虫歯予防のフッ素をなぜ何回も塗るのですか?
相談者:
みなみママさん (53歳:女性)
投稿日時:2010-09-10 11:28:19
回答1
ネクスト・デンタル(荒川区西日暮里)の櫻井です。
回答日時:2010-09-10 11:55:08
おそらく「年に2、3回塗る」と言う事は「高濃度フッ素を用いた予防法」であると思います。
歯は食事をする事で酸性にさらされ、脱灰します。
その後、唾液の緩衝作用により中性に戻り、唾液中のリン酸カルシウムにより再石灰化されます。
つまり、歯は常に脱灰と再石灰化を繰り返し、バランスを保っているわけです。
このバランスが崩れ、脱灰の方が早く進むと虫歯と言う事になります。
高濃度フッ素塗布を行う事で、歯の表面近くにフッ化カルシウムが形成されます。
その後の反応で、エナメル質のリン酸カルシウム(=ハイドロキシアパタイト)のOH基がF基に置換されフルオロアパタイト、またはハイドロキシフルオロアパタイトに変わる事で高い耐酸性を発揮し、齲蝕予防効果を発揮します。
Ca10(PO4)6(OH)2 → Ca10(PO4)6F2
つまり、歯科に応用される「フッ素」とは自動車やフライパンなどに応用される「フッ素コート」ではなく、歯のエナメル質を化学的に変化させて齲蝕予防をしているのです。
最初に書きましたが、歯は常に脱灰と再石灰化を繰り返していますから、「一回塗れば一生効果がある」と言うわけにはいかないのです。
ご理解いただけましたでしょうか?
補足としては日常のセルフケアとして「低濃度フッ素」を応用する事で、脱灰の抑制と再石灰化を促進させ、齲蝕予防とする事が可能です。
また、低濃度フッ素は唾液中のフッ素を補う事でエナメル質表面のフッ素濃度の維持にも関与します。
日常の低濃度フッ素と年に2〜3回の高濃度フッ素を組み合わせる事で齲蝕予防には効果を発揮する物と考えられます。
参考
・フルオロアパタイト
・フッ素で虫歯予防!
歯は食事をする事で酸性にさらされ、脱灰します。
その後、唾液の緩衝作用により中性に戻り、唾液中のリン酸カルシウムにより再石灰化されます。
つまり、歯は常に脱灰と再石灰化を繰り返し、バランスを保っているわけです。
このバランスが崩れ、脱灰の方が早く進むと虫歯と言う事になります。
高濃度フッ素塗布を行う事で、歯の表面近くにフッ化カルシウムが形成されます。
その後の反応で、エナメル質のリン酸カルシウム(=ハイドロキシアパタイト)のOH基がF基に置換されフルオロアパタイト、またはハイドロキシフルオロアパタイトに変わる事で高い耐酸性を発揮し、齲蝕予防効果を発揮します。
Ca10(PO4)6(OH)2 → Ca10(PO4)6F2
つまり、歯科に応用される「フッ素」とは自動車やフライパンなどに応用される「フッ素コート」ではなく、歯のエナメル質を化学的に変化させて齲蝕予防をしているのです。
最初に書きましたが、歯は常に脱灰と再石灰化を繰り返していますから、「一回塗れば一生効果がある」と言うわけにはいかないのです。
ご理解いただけましたでしょうか?
補足としては日常のセルフケアとして「低濃度フッ素」を応用する事で、脱灰の抑制と再石灰化を促進させ、齲蝕予防とする事が可能です。
また、低濃度フッ素は唾液中のフッ素を補う事でエナメル質表面のフッ素濃度の維持にも関与します。
日常の低濃度フッ素と年に2〜3回の高濃度フッ素を組み合わせる事で齲蝕予防には効果を発揮する物と考えられます。
参考
・フルオロアパタイト
・フッ素で虫歯予防!
回答2
大野歯科医院(群馬県前橋市)の大野です。
回答日時:2010-09-10 12:06:12
タイヨウ先生のコメントに加えて、高濃度と低濃度のフッ化物では、低濃度の方が大切といわれています。
つまり歯科医院で塗る「フッ素」はあくまで補助的なもので、メインは歯磨きペーストに入っている低濃度のフッ素だと思ってください。
ただし、虫歯になりやすい患者さんにとっては、高濃度のフッ化物を塗ることは、決して悪いことではありません。
つまり歯科医院で塗る「フッ素」はあくまで補助的なもので、メインは歯磨きペーストに入っている低濃度のフッ素だと思ってください。
ただし、虫歯になりやすい患者さんにとっては、高濃度のフッ化物を塗ることは、決して悪いことではありません。
回答3
ネクスト・デンタル(荒川区西日暮里)の櫻井です。
回答日時:2010-09-10 12:29:49
フッ素コートについてチョット調べてみました。
簡単に言えば「フッ素、フッ素」とは言いますが、工業界で言われるフッ素はポリテトラフルオロエチレン(商品名テフロン)などの「フッ素樹脂」を「コーティングする事」を指します。
歯科界で言うフッ素はフッ化ナトリウムやフッ化第一スズ、モノフルオロリン酸ナトリウムなどの「フッ化物」を塗布して「歯質改善する物」を指します。
汚れが付きにくいなど、似たような作用はあるにしても、全く異なるフッ素であると言う事をご理解ください。
簡単に言えば「フッ素、フッ素」とは言いますが、工業界で言われるフッ素はポリテトラフルオロエチレン(商品名テフロン)などの「フッ素樹脂」を「コーティングする事」を指します。
歯科界で言うフッ素はフッ化ナトリウムやフッ化第一スズ、モノフルオロリン酸ナトリウムなどの「フッ化物」を塗布して「歯質改善する物」を指します。
汚れが付きにくいなど、似たような作用はあるにしても、全く異なるフッ素であると言う事をご理解ください。
相談者からの返信
相談者:
みなみママさん
返信日時:2010-09-10 12:41:24
こんにちは
早速のご回答有難うございます。
つまり、歯の表面がフルオロアパタイトに変わる事で高い耐酸性を発揮しても、結局、脱灰と再石灰化を繰り返して元のハイドロキシアパタイトに戻ると言う事でしょうか?
ハイドロキシアパタイトは安定したものではないんですね。
また、その効果期間は科学的に何ヶ月と言われてるのでしょうか?
よろしくお願いします。
早速のご回答有難うございます。
つまり、歯の表面がフルオロアパタイトに変わる事で高い耐酸性を発揮しても、結局、脱灰と再石灰化を繰り返して元のハイドロキシアパタイトに戻ると言う事でしょうか?
ハイドロキシアパタイトは安定したものではないんですね。
また、その効果期間は科学的に何ヶ月と言われてるのでしょうか?
よろしくお願いします。
回答4
ネクスト・デンタル(荒川区西日暮里)の櫻井です。
回答日時:2010-09-10 13:56:07
僕の調べ方が悪いのかもしれませんが、「高濃度フッ素の効果は何カ月持続する」と言う文献は見つかりませんでした。
過度の高濃度フッ素は「フッ素症」を呈する事があるとされていますので、それを基準に年に2〜3回とされているのではないかと思います。
参考
日本歯科医師会 テーマパーク8020
・http://www.jda.or.jp/park/prevent/index05_09.html#001
・http://www.jda.or.jp/park/prevent/index05.html#01
過度の高濃度フッ素は「フッ素症」を呈する事があるとされていますので、それを基準に年に2〜3回とされているのではないかと思います。
参考
日本歯科医師会 テーマパーク8020
・http://www.jda.or.jp/park/prevent/index05_09.html#001
・http://www.jda.or.jp/park/prevent/index05.html#01
相談者からの返信
相談者:
みなみママさん
返信日時:2010-09-10 14:29:38
回答5
回答日時:2010-09-10 17:28:36
解決した風ですが・・・
ハイドロキシアパタイト(HAP)とフルオロアパタイト(FAP)とでは、唾液中の飽和溶解度が違うと教わったのを記憶しています。
(溶解度の具体的数値は忘れました、ノートを見れば分かるかも)
なので、フルオロアパタイト化しておくことは、脱灰させにくくする効果があると思います。
ただし、唾液中のフッ素イオン濃度が低い場合、再石灰化する際にフルオロアパタイトではなく、ハイドロキシアパタイトとして再石灰化することは理論上考えられます。
大野先生が書かれた「日々の低濃度フッ素利用」には、フルオロアパタイトとして再石灰化させるという目的が考えられます。
ちなみに、脱灰や再石灰化のスピードは口腔内pHや唾液分泌量、唾液のpH緩衝能力、カルシウムやリン酸イオンの溶解度などによっても左右されるかと思われるので、効果や持続性には個人差があると思います。
個々の状況に応じて(専門家の判断で)上手にフッ化物を利用するのが良いと思います。
参考までに
ハイドロキシアパタイト(HAP)とフルオロアパタイト(FAP)とでは、唾液中の飽和溶解度が違うと教わったのを記憶しています。
(溶解度の具体的数値は忘れました、ノートを見れば分かるかも)
なので、フルオロアパタイト化しておくことは、脱灰させにくくする効果があると思います。
ただし、唾液中のフッ素イオン濃度が低い場合、再石灰化する際にフルオロアパタイトではなく、ハイドロキシアパタイトとして再石灰化することは理論上考えられます。
大野先生が書かれた「日々の低濃度フッ素利用」には、フルオロアパタイトとして再石灰化させるという目的が考えられます。
ちなみに、脱灰や再石灰化のスピードは口腔内pHや唾液分泌量、唾液のpH緩衝能力、カルシウムやリン酸イオンの溶解度などによっても左右されるかと思われるので、効果や持続性には個人差があると思います。
個々の状況に応じて(専門家の判断で)上手にフッ化物を利用するのが良いと思います。
参考までに
相談者からの返信
相談者:
みなみママさん
返信日時:2010-09-14 23:48:05
どうも有り難うございます。
タイトル | 虫歯予防のフッ素をなぜ何回も塗るのですか? |
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質問者 | みなみママさん |
地域 | 非公開 |
年齢 | 53歳 |
性別 | 女性 |
職業 | 非公開 |
カテゴリ |
虫歯予防 フッ素 子供の虫歯予防 |
回答者 |
- 上記書き込みの内容は、回答当時のものです。
- 歯科医療は日々発展しますので、回答者の考え方が変わることもあります。
- 保険改正により、保険制度や保険点数が変わっていることもありますのでご注意ください。