事故で抜髄した前歯にクラウン(MB)を被すべきか否か?

相談者: Con-chanさん (35歳:男性)
投稿日時:2011-07-10 18:29:04
こんにちは。

前歯2本(右1左1メタルボンド、金属の芯で支えています)を事故で折ってしまい、現在通院中です。

その際右2の前歯も、今回の事故の際に、神経が傷つくほどの衝撃を受けていて、歯の裏に穴を開けて神経を抜く処置を致しました。

今回歯科医より、

「右2の前歯は神経が無く、新陳代謝もおきていないので今後黒ずんでくる。
強度保持の観点から、神経の無い歯はクラウンにした方がベター(学会の指針か論文の結果のようなことをおっしゃっていたとおもいます)。
色を合わせやすいので、上右2の自分の歯を土台に3本一緒にクラウン(MB)にしてもよいのでは?」

「但し自分の歯を傷つけるのが嫌であればそのままでもよい、神経がなくても前歯なので奥歯ほど割れるリスクは少なく、現在審美面以外に懸念事項はない」

と言われました。


個人的には、上右2の表面だけを削って、自分の歯を土台にクラウンを入れてもよいと考えています。

しかしながら、表面上は傷ついていない自分の歯を削ることで「右2とクラウンの隙間から虫歯になる」や、その他具体的ではないですが漠然とした不安があります。


ちなみに、右1と右2は少し重なっていて、右2の重なっていた部分にはCRの治療痕があります(表面からは見えません)。
また歯茎の下がり方が人よりも早いと、毎年歯科検診で指摘されています。


上記なような状況で費用面でなく純粋に

「自歯を土台に右2をクラウン(MB)にしたとき」と「自分の歯にしたとき」の、利点と欠点(長期的な欠点も含む)をご教示頂けると助かります。
(可能であれば先生のご意見も)

その他の有力な選択肢は無いかと考えていますが、もしあればご教示頂けると大変助かります。

宜しくお願い致します。


回答 回答1
  • 回答者
回答日時:2011-07-10 18:55:34
ご相談ありがとうございます。


>利点と欠点(長期的な欠点も含む)をご教示頂けると助かります。(可能であれば先生のご意見も)


とても簡単です。
目的について気持ちを整理することから始めましょう。
今きれいになりたいだけか、将来も困らないようにしたいのかとまず分けます。


一般的に、削れば削るほど、一生歯を残すためには不利になります。


>上右2の表面だけを削って、自分の歯を土台にクラウンを入れてもよいと考えています。


おそらくその希望は叶わないでしょう。

もともとクラウンは周りを1.5ミリくらいの厚みでぐるりと削ります。
つまりリンゴの芯が残るような状態です。

しかし、その歯はすでに神経を取ったそうですから、裏から真の部分を全部くりぬいているはずです。
しかもCRまでしていると、横も削りこんであるはずです。

つまり上の部分がまるで残らない可能性があります。

表面だけ削る方法は、ラミネートと言いますが、今の状況にはいくつかの点で向いていないような気がします。


>また歯茎の下がり方が人よりも早いと毎年歯科検診で指摘されています。


かぶせる場合は、その境目を歯茎の下に隠しますが、歯ぐきが人よりも下がりやすい場合は、よほど条件がそろわないと後で後悔する可能性が高まります。


>(可能であれば先生のご意見も)

状況も分かりませんから、適していないかもしれませんが、長い目で見てその歯を残せる方法は、漂白です。
裏から内部に薬を入れて歯を白くします。
表はまったく削りません。
従って歯ぐきが下がっても困りません。

ただデメリットとして、MBとの色あわせが大変になります。
また長期的には色戻りをしていきますから、その時には再度裏から漂白する必要が出てきます。

事故の場合は、ヒビや根や骨の損傷など影響を調べることも欠かせません。

また歯ぐきがどんどん下がると歯をそれで失う危険もありますから、その対策も並行しないと長期の安定は手に入りません。

またCRをしたり、前歯2本をMBにするほどの原因が解決するかどうかも合わせて計画したい気がします。


そうやって、やっと長期的、かつ総合的な解決になると考えます。

相談者からの返信 相談者からの返信
相談者: Con-chanさん
返信日時:2011-07-12 23:02:30
さがら先生

お忙しい中、迅速なご回答ありがとうございました。

>削れば削るほど一生歯を残すには不利になる

なるほどです。
神経のない歯でも、自分の歯の方が将来にわたり歯を残すには有利ということでしょうか?

もしそうであれば、今回は事故で外れたCRを埋め戻し(少し黒くなるであろう)自分の歯としばらく過ごそうと思います。
根っこの処理を3〜4回丁寧にしてくださったんで、おそらく長持ちすると思います。


歯茎が下がりやすい人は後悔する

MBのメタルの部分が見えてしまうという意味でしょうか?
それとも歯が抜けやすくなるという意味でしょうか?


・漂白について

漂白は審美面のほか、歯を長持ちさせるためにも有利なのでしょうか?

自分の歯は少し黄色いのですが、黒い歯を黄色く?漂白することも可能なのでしょうか?

また一般に何年くらい持つのでしょうか?

ご教示いただけると大変助かります。
回答 回答2
  • 回答者
回答日時:2011-07-13 00:22:49
こんばんは。

正確な状況が掴めないので見当はずれかも知れませんが、ご不安でしたらセカンドオピニオンもいいかも知れませんね。

今は、表から見ると歯の形は残っているのですよね?
(事故で神経がダメになるほどダメージを受けた=破折のことが多いので矛盾しているのですが・・ 脱臼であればおかしくないですね)

それで、今は色も特別黒くもないし、神経のあった部分をくり抜いただけ+元々詰めてあったCR、の状態と仮定すると、自分だったら穴をまた全部CRで埋めて「とりあえずは」終了とすると思います。

実際に歯が黒ずんで気になってきたり、かけたりした時に漂白でもメタルボンドでもオールセラミックでも検討されれば良いのではないでしょうか?

ですのでこれは、クラウンとの「比較」と言うよりも「延期」になります。



色については、「適切に」根管治療がしてあればほとんど変色しませんし、少々の変色であれば、2番なら大して目立ちません。
1番の影に少し隠れる様な感じならなおさらです。

逆に根管治療が不適切で、変色してくるとしたら、将来は歯肉の色も僅かに黒くなってきますので、どんなに綺麗なクラウンを入れていても残念な結果になります。。



強度に関する誤解については、長いですけどこちらをお読み下さい。

参考⇒神経のない歯は神経のある歯よりも脆い?(4番インレー素材の悩み)
(※実際にはケースバイケースですので、必ずこれが正しい考え方とは言い切れません。)



気になるのは、実際の2番の状況、それとかみ合わせですね。
この辺りが分からずに書いていますので、少し疑って読んで下さいね。

お大事にどうぞ。

回答 回答3
  • 回答者
回答日時:2011-07-13 00:34:55
ご返信ありがとうございます。



>>歯茎が下がりやすい人は後悔する
>→MBのメタルの部分が見えてしまうという意味でしょうか?

そういう場合もあります。
境目にメタルを使わない方法もあります。

しかし、根の部分が変色してくると、初めに色を合わせて、メタルも見えないようにピッタリ作っておいても、根の暗さが白い人工部分と際だって見える人は気になることがあります。


>それとも歯が抜けやすくなるという意味でしょうか?

ふつうかぶせ物の境目は歯ぐきの下、0.5mm位に隠しますが、その境目がツルツルにピッタリフィットしていないと急に歯ぐきが下がったり、歯周病を助長したりすることがあります。

そうなれば歯が抜ける方向に進んでいくことにもなります。


>・漂白について
>漂白は審美面のほか、歯を長持ちさせるためにも有利なのでしょうか?


長持ちには全く有利には働きません。
むしろ正しく処置しないと根を腐食するリスクが出ます。

何でも正しい診断と処置が、安心できる将来の見通しをもたらす大前提となります。


>自分の歯は少し黄色いのですが、黒い歯を黄色く?漂白することも可能なのでしょうか?


それは漂白とは言えません。

しかし、黒いほどの歯を白く漂白することはふつうできますから、その途中段階の、白くなる手前でやや黒くなくなった程度でストップするという手加減をすることはできます。

しかし黄色い色を狙うことはできません。


>また一般に何年くらい持つのでしょうか?


だんだん後戻りしますが、黒い歯の漂白で、全くその色まで戻ることはありません。

卑近な例ですが、当院ではそういうインターナルブリーチングという漂白治療を20年以上前から行っております。
その型は10年くらいでだいぶ戻りましたが、もう一度漂白できますと伝えましたが、その時も現在も気にならないからまだそのままで良いと仰っています。

当時は保険で認められていました。
今は保険から外されました。
歯科の保険治療はこの数十年間で見ると、どんどん後退していると言っていいでしょう。

すみません、脱線してしまいました。

相談者からの返信 相談者からの返信
相談者: Con-chanさん
返信日時:2011-07-13 13:36:14
渡辺先生

迅速な回答ありがとうございました。

先生、ご推察の通り右2は脱臼です。
抜髄時の穴が歯の裏側に空いているのみ(+少しCR治療痕)です。
右2の治療中に麻酔を使わなくとも痛く無かったので(脱臼でも)、神経が傷ついていた様です。

無髄歯の寿命(強度)についてのリンクを拝読致しました。
有髄歯と強度は大差ないことがわかりました。

担当医が仰っていた通り、前歯に関しては(奥歯と比較し力がかかからないので)破損するリスクは低そうですね。

今後の根管治療のやり直しの簡便さを含め、今回はこのままで(+CRの埋め戻し)で経過観察します。
先生ご指摘のように、根管処理が上手くいっていれば変色も少ないことを祈りつつ。。。




さがら先生

夜分のご回答ありがとうございました。

>削れば削るほど一生歯を残すには不利になる

と先生の2回目のご回答で、不要な箇所にクラウン入れるのがだんだん不安になってきました。
上右1・左1は致し方ないとしても、右2の無髄歯は虫歯にしないように頑張って行きます。(特に右1・右2の歯間)

やはり、右2はそのままの方が、クラウンと比較し一生維持できる可能性が高いのですよね?


漂白の件も丁寧な解説ありがとうございました。
歯が黄色い私には若干不向きかもですね。

歯科保険治療の件は仰るとおりかと思います。
歯科の治療は短期的に見れば命にかかわらないからでしょうか?

高価な抗ガン剤が次々の認可されている現状と、ちょっと矛盾は感じている今日この頃です。

Con
相談者からの返信 相談者からの返信
相談者: Con-chanさん
返信日時:2011-07-15 01:09:32
こんばんは

本日歯科に行きましたが、事故で脱臼した右上2の前歯が、ちょっと大きなダメージを負っているようでした。

上右2の歯の状態について、担当医の言葉を要約すると、

@歯の真ん中より少し下に、横方向のひびが入っている(担当医的には傷の深度・折れやすさについては何とも言えないとのこと。レントゲンでも不明)

ACRの治療跡が縦に5mm、奥行き2mm程度あり小さくはない(イメージですと→)歯 のような右括弧のよう。
今まですべてのCRを取らずに治療を継続していたようです)

B抜髄したため歯の裏にも穴が開いている(大きさは不明です)

C無髄歯なので、ヒビの再生力は無い

D今回破損した上左1右1と、3本同時にMBにした方が色を合わせやすい

E自分は神経の無い歯はクラウンにすべきであると考えている

でMBを勧めたとのことでした。(@は今回初めて言われました)

根管処理をやり直しが必要な場合でも、MBであれば裏から穴を開けて再処置出来るとのことでした。

歯茎が下がっている件も、ブラッシングが主な問題だそうです(←少し反省)

余り関係ないですが、今回の事故に関する一連の治療費は保険(自己負担無し)でまかなわれるので、治すのであれば良いタイミングです。

上記のような状況で先生であれば、上右2に

1)自分の歯+CR
2)MBをかぶせる

どちらをお勧めしますでしょうか?

ご教示のほどよろしくお願い致します。
回答 回答4
  • 回答者
回答日時:2011-07-15 09:47:38
おはようございます。


>上記のような状況で先生であれば、上右2に
>1)自分の歯+CR
>2)MBをかぶせる
>どちらをお勧めしますでしょうか?


ご担当の先生から詳しい説明があったようですね。
きちんとした基準をお持ちの先生のようですから、後はご自身で納得するかどうかです。


基本的には、お口の全体や、歯ばかりではなく歯周病への感受性や、患者さんの諸々の優先順位などにより、ご担当の先生と相談して、ご本人が選択するべきと考えております。


私個人としては、たくさん削る治療はいつでもできると思っております。
歯と歯茎について、長期的な、できれば一生の将来の見通しを立てられれば選択も迷いが少なくなると考えております。

ご担当の先生の説明にかんして別の考えもあります。


@からCまでは、当面きちんとCRで対応することも可能です。

Dはその通りです。

しかし近づけることはできます。
またその人本来の形が残っている2番を生かすことで、後の2本も自然に作れることもあります。

逆に、この際3本まとめて歯並びや口元の印象を変えてしまおうという考えもあります。


Eはお一人ずつのポリシーであり、ご自身で共感するかどうかだけの話です。


抽象的になってしまいましたが、ネットの相談とリアルとは情報量が圧倒的に違い、回答のほうが複雑になってしまうからです。
回答の行間を読むことがとても重要ですが、一般の方には無理だと思います。


ご担当の先生はきちんと説明していただけるようですから、納得できる点を見つけること、決心がついたら後は信頼して任せることが必要となります。

なお歯茎の後退については、対策を予め計画していただくことがやり直しをしないコツになります。

相談者からの返信 相談者からの返信
相談者: Con-chanさん
返信日時:2011-07-16 01:49:30
さがら先生

朝のお忙しい時間帯に、丁寧なご回答ありがとうございます。

歯の中をくりぬく、根管治療にも耐えた歯です。
先生から頂いたヒントを基に一週間考えてみます。

Con



タイトル 事故で抜髄した前歯にクラウン(MB)を被すべきか否か?
質問者 Con-chanさん
地域 非公開
年齢 35歳
性別 男性
職業 非公開
カテゴリ クラウン(差し歯・被せ)その他
歯をぶつけた(歯の打撲・外傷)
回答者




  • 上記書き込みの内容は、回答当時のものです。
  • 歯科医療は日々発展しますので、回答者の考え方が変わることもあります。
  • 保険改正により、保険制度や保険点数が変わっていることもありますのでご注意ください。

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