インプラント予定、ボーンアンカードフルブリッジとHAコーティング

相談者: ryoutyanさん (47歳:男性)
投稿日時:2012-01-11 21:03:31
重度の歯周病で全て抜歯との診断です(複数の医院)。

インプラントを検討しています。


ある医院から上8本、下8本のインプラント(スクリューベントHAコーティング)の埋入と、上部構造ジルコニアセラミックのボーンアンカードフルブリッジの提案を受けています。

治療期間は抜歯後3か月でインプラント埋入とソケットリフト、さらに3か月後に上部構造装着だと言われました。

当初、歯の無い期間が長いと不自由なので、ワンデイと言われる抜歯即時埋入やオールオンフォーも考えましたが、重度の歯周病である点と審美性の点で時間がかかってもボーンアンカードフルブリッジにしてみたいと思っています。



@費用、時間が許すなら このようなボーンアンカードフルブリッジは長期的な予後、機能性、審美性等で有利で正しい選択でしょうか? 


A最近はワンデイの広告が目立ち、もう主流では無くなってきているのでしょうか?だとしたら理由は?


BHAコーティングについては好き嫌いであるとの回答も見ましたし感染症に弱いのではという点で不安があります。
初期のものよりコーティング技術も上がってきており、不具合も改善されたという記事も見ます。

最新のHAコーティングインプラントについての情勢が知りたいです。


C上部構造のジルコニアセラミックの長所、短所



以上 拙い文章ですが アドバイスお願いいたします


 


回答 回答1
  • 回答者
回答日時:2012-01-12 00:03:51
ご相談ありがとうございます。

大がかりな治療のようですね。
たしかに悔いの残らないよう、慎重に計画していきたいものです。



>@費用、時間が許すなら このようなボーンアンカードフルブリッジは長期的な予後、機能性、審美性等で有利で正しい選択でしょうか? 


おっしゃるとおりです。
時間をかければいろいろと綿密に勧めていけます。

反面、治療期間が長くなる、治療中の日常生活に支障が出ない工夫が必要となる、という問題もあります。




>A最近はワンデイの広告が目立ち、もう主流では無くなってきているのでしょうか?だとしたら理由は?


たしかに今やや流行のような気配もありますが、決して廃っているわけではありません。

それぞれがお互いにはない特徴があるからです。

ワンデイの場合は、抜歯と同時にインプラントとブリッジが一日で入ってその日から食事ができますから、治療期間がとても短く、仮の総入れ歯の苦労が全くゼロにできるメリットがあります。


私のところでも、大部分が悪くなってから治療する場合に、大きな入れや総入れ歯を避けたいために、希望される方が増えています。

ほとんどの方が多数の抜歯が必要になる理由が歯周病です。
むし歯がひどくなってからの抜歯よりも、治療は格段に難しくなります。

抜歯後の出血が多いことと止血が難しいこと、抜歯後の歯ぐきの形が治療前には完全に予測できないために、計画とのズレを治療中に補正する困難さがあること、などがあります。

それを避ける方法がお選びになった、まず抜歯をして治ってからインプラントをする方法です。


しかし、その困難は事前の計画と入念な相談、それに研鑽と技術で乗り越えられますし、歯周病や食べられないことや前歯の見かけの悪さや話しにくい等の悩みが、一日で終わってしまう喜びは、患者さんも私も苦労が一気に報われる喜びの瞬間です。




>BHAコーティングについては好き嫌いであるとの回答も見ましたし感染症に弱いのではという点で不安があります。
>初期のものよりコーティング技術も上がってきており、不具合も改善されたという記事も見ます。
>最新のHAコーティングインプラントについての情勢が知りたいで
す。


もちろん以前よりは改良も進んでいるようですが、粗悪品が減ってきているようにも思いますから、信頼性は高まっているとも言えます。

ただ、チタンの研究が最近は一段と進んできて、チタン表面の性質を変えて非常に安心感が高まってきました。

昔は条件の悪い場所には、HAの信頼性が魅力でしたが、最近は使わなくてもチタンで遜色が無く、しかもご指摘のように後の炎症の心配が少ないチタンに魅力が出ています。


もともとヨーロッパではあまり使われて無く、最近では本家のアメリカで全く使われないようになっています。
これも時代ごとに揺れ動いてきましたから、将来はまた変わるかもしれません。

基本はしっかり研究されていることを守っていくことが長期的な安心につながります。



>C上部構造ジルコニアセラミックの長所、短所


CADCAM製法のフレームに使う長所は、

金属の固まりを使わなくてすむ、メタルフリーに近づいていることです。
また色が白いために、歯や歯ぐきの色がメタルで黒っぽく見える欠点がありません。
どこから見ても白くきれいにできます。
さらに直接歯の形を作ることもでき、奥歯にはとても強く割れない噛み合わせを作ることも不可能ではなくなりました。


短所は、

まだ歴史が浅いためはっきりしないことがある、あまり大きなブリッジになると連続できないことがある、チタンではかなりなじみがあることが分かっているが歯ぐきの下に長期間入れて歯周病のような症状がどうなるかまだ良く分からない、現在のところ色に透明感がないため前歯にはきれいな別のセラミックを焼き付けるとメタルより焼き付け強度がやや低くなる、などでしょうか。

まだ他にもあるかもしれませんが、いずれにしろセラミックはまだまだ反転途上ですから、もっと良くなると思います。



ご担当の先生のお得意でお勧めな方法もあると思います。
今の内のよくご相談して良いゴールを目指してください。

回答 回答2
  • 回答者
飯田歯科(堺市南区)の飯田です。
回答日時:2012-01-12 00:19:02
>@費用、時間が許すなら このようなボーンアンカードフルブリッジは長期的な予後、機能性、審美性等で有利で正しい選択でしょうか? 

>A最近はワンデイの広告が目立ち、もう主流では無くなってきているのでしょうか?だとしたら理由は?


私は受診された医院の治療方針の方を支持します。
ワンデイは患者受けをねらったもので、世界レベルでは十分に安心の治療の保証は出ていません。



>BHAコーティングについては好き嫌いであるとの回答も見ましたし感染症に弱いのではという点で不安があります。
>初期のものよりコーティング技術も上がってきており、不具合も改善されたという記事も見ます。
>最新のHAコーティングインプラントについての情勢が知りたいです。

感染症に対して弱いイメージは私もあります。
海外では最近はほとんど使用されておりません。

コーティング技術が上昇しているのも事実です。
これ以上のコメントは熱狂的な支持者のいる現状では差し控えさせて頂きます。

日本国内ではこの見解の決着はついていません。
私も動向を見守りたい一人です。



>C上部構造ジルコニアセラミックの長所、短所

長所の方が圧倒的です。
最新の治療であり、科学的にも信頼できます。
丈夫で審美的にも問題が少ないです。


私見も入っておりますがご参考になれば幸いです。

相談者からの返信 相談者からの返信
相談者: ryoutyanさん
返信日時:2012-01-13 21:32:29
さがら先生、飯田先生、早速の、そして丁寧なご回答ありがとうございました。


検討している治療計画を支持していただいて、すごく勇気がわいてきました。

担当医の方と相談しながら 前向きに考えていきたいと思います。



ただ HAコーティングについては もう少し他の方のご意見も聞けたらなあと思っていますが・・・
回答 回答3
  • 回答者
回答日時:2012-01-14 19:22:06
>ただ HAコーティングについては もう少し他の方のご意見も聞けたらなあと思っていますが・・・


僕もHAに関してはお二人の先生方と同じで「感染に対して弱い」と言うイメージがあり、使っていません。



>初期のものよりコーティング技術も上がってきており、不具合も改善されたという記事も見ます。


僕がHAで唯一、期待しているのは「ミューワンHAインプラント」だけです。

理由を詳しく書き始めると何時間もかかってしまいますので、省略させていただきますが、このミューワンインプラントは「スパッタリング法」と言う方法でHAをコーティングしています。
その結果、HA膜は厚さ1〜2μmと言う「超薄膜」になり、数か月するとHAは吸収され、骨はチタンとインテグレーションするようになります。

ただ、現時点ではワンピースタイプのものしか販売されていないので、ツーピース好きの僕はいまだに使っておりません。
(実はキットは持っていて、いつでも使える環境にあるのですが…)

開発しているのが、僕の患者さんと言う事もあり、「ツーピースはまだか」とせかしているのですが、「厚労省の薬事承認に時間がかかっている」と言われました。

相談者からの返信 相談者からの返信
相談者: ryoutyanさん
返信日時:2012-01-15 19:23:11
櫻井先生 コメントありがとうございます。

参考にさせていただきます。

感染に関しては 少し 心配がありそうなのですね。



回答者の先生方に

もうひとつ質問させてください。

@ソケットリフトの充填剤としてのHAを利用することに何か懸念はあるのでしょうか?
インプラント本体の場合、材質の問題では無くコーティング方法や長期的な予後、経年変化?により感染リスクがあるかも?ということで理解してますが・・・違ってたらごめんなさい)
回答 回答4
  • 回答者
回答日時:2012-01-17 10:45:44
>@ソケットリフトの充填剤としてのHAを利用することに何か懸念はあるのでしょうか?

僕はソケットリフトの骨補填剤にはHAを使います。


ソケットリフトのHAもインプラント体のHAコーティングも手術中の感染のリスクはほとんど変わらないと考えます。


しかし、将来的に口腔衛生不良などで粘膜貫通部が破壊された場合にはインプラント体表面のHAは一気に汚染されてしまう可能性が高いのですが、上顎洞内のHAが汚染されるリスクはほとんどありません。
上顎洞炎などが起こった場合はどうなるかは想像の域を出ませんが…)

相談者からの返信 相談者からの返信
相談者: ryoutyanさん
返信日時:2012-01-17 23:04:30
櫻井先生 ご回答ありがとうございます。


>インプラント体表面のHAは一気に汚染されてしまう可能性が高いのですが・・・

もう少し詳しく教えていただけないでしょうか?


@HA自体が細菌に汚染されやすい特性なのですか?
バイオインテグレーションと呼ばれる骨を誘導する特性が細菌とも結びつきやすいという
イメージなのでしょうか?


Aコーティングの剥離 溶脱により 骨とインプラントの間の隙間が大きくなることにより汚染されやすいのでしょうか?
(「ミューワンHAインプラント」に期待されていることと関係しますか?)


B口腔衛生不良などで粘膜貫通部が破壊された場合とは 、具体的にはどのようなことですか?(周囲炎?) 
HAでないインプラント体の表面は汚染されないのですか?(されにくい?)


C汚染とは プラーク歯石が付くような状態を言いますか?
もしそうならば 日常のケア、定期的な専門的なケアで除去は可能なものなのでしょうか?(深部に到達する前に)

それとも HAと結合するような 手のほどこしようのない汚染なのでしょうか?
(前の質問と重複するかもしれませんが 汚染のイメージがよくわかりません)


先生方も 答えにくい問題かもしれませんが 賛否両論であり非常に悩んでいます・・・

よろしく お願いします。

 
回答 回答5
  • 回答者
回答日時:2012-01-19 17:02:59
>@バイオインテグレーションと呼ばれる骨を誘導する特性が細菌とも結びつきやすいというイメージなのでしょうか?

このイメージでよろしいかと思います。



>Aコーティングの剥離 溶脱により 骨とインプラントの間の隙間が大きくなることにより汚染されやすいのでしょうか?

この辺りは様々な技術開発で変わってきていますが、一昔前のHAコーティングではそのようなイメージです。



>「ミューワンHAインプラント」に期待されていることと関係しますか?

関係ありません。
ミューワンのHA層は無くなってしまいますから。



>B口腔衛生不良などで粘膜貫通部が破壊された場合とは、具体的にはどのようなことですか?(周囲炎?)

そのようなイメージよろしいかと思います。


> HAでないインプラント体の表面は汚染されないのですか?(されにくい?)

@の回答に通じるものがあります。
HAの「インテグレーションが早い」と言う特性は同時に「細菌感染も早く進みやすい」と言う事を意味しています。
通常のチタンインプラントでも感染があれば汚染されます。



>C汚染とは プラーク歯石が付くような状態を言いますか?

そんなイメージでよろしいかと思います。



>そうならば 日常のケア、定期的な専門的なケアで除去は可能なものなのでしょうか?(深部に到達する前に) 

エアーアブレーションなどで表面を綺麗にする事である程度は感染の進行を止める事が出来るとは言われていますが、汚染されないようにケアする事が大切だと思います。



>賛否両論であり非常に悩んでいます・・・

さがら先生、飯田先生が書かれておりますが、世界的に見れば「否」の方が多いと思います。

回答3でも書きましたが、個人的には「HAインプラントは使わない」です。

相談者からの返信 相談者からの返信
相談者: ryoutyanさん
返信日時:2012-01-19 20:59:43
>>櫻井先生 さがら先生 飯田先生

回答 ありがとうございました。


勉強になりました。

今後の治療計画の参考にさせていただきます。



タイトル インプラント予定、ボーンアンカードフルブリッジとHAコーティング
質問者 ryoutyanさん
地域 非公開
年齢 47歳
性別 男性
職業 非公開
カテゴリ 歯周病で抜けた・抜く予定
インプラント治療法
ジルコニアクラウン
回答者




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