[写真あり] 上前歯2本(抜髄済)はクラウンにするべきですか?(米国)
相談者:
MeeMeeさん (28歳:女性)
投稿日時:2011-09-02 01:45:46
こんにちは、いつもお世話になっております。
アメリカ在住の者です。
しばらく前に、オリーブの種を噛み右前歯が一部欠けてしまいました。
最近やっと歯科保険に加入することができたので、先日歯医者さんに行ったところ、この上前歯2本はクラウンにしたほうがよいと言われました。
上前歯は2本とも小さい頃に虫歯で抜髄しています。
さらに、歯並びが悪く、前歯が重なり少し前に出ています(写真を添付しました)。
このアメリカの歯科医には、抜髄した前歯はもろくなっているのに、クラウンを被せず補填のみだなんて信じられないというような事を言われ、また、クラウンにすれば歯並びもきれいに直すことができると言われました。
私が
「今はとりあえず欠けた部分だけを治して、歯並びは矯正で治すことは可能か」
を聞くと、
「可能だけれど、早めにクラウンにしてしまったほうがいい。
今回は欠けただけで済んだけれど、このまま放っておけば、いつか割れるか折れてしまうだろう。
そうすると厄介なことになる」
という答えでした。
それは理解できるのですが、まだ残っている歯を削ってまでクラウン(差し歯)にしてしまって本当によいものかと思うし、それとも、長期的に見れば、先生の言う通り早くクラウンにして補強してしまったほうがよいのかと、ここ数日間悶々と悩んでいます。
こちらで日本の先生方に何かアドバイスを頂ければと思い、質問してみました。
長期的に見て、どの方法が一番歯を長持ちさせ機能させることができますか?
もしクラウンにするとしたら、どの程度削らなければいけないのでしょうか?(歯を丸ごと削って土台から作らなければいけないか、それとも少しだけ削ってクラウンを被せることも可能ですか?)
ポーセレンの歯は、至近距離で見ても天然歯と見分けがつかない程度に自然にもできるものなのでしょうか?
また、差し歯特有の歯茎の黒ずみは必ず起こってしまうものですか?
まだ20代なのに、一番目立つ前歯2本が差し歯になってしまうことには抵抗がありますが、折れてしまうのも怖いし、少しでも長く自分の歯を使いたいです。
よろしくお願い致します。
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アメリカ在住の者です。
しばらく前に、オリーブの種を噛み右前歯が一部欠けてしまいました。
最近やっと歯科保険に加入することができたので、先日歯医者さんに行ったところ、この上前歯2本はクラウンにしたほうがよいと言われました。
上前歯は2本とも小さい頃に虫歯で抜髄しています。
さらに、歯並びが悪く、前歯が重なり少し前に出ています(写真を添付しました)。
このアメリカの歯科医には、抜髄した前歯はもろくなっているのに、クラウンを被せず補填のみだなんて信じられないというような事を言われ、また、クラウンにすれば歯並びもきれいに直すことができると言われました。
私が
「今はとりあえず欠けた部分だけを治して、歯並びは矯正で治すことは可能か」
を聞くと、
「可能だけれど、早めにクラウンにしてしまったほうがいい。
今回は欠けただけで済んだけれど、このまま放っておけば、いつか割れるか折れてしまうだろう。
そうすると厄介なことになる」
という答えでした。
それは理解できるのですが、まだ残っている歯を削ってまでクラウン(差し歯)にしてしまって本当によいものかと思うし、それとも、長期的に見れば、先生の言う通り早くクラウンにして補強してしまったほうがよいのかと、ここ数日間悶々と悩んでいます。
こちらで日本の先生方に何かアドバイスを頂ければと思い、質問してみました。
長期的に見て、どの方法が一番歯を長持ちさせ機能させることができますか?
もしクラウンにするとしたら、どの程度削らなければいけないのでしょうか?(歯を丸ごと削って土台から作らなければいけないか、それとも少しだけ削ってクラウンを被せることも可能ですか?)
ポーセレンの歯は、至近距離で見ても天然歯と見分けがつかない程度に自然にもできるものなのでしょうか?
また、差し歯特有の歯茎の黒ずみは必ず起こってしまうものですか?
まだ20代なのに、一番目立つ前歯2本が差し歯になってしまうことには抵抗がありますが、折れてしまうのも怖いし、少しでも長く自分の歯を使いたいです。
よろしくお願い致します。
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回答1
山田歯科医院(兵庫県姫路市)の山田です。
回答日時:2011-09-02 06:13:08
MeeMeeさま、おはようございます。
歯が少し欠けてしまったので、歯科医の診察を受けたところクラウンにしたほうがいいとのことで、ご自身の希望とかけ離れているので戸惑っていらっしゃるのですね。
写真を拝見した限り、個人的には欠けた部分の充填処置と、舌側に問題があれば、それの再治療で問題解決できるような気が致します。
>抜髄した前歯はもろくなっているのに、クラウンを被せず補填のみだなんて信じられない、というような事を言われ、
確かにそうなのですが、この状態で冠を被せるのは避けたいと考えます、もろくなっている?ことについては、他の方法を講じればいいように思います。
>クラウンにすれば、歯並びもきれいに直すことができると言われました。
この点については、少々無理があると個人的には考えます。
>クラウンにするとしたら、どの程度削らなければいけないのでしょうか?
仰るとおり歯を全周にわたって削ることになります。
>ポーセレンの歯は、至近距離で見ても天然歯と見分けがつかない程度に、自然にもできるものなのでしょうか?
出来ないわけではありませんが、ご自身の歯を上回ることはないと思います。
>差し歯特有の歯茎の黒ずみは、必ず起こってしまうものですか?
メタルボンドなら起こるかもしれませんし、なんであれ歯肉が退縮すればつなぎ目が露出してくるでしょう。
参考になさってください。
歯が少し欠けてしまったので、歯科医の診察を受けたところクラウンにしたほうがいいとのことで、ご自身の希望とかけ離れているので戸惑っていらっしゃるのですね。
写真を拝見した限り、個人的には欠けた部分の充填処置と、舌側に問題があれば、それの再治療で問題解決できるような気が致します。
>抜髄した前歯はもろくなっているのに、クラウンを被せず補填のみだなんて信じられない、というような事を言われ、
確かにそうなのですが、この状態で冠を被せるのは避けたいと考えます、もろくなっている?ことについては、他の方法を講じればいいように思います。
>クラウンにすれば、歯並びもきれいに直すことができると言われました。
この点については、少々無理があると個人的には考えます。
>クラウンにするとしたら、どの程度削らなければいけないのでしょうか?
仰るとおり歯を全周にわたって削ることになります。
>ポーセレンの歯は、至近距離で見ても天然歯と見分けがつかない程度に、自然にもできるものなのでしょうか?
出来ないわけではありませんが、ご自身の歯を上回ることはないと思います。
>差し歯特有の歯茎の黒ずみは、必ず起こってしまうものですか?
メタルボンドなら起こるかもしれませんし、なんであれ歯肉が退縮すればつなぎ目が露出してくるでしょう。
参考になさってください。
回答2
高田歯科 (神戸 三ノ宮・須磨)のタカタです。
回答日時:2011-09-02 09:57:28
抜髄した歯牙に対するスタンスとしては
●充填のみ
●補綴する
と 考え方が大きく分かれます。
ケースバイケースですが、私は、補綴することが多いです。
まぁ、文献的にはいろいろな意見があるのですが、殆どあてになりません。
●根管内をどれほど削ってあるのか
●抜髄の原因が何か?
●咬合接触は?
などなど、様々な点を考慮してクラウンで補綴するか、とりあえず充填で行くか、という選択を迫られます。
日本では『歯を削る=悪い。歯を削らない=最小限の侵襲で体に良い』かのような間違った風習が広がっていますので、クラウン補綴に対する嫌悪感が漂いますが、必ずしもそれは正しくありません。
担当医のおっしゃる
『・・・いつか割れるか折れてしまうだろう。そうすると厄介なことになる』
も あながち間違いではありません。
クラウンで補綴すれば割れるとしたら表層のセラミック。
セラミックが割れることで、歯牙を助ける効果もあるので補綴にはある程度”利”があります。
まぁ、補綴の得意じゃない歯科医師は充填を勧めますが・・・
ただ、担当医の言う
『クラウンにすれば歯並びもきれいに直すことができる』
これは間違いです。
本来の歯の形に治すことが補綴の目的ですから、本来と違う形に無理やり審美的に治すことは間違いです。
おそらく、歯茎のラインが狂いますし、歯の幅もおかしくなります。
もし、審美性を獲得したいのでしたら矯正治療を併用することが望ましいです。
写真は、前歯のうち一本だけクラウンなのですが・・・失敗症例です。
角度を変えて光を当てて写真を撮ると、色が合わなくて、このあと再製作することとなりました。
いくらポーセレンが審美的な材料とはいえ、必ずしも貴方の審美感を満足させてくれるとは限りません。
天然の歯の質感や色を利用する充填にも一利あります。
難しいところです。
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●充填のみ
●補綴する
と 考え方が大きく分かれます。
ケースバイケースですが、私は、補綴することが多いです。
まぁ、文献的にはいろいろな意見があるのですが、殆どあてになりません。
●根管内をどれほど削ってあるのか
●抜髄の原因が何か?
●咬合接触は?
などなど、様々な点を考慮してクラウンで補綴するか、とりあえず充填で行くか、という選択を迫られます。
日本では『歯を削る=悪い。歯を削らない=最小限の侵襲で体に良い』かのような間違った風習が広がっていますので、クラウン補綴に対する嫌悪感が漂いますが、必ずしもそれは正しくありません。
担当医のおっしゃる
『・・・いつか割れるか折れてしまうだろう。そうすると厄介なことになる』
も あながち間違いではありません。
クラウンで補綴すれば割れるとしたら表層のセラミック。
セラミックが割れることで、歯牙を助ける効果もあるので補綴にはある程度”利”があります。
まぁ、補綴の得意じゃない歯科医師は充填を勧めますが・・・
ただ、担当医の言う
『クラウンにすれば歯並びもきれいに直すことができる』
これは間違いです。
本来の歯の形に治すことが補綴の目的ですから、本来と違う形に無理やり審美的に治すことは間違いです。
おそらく、歯茎のラインが狂いますし、歯の幅もおかしくなります。
もし、審美性を獲得したいのでしたら矯正治療を併用することが望ましいです。
写真は、前歯のうち一本だけクラウンなのですが・・・失敗症例です。
角度を変えて光を当てて写真を撮ると、色が合わなくて、このあと再製作することとなりました。
いくらポーセレンが審美的な材料とはいえ、必ずしも貴方の審美感を満足させてくれるとは限りません。
天然の歯の質感や色を利用する充填にも一利あります。
難しいところです。
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回答3
杉原歯科クリニック(杉並区・上高井戸)の杉原です。
回答日時:2011-09-02 11:11:58
タカタ先生と同意見です。
主には、どれだけ健全な歯質が残っているかによります。
外傷などで神経が壊死した場合は、健全歯質が多いので充填だけで済むこともあります。
虫歯で神経を取ったとすれば、かなり健全歯質が少ないと考えられますので、クラウンにした方が安全なこともあります。
また噛合せや歯並びの状態にも左右されます。
例えば前歯が殆ど噛合っていなければ、割れる危険は少ないので充填にする場合もあります。
このあたりの判断は歯科医によって違いますので、他院でセカンドオピニオンを聞いてみるのも手だと思います。
>ポーセレンの歯は、至近距離で見ても天然歯と見分けがつかない程度に、自然にもできるものなのでしょうか?
写真を見る限りですが、現状より綺麗になるような気がします。
ご参考まで・・・
主には、どれだけ健全な歯質が残っているかによります。
外傷などで神経が壊死した場合は、健全歯質が多いので充填だけで済むこともあります。
虫歯で神経を取ったとすれば、かなり健全歯質が少ないと考えられますので、クラウンにした方が安全なこともあります。
また噛合せや歯並びの状態にも左右されます。
例えば前歯が殆ど噛合っていなければ、割れる危険は少ないので充填にする場合もあります。
このあたりの判断は歯科医によって違いますので、他院でセカンドオピニオンを聞いてみるのも手だと思います。
>ポーセレンの歯は、至近距離で見ても天然歯と見分けがつかない程度に、自然にもできるものなのでしょうか?
写真を見る限りですが、現状より綺麗になるような気がします。
ご参考まで・・・
回答4
誠安・瑞石牙医診所(台湾)の王です。
回答日時:2011-09-03 03:09:15
こんばんは。
>アメリカの歯科医には、抜髄した前歯はもろくなっているのに、クラウンを被せず補填のみだなんて信じられないというような事を言われ
ご質問された歯についてですが、お写真を見ますと、以下の幾つかの点が見受けられました。
1.切端が部分的に欠けている
2.無数の微小のひびが入っている
3.左前歯寄りの部分と、右側切歯寄りの部分にレジン補修の跡がある
4.色調が既に黒く暗くなっている
5.両中切歯が前後して重なり合っているような排列になっている
以上の条件をご理解した上で、お悩みの「補修で済むのか」または「クラウンで被せるのか」に関してなのですが、虫歯と外傷は、一般的に歯が根管治療を受ける二大病因となっております。
この様な歯は元の歯質の損失を伴っている場合が多く、今回の歯も両側の接触面と根管治療時に開けた治療用の開口部分を含めますと、最低でも三面以上もの欠損面があるというわけになり、既に歯冠部分の強さ(cuspital stiffness)にある程度の影響を与えているかと思います。
ですから、オリーブの種を噛んだ拍子に弱くなっている部分が欠けてしまったのです。
1.2.3の歯冠の強度にポイントを置いた観点で考えて参りますと、確かにレジンだけの補修治療では少し心もとないというのはあります。
アメリカの先生が言われている、
>今回は欠けただけで済んだけれど、このまま放っておけば、いつか割れるか折れてしまうだろう。
>そうすると厄介なことになる」
というのは、確かにその可能性としては十分あり得る状態であると言えます。
一般的に根管治療後の歯を、充填補修で処置するのか、はたまた補綴治療を施すのかは両先生方が言われていますように、多方面に渡って考慮しなければならず、個人的に「患者さんの要望」もその一つの考慮点だと思っています。
ご質問欄に何度も何度も「まだ残っている歯を削ってまでクラウン(差し歯)にしてしまって本当によいものか」というご意見が書かれてあったので、どうしたら良いのかという切実なお悩みはひしひしと伝わってくるのですが、それよりも現時点では補綴治療に移行するご要望が低い、あまりしたくないというお気持ちの方がお強いのだとお見受け致しました。
もし、そのようなお強いご要望がお有りになるなら、「短期間にすべきこと」と、「長期的見てしなければならないこと」というように、二つの段階に切り分けてご計画なさったら良いと思います。
まず、短期間中にこれ以上歯質にダメージが加わらない様に現地の先生に以前のレジン充填を含め、補強するという意味でも全体的なレジン修復をお願いされ、生活上ではご自分で強く噛まない様に十分注意を払ってお使いになるというかたちです。
欠損部位だけを小さく修復するのではなく、古くなった以前のレジン充填がされてある部位やひびが入っている部位も含めて、全体的にという意味ですよ。
ただ、このような補修治療を行ったとしても、長期的に見て強度的な面でも、先ほど挙げた4.5.の問題点でも解決されることはないので、「何時かは」「長期的には」補綴治療を検討しなければならないという事は言えるかと思います。
>また、クラウンにすれば歯並びもきれいに直すことができると言われました。
「きれい」をどのレベルで線引きするかで、出来るか出来ないかの違いが生じるかと思います。
現状より「もう少しだけ」きれいという程度の「低め」のご要望であれば、杉原先生が言われていますように、ある程度は解決出来るかと思われますが、逆に、全体的に調和の取れた、自然で美しい歯並びとなりますと、少し厳しい感じが致します。
特に審美要素を含んだ歯の治療には基本的な制約があります。
例えば一本の歯を治療する場合、その歯の形は隣の歯や噛み合う下又は上の歯と調和しなければなりません。
調和していなければ噛み合わせが高かったり低かったり、幅が小さかったり大きかったりで、周囲の歯と審美的に調和が取れていない、そして機能的に咀嚼出来ない歯になってしまいます。
したがって、隣の歯との排列関係や、噛み合わせに問題があれば、問題を引き継いだまま被せものをしなければならず、排列問題を含めて改善しようと思えば、周囲の歯も一緒に治療しなければなりません。
当然、治療は大がかりになます。
歯の治療を出来るだけ最小限に抑えたいというのは、医師を含めて誰しもが持つ共通の願いなのですが、ゴールをどこに定めるか、治療のレベルをどこで線引きするのかで考え方が違ってくるかと思います。
個人的には、今回のような排列を含めた問題を治すためには、矯正を併用なさったほうが「高いレベル」のきれいが確保出来るかと思います。
>ポーセレンの歯は、至近距離で見ても天然歯と見分けがつかない程度に自然にもできるものなのでしょうか?
治療なさる先生と、製作に当たる技工士さんの技術によりけりです。
天然歯と見分けられないほど自然な仕上がりにすることも技術的に可能なのですが、どの先生に治療してもらうか、材質を何にするか、費用をどこまで負担出来るかにもよります。
低い費用では、あれこれと要求が高いものは出来にくいこともご理解下さい。
参考になさって下されば幸いです。
>アメリカの歯科医には、抜髄した前歯はもろくなっているのに、クラウンを被せず補填のみだなんて信じられないというような事を言われ
ご質問された歯についてですが、お写真を見ますと、以下の幾つかの点が見受けられました。
1.切端が部分的に欠けている
2.無数の微小のひびが入っている
3.左前歯寄りの部分と、右側切歯寄りの部分にレジン補修の跡がある
4.色調が既に黒く暗くなっている
5.両中切歯が前後して重なり合っているような排列になっている
以上の条件をご理解した上で、お悩みの「補修で済むのか」または「クラウンで被せるのか」に関してなのですが、虫歯と外傷は、一般的に歯が根管治療を受ける二大病因となっております。
この様な歯は元の歯質の損失を伴っている場合が多く、今回の歯も両側の接触面と根管治療時に開けた治療用の開口部分を含めますと、最低でも三面以上もの欠損面があるというわけになり、既に歯冠部分の強さ(cuspital stiffness)にある程度の影響を与えているかと思います。
ですから、オリーブの種を噛んだ拍子に弱くなっている部分が欠けてしまったのです。
1.2.3の歯冠の強度にポイントを置いた観点で考えて参りますと、確かにレジンだけの補修治療では少し心もとないというのはあります。
アメリカの先生が言われている、
>今回は欠けただけで済んだけれど、このまま放っておけば、いつか割れるか折れてしまうだろう。
>そうすると厄介なことになる」
というのは、確かにその可能性としては十分あり得る状態であると言えます。
一般的に根管治療後の歯を、充填補修で処置するのか、はたまた補綴治療を施すのかは両先生方が言われていますように、多方面に渡って考慮しなければならず、個人的に「患者さんの要望」もその一つの考慮点だと思っています。
ご質問欄に何度も何度も「まだ残っている歯を削ってまでクラウン(差し歯)にしてしまって本当によいものか」というご意見が書かれてあったので、どうしたら良いのかという切実なお悩みはひしひしと伝わってくるのですが、それよりも現時点では補綴治療に移行するご要望が低い、あまりしたくないというお気持ちの方がお強いのだとお見受け致しました。
もし、そのようなお強いご要望がお有りになるなら、「短期間にすべきこと」と、「長期的見てしなければならないこと」というように、二つの段階に切り分けてご計画なさったら良いと思います。
まず、短期間中にこれ以上歯質にダメージが加わらない様に現地の先生に以前のレジン充填を含め、補強するという意味でも全体的なレジン修復をお願いされ、生活上ではご自分で強く噛まない様に十分注意を払ってお使いになるというかたちです。
欠損部位だけを小さく修復するのではなく、古くなった以前のレジン充填がされてある部位やひびが入っている部位も含めて、全体的にという意味ですよ。
ただ、このような補修治療を行ったとしても、長期的に見て強度的な面でも、先ほど挙げた4.5.の問題点でも解決されることはないので、「何時かは」「長期的には」補綴治療を検討しなければならないという事は言えるかと思います。
>また、クラウンにすれば歯並びもきれいに直すことができると言われました。
「きれい」をどのレベルで線引きするかで、出来るか出来ないかの違いが生じるかと思います。
現状より「もう少しだけ」きれいという程度の「低め」のご要望であれば、杉原先生が言われていますように、ある程度は解決出来るかと思われますが、逆に、全体的に調和の取れた、自然で美しい歯並びとなりますと、少し厳しい感じが致します。
特に審美要素を含んだ歯の治療には基本的な制約があります。
例えば一本の歯を治療する場合、その歯の形は隣の歯や噛み合う下又は上の歯と調和しなければなりません。
調和していなければ噛み合わせが高かったり低かったり、幅が小さかったり大きかったりで、周囲の歯と審美的に調和が取れていない、そして機能的に咀嚼出来ない歯になってしまいます。
したがって、隣の歯との排列関係や、噛み合わせに問題があれば、問題を引き継いだまま被せものをしなければならず、排列問題を含めて改善しようと思えば、周囲の歯も一緒に治療しなければなりません。
当然、治療は大がかりになます。
歯の治療を出来るだけ最小限に抑えたいというのは、医師を含めて誰しもが持つ共通の願いなのですが、ゴールをどこに定めるか、治療のレベルをどこで線引きするのかで考え方が違ってくるかと思います。
個人的には、今回のような排列を含めた問題を治すためには、矯正を併用なさったほうが「高いレベル」のきれいが確保出来るかと思います。
>ポーセレンの歯は、至近距離で見ても天然歯と見分けがつかない程度に自然にもできるものなのでしょうか?
治療なさる先生と、製作に当たる技工士さんの技術によりけりです。
天然歯と見分けられないほど自然な仕上がりにすることも技術的に可能なのですが、どの先生に治療してもらうか、材質を何にするか、費用をどこまで負担出来るかにもよります。
低い費用では、あれこれと要求が高いものは出来にくいこともご理解下さい。
参考になさって下されば幸いです。
回答5
国際ビル歯科(千代田区丸ノ内)のさがらです。
回答日時:2011-09-03 08:47:48
ご相談ありがとうございます。
>長期的に見て、どの方法が一番歯を長持ちさせ機能させることができますか?
先生方の回答通り、お口の状況や今のお気持ちによって、いろいろあり得ます。
別の考えとして、今すぐ一生のことを決めてしまうのか、一生をいくつかのステップごとにいくつかの方法を組み合わせていくかという、時間という要素を加えた計画もあります。
>もしクラウンにするとしたら、どの程度削らなければいけないのでしょうか?
かなり削ります。
一般的には、残せる歯の形はリンゴの芯よりは多いというイメージでしょうか。
それに加えて内側に神経を取った時の、トンネルが開いているとすれば、リンゴの芯の中心が空洞になり壁がペラペラに薄く残せるか、あまりに薄くて、その壁も削り落とすと、ほとんど何も残らないこともあります。
クラウンにする目的が丈夫にするだけならば、今の歯並びを変えないように作れば、削る量は標準的な程度にできます。
もし丈夫にするだけではなく、歯並びも変えるという目的も加える時は、たくさん削ることになります。
たくさん増える割合は、変えたいだけの距離によって比例します。
また写真には写っていませんが、上の歯に凸凹がある人は、下の歯が理想的にきれいな歯並びであることはごく稀です。
もし下がきれいな歯並びならば、上だけの歯並びを変えればすみますが、そのようにラッキーな例はほとんどありません。
つまりしたのはならびにぶつかって前歯をきれいに作れないことがわかれば、今度は下の歯を削る話しもでてくる可能性があります。
おそらく下もたくさん削ることになります。
ですから、治療の目的を丈夫にしたいことと、歯並びを変えたいことと、まず分けてそれぞれの長所短所を整理して計画することをお勧めいたします。
歯並びについてはかなり問題がありそうですから、タカタ先生の回答通り、クラウンだけでどれだけきれいになるか、ゴールの設定によっては疑問がありそうです。
私も歯並びについては矯正を検討することをお勧めします。
それと併用すれば、仮にクラウンにすると決めたとしても、標準以上に削る量については非常に減らせると思います。
>(歯を丸ごと削って土台から作らなければいけないか、それとも少しだけ削ってクラウンを被せることも可能ですか?)
2本とも歯並びの調和から外れていますから、理想的な歯並びの位置に形を変えるとすれば、ズレている分もリンゴの芯自体を削り落とさねばなりません。
おそらく飛び出しているほうはほとんど残らず、木の切り株のようになるかもしれません。
>ポーセレンの歯は、至近距離で見ても天然歯と見分けがつかない程度に自然にもできるものなのでしょうか?
タカタ先生の出来上がりが気に入らないポーセレンの歯の写真のように、ご希望を叶えられる人工の歯を作れる歯科医院は、日本でもアメリカでもほんの一握りしか見つからないと思われたほうがふつうです。
ふつうの歯科医院では、天然歯と見比べて、がっかりすることになると思います。
それどころかやり直しをくり返して、歯を失ってしまった人の相談もこのサイトでは珍しくありません。
>また、差し歯特有の歯茎の黒ずみは必ず起こってしまうものですか?
ご指摘の通り、きれいにする目的であれば、クラウンだけではなく、歯茎も治療目的に明確に入れておかねばなりません。
つまり治療のゴールを複数、可能な限り入れておかなければ、後悔の種を播くことになります。
お写真を見た限りでは、とてもきれいな歯茎です。
その色を守りながらきれいにすることは大事な目標となりますが、厚みが薄いようにも見えますから、非常に高度な治療技術を持っている歯科医師でないと、黒くなるか赤くなるか、治療後に下がってしまうか、などのリスクを考えておいたほうが良いと思います。
薄い歯茎を thin type といい、thick type とは難しさが格段に違います。
また国際的な場合は、治療の要素に民族的違いも考慮する必要があります。
アメリカ人は厚い歯茎がほとんどで、それになれているととても楽な治療をしている習慣がついています。
日本人の先生な歯茎については、手慣れていないと、変色どころかは介してしまうことさえあります。
そこもゴールに入れるのか無視するのかによっても計画はガラリと変わります。
>まだ20代なのに、一番目立つ前歯2本が差し歯になってしまうことには抵抗がありますが、折れてしまうのも怖いし、少しでも長く自分の歯を使いたいです。
歯の治療には、良くなると同時に、必ず欠点やリスクを伴います。
良いことばかりを追い求めることは、後悔につながりやすいことも知っておく必要があります。
>長期的に見て、どの方法が一番歯を長持ちさせ機能させることができますか?
先生方の回答通り、お口の状況や今のお気持ちによって、いろいろあり得ます。
別の考えとして、今すぐ一生のことを決めてしまうのか、一生をいくつかのステップごとにいくつかの方法を組み合わせていくかという、時間という要素を加えた計画もあります。
>もしクラウンにするとしたら、どの程度削らなければいけないのでしょうか?
かなり削ります。
一般的には、残せる歯の形はリンゴの芯よりは多いというイメージでしょうか。
それに加えて内側に神経を取った時の、トンネルが開いているとすれば、リンゴの芯の中心が空洞になり壁がペラペラに薄く残せるか、あまりに薄くて、その壁も削り落とすと、ほとんど何も残らないこともあります。
クラウンにする目的が丈夫にするだけならば、今の歯並びを変えないように作れば、削る量は標準的な程度にできます。
もし丈夫にするだけではなく、歯並びも変えるという目的も加える時は、たくさん削ることになります。
たくさん増える割合は、変えたいだけの距離によって比例します。
また写真には写っていませんが、上の歯に凸凹がある人は、下の歯が理想的にきれいな歯並びであることはごく稀です。
もし下がきれいな歯並びならば、上だけの歯並びを変えればすみますが、そのようにラッキーな例はほとんどありません。
つまりしたのはならびにぶつかって前歯をきれいに作れないことがわかれば、今度は下の歯を削る話しもでてくる可能性があります。
おそらく下もたくさん削ることになります。
ですから、治療の目的を丈夫にしたいことと、歯並びを変えたいことと、まず分けてそれぞれの長所短所を整理して計画することをお勧めいたします。
歯並びについてはかなり問題がありそうですから、タカタ先生の回答通り、クラウンだけでどれだけきれいになるか、ゴールの設定によっては疑問がありそうです。
私も歯並びについては矯正を検討することをお勧めします。
それと併用すれば、仮にクラウンにすると決めたとしても、標準以上に削る量については非常に減らせると思います。
>(歯を丸ごと削って土台から作らなければいけないか、それとも少しだけ削ってクラウンを被せることも可能ですか?)
2本とも歯並びの調和から外れていますから、理想的な歯並びの位置に形を変えるとすれば、ズレている分もリンゴの芯自体を削り落とさねばなりません。
おそらく飛び出しているほうはほとんど残らず、木の切り株のようになるかもしれません。
>ポーセレンの歯は、至近距離で見ても天然歯と見分けがつかない程度に自然にもできるものなのでしょうか?
タカタ先生の出来上がりが気に入らないポーセレンの歯の写真のように、ご希望を叶えられる人工の歯を作れる歯科医院は、日本でもアメリカでもほんの一握りしか見つからないと思われたほうがふつうです。
ふつうの歯科医院では、天然歯と見比べて、がっかりすることになると思います。
それどころかやり直しをくり返して、歯を失ってしまった人の相談もこのサイトでは珍しくありません。
>また、差し歯特有の歯茎の黒ずみは必ず起こってしまうものですか?
ご指摘の通り、きれいにする目的であれば、クラウンだけではなく、歯茎も治療目的に明確に入れておかねばなりません。
つまり治療のゴールを複数、可能な限り入れておかなければ、後悔の種を播くことになります。
お写真を見た限りでは、とてもきれいな歯茎です。
その色を守りながらきれいにすることは大事な目標となりますが、厚みが薄いようにも見えますから、非常に高度な治療技術を持っている歯科医師でないと、黒くなるか赤くなるか、治療後に下がってしまうか、などのリスクを考えておいたほうが良いと思います。
薄い歯茎を thin type といい、thick type とは難しさが格段に違います。
また国際的な場合は、治療の要素に民族的違いも考慮する必要があります。
アメリカ人は厚い歯茎がほとんどで、それになれているととても楽な治療をしている習慣がついています。
日本人の先生な歯茎については、手慣れていないと、変色どころかは介してしまうことさえあります。
そこもゴールに入れるのか無視するのかによっても計画はガラリと変わります。
>まだ20代なのに、一番目立つ前歯2本が差し歯になってしまうことには抵抗がありますが、折れてしまうのも怖いし、少しでも長く自分の歯を使いたいです。
歯の治療には、良くなると同時に、必ず欠点やリスクを伴います。
良いことばかりを追い求めることは、後悔につながりやすいことも知っておく必要があります。
相談者からの返信
相談者:
MeeMeeさん
返信日時:2011-09-08 07:00:28
山田先生、タカタ先生、杉原先生、王先生、さがら先生、とても詳しいアドバイスありがとうございました。
まとめてのお礼で失礼します。
頂いた回答一つ一つをじっくり読み、自分でもよく考えて、今日また歯医者さんに行ってきました。
主治医とも話し合った結果、少しお金はかかりますが、長期的に見て一番良いであろう方法をということで、歯列矯正を併用し治療することにしました。
これからは、まずは前歯をテンポラリーフィリングで補強し、歯列矯正して、それが全て終わってからクラウンを被せるかどうかを決めると思います。
さがら先生が教えてくださった”薄い歯茎”についても気になるので、こちらの歯科医に相談してみようと思います。
確かに、今までの治療でも、アメリカの歯医者さんは痛みにはとても敏感で、絶対に痛くないよう最善の処置(オーバーなほど)をしてくれるのですが、繊細丁寧な日本の先生と比べると少し大雑把なところがある気がするので・・・私も海外での治療で、いつもより不安で神経質になっているのかもしれません。
信頼できる良い先生だとは思うので、わからないことはなんでも聞くようにしたいと思います。
いただいたアドバイスで、治療と審美は別々に考えなければならないということもよく理解できました。
歯の治療は二度と取り返しのつかないものなので、自分で考えただけで判断してよいものかと不安でした。
こちらサイトで先生方に相談してみて本当に良かったです。
ありがとうございました。
まとめてのお礼で失礼します。
頂いた回答一つ一つをじっくり読み、自分でもよく考えて、今日また歯医者さんに行ってきました。
主治医とも話し合った結果、少しお金はかかりますが、長期的に見て一番良いであろう方法をということで、歯列矯正を併用し治療することにしました。
これからは、まずは前歯をテンポラリーフィリングで補強し、歯列矯正して、それが全て終わってからクラウンを被せるかどうかを決めると思います。
さがら先生が教えてくださった”薄い歯茎”についても気になるので、こちらの歯科医に相談してみようと思います。
確かに、今までの治療でも、アメリカの歯医者さんは痛みにはとても敏感で、絶対に痛くないよう最善の処置(オーバーなほど)をしてくれるのですが、繊細丁寧な日本の先生と比べると少し大雑把なところがある気がするので・・・私も海外での治療で、いつもより不安で神経質になっているのかもしれません。
信頼できる良い先生だとは思うので、わからないことはなんでも聞くようにしたいと思います。
いただいたアドバイスで、治療と審美は別々に考えなければならないということもよく理解できました。
歯の治療は二度と取り返しのつかないものなので、自分で考えただけで判断してよいものかと不安でした。
こちらサイトで先生方に相談してみて本当に良かったです。
ありがとうございました。
回答6
国際ビル歯科(千代田区丸ノ内)のさがらです。
回答日時:2011-09-08 08:34:35
ご返信ありがとうございます。
実は歯の治療を細かく見ると、民族性の違いが大きく影響することがあります。
歯の治療に対する痛みについては、アメリカの人は日本人よりも非常に気にします。
そういった気持ちへの配慮は全くと言っていいほど違います。
一方、体の構造に関しては、骨格の違いはすぐに良くお分かりと思いますが、歯の構造、歯の根元の直径と歯茎との関係、歯の神経への削る影響、クラウンや歯周病に対する歯茎の許容量、全て違います。
そして、これが一番大事なことですが、白人などコーカソイドと日本人などモンゴロイドの口の中のいろいろなことについて研究しているのは私が知っている限りでは日本人だけです。
これからは最先端を行き始めているアジアではでてくるかもしれません。
しかし、白人社会では調べる気持ちすらまったくありません。
したがって日本人が白人社会で歯の治療を受ける時は、少々気をつけないと、白人との治療結果と異なることがあり、それを白人は想定できないことを知っておく必要もあり、意外に難しい選択を迫られることになります。
また気になることがあれば、新たなスレッドをたててお尋ねください。
実は歯の治療を細かく見ると、民族性の違いが大きく影響することがあります。
歯の治療に対する痛みについては、アメリカの人は日本人よりも非常に気にします。
そういった気持ちへの配慮は全くと言っていいほど違います。
一方、体の構造に関しては、骨格の違いはすぐに良くお分かりと思いますが、歯の構造、歯の根元の直径と歯茎との関係、歯の神経への削る影響、クラウンや歯周病に対する歯茎の許容量、全て違います。
そして、これが一番大事なことですが、白人などコーカソイドと日本人などモンゴロイドの口の中のいろいろなことについて研究しているのは私が知っている限りでは日本人だけです。
これからは最先端を行き始めているアジアではでてくるかもしれません。
しかし、白人社会では調べる気持ちすらまったくありません。
したがって日本人が白人社会で歯の治療を受ける時は、少々気をつけないと、白人との治療結果と異なることがあり、それを白人は想定できないことを知っておく必要もあり、意外に難しい選択を迫られることになります。
また気になることがあれば、新たなスレッドをたててお尋ねください。
タイトル | [写真あり] 上前歯2本(抜髄済)はクラウンにするべきですか?(米国) |
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質問者 | MeeMeeさん |
地域 | 非公開 |
年齢 | 28歳 |
性別 | 女性 |
職業 | 非公開 |
カテゴリ |
虫歯治療 歯が割れた・折れた・欠けた クラウン(差し歯・被せ)その他 その他(写真あり) アメリカ(米国) |
回答者 |
|
- 上記書き込みの内容は、回答当時のものです。
- 歯科医療は日々発展しますので、回答者の考え方が変わることもあります。
- 保険改正により、保険制度や保険点数が変わっていることもありますのでご注意ください。