合しなければならないからです。

それでは残りの義歯、インプラントですが義歯の場合ですと、両隣在歯に義歯を保持させるためのバネをかけなければいけません。
場合によってはバネのスペースを確保するために、1部削合をする事もあります。
ただ、粘膜が変形したり、バネがゆるんだりする事もあります。

残りのインプラントですが、ご存じの通り保険はききません。
口腔内の状態等が悪い方にはおすすめできません。
さらに、術後メンテナンスに通う必要があります。

以上のことを総合的に考え、どれが良いか答えを出していきます。
学問的に何が良いか歯決まっていても、各々の状態にその考えが該当するとは言えません。
それが臨床だと思います。


>ちなみに先生もそのようなことはおありなのでしょうか?

急に抜歯のことでしょうか?

残そうと努力をしていて、「やっぱりダメだね、抜歯します。」と治療中に変更することはあります。

その時はあらかじめ、「ダメで元々ですよ!」と話しておきます。
そういった場合まず、「お願いします。」という返事が来ます。

どうしても抜歯が嫌な方は他の先生を当たってもらいます。

回答 回答3
  • 回答者
回答日時:2009-12-19 16:48:25
なるほど…。
全体的に見れば「ごく一般的に行われていること」だと思います。

ただ、抜歯と説明の順序が変わってしまっただけなのかな?と言う感じ。
(後出しジャンケンみたいな…)



僕は初診時に、患者さんのお口の中に手を入れることはほとんどありません。
(急を要する場合を除く)

レントゲンの解説や大まかな治療計画、また、インプラントブリッジなどの処置が必要な場合にはそれらのメリットデメリットの提示などで初回は終わってしまう事がほとんどです。

2回目に実際のお口の中を見て、前回の説明と照らし合わせ、食い違っている所や新たな問題点があれば追加の説明をします。

問題が無ければ治療を開始しますが、そうでない場合には再度、説明の時間となります。

この説明でご理解いただけない場合にはさらに2度3度相談の時間をとることもあります。

広く言われている「インフォームドコンセント(説明と同意)」に必要なのは、「説得」ではなく「納得」だと思っているからです。

また、さまざまな治療法を提示することで患者さん自身が考え、選択肢を選ぶ「インフォームドチョイス(説明の上での選択)」を提供したいと考えています。

もちろん、必要に応じてCT撮影やマイクロスコープによる口腔内診査、口腔内写真を撮ったりもします。



しかし、これは僕が

保険診療を行っていない
・1時間に一人の患者さんしか診ない

だから出来る事で、通常の保険診療において、また、1時間に複数名の患者さんを診なければいけない、一般的な歯科診療所で成立させるのは非常に難しいことだと思います。
(逆を言えば、こうしたいから保険医療機関を辞退したのですから)

上述したような2度目3度目の相談においても(治療をしなくとも)相談料はいただいております。


それらを踏まえた上で

>【1】

田部先生と同じです。
治療の流れの中で、初診時と実際に見た時で治療方針を変更せざるを得ないことはあります。
たまたま、それが「後出しジャンケン」になってしまったのではないかと思います。


>【2】

これも田部先生と同じです。
担当の先生のキャラクター次第ではないでしょうか。

僕は患者さんの仕事内容を聞くことが多々あります。
医学的な専門知識をお持ちの方には専門用語で話をした方が理解が早いですし、そうでなければできるだけわかりやすい言葉を選んで話をします。


>【3】

Dr.Monkyさん自身も書かれているとおり

>客観性が確保されるなら、私はまったく問題ないとは考えています。

であれば、問題ないと思います。


田部先生も書かれていますが「今の歯科医院でやるかそれとも他院でやるか、それはお任せします。」だと思います。


偉そうに僕の診療スタイルを書きましたが、患者さんによっては「痛いんだから、つべこべ言わず早くやってくれ!」と言う方もいらっしゃいますし、逆に「これでもか」と言うくらい話をしないと納得してくださらない方もいらっしゃいます。


医療は、特に歯科治療は「担当の先生との相性」と言うのが、最も大切な事だと思います。
Dr.Monkyさんが「今の先生でも満足」と言う事であれば、継続されても良いと思います。
「いや、もうちょっと、説明をしっかりしてほしい」と思うのであれば、他の先生を捜されれば良いし…。


いずれにしても治療は最後まで行うようにされてください。

お大事にどうぞ。

相談者からの返信 相談者からの返信
相談者: Dr.Monkyさん
返信日時:2009-12-20 00:12:55
田部先生
タイヨウ先生

ご回答ありがとうございます。
後出しじゃんけんになったことは、そうなんでしょうね。

しかし、この先生は初診時にリーマーなどで結構削ったりして、かなり検査に時間はかけてもらっていたので、その判断には間違いないのかな?と思ったりしています。

別に人間のすることですから、間違いもあるし、印象の違いもあるし、その点は、ある意味仕方がないと思ってはいます。

いずれにせよ、なくしてしまったものではあるので、もう元に戻らないとは思うのですが、20年以上、一緒にやってきた体の一部に、急に別れを告げさせられたというところが悲しいということでもあります。

ただ、忙しいの一言で、その感情を片付けられるのは少し不条理な気もしますね。
M.Dが多忙なのは知っているつもりですが。。。

いずれにせよ、その後の対応も別に問題ないので治療はこの先生でやろうとは考えています。
ほかの先生のところに行っても多分同じだった可能性も高いでしょうし。

今後の対応(先生への)で何かアドバイスいただけたらお願いします。
回答 回答4
  • 回答者
回答日時:2009-12-20 14:03:58
ちょっとポイントがずれているかもしれませんが、一つだけ。。

虫歯が出来る出来ないは、生活習慣によって結構左右されます。

今まで全然虫歯がなかったのに・・・と思われるかもしれませんが、逆に言うと、今になって虫歯が出来てしまう環境が出来上がったと考えることが出来ます。

したがって、既に失われてしまったことよりも、今後ののことを考えるべきだと思います。

今は、虫歯も歯周病もちゃんとした予防をすればほぼ防ぐことが出来る疾病になってきましたので、是非、その辺のご相談を、先生とされてくださいね!!

回答 回答5
  • 回答者
回答日時:2009-12-20 22:40:02
こんばんは。

まず、欠損部分をどのように修復するか良く話し合ってお決めください。

年齢からして、これからは歯周病に対しても気をつかわなければなりません。

中山先生が書かれているように、お口の中の管理について改めて考え直してはいかがでしょう。

正しいブラッシングを会得して、定期的なメンテナンスを受けられてはいかがでしょう。

回答 回答6
  • 回答者
回答日時:2009-12-21 09:13:15
> 今後の対応(先生への)で何かアドバイスいただけたらお願いします。

田部先生も書かれていますが、

「欠損部分をどのように修復するか良く話し合ってお決めください。」

が再出発点になると思います。。
しっかりと時間をとってもらいましょう。

現状で考えられる補綴方法は

1 部分入れ歯
2 ブリッジ
3 インプラント
(4 歯牙移植

しかありません。


特に、インプラントや審美を考えたブリッジに関しては保険外診療になります。
前後のが健全歯であれば僕は間違いなくインプラントを勧めます。

当然、今後は「後出しジャンケン」を避けなければなりませんので、ディスカッションの時間は必要だと思います。

ディスカッションの中で担当の先生と「合わないかな?」と言う感じであれば、セカンドオピニオンを求められるのも手かと思います。



インプラントを行うにしても、ブリッジを行うにしてもこれからの歯科医院との関係は「予防も含めたメインテナンス」が重要になってきます。

「インプラントはメインテナンスが大変(面倒)」と言う書き込みを見ますが、正直言って間違った意見だと思います。

「インプラントだからメインテナンスが大切」なのではなく、インプラントだろうが、ブリッジだろうが、最も大切なのは「天然歯のメインテナンス」です。



つまり、中山先生、田部先生の書かれている

「今後の歯のことを考えるべきだと思います。」
「お口の中の管理について改めて考え直してはいかがでしょう。」

は、なにもポイントがずれているのではなく、再出発点は「今後の補綴方法」だとしても、その先には「今後の口腔内の管理を任せられる歯科医院」と言うものを探す必要があるという事です。

今後、歯医者さんとは長い付き合いになるはずですから、今回のことを踏まえた上で安心して任せられる歯科医院を捜されてください。
(もちろん、現在の先生と相性が良ければそれはそれで良い事なのですが…)




タイトル いきなり再診で抜歯されてしまった。虫歯の進行速度と診断に疑問
質問者 Dr.Monkyさん
地域 非公開
年齢 33歳
性別 男性
職業 非公開
カテゴリ 虫歯、根の病気で抜けた・抜く予定
抜歯:6番(第一大臼歯)
歯医者への不信感
その他(診断)
クラウンが取れた・外れた
回答者




  • 上記書き込みの内容は、回答当時のものです。
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