歯列矯正をした歯としない歯では、歯の寿命に差はありますか?

相談者: いろはかるたさん (29歳:女性)
投稿日時:2011-06-10 10:12:30
現在、歯列矯正をするかしないかで迷っています。
現状は上左右1番が出っ歯、下左右1,2番ががたがたです。
どちらも生えきらない親知らずによって押されて徐々に動いています。

歯列矯正をするとなると、親知らずと上下4番を4本とも抜歯と言われました。
現在まで虫歯になったことがないので、親知らずはまだしも4本抜歯に非常に抵抗があります。

歯列矯正をした歯としない歯では、歯自体の寿命は違うのでしょうか。

歯並びの悪い歯では、抜けやすい等のデータはあるのでしょうか。
矯正をした歯は、将来的にずっと問題なく使用できるのでしょうか。
再矯正等のお話しもここでよく見聞きするのですが、よくあることでしょうか。

上下4番の4本抜歯はよくあることのようですが、その弊害等はないのでしょうか。

よろしくお願いします。


回答 回答1
  • 回答者
回答日時:2011-06-10 10:25:19
全顎の矯正治療は、”審美目的”が主たるものです。

ただ、歯がグッチャグチャに乱杭歯の場合は、清掃性の向上目的に矯正をする場合もあります。
この場合は、虫歯歯周病の予防の意味があります。

外科矯正をすると、睡眠時無呼吸症候群が改善されることもあります。

回答 回答2
  • 回答者
回答日時:2011-06-10 11:25:51
審美性が主たるものではありません。
絶対に違います!

清掃性の向上は大事な目的です。
これだけで寿命は大きく延びるでしょう。

あとは、それぞれの歯にはそれぞれの役割があるので、しっかりと役割を果たし、機能させるために配列するのです。

アゴの大きさには個々で限界があるので、そのためには抜歯をする事もやむをえない場合があります。
そう判断された場合は、抜歯する事で、他の歯を守っていくものと考えた方がいいでしょう。

抜歯、非抜歯の判断は歯のガタガタの度合い、上下歯列の前後的な関係、口元の突出感、アゴの位置関係などを総合的に見て決定します。

非抜歯という聞こえのいい方法に拘るあまり、全体像も見えずにトラブルになるケースも多いのですよ。

ここでの相談はこれが原因によるトラブルが多いように感じます。

こんな事書くとなんでも抜いてしまうように解釈されそうですが、私はできるだけ抜きたくない派です。

ご自分が納得してから治療を受けて下さいね。

回答 回答3
  • 回答者
回答日時:2011-06-10 11:53:12
審美性が主たるもので無いとすると、主たるものはなんなのでしょう?

顎変形症などの場合には保険適用ですが、保険適用でない理由を関東圏のとある矯正科の教授2名に

「理想咬合などを語るとややこしくなるので、それ以外で審美目的を除外したときに成人の全顎矯正を絶対にしなければいけない理由は?」

と問いただしところ、

MTMLOT等の部分矯正には理由はあるが、全顎矯正には理由が無いかもしれない」

と回答を頂いたのでそのように理解していたのですが、間違っていたらご指摘ください。

回答 回答4
  • 回答者
回答日時:2011-06-10 14:30:07
歯列矯正をした歯としない歯では、歯自体の寿命は違うのでしょうか。
歯並びの悪い歯では、抜けやすい等のデータはあるのでしょうか。

現在ある医学的データーでは、オープンバイトなどごく一部のケースをのぞいては、歯自体の寿命には影響ありません。

歯並びがよくなって、歯磨きがしやすくなるので、寿命が延びるような気がしますが、実際統計を取ってみると、かわらないということですね。

回答 回答5
  • 回答者
藤森歯科クリニック(兵庫県西宮市)の藤森です。
回答日時:2011-06-10 15:24:33
>実際統計を取ってみると、かわらないといことですね。


小牧SD先生

是非、参考文献を教えてください。
以前興味を持って少し捜してみたのですが、分らなかったものですから。
そう言われるとそんなものかもしれませんね。

回答 回答6
  • 回答者
回答日時:2011-06-10 17:01:52
>是非、参考文献を教えてください。
>以前興味を持って少し捜してみたのですが、分らなかったものですから。
>そう言われるとそんなものかもしれませんね。


臨床をしていると、歯列不正があって、虫歯歯周病があるようなケースに出会うと、歯列不正のせいだと思ってしまうんですが、歯列不正があっても健康な人はたくさんいますし、総数だけで比較すれば、歯列不正のないところの法が圧倒的に虫歯や歯周病の数は多いと思います。

私自身も、右下の小臼歯が、内側に大きく倒れており、歯磨きが非常にしずづらいのに虫歯にも歯周病にもなっていません。
ちなみに、子供の頃に虫歯の治療をした跡が10本ほどあります。
歯周病は問題ありません。


藤森先生、文献は今手元に1つしか確認できませんでしたが、後でメールします。

回答 回答7
  • 回答者
藤森歯科クリニック(兵庫県西宮市)の藤森です。
回答日時:2011-06-10 17:20:23
小牧SD先生の博学ぶりはいつもの事で、今更あまり驚きませんが・・。

けれども、矯正治療審美を得られる面は大きいかもしれませんね。

”これから2年間程の辛抱により、一生の笑顔が得られるかもしれません”

相談者からの返信 相談者からの返信
相談者: いろはかるたさん
返信日時:2011-06-10 17:41:27
質問者いろはかるたです。


>タカタ先生
審美目的を除外したときに、成人の全顎矯正を絶対にしなければいけない理由は?

という設問が、わたしがもやもやしていたものだということに気付きました。
ありがとうございます。

わたし自身は、歯並びが気になって劣等感を抱えるとか笑えないとか、そういう気持ちはありません。
ただ純粋に、現在まで虫歯にならなかった自分の歯で、生涯生きるために、歯列矯正をする必要があるのかどうかという点を悩んでいます。



>大原先生
4本も問題のない歯を抜くことを、他の歯を守るための抜歯と理由付けするためには、相当な有意差のあるデータが必要だと考えます。
盲目的に非抜歯がよいと感じているわけではなくて、何故抜かなければならないのかを、歯を並べるためのいう理由以外に持ちたいのです。



>小牧先生
文献があるというお話し、ありがとうございます。
歯学関係の論文は、どこで探せばいいのかわからなかったもので・・・
歯磨きがしやすいから、虫歯にも歯周病にもならないという説はいろいろなところで見かけますが、それらのケアをちゃんとしていれば、歯並びはそれほど問題にならないということでしょうか。

わたし自身は親が罹患していることもあり、歯周病の危険性を感じています。



>藤森先生
時間だけでなく費用の問題もあり、悩んでいます。
100万の投資が、自分の歯を生涯使うことに有利なのかどうか、という問題です。
回答 回答8
  • 回答者
伊藤矯正歯科クリニック(名古屋市中区)の伊藤です。



※2013年9月14日までは伊藤和明先生、それ以降は伊藤雅大先生がご回答されています。
回答日時:2011-06-10 18:07:33
東京歯科大学宮崎先生、茂木先生らの8020達成者の一連の研究では、(アングルT級で)すべて正被蓋で、反対咬合開咬はほとんどなかった。

オーバージェットやオーバーバイトは平均値より大きかったが、加齢現象を考えるとおそらく若いころは正常であったのではないか。さらに上顎前歯部の叢生は少なく、下顎前歯部はやや叢生が多かったが、その量は中等度であった。
などと結論付けております。

歯並びだけでなく、前歯突出による口唇閉鎖機能不全がある症例は、舌突出癖も伴っていることが多く、下顎前歯舌側に歯石沈着が多いという臨床的実感はあります。

これらは現在のEBMには耐えられないかもしれませんが、臨床研究というのはEBMに則った研究がしにくく、一面からだけの研究が多いような気がします。

徹底的な口腔ケアができる人は、どんな条件でも歯の長期保存は可能かもしれませんが、現実がそうではないことも事実でしょう。


現実の患者さんの第一主訴が、審美障害だということには異論ありません。


文献検索が苦手な街の矯正医の自己弁護的な意見だということは承知しています。

回答 回答9
  • 回答者
回答日時:2011-06-10 18:23:32
歯を守ることが目的なら、矯正は第一選択では無いと思います。

ただ、矯正を行うことにより審美性を良くして、清掃性をより高めることは可能だと思いますので、矯正も選択肢の一つとして検討の価値はあると思います。

抜歯・非抜歯に関しては、たとえ矯正で抜歯をしたとしても、矯正を行うことできっちりかみ合う歯の数が増えれば機能的にはプラスになると思います。

(ただし、将来歯が抜けたときに、ブリッジ義歯の支えになる歯の本数が減るという考え方もできます)

あと、矯正のデメリットを考えるのであれば、矯正中は虫歯になりやすいので慎重なケアが必要なことと、装置をつけないといけないこと、料金等でしょうか?

僕自身は非抜歯で矯正していますが、最初から理想的な状態にはならないことを了解した上で、「可能な範囲で」ということで行ってもらいました。

理由は、僕の場合は完璧を求めると顎の骨きりが必要だったので、そこまではしなくていいかな・・・という判断からです。

何が正しいかは文献だけではなく、ご自身の希望・価値観というものも大きな要素ですから、先生とよく相談をして決められればいいのではないでしょうか?

100%これが正しい方法と断言できる方法はないのですから。

回答 回答10
  • 回答者
回答日時:2011-06-10 19:19:40
伊藤先生

私も矯正治療で得られるものは、見た目だけだとは思っていません。

見た目以外にも清掃性がよくなることや、発音、咀嚼など付加的な価値はあると思います。
私自身も患者さんにはそのように説明します。

また、1例をあげると、歯周病に罹患し、下顎の前歯が提出し叢生となったようなケースでは、1歯抜歯して、圧下後スリーインサイザルにすることで、歯周病の安定を図ることもよくあります。


私が知るところの、どちらも差がないという研究も、エビデンスレベルの低いものです。
しかし、いろはかるたさんのご質問の寿命に差があるという正確なデータはないわけですし、まして、寿命が大きく延びるという根拠はどこにもありませんん。


つまり、田尾先生の言われるように、見た目もきれいになって、ついでに、歯磨きがしやすくなったから、歯の寿命も延びるといいな、ぐらいの位置づけではないでしょうか。

回答 回答11
  • 回答者
回答日時:2011-06-10 19:28:00
ご相談ありがとうございます。

とても核心を突いた大事なご質問だと思います。

私も単なる一般開業医で、矯正の専門家でも研究者でもないため、臨床を長く続けただけという単なる個人的な感想ですが、お話しします。

当院でも成人が中心ですが、矯正治療は増加中です。
私にはできませんから、矯正治療はとても優秀な専門医に非常勤でお願いして、毎月約4回診療しております。

しかしそのほとんどは、主な理由はむし歯や治療のくり返しの後始末とか、歯周病治療の仕上げとか、噛み合わせを安全にするためとか、歯を欠損した後の修復の設計上や治療後の予防効果を上げるためです。

その際に審美的なご希望に、後から合致したということはほとんどで見られます。
当院は、総合的な健康を目指しているため、矯正のみ専門の医院ではありません。
従って審美目的で矯正治療に初めていらっしゃる方はかなり少なめです。


田尾先生の回答どおり、健康のためには矯正が第一義的優先順位とは考えておりません。
しかし総合計画の中で矯正治療は欠かせない診療科目です。

健康とは口だけではなく身体も心も含まれますから、審美的な希望にも当然お応えしておりますが、その際も一生の予防計画をお話ししてご希望があれば並行して診療しております。

当初に一生の心身を含む健康を目標とした、むし歯や歯周病の予防の大きなテーブルがあり、その上にふつうのむし歯や歯周病治療や歯列の矯正を乗せると考えているからです。


なお矯正治療中は、非常に虫歯ができやすく、歯周病の進行も速く数十年分の歯の根を支える骨を失うリスクがあり、日本では多くの矯正専門医院ではその予防を一切無視する傾向があって、その後に当院に来院され、後始末のためお互いに大変な思いをすることが少なくありません。

ふつうの方の考えは、まず今困っていることを治してから、今度こそ予防をしようと行動しています。
つまり治療を予防のテーブルを作らずに始めてしまう過ちを犯しています。

歯科医療の真実、失ったものは元通りに治すことはできない、を知らないからです。

今治療前に悩んでおられることは、大変ラッキーなこととお喜び申し上げます。

本当に良い治療に巡り会えることでしょう。



また矯正治療でいう不正咬合という概念が私にはよく分かりませんが、歯並びが良くても噛み合わせが非常にバランス良く調和している方は少なくありません。

それを並び直すことでもっと良くなるとは思えません。
咬合というゴールが研究されても結論が出ないからです。

ただでさえ咬合は一生の間には変化するのに、ゴールもなく人工的に動かした場合はさらに大きく別の動きをする危険さえあります。


歯列矯正をした歯としない歯では、歯自体の寿命は違うのでしょうか。


歯並びが良くてもむし歯になりやすいという感覚は、本来の予防が日本には定着していない条件下で、歯並びという要素を加えて比較すること自体がまったく無意味だと思っています。

歯の寿命を考えることが矯正治療の前に必要です。


親知らずによって押されて徐々に動いています。


先学の身で図々しく言えばこの根拠もよく知りません。
本当なのでしょうか。


>歯並びの悪い歯では抜けやすい等のデータはあるのでしょうか。


やはりデータは勉強していませんが、それだけが原因となるとは考えにくいと思います。


>矯正をした歯は将来的にずっと問題なく使用できるのでしょうか。


もともときれいな歯並びよりも、予防を周到にする必要があります。



>再矯正等のお話しもここでよく見聞きするのですが、よくあることでしょうか。


矯正に限らず、むし歯の治療も再度、再々度とやり直す度にリスクが跳ね上がっていくと考えています。
良くあることかもしれませんが、決して好ましいとは思えません。



>上下4番の4本抜歯はよくあることのようですが、その弊害等はないのでしょうか。


その議論はあまりされていないような気がしますが、身体へ影響があるという意見もあります。

特に上の4番は、上の歯並び全体の神経領域との関連で、交感神経と副交感神経との境目にある歯であり、その抜歯により自律神経に失調を来す恐れがあるという話を聞いたこともあります。

実際に臨床でそれを感じることはありませんが、親不知の歯列への影響と同じで検証されているかどうかも知りません。


一生歯を残すことはふつうの方なら可能です。

他民族と比べて、日本人でふつうの方とは、なにも問題のないきれいな歯並びの人のほうがとても少なかった、というささやかな個人的な体験からは、矯正治療の前に歯を失うリスクを全部調べて、予防計画を立てることが先決のような気がします。

ふつうならむし歯になどならなくなります。

回答 回答12
  • 回答者
藤森歯科クリニック(兵庫県西宮市)の藤森です。
回答日時:2011-06-10 19:49:15
いろはかるたさん

最後は御自身で判断なさるしかないのですが・・。

当院などは専門医院と比べると、治療された方の数は多くはありませんが、ほぼ全員の方が「矯正治療して本当に良かった」と言われます。

後悔された方は今のところ一人もいません。




伊藤先生

矯正治療による効果ではなく、80歳で20本以上自分の歯を持っておられた方の数が、

正常咬合 >> 反対咬合開咬 etc.

というものだったということでしょうか?

今後、矯正治療によって正常咬合を獲得された方々の多くが、8020達成されると、よりファイトが湧いてきそうに感じます。


>上顎前歯叢生は少なく

また自己流解釈の癖が出そうです・・。

回答 回答13
  • 回答者
回答日時:2011-06-10 21:03:00
さがら先生が書かれた

>健康とは口だけではなく身体も心も含まれますから

この心の部分で矯正をして歯並びが良くなったことにより、心の健康度が上がるのであれば、これも矯正の目的の一つといえるのではないでしょうか?

相談者からの返信 相談者からの返信
相談者: いろはかるたさん
返信日時:2011-06-11 05:50:44
先生方
様々な視点からの多くの返信ありがとうございます。

少し自分の中での判断の根拠が、できあがってきたように感じます。
私自身今まで一度も歯科医にかかったことがなく、さがら先生のおっしゃる「予防のテーブル」がない状態ですので、そこから始めてみたいと思います。

親知らず歯列への影響も未検証…というのも、アッと思いました。

8020を達成できるように、歯を気にかけていきたいと思います。
ありがとうございました。



タイトル 歯列矯正をした歯としない歯では、歯の寿命に差はありますか?
質問者 いろはかるたさん
地域 非公開
年齢 29歳
性別 女性
職業 非公開
カテゴリ 矯正で抜いた・抜く予定
抜歯:8番(第三大臼歯、親知らず)
歯列矯正(矯正歯科)その他
矯正関連
回答者




  • 上記書き込みの内容は、回答当時のものです。
  • 歯科医療は日々発展しますので、回答者の考え方が変わることもあります。
  • 保険改正により、保険制度や保険点数が変わっていることもありますのでご注意ください。

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