顎関節症と顎変形症(下顎前突)の術前矯正について
相談者:
ヨッシー57さん (28歳:男性)
投稿日時:2011-09-25 20:39:33
初めまして。
長文ですが失礼致します。
現在顎変形症(下顎前突)の手術を前提とした、術前矯正の2ヶ月目の者です。
元々治療を始めたきっかけは、下顎前突を直したいというものありましたが、主な目的は顎関節症を治療したいということからでした。
口を開けると顎が右にづれるということと、口が大きく開かないというものです。
主治医の先生は、かみあわせを治療すれば顎関節症も治るだろうと言っていたので‥
ただ、矯正装置をはめてから、顎関節症が悪化して、首がかなり痛むことと、頭痛もして、日常生活がつらい状態になってしまいました。
術前矯正は手術を前提としたもので、よりかみあわせが酷くなっているのでしょうがないかもしれませんが、色々調べたり聞いたりしていると、顎関節症がある場合、まず矯正を行うのは適切ではない、かみあわせを直しても顎関節症は治らないという話も聞いたので不安になってきてしまいました‥
結局長い時間をかけて、手術までして、本来の目的である額関節症が治らなかったらどうしようかと‥
この場合、どの様な治療順序、どのような方法がいいかアドバイスを教えて頂けますでしょうか?
宜しくお願い致します。
長文ですが失礼致します。
現在顎変形症(下顎前突)の手術を前提とした、術前矯正の2ヶ月目の者です。
元々治療を始めたきっかけは、下顎前突を直したいというものありましたが、主な目的は顎関節症を治療したいということからでした。
口を開けると顎が右にづれるということと、口が大きく開かないというものです。
主治医の先生は、かみあわせを治療すれば顎関節症も治るだろうと言っていたので‥
ただ、矯正装置をはめてから、顎関節症が悪化して、首がかなり痛むことと、頭痛もして、日常生活がつらい状態になってしまいました。
術前矯正は手術を前提としたもので、よりかみあわせが酷くなっているのでしょうがないかもしれませんが、色々調べたり聞いたりしていると、顎関節症がある場合、まず矯正を行うのは適切ではない、かみあわせを直しても顎関節症は治らないという話も聞いたので不安になってきてしまいました‥
結局長い時間をかけて、手術までして、本来の目的である額関節症が治らなかったらどうしようかと‥
この場合、どの様な治療順序、どのような方法がいいかアドバイスを教えて頂けますでしょうか?
宜しくお願い致します。
回答1
東京医科歯科大学顎関節治療部(文京区湯島)の西山です。
回答日時:2011-09-25 20:57:33
西山です
顎関節症に噛み合わせが影響するかというと、要因の一つであることは確かです。
ただ、治療に関しては最初に噛み合わせの治療から行うことは、一般的にしないということになっています。
我々の大学でも矯正科を受診した患者が、顎関節症も患っていた場合は、我々の治療部に紹介されて、まず顎関節症の治療を行うことになってます。
今回の場合、すでに矯正治療が始まっていますので、元に戻すことはできませんが、出来ることなら矯正治療を一休みして、まずは顎関節症を改善することが必要だとおもいます。
下顎前突は矯正治療でないと改善しませんので、矯正治療自体は無駄ではないと思いますよ。
ただ、順番の問題ですね。
顎関節症に噛み合わせが影響するかというと、要因の一つであることは確かです。
ただ、治療に関しては最初に噛み合わせの治療から行うことは、一般的にしないということになっています。
我々の大学でも矯正科を受診した患者が、顎関節症も患っていた場合は、我々の治療部に紹介されて、まず顎関節症の治療を行うことになってます。
今回の場合、すでに矯正治療が始まっていますので、元に戻すことはできませんが、出来ることなら矯正治療を一休みして、まずは顎関節症を改善することが必要だとおもいます。
下顎前突は矯正治療でないと改善しませんので、矯正治療自体は無駄ではないと思いますよ。
ただ、順番の問題ですね。
回答2
仙台東口矯正歯科(仙台市宮城野区)の堀内です。
回答日時:2011-09-25 21:12:28
顎変形症(下顎前突)の術前矯正中なんですね。
また、顎関節症で悩まれているということですね。
建前上は、顎関節症の治療を主目的として、外科矯正を保険治療で行うことはできないはずです。
外科矯正は、あくまで顎変形症にたいして保険適用とされているからです。
ただし、臨床現場では、骨格形態とかみ合わせの改善を行うと同時に、2次的に、顎関節症の緩和を狙う場合があります。
過去の報告では、高い確率で、手術後の顎関節症状の緩和が確認されています。
これは、かみ合わせの改善というよりは、手術によって、顎関節と骨片と筋肉のバランスが大きく変化するからではないかとの推測がなされています。
しかし、確率は低いものの、顎関節症状に改善の認められないケースも報告されていますので、外科矯正治療の主目的を顎関節症状の緩和に置くことには、問題があると思います。(保険上の問題もあります)
もう一度、矯正医や口腔外科医とよく話し合ってみてください。
「顎関節症がある場合、まず矯正を行うのは適切ではない、かみあわせを直しても顎関節症は治らないという話も聞いたので不安になってきてしまいました‥」
とのことですが、術前矯正では、手術後に緊密な咬合を得るように歯を配列します。
そのため、手術前のかみ合わせは、初診時よりバランスが悪くなり、元々顎関節症を伴っている場合には、症状が悪化してしまう場合があります。
スプリントなどで、症状を緩和することは可能だと思いますが、スプリント使用中は、歯が動きません。
従って、
@術前矯正開始前に症状を緩和させてから矯正を開始する
A顎関節症状が軽度であれば、まず、術前矯正を開始してしまい、できるだけ早期に手術を行う
という対応がとられます。
すでに、術前矯正が開始されているということであれば、顎関節症状が日常生活に与えている悪影響の程度によっては、いったん術前矯正を中止するという対応が必要かもしれません。
詳しくは、担当の矯正医、口腔外科医とご相談ください。
また、顎関節症で悩まれているということですね。
建前上は、顎関節症の治療を主目的として、外科矯正を保険治療で行うことはできないはずです。
外科矯正は、あくまで顎変形症にたいして保険適用とされているからです。
ただし、臨床現場では、骨格形態とかみ合わせの改善を行うと同時に、2次的に、顎関節症の緩和を狙う場合があります。
過去の報告では、高い確率で、手術後の顎関節症状の緩和が確認されています。
これは、かみ合わせの改善というよりは、手術によって、顎関節と骨片と筋肉のバランスが大きく変化するからではないかとの推測がなされています。
しかし、確率は低いものの、顎関節症状に改善の認められないケースも報告されていますので、外科矯正治療の主目的を顎関節症状の緩和に置くことには、問題があると思います。(保険上の問題もあります)
もう一度、矯正医や口腔外科医とよく話し合ってみてください。
「顎関節症がある場合、まず矯正を行うのは適切ではない、かみあわせを直しても顎関節症は治らないという話も聞いたので不安になってきてしまいました‥」
とのことですが、術前矯正では、手術後に緊密な咬合を得るように歯を配列します。
そのため、手術前のかみ合わせは、初診時よりバランスが悪くなり、元々顎関節症を伴っている場合には、症状が悪化してしまう場合があります。
スプリントなどで、症状を緩和することは可能だと思いますが、スプリント使用中は、歯が動きません。
従って、
@術前矯正開始前に症状を緩和させてから矯正を開始する
A顎関節症状が軽度であれば、まず、術前矯正を開始してしまい、できるだけ早期に手術を行う
という対応がとられます。
すでに、術前矯正が開始されているということであれば、顎関節症状が日常生活に与えている悪影響の程度によっては、いったん術前矯正を中止するという対応が必要かもしれません。
詳しくは、担当の矯正医、口腔外科医とご相談ください。
相談者からの返信
相談者:
ヨッシー57さん
返信日時:2011-09-25 22:01:55
西山先生、堀内先生
お忙しい中、ご回答有難うございます。
やはりお二方の話を伺った所によると、かみ合わせの治療で顎関節症が治る可能性もあるが、順番はあまり適切でないということですね。
術前矯正を中断という選択肢ですが、なるべくならその方法は取りたくありません‥とはいうものの、今の術前矯正による噛みあわせが悪すぎて、食事などがつらすぎるからです‥(歯のほんの先の方しか当たっていません)
ご質問なのですが、矯正治療より先に顎関節症の治療を行う理由は何なのでしょうか?
初めに矯正を行って、かみ合わせを正した後、それでも顎関節症が治らなかったら、顎関節症の治療を行うというアプローチでは駄目なのでしょうか?(顎関節症の状態では正しいかみ合わせ治療ができないとか?)
大変お手数ですが、アドバイスを頂けると助かります。
宜しくお願いします。
お忙しい中、ご回答有難うございます。
やはりお二方の話を伺った所によると、かみ合わせの治療で顎関節症が治る可能性もあるが、順番はあまり適切でないということですね。
術前矯正を中断という選択肢ですが、なるべくならその方法は取りたくありません‥とはいうものの、今の術前矯正による噛みあわせが悪すぎて、食事などがつらすぎるからです‥(歯のほんの先の方しか当たっていません)
ご質問なのですが、矯正治療より先に顎関節症の治療を行う理由は何なのでしょうか?
初めに矯正を行って、かみ合わせを正した後、それでも顎関節症が治らなかったら、顎関節症の治療を行うというアプローチでは駄目なのでしょうか?(顎関節症の状態では正しいかみ合わせ治療ができないとか?)
大変お手数ですが、アドバイスを頂けると助かります。
宜しくお願いします。
回答3
仙台東口矯正歯科(仙台市宮城野区)の堀内です。
回答日時:2011-09-25 22:35:19
「ご質問なのですが、矯正治療より先に顎関節症の治療を行う理由は何なのでしょうか?」
→術前矯正期間中が大変だからです。
しかし、術前矯正の開始前に、顎関節の治療を行って、症状の緩和後に、矯正を開始したとしても、矯正中に再び症状が再発することもあります。
「初めに矯正を行って、かみ合わせを正した後、それでも顎関節症が治らなかったら顎関節症の治療を行うというアプローチでは駄目なのでしょうか?」
→最短でも半年以上の期間が必要となることが多い術前矯正を乗り切れるのであれば、問題がないと思います。
また繰りかえしになりますが、保険適用の前提として、外科矯正による顎関節症状の緩和はあくまで2次的なおまけで、主目的ではないからです。
→術前矯正期間中が大変だからです。
しかし、術前矯正の開始前に、顎関節の治療を行って、症状の緩和後に、矯正を開始したとしても、矯正中に再び症状が再発することもあります。
「初めに矯正を行って、かみ合わせを正した後、それでも顎関節症が治らなかったら顎関節症の治療を行うというアプローチでは駄目なのでしょうか?」
→最短でも半年以上の期間が必要となることが多い術前矯正を乗り切れるのであれば、問題がないと思います。
また繰りかえしになりますが、保険適用の前提として、外科矯正による顎関節症状の緩和はあくまで2次的なおまけで、主目的ではないからです。
回答4
東京医科歯科大学顎関節治療部(文京区湯島)の西山です。
回答日時:2011-09-25 22:45:34
西山です
関節の動きに大きな問題がなく、筋肉にも障害が無い状態で口を閉じた時の位置で噛み合わせを整えるのが理想的です。
関節の動きが悪かったり、関節や筋肉に痛みがある場合は噛み合わせの感覚自体も変化してしまう可能性があります。
したがって、このような状態を改善してから矯正治療を行うことがよいわけです。
矯正治療終了後に顎関節症の治療を行うことも可能ですが、症状が消失することにより噛み合わせの感覚が変化する可能性もひていできません。
このような考えから、先に顎関節症の治療を行うことを薦めています。
関節の動きに大きな問題がなく、筋肉にも障害が無い状態で口を閉じた時の位置で噛み合わせを整えるのが理想的です。
関節の動きが悪かったり、関節や筋肉に痛みがある場合は噛み合わせの感覚自体も変化してしまう可能性があります。
したがって、このような状態を改善してから矯正治療を行うことがよいわけです。
矯正治療終了後に顎関節症の治療を行うことも可能ですが、症状が消失することにより噛み合わせの感覚が変化する可能性もひていできません。
このような考えから、先に顎関節症の治療を行うことを薦めています。
回答5
回答6
回答日時:2011-09-26 10:09:25
「結局長い時間をかけて手術までして本来の目的である顎関節症が治らなかったらどうしようかと‥」
可能性はあります。
あまり過大な期待をされないほうがいいと思います。
原則的には、顎関節症と顎変形症は別の疾患です。
もちろん原則的には、顎関節症がある場合には、まずその症状を緩和してから矯正治療に入るべきですが、症状が比較的経度で、日常生活に支障が少なければ(特に痛みがなければ)、矯正開始することもあります。
通常は矯正である程度歯が動いてくると、すべての歯に動揺が出てきて、噛み締めがしにくくなることから、症状が軽減することもあります。
開始2ヶ月ということですから、歯が動き始めて、噛み合せが不安定になってきたり、装置異物感に伴うTCHや噛み締め癖が増加して、首や頭の症状が強くなってきたのかもしれません。
もしそうだとすると、先に顎関節症の治療を行っていたとしても起こりうることだったかもしれません。
手術後しばらくは、今より開咬制限が強くなりますが、開咬訓練により回復します。
現在の状態が耐え難い、あるいは日常生活困難なようでしたら、一旦矯正を中断して顎関節症の症状緩和を行なうことになると思います。
それほど問題が大きくなければこのまま継続することをお勧めします。
担当の先生とよくご相談ください。
可能性はあります。
あまり過大な期待をされないほうがいいと思います。
原則的には、顎関節症と顎変形症は別の疾患です。
もちろん原則的には、顎関節症がある場合には、まずその症状を緩和してから矯正治療に入るべきですが、症状が比較的経度で、日常生活に支障が少なければ(特に痛みがなければ)、矯正開始することもあります。
通常は矯正である程度歯が動いてくると、すべての歯に動揺が出てきて、噛み締めがしにくくなることから、症状が軽減することもあります。
開始2ヶ月ということですから、歯が動き始めて、噛み合せが不安定になってきたり、装置異物感に伴うTCHや噛み締め癖が増加して、首や頭の症状が強くなってきたのかもしれません。
もしそうだとすると、先に顎関節症の治療を行っていたとしても起こりうることだったかもしれません。
手術後しばらくは、今より開咬制限が強くなりますが、開咬訓練により回復します。
現在の状態が耐え難い、あるいは日常生活困難なようでしたら、一旦矯正を中断して顎関節症の症状緩和を行なうことになると思います。
それほど問題が大きくなければこのまま継続することをお勧めします。
担当の先生とよくご相談ください。
回答7
藤森歯科クリニック(兵庫県西宮市)の藤森です。
回答日時:2011-09-26 11:32:23
実際に外科矯正予定の顎関節症治療に関わった経験はありませんし、顎機能を全く診せていただいていないので、’おそらく’としか回答出来ませんが・・・、
>下顎前突
>口を開けると顎が右にずれる
おそらく下顎骨の長さに左右差があるケースだと推測します。
そして、それに対応すべく左右各々の顎関節が機能を獲得するように、頑張ってきたのではないかとも思われます。
もし現段階で顎関節の治療にかかるとしたら、上記状態での安定した顎機能獲得が治療目標となり、それは勿論意味のあることではあろうかと思われますが、もし手術により下顎骨の左右差を小さくすることが出来たら、いずれ、また新たに、その状態での顎機能を獲得していく必要はあると思います。
よって、手術後の顎関節症治療に重点を置く案もあろうかと思います。
もし前提条件の’下顎骨左右差’が無かったり、或いは、顎関節症の原因で他の要因が大きかった事が判明した場合には、この回答は削除させていただきます。
>下顎前突
>口を開けると顎が右にずれる
おそらく下顎骨の長さに左右差があるケースだと推測します。
そして、それに対応すべく左右各々の顎関節が機能を獲得するように、頑張ってきたのではないかとも思われます。
もし現段階で顎関節の治療にかかるとしたら、上記状態での安定した顎機能獲得が治療目標となり、それは勿論意味のあることではあろうかと思われますが、もし手術により下顎骨の左右差を小さくすることが出来たら、いずれ、また新たに、その状態での顎機能を獲得していく必要はあると思います。
よって、手術後の顎関節症治療に重点を置く案もあろうかと思います。
もし前提条件の’下顎骨左右差’が無かったり、或いは、顎関節症の原因で他の要因が大きかった事が判明した場合には、この回答は削除させていただきます。
相談者からの返信
相談者:
ヨッシー57さん
返信日時:2011-10-02 02:44:07
タイトル | 顎関節症と顎変形症(下顎前突)の術前矯正について |
---|---|
質問者 | ヨッシー57さん |
地域 | 静岡 |
年齢 | 28歳 |
性別 | 男性 |
職業 | 会社員(技術系) |
カテゴリ | |
回答者 |
- 上記書き込みの内容は、回答当時のものです。
- 歯科医療は日々発展しますので、回答者の考え方が変わることもあります。
- 保険改正により、保険制度や保険点数が変わっていることもありますのでご注意ください。