乳歯へのPulpotomyについて、2人の歯科医の提案が異なる(米国)

相談者: なるさん (4歳:女性)
投稿日時:2012-01-08 02:22:50
4歳になったばかりの子の母親です。
最近、こちらのサイトで、皆さんの質問や先生方の返信から、いろいろ勉強させていただいているところです。
ありがとうございます。


私達は、1年少し前に、日本から米国に越しました。

日本での検診では特に問題が無かったこと、親子とも英語の生活に慣れるまで重い腰があがらず、最近やっと、こちらでXRayを取って検診を受けたところ、下の右DEと左DE(合計4本)の噛み合わせ部分に、大きな虫歯が見つかりました。

しかも、そのうち、左下Dと右下Dがかなり進行していて、Pulpotomy (Baby Root Canal)を勧められました。
念のため、違う歯医者にも行きましたが、同じ意見でした。

ただ、Pulpotomyに関連して、双方の医者から違う提案(見解)を受け、どちらの医者に治療をお願いすべきか、悩んでいます。


1. Pulpotomyの成否に関して
医者Aは、この処置は1回だけ可能で、将来問題がおきたときには抜歯しかないと言っています。

いっぽう医者Bは、こまめな観察(まずは、3ヶ月おきのXRayでの経過観察)があれば、問題が出た初期に、歯を助けることが可能だと言っています。

2. クラウンの種類について
医者Aは、Pulpotomy後の2本(右下Dと左下D)に、通常の銀色のステンレスクラウンを進めています。このクラウンなら、歯が抜け変えるまで保てるからです。

いっぽう、医者Bは、Pulpotomy後のひとつの歯(右下D)に、ステンレスの上に白いコーティングをしたものを進めています。
(下の歯は目立つので、白いコーティングは、とても魅力的な提案です。)
しかし、このタイプのクラウンは、短ければ2年くらいでコーテイィングの部分が欠けたりして、クラウンの取り替えが必要になることがあるそうです。
医者は「その時は、クラウンだけ取り替える」と言いますが、歯が抜け替わるまでの数年間に、何度も乳歯のクラウンを取り替えられるものなのか、疑問があります。

さらに、医者Bは、Pulpotomy後のもうひとつの歯(左下D)は、クラウンではなく、白い詰め物でも良さそうだと言います。

わたしとしては、もし医者Bの自信と提案が妥当なものであれば、こちらに治療をしてもらいたいと思っています。
しかし、これはかなり楽観的なのではないかという不安もあります。
以下、医者Bの提案を元に、私が気にしている点を列記させていただきます。

a. 乳歯へのPulpotomyは、やり直しがきくのか。
b. クラウン入れ替えは、何度も(3−4回?)できるのか。
c. 白い詰め物が欠けたりした場合、Pulpotomyを施した根に悪い影響を与えないのか。
あるいは、そもそも白い詰め物は、クラウンよりも圧力などから歯の根っこを保護する力が弱い、などのデメリットは無いのか。

この件に関して、先生方のご見解を頂ければ、幸いです。
どうぞ、宜しくお願いいたします。



追伸。

虫歯が見つかって強く反省をし、現在は、おやつは必ず食事の直後に食べて、一日2回の歯磨きと、毎食後のうがいをしています。
もともと家にはジュースやキャンディー等は無く、お菓子もなるべくドライフルーツや甘くないスナックを置くようにしていたのですが、引越後は母子で家にいる時間が長くなって、子供が棚を開けて何か口にすることも頻繁になっていたのをやり過ごしていました。
また、外に出ると、かなり甘いものも食べていて、虫歯が出来やすい状態になっていたのだと、改めて反省しました。


回答 回答1
  • 回答者
歯科医師の松山です。
回答日時:2012-01-08 11:42:34
>a. 乳歯へのPulpotomyは、やり直しがきくのか。

歯髄を根管口のところで切断する方法だと思いますが、やり直しはできません。
歯根内の歯髄は失活させるか、生きたままにするかなのですが、普通は失活させる方を採ると思います。
歯髄の感染状態、虫歯の大きさを勘案します。
うまくいかなかったときには、根管治療で救うことが出来ます。


>b. クラウン入れ替えは、何度も(3−4回?)できるのか。

できるでしょうが、私には奇抜な感じです。


>c. 白い詰め物が欠けたりした場合、Pulpotomyを施した根に悪い影  響を与えないのか。

破折部が根管口に近づくと問題が出るでしょう。
虫歯の大きさ次第だと思います。

回答 回答2
  • 回答者
船橋歯科医院(岡山市北区)の船橋です。
回答日時:2012-01-08 12:32:44
なるさん。
こんにちは。

海外で生活されている際、このサイトは本当にお力になっているのではないでしょうか?
私もサイト運営者に敬意を感じています。


さて、ご質問の虫歯の治療法ですが、

>a. 乳歯へのPulpotomyは、やり直しがきくのか。

この方法自体は、やり直しはできないと思います。

が、予後不良で抜歯というのではなく、再度根管治療を試みることが可能なように思います。
もちろん、そのようなことにならないように、今後バランスのとれた食事をし、よく歯を磨けばよいわけです。


>b. クラウン入れ替えは、何度も(3−4回?)できるのか。

クラウンの入れ替えを何度もするほど乳歯の虫歯審美性を(しかも奥歯)重要視したいのか?という違和感を感じました。。
4歳で虫歯になってしまったお子さんの場合、ステンレススチール冠で十分なのではないでしょうか?

もっとも、急に審美面や口腔衛生管理に目覚めて歯が全て真っ白で、歯垢一つない歯を目指すぞ〜っと、価値観を新たに持たれたのならば別ですが、再製するということはその都度治療費と通院が必要だということを意味しますので、普通の感覚では喜んで歯が抜け変えるまで保てる治療法を選択されるのではないかと。。。
(しかも、米国でしたら、虫歯治療とはいえ、高額の自費なのではないでしょうか?)


>c. 白い詰め物が欠けたりした場合、Pulpotomyを施した根に悪い影響を与えないのか。
>あるいは、そもそも白い詰め物は、クラウンよりも圧力などから歯の根っこを保護する力が弱い、などのデメリットは無いのか。

この治療法が選択できるのは、虫歯の大きさの程度によります。
虫歯の部分を完全にとり除いた後に、健全な歯質がかなり存在していれば十分可能です。
歯と一体化しますから、全く問題はありません。

ただ、歯をすっぽり覆う冠とは違い、ご自身の歯が口腔内に露出していますので、4歳で大きな虫歯を4本も作ってしまったような口腔環境では、虫歯が再発する可能性が捨てきれません。

日本でもあまりにもひどい口腔環境のお子さんには勧んで冠をして虫歯の再発を防ぐこと場合があるほどです。
主治医にレジン充填でよいと提案を受けられたのは、あなたのお子さんの口腔環境の改善が期待できたからではないでしょうか?


これからは新たな虫歯を作らないように、虫歯予防歯磨きをしっかり身につけられることを祈っています。

回答 回答3
  • 回答者
回答日時:2012-01-09 00:01:29
>a. 乳歯へのPulpotomyは、やり直しがきくのか。

これは断髄処置自体ではなくて、抜歯以外の治療が可能かどうかという意味だと考えると、日本では定期的に経過観察できれば抜歯せずに治療可能な場合が多いと考えるのが一般的だと思いますが、アメリカでは乳歯の感染根管治療は行わずに抜歯するのが普通であるようです。

国によっての違いだけでなくて、もちろん術者の考え方、経験、能力によっても治療方針は変わります。


>b. クラウン入れ替えは、何度も(3−4回?)できるのか。

「ステンレスの上に白いコーティングをしたもの」というのを私は聞いたことがないので、よくはわかりませんが、歯の上に被せるものであれば、基本的にやり直し自体は可能なはずです。


>c. 白い詰め物が欠けたりした場合、Pulpotomyを施した根に悪い影響を与えないのか。
>あるいは、そもそも白い詰め物は、クラウンよりも圧力などから歯の根っこを保護する力が弱い、などのデメリットは無いのか。

白い詰め物は欠損が大きくなると欠けやすいといった欠点はありますが、それ以外には大きなデメリットはないように思います。

相談者からの返信 相談者からの返信
相談者: なるさん
返信日時:2012-01-09 00:20:50
松山先生、船橋先生、森川先生

お忙しいところ、早速ご返事をいただき、ありがとうございます。

技術的には、医者Bの提案内容にも理がある。
ただし、特にクラウンに関しては、やはり長持ちすることを優先させるべきかな、という気持ちになってきました。

なお、医者Bの「Pulpotomyが失敗しても歯を助けられる」というのは、再度Pulpotomyが可能ということではなく、別の処置を念頭においているのだろうということが、判りました。
こちら、念のため、双方のお医者様に実績や考え方など、きいてみます。

船橋先生の仰るとおり、サイト運営者の方には、敬意を感じます。
同時に、こうして、ご自分の時間をさいて返信をくださる先生方にも、心から感謝いたいします。
ありがとうございます。



タイトル 乳歯へのPulpotomyについて、2人の歯科医の提案が異なる(米国)
質問者 なるさん
地域 非公開
年齢 4歳
性別 女性
職業 非公開
カテゴリ 根管治療の治療法
アメリカ(米国)
乳歯の抜髄、根管治療
回答者




  • 上記書き込みの内容は、回答当時のものです。
  • 歯科医療は日々発展しますので、回答者の考え方が変わることもあります。
  • 保険改正により、保険制度や保険点数が変わっていることもありますのでご注意ください。

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