根管治療中、ラバーダムを使用しなくても細菌を殺せますか?

相談者: ホワイトコートさん (28歳:男性)
投稿日時:2013-05-23 18:09:28
現在根管治療を受けていて、このサイトでラバーダムの必要性を知りました。

ラバーダムを使用することによって唾液を極力排除し、無菌状態を目指すことで根管治療の成功率の上昇が見込めると理解しました。



そこで、1つ素朴な疑問が浮かびました。

ラバーダムを使用せず細菌が入ってきたとしても、根管治療で薬を何回か入れる(ファイルで掃除と消毒を繰り返すときの薬)と、それによって混入した細菌を殺すことができるということはないのでしょうか?

ラバーダムのカテゴリを色々と拝見させていただきましたが、私の勉強不足かもしれません・・・。

ご回答頂けると幸いです。
宜しくお願い致します。


回答 回答1
  • 回答者
回答日時:2013-05-23 18:54:30
ご相談ありがとうございます。

根管治療で薬を何回か入れる(ファイルで掃除と消毒を繰り返すときの薬)とそれによって混入した細菌を殺すことができる
ということはないのでしょうか?


とても難しいと思います。
歯の中はとても複雑なので、一部を殺すことはできてもほとんどは殺せません。

根管治療成功の秘訣は、中に新たな細菌を入れないことです。

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回答 回答2
  • 回答者
回答日時:2013-05-23 21:44:29
こんばんは。

〉混入した細菌を殺すことができるということはないのでしょうか?

歯の神経管の構造はとても複雑な網の目状なので、貼薬した薬だけで細菌を少なくすることは難しいと思います。
薬も細菌まで届かない事もありますしね。

また細菌は繁殖するので、毎回感染させていたらとても薬だけでは細菌数を減らすことに追いつかないです。

さがら先生が書かれているように、新たに細菌に感染させないことが大事かと思います。

参考になさってください。

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回答 回答3
  • 回答者
回答日時:2013-05-24 11:13:06
>無菌状態を目指すことで、根管治療の成功率の上昇が見込めると理解しました。

・・ということで良いと思います。
逆に言うと無菌になる訳ではないですし、成功率が100%になる訳でもないです。



>根管治療で薬を何回か入れる(ファイルで掃除と消毒を繰り返すときの薬)とそれによって混入した細菌を殺すことができるということはないのでしょうか?

ということもあると思います。
もう少し正確に書くと、細菌数を(ゼロにまでする必要はないし、ならない)身体が許容してくれるぐらいの量にまで、運良く減らせることもあれば減らせないこともあると思います。

雑〜な根管治療でも成功(後々膿んでこない)する場合もあれば、まったく逆の場合も実際には珍しくありません。


必ず○○をすれば成功するし、××をすると失敗するというものではないと思います。


必要性と言っても、車に乗るのにシートベルトは必要か?エアバックは必要か?時速60kmは安全か?みたいな話で、ラバーダムも含めてあらゆる手技、材料について費用や手間に対する効果や効率など考えながら総合的に判断する、ということになると思いますよ。

もう少し似た例えにするとしたら、開腹手術をするのに必ずオペ室で行う必要があるかどうか?がいいかも知れません。
普通の部屋や屋外で開腹手術をしたとしても、必ず失敗するということにはならないと思いますし、それが仕方がない場合も実際にはあると思います。

もちろん個人的には必須と思っていますので、そういうことも含めて時間もチャージも頂いている訳ですが、それでも結果を保証することは出来ないですしね。

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相談者からの返信 相談者からの返信
相談者: ホワイトコートさん
返信日時:2013-05-24 12:35:37
さがら先生、三留先生、渡辺先生
ご回答頂きましてありがとうございます。

現在ちょうど根管治療中で、しかもファイルが折れていて凄く悩んでいたので先生方に素早いご回答をいただき大変嬉しく思っております。

さがら先生のおっしゃった、新たな細菌を入れないこと、三留先生のおっしゃった、毎回感染させていたら追いつかないこと、渡辺先生のおっしゃった、雑な場合も成功するし丁寧でも失敗するということで、ラバーダムの必要性について素人の私なりに学ばせていただきました。

また、渡辺先生のおっしゃった車や開腹手術の例から、ラバーダム以外の要素も総合的に判断する必要があるということもとても分かりやすく勉強になりました。

ありがとうございます。


根管治療の成功の「成功」とは、

・臨床症状が無く
レントゲン上で病気が見られない(または縮小している)

と、このサイトで知ったのですが、私の場合

・初回根管治療
・最初から痛みもないし、掃除中も痛みが全くない(現在、充填剤をつめる直前)
・レントゲン上でもともと病気がない(根尖病巣がない)

のですが、これは、最初から「成功」条件がそろっている(ラバーダムなしでも普通にやれば成功率ということすら考えなくても良い)と考えてもよろしいのでしょうか?
回答 回答4
  • 回答者
回答日時:2013-05-24 13:14:14
こんにちは、

>最初から「成功」条件がそろっている

抜髄であれば、感染根管より成功する確率は高いですよ。

ただし、長期の予後を考えると質の高い、土台や被せ物の方も重要になります。

いいワインを瓶につめたら、今度は劣化しないようにコルクの質にもこだわる必要があります。


根の治療の成功とはラバーダムも大切ですが、ラバーダムは治療中の感染防止であり、それ以外の時間に感染がないようにする仮の蓋などの質も大切です。

結局ラバーダムをしてもきちんと中の虫歯が取れていなければ、ラバーダムの中はバイキンだらけで結局何をしているのか分からないような状況になります。

成功率を上げる一つの要因としてラバーダムはあげられますか、根管治療は他にも色々な配慮があり初めて成功率を上げることとなります。

個人的には治療期間、回数なども大切だとおもいます^_^
(期間が長ければ、感染する可能性の期間が長くなるわけですから)

おだいじに

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回答 回答5
  • 回答者
回答日時:2013-05-24 14:40:02
>・初回根管治療
>・最初から痛みもないし、掃除中も痛みが全くない(現在、充填剤をつめる直前)
>・レントゲン上でもともと病気がない(根尖病巣がない)

「成功」条件?と言うのか分かりませんが、確かに条件としては良いと思いますよ。



>(ラバーダムなしでも普通にやれば成功率ということすら考えなくても良い)と考えてもよろしいのでしょうか?

医療においての成功率というのは、同じ条件で同じ様に行った場合の数字をもとに話をします。

本当はホワイトコートさんの主治医の先生がホワイトコートさんと似た条件の患者さん達の治療結果を教えて下されば一番良いのですがおそらくそれは無理なので、過去に他の先生が行った調査報告を参考にすることになると思います。


ただし井野先生がおっしゃる様に、ラバーダム以外にも様々な成功率に影響しそうな要因がある上に、ラバーダムは日本以外の専門家の間では基本的なこと過ぎて、「使わない場合」という前提自体が倫理違反となっていて、参考資料はかなり限られてしまうというのが現状ですね。
(青空の下で行った開腹手術の成功率・・なんて研究があり得ないのと同じです)

ラバーダムは使ったり使わなかったり、防湿目的のみで・・という1978年Jokinenらの報告では、ホワイトコートさんと同じ初回治療について、4年後の成功率を46%だったと報告しています。

この論文はとにかく古くて細かい条件がいまいち分かりにくいのですが・・井野先生のご指摘の様に、土台や被せものの質だったり仮封、治療期間や回数のことなども当然あります。

ただ現在の日本の一般的な保険治療の内容と照らし合わせたときに、個人的には当たらずとも遠からず??とは考えています。

自分だったらこの数字は許容範囲とはとても思えませんが、この金額(海外の10分の1〜20分の1)なら十分!と思う人もいるかも知れませんね。



つまり今回はじゃんけんで勝つか負けるかぐらいの確率だと思いますが、仮に失敗していたとすると再治療では更に成功率が落ちます。

でもそれを専門医が万全を期して行えば60〜80%程度の成功率になる訳で、今過ぎたことを色々考えたり、あるいは不安だからといって今すぐ治療をやり直すより、何年か後の結果を見てからの判断で良いのではないでしょうか。

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相談者からの返信 相談者からの返信
相談者: ホワイトコートさん
返信日時:2013-05-24 17:34:45
井野先生、渡辺先生、
詳しくご回答頂きありがとうございます。

私が上手く言えていなくて、少し混乱しています・・・。


根管治療の成功の「成功」とは、

・臨床症状が無く
レントゲン上で病気が見られない(または縮小している)


ということは、「失敗」はその逆で

・臨床症状が出るかあるいは
・レントゲン上で病気が見られる、拡大している
(両方の場合もあり)

ということになりますよね。

それで、私には臨床症状もレントゲンでの異常も「そもそも最初からない」ので、根管治療が失敗するとはどういうことなのか分からないのです・・・。
回答 回答6
  • 回答者
回答日時:2013-05-24 18:02:55
>臨床症状もレントゲンでの異常も「そもそも最初からない」ので根管治療が失敗するとはどういうことなのか分からないのです・・・。

根管治療終了後に痛みが出る
痛みが出なくてもレントゲンで影が出来る

と言う事です。

どちらも治療直後ではなく「数年経って」と言う事が多いです。

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回答 回答7
  • 回答者
回答日時:2013-05-24 20:04:57
根管治療が失敗するとはどういうことなのか分からないのです・・・。

再治療が必要になったり抜歯になることを、根管治療の失敗ととらえます。

ただ今はそこまで考えなくていいと思いますよ^_^

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相談者からの返信 相談者からの返信
相談者: ホワイトコートさん
返信日時:2013-05-27 00:02:22
ご回答頂きましてありがとうございます。


櫻井先生

数年経って、それから症状が出る可能性ということなのですね・・・。



井野先生

リーマーが折れているので、その先から病巣が発生しないか心配で今から考えてしまいます・・・^^;

なんとしてでも抜歯は避けたいので、今自分にやれることは何なのか見つけたいです・・・。


ラバーダムの必要性と、根管治療の失敗について勉強させていただきました。

ありがとうございます。
回答 回答8
  • 回答者
回答日時:2013-05-27 10:47:09
リーマーが折れているので、その先から病巣が発生しないか
心配で今から考えてしまいます・・・^^;

ファイル、リーマーが折れていても、それが原因で病変ができる訳ではないので心配しなくていいですよ^_^

相談者からの返信 相談者からの返信
相談者: ホワイトコートさん
返信日時:2013-05-27 11:22:20
井野先生

早速のご回答をいただきまして、ありがとうございます。

このサイトのリーマーの破損のカテゴリで色々見たのですが、次の3点がどうしても払拭できなくてですね^^;


1.リーマー自体が悪さしなくても、折れてしまった先の根管の清掃、消毒、緊密な根管充填ができない。

2.リーマーの先に病巣が見つかった場合、再根管治療が難航するので、抜歯する可能性大

3.折れていても問題ないのは、それは文献上(日本以外の文献上)使用されているリーマーは、全て当然ながら日本と違い新品で滅菌されたもの。

しかし、ほとんどの日本の歯科はリーマーは消毒はするけれども、使いまわしなので、問題ないとはいいきれないのでは・・・。


この3点さえ払拭できれば、完全に安心できるのですが・・・^^;
回答 回答9
  • 回答者
回答日時:2013-05-27 11:27:17
だどすれば、ホワイトコートさんの不安を払拭するには、ファイルを除去できる歯科医を探すしかないように思いますが…。^_^;

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回答 回答10
  • 回答者
回答日時:2013-05-27 22:10:40
>1.リーマー自体が悪さしなくても折れてしまった先の根管の清掃、消毒、緊密な根管充填ができない。

理論上はそうなんですが、臨床上ファイルが折れていないような条件の良い歯でも、緊密な充填ってそんなに簡単にできませんよ^^;


>2.リーマーの先に病巣が見つかった場合、再根管治療が難航するので、抜歯する可能性大

そうですね、再治療は難しくなると思いますが、先にも書いたようにファイルが残っていても治る歯は多くありますからね。


>3.折れていても問題ないのは、それは文献上(日本以外の文献上)使用されているリーマーは、全て当然ながら日本と違い新品で滅菌されたもの。

いえいえ、海外でも滅菌されたファイル、リーマーはあまりありませんよ^^;

ファイルは買った後、各歯科医院で滅菌します。

今回たまたまですが、IFEAでファイルの滅菌の話が出てきましたが、純粋に1人の患者さんのファイルを滅菌する価格は1000円近くかかるそうです。

しかし、1日全ての道具を滅菌すると200円ぐらいになるという話がありました。

私の感覚ではもう少し安い気がしましたが^^;

滅菌するのにも患者さんから見えない費用がかかっています。

因みに保険治療の根管治療前歯の2回目の治療費は250円(窓口負担85円)です。
ファイルを滅菌するだけで、治療費は無くなります。

保険治療で真面目に根管治療を行おうと思うと、ここまで厳しい状況なのです。。。


>しかし、ほとんどの日本の歯科はリーマーは消毒はするけれども、使いまわしなので、問題ないとはいいきれないのでは・・・。

海外も多くの先生が使えるファイルは消毒・滅菌して次の使用患者さんで使用していますよ。

またファイルが汚れていることを前提に話をするとラバーダムはあまり意味をなしませんよ^^;

色々なきちんとしたステップの上にラバーダムがある訳です。


ですのでラバーダムすれば成功率が90%、ラバーダムがないと成功率が50%という訳ではありませんのでね^^;


歯チャンネル

>ラバーダムを使用して、丁寧に治療を行った場合90%

を見ると少し錯覚してしまいますが、私的には、『専門的なガイドラインのもとに行った根管治療の成功率90%』。

この90%の多くの文献も、専門医が行う『*プロトコール(手順)』に従い行った結果の文献です。


*ウィキより

プロトコル、または、プロトコールとは、複数の者が対象となる事項を確実に実行する ための手順等について定めたもの。日本語では「規定」「議定書」「儀典」などと意訳される。


>一般的な日本の保険の根管治療(ラバーダム無し)の場合 50%

日本の保険医の成功率を正確に出すのは難しいですね^^;

ただ、毎年6月のデーターがが発表されるのでそれを見てみると、やり直しの治療(感染根管処置)は最初の神経の治療に比べるとかなり多く治療されています。

数から見ると成功率は50〜60%ではないかなと推測します。


ただしここにも1つからくりが、歯内療法は上手な先生と、得意でない先生で大きく差が出ます。
ですので、術者の差に大きく依存する治療であること。


>だどすれば、ホワイトコート さんの不安を払拭するにはファイルを除去できる歯科医を探すしかないように思いますが…。^_^;

櫻井先生に「1票」です。


ご自身で悪くなっていると自覚しており、出来るだけ残したいと思われれば専門性の高い先生を探されるといいと思いますよ^^


歯が残るといいですね。


おだいじに

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回答 回答11
  • 回答者
回答日時:2013-05-27 22:50:22
>3.折れていても問題ないのは、それは文献上(日本以外の文献上)使用されているリーマーは、全て当然ながら日本と違い新品で滅菌されたもの。

日本でも滅菌済みのファイルは売っています。
たとえばCパイロットファイルとかWAVE1とか


>>だどすれば、ホワイトコート さんの不安を払拭するにはファイルを除去できる歯科医を探すしかないように思いますが…。^_^;
>櫻井先生に「1票」です。

私も1票です。
土地柄もありますが、ファイルがとれそうな先生はお住まいの県内にはいそうな気がしますが。


>今回たまたまですが、IFEAでファイルの滅菌の話が出てきましたが、純粋に1人の患者さんのファイルを滅菌する価格は1000円近くかかるそうです。
>しかし、1日全ての道具を滅菌すると200円ぐらいになるという話がありました。

ありましたね井野先生。
さすが4日間は疲れました。


>滅菌するのにも患者さんから見えない費用がかかっています。

超音波洗浄機(専用の洗浄機を使う歯科医院も)でまず目に見える汚れを落とし、ファイルを扱うスタッフの危険率を下げ、その後オートクレーブ等で滅菌します。
ここまでの人件費消毒材料超音波洗浄機のコスト滅菌バッグのコストなど一つずつ積み上げていくと、いったい一回あたりいくらになるか考えると暗くなるので考えません。


>因みに保険治療の根管治療前歯の2回目の治療費は250円(窓口負担85円)です。(*260円が正解です)
>ファイルを滅菌するだけで、治療費は無くなります。

あと固定経費がありますので、院長とアシスタントの人件費を考えると数分を超える根管治療は赤字だと思います。

あとうちでマイクロを1万回使ったとしても、1回あたりのコストは400円しますね。

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相談者からの返信 相談者からの返信
相談者: ホワイトコートさん
返信日時:2013-05-29 12:39:55
櫻井先生、井野先生、柴田先生
ご回答いただきありがとうございます。

また、井野先生、柴田先生、特に詳しく教えていただきありがとうございます。

保険内での根管治療の難しさが分かりました。

最終的にはコストの問題になるのですね・・・。
国の認識が甘いのか、それとも予算がないのか、どちらか分かりませんが^^;

素人から見ても、根管治療の上手い下手ってどこで判断すればいいのか分からないですし・・・。

色々と詳しくご回答頂きありがとうございました。



タイトル 根管治療中、ラバーダムを使用しなくても細菌を殺せますか?
質問者 ホワイトコートさん
地域 非公開
年齢 28歳
性別 男性
職業 非公開
カテゴリ 根管治療の治療法
ラバーダム
根管治療その他
根管治療関連
回答者




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