歯学部の学生3年生がroot canalを行う難易度について(米国)

相談者: Ellaさん (28歳:女性)
投稿日時:2013-06-18 21:15:22
現在ニューヨーク在住、大学病院で受ける根管治療についてのご相談です。

左上6番の歯に大きな虫歯があります。
噛むとかなりの痛みがあるため、この一ヶ月ほど左側は使わず片噛み、フロスも痛くて通せません。
5月末にN●Uの大学病院でレントゲンをとった際、虫歯の深さがレントゲンでは判断できず、根管治療の必要があるかもとのことでした。
(根はかなりカーブしてます。
日本の主治医からも「あなたの根は相当ハードだと思うわよ」と言われてます)

担当のStudent Doctorは現在学大学3年生。
虫歯の位置が骨に近いため、

骨を削る作業($675)
虫歯のfilling ($200)
root canal($500)
クラウン($625)

参考;初回歯の診察レントゲン($95)、クリーニングのみ($75)
総額 約$2000という見積もりです(保険なし)。
大学病院なので、一般のEndodontistに行くより半額近い値段であることは承知しています。


質問;Student doctorはマイクロスコープは使わないが、ラバーダムは使用するとのことです。
しかし根管治療は若干3年生に出来るものなのでしょうか?
スーパーバイザーのチェックが入るとはいえ、素人ではその難易度が全く判断できず、経験者観点のアドバイスを頂きたいです。

4ヶ月後には日本に完全帰国します。
即時日本の主治医に診てもらう事を前提としていますが、のたうちまわるような痛さが起こる事だけはなんとしてでも避けたいため、低予算で現状出来うる最低限の対策はしておきたいと考えています。

Endodontistに行ければベストなのですが、そうも出来ず、かといって放置はしたくなく、しかし学生さんに治療してもらった結果悪化した、というケースは避けたい。。。

なんともわがままな事を申し上げている事は重々承知の上ですが、ぜひアドバイスを頂けたら幸いです。

よろしくお願いいたします。


回答 回答1
  • 回答者
藤森歯科クリニック(兵庫県西宮市)の藤森です。
回答日時:2013-06-18 22:15:24
担当の学生さん次第ですね。
当たり外れはあると思います。
上顎6番の根管治療は簡単ではないと思います。

私の友人の友人(日本人)から、

米国大学留学中に大学病院で学生に治療してもらった。
あまり具合が良くなかったので経済的に余裕が出来てからEndodontistを受診したら、もう再治療は出来ないと、引き受けてもらえなかった」

とは聞いたことはあります。

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回答 回答2
  • 回答者
回答日時:2013-06-19 03:03:01
Ellaさん、こんにちは。

アメリカ大学病院で受ける治療に関して不安をお持ちのようですね。

私は今現在、USC(南カリフォルニア大学)の歯科大学病院に勤務しております。
アメリカでは医療費が高額なため、大学でより低い値段で治療を受ける事を選択する方は多いです。
歯学部の学生3年生といっても、アメリカの歯科大学は一般教養大学を4年間修了した後に4年間の歯科教育を受けるので、大学7年生といったところでしょうか。
患者の治療を始めるのは、大学によって差はありますが、一般的に2年目の中期または後期からとなります。

NYUのシステムと同じかどうかはわかりませんが、われわれの大学ではstudent doctorが患者を見る前に、口の中の全体をチェックして、レントゲンや模型を診査して、その治療がstudent doctorが治療するのに適した難度かどうかを判定します。
まず、その診査に通ったのであれば、難易度としては適していると判断されたのでしょう。

また、治療のステップは指導医のチェックが細かく入りますので、安い値段で、一般開業医に近いレベル治療が受けられるというのが一番の利点です。
欠点としては、一人の患者さんの治療を行うのに時間がかかります。
場合によっては、3時間ほどラバーダムをかけたまま口を開いていなくてはならないかもしれません。
これは、学生の技術によるものと、指導医のチェックをもらうのに時間がかかるからです。

もしも学生が治療を開始して、治療の難易度が予想以上に高く、困難であると判断された場合は、大学病院にはEndodonticsの専門科がありますので、そこのresidentが治療を引き継いだり、サポートしに来てくれると思います。
場合によっては、マイクロスコープを使った治療になる可能性もあります。このresidentsは、すでに歯科医師の免許を取得し、endodontistとなるためにさらなるトレーニングを積んでいる人たちなので、よりレベルの高い治療が期待できるでしょう。

良い学生に当たって、良い治療が受けられるとよいですね。
お大事になさってください。

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相談者からの返信 相談者からの返信
相談者: Ellaさん
返信日時:2013-06-19 09:00:35
藤森先生> 

回答ありがとうございます。
確かにこちらローカルでも大学病院で余計に悪化したというケースと満足のいく治療だったというケース両方聞きます。Student Doctorの腕と経験次第でしょうね…。
少なくとも上顎6番の根管治療が容易でないことが分かっただけでもありがたいです。

明日、念のためセカンドオピニオンに行ってきます。

ちなみにReviewをいろいろと見る限り、緊急で入った場合には大学病院のEndodonticsのresidentが対応してくれるようで、評判は悪くないようです。(その痛さが来るまで放置したくないので悩むところなのですが。)


安藤先生>

実際にUSCにご勤務中とのこと、大変参考になる情報をありがとうございます!
歯学部が一般教養を終了してからとは知りませんでした。
全体を見回すと確かにstudent doctorの年齢層はやや高く見えるのですが私の担当医だけが妙に若く20代前半にしか見えないので余計不安に…。

口の中のチェック→レントゲンという手順はNYUも全く一緒です。
クリーニングもかなり丁寧に行ってくれました。
図を書いて症状の説明までしてくれる、人柄的にはとても良い先生なのですが、いかんせん人柄と技術をイコールで結ぶことはできないため不安がぬぐえないままでした。

時間がかかる事に抵抗はなく、mess upされる事だけが悩みの種でしたが、治療の引継ぎも可能というお話から少し希望が持ててきました。
上顎6番の根管治療がマイクロスコープ無しでもしっかり出来るものであれば私の不安は激減しそうです。
回答 回答3
  • 回答者
藤森歯科クリニック(兵庫県西宮市)の藤森です。
回答日時:2013-06-19 12:50:07
Residentとなると、また少し話が変わってくると思います。

例えば、同じ市内にも、既にある程度以上の経験と自信を持った大学卒業生を世界中から集めている大学もあると思います。
それでも、若干の当たり外れはあると思いますが。

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回答 回答4
  • 回答者
回答日時:2013-06-19 13:04:38
ご相談ありがとうございます。


当院に通院中の方で根の治療アメリカ大都市の大学で受けた方も多ぜいいらっしゃいます。
どれも立派な結果となっています。

日本の保険医療を受けるよりもはるかに安心感があります。
ぜひそのチャンスを生かされるといいと思います。

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回答 回答5
  • 回答者
回答日時:2013-06-19 16:43:04
Ellaさん、

Student doctorの見た目ばっかりは、個人差があると思いますよ。
歳取ってれば良いという訳ではないですからね。

一般教養の大学を卒業して、歯学部に入学するまでに社会経験を積んでる人や、入学したくても試験に合格できずに留年に近いような形で一般社会で働いている人も多いです。
若い人ならば、それなりに優秀なのでは?という考え方もできます。

4年生の大学を3年間で終わらせて、ストレートで歯学部に入れば歳は21や22歳くらいで入学しているので、歯学部3年生でも24、25歳程度でしょう。

アメリカは医療費が高額なため、高いお金を払えば、より良い治療が受けられるという国です。
日本のように、一定の費用で治療のレベルに差が出るという事は考えられません。

例えば、国民健康保険を使用して診療を受けるのならば、卒後1年目のドクターが診療しても、臨床経験40年のドクターが診療しても、費用は同じです。
アメリカでは、学生が診療するのと、専門医が診療するのを比べると、倍以上の価格差が発生します。
学生と、residentの間でも明らかな価格差があります。

歯学部学生の「経験」のために低価格で治療を提供する場所、それがアメリカの歯科大学病院です。
Mess upされる事が不安であれば、無理にでもお金を用意して、endodontistにかかるのが良いでしょう。

もしもendodontistがmess upしたのであれば、訴訟問題になってきますからね。
歯科大学病院では、個人の学生を訴えられないような仕組みになっています。

残念ながら、我々の目はマイクロスコープではないので、うまく治療をしたつもりでも、マイクロスコープで改めて見ると不十分であると思える事は少なくありません。
マイクロスコープ無しで、マイクロスコープと同等の治療ができるかというと、それは不可能です。

しかし、マイクロスコープを使用しなくても、予後が良い歯があるか?という質問であれば、答えはYesです。
日本の開業医でマイクロスコープを使用しているのは少数ですが、根管治療なんてどこでもやってますからね。
そこが技術と経験の差になるのかもしれませんね。

ちなみに、アメリカの歯学部学生は100%、ルーペ(拡大鏡)を使用して診療しています。
倍率はマイクロスコープとまでは行きませんが、部位を拡大してみている事に変わり無く、治療精度も使用していない場合と比べては良いですよ。

日本の歯学部学生でルーペを使用しているのは0%に近いのではないでしょうか。
それに、アメリカの歯学部の学生は親にお金を払ってもらわずに、自分で数千万円単位のローンを組んで入学する学生がとても多いです。

ですので、日本の歯学部学生よりも「卒後にローンを返すために技術向上」するための意識が比べものにならないくらい高いです。
日本人の感覚で、「学生」と思ってなめていると、失礼かもしれませんね。
NYU歯学部の学費と生活費を合わせると、年間1千万程度かかります。

確かに中には、親に4年間で4千万程度の学費をすべて払ってもらっていて、学生意識が抜け切れていない人もいますが。
これは逆に少数派でしょう。

以上の点を考慮すると、アメリカで「安い」開業医にかかるよりは歯科大学にかかった方がいいですし、下手したら日本の歯科医師で経験が数年程度のドクターにかかるよりも、良い治療を受けられる可能性も否定できません。
残念ながら、アメリカで医療を受けるには「お金」がとても重要なファクターとなる事は確かです。

ご参考までに。

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相談者からの返信 相談者からの返信
相談者: Ellaさん
返信日時:2013-06-26 11:05:35
諸先生方、アドバイスありがとうございました。

本日、治療のため大学病院へ行ってきました。
結果的にroot canalには寸前で至らず虫歯部分を削って仮詰めをするまでで終わりました。
極めて神経と骨に近い部分まで進行していたようですが、これで1〜2週間様子を見て、痛みがあるようなら治療を進めましょうとのことでした。

虫歯を削る治療だけでしたがStudent Doctorはラバーダムを使用していました。
私の口が小さいせいか、これをカバーするのに手こずってはいたものの、かなり丁寧に治療をして頂けた印象です。
麻酔がよく効いていたせいか痛みも全くありませんでした。

この一ヶ月程片噛みを続けていたので、治療後の食事でも無意識に左側を避けて噛んでいるのですが、やはり除々に慣らしていった方が良いのでしょうか。
噛んで痛みがあればやはり根本的に治ってはいないということでしょうし。。

実は数日ほど前に日系のendodontistに行き見積もりを出してもらったのですが、多額の金額を払うにあたり納得のいく返答を得られなかったこともあり、きちんと説明をしてくれていたStudent Doctorにお願いしようと決意した次第です。

もちろん、言うまでもなくこちらのサイトのアドバイスも大変参考になりました。

特に安藤先生の詳細な記述は海外で歯科治療を受けるにあたり不安に思っている日本人のみなさんには非常に為になるお話だと思います。

諸先生方の回答が、ぜひ多くの方の目に留まることを期待します。
本当にありがとうございました。

(万が一、痛みが発生してroot canalを受ける事になった際にはこちらでまた共有させて頂きます)



タイトル 歯学部の学生3年生がroot canalを行う難易度について(米国)
質問者 Ellaさん
地域 非公開
年齢 28歳
性別 女性
職業 非公開
カテゴリ 虫歯、知覚過敏の痛み
虫歯治療
根管治療の治療法
その他(歯科医師関連)
その他(その他)
アメリカ(米国)
回答者




  • 上記書き込みの内容は、回答当時のものです。
  • 歯科医療は日々発展しますので、回答者の考え方が変わることもあります。
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