フッ素洗口(フッ化物)でダウン症、癌、骨肉腫が増える?

相談者: 2ままさん (25歳:女性)
投稿日時:2013-10-06 16:12:27
4歳の娘に歯科医院ミラノールを薦められ半年ほど使用していました!

ある日少し飲み込んでしまったということで心配になり調べていると、ミラノール洗口を毎日していると微量に飲み込んでいることと同じで将来ダウン症児の出生率の増加、発ガン性、骨肉症など怖いことが書かれてあり心配になって使用を辞めました。

本当にこのようなことはあるのでしょうか?


娘には虫歯を作りたくないので虫歯予防になるのなら…という気持ちもあり使用に対しとても迷っています。
宜しくお願いします。


回答 回答1
  • 回答者
回答日時:2013-10-07 12:11:29
ネット上ではそういった情報も散見されますが、ダウン症児の出生率、発ガン性、骨肉症と歯科で利用されているフッ化物の間に相関関係はありません。

そういった情報の多くは一部の偏った考えの方々が一部の情報のみを取り出し、誤って発信しているものです。

例えるなら、

「トラはネコ科。
トラは人を襲うこともある。
だからネコも人を襲う本能を持っている。
そんなネコを飼うなんてとんでもない!
大切な子供を守るためにネコを根絶しましょう!」

というのと同じような話です。


確かに、ネコが人を襲ったというケースも調べればあります。

・ネコは人を襲う可能性がある(真実)
・ネコを飼うと手間やお金がかかる(真実)
・生きていく上でネコを飼う必要性はない(真実)
・だから、ネコを根絶するべきだ!(真実?)

真実だけを並べても、このような情報を作ることはできます。


まぁ、ネコの場合はこのような情報で不安になることはほとんど無いと思いますが、フッ素の場合は基本的な知識を持っていない方が大半なので、このような書き方をされると不安に思われる方が多いのだと思います。

歯科のフッ化物に関しては世界中の様々な専門機関が研究をして安全性と有効性が確認されています。
そのためWHOをはじめ、世界中で利用が推奨されています。


確かに害があることを示唆する研究もあるのですが、そのほぼ100%が通常使用される量を遥かに超える場合の話や、歯科用で使われるものではなく工業用フッ化物の話です。
(歯科用と工業用のフッ化物は全く別物です)

このような研究をもとに「フッ素は危険!」というのは、「トラはネコ科、だからネコは危険」というのと同じ話です。


日本で一般的に歯科に使用されているフッ化物に関して害があることを証明している信頼性の高い研究は皆無です。
そして、虫歯予防に効果があることは最も信頼性の高いRCT(ランダム化比較試験)という方法で証明されています。

フッ化物自体、全くの無害というわけではありませんが、それはビタミンでもカルシウムでも、タンパク質でも全て同じです。
何でも限度を超えれば害になり、適量なら利益になります。


交通事故で毎年4000〜5000人の方がお亡くなりになっています。
排気ガスは環境への影響が問題となっています。
それでも、自動車には大きなメリットがあるので社会に受け入れられています。

「100%の安全」というものはほぼ存在しませんので、それを言い出したら何もできず、メリットも享受できなくなってしまいます。



虫歯(12歳児のDMF)は、
・昭和62年には平均4.9本でしたが、
・平成23年には平均1.4本と、
1/3以下に激減しています。

この虫歯の激減に最も影響を与えているのがフッ化物だと考えられています。


なお、昭和62年から平成23年にかけて、ダウン症の出生率や癌は増加しています。

しかし、同年代で比較した場合(年齢調整といいます)、ダウン症や癌は全く増えていないどころか、むしろ少し減少しています。
(減少しているのは検査などの発達が理由だと考えられます)
骨肉腫ももちろん増加していません。


もし日本で一般的に使用されているフッ化物に問題があるのであれば、これだけフッ化物が普及しているので、ダウン症や癌、骨肉腫も増えていないとおかしいはずです。


ダウン症や癌の最大のリスク要因は「加齢」です。
日本の高齢化が進んだことが、ダウン症や癌が増加した最大の理由です。


いろいろと書かせて頂きましたが、フッ化物に関しては専門家としては、有効に活用して頂いたほうがメリットが大きいと思います。

ただ、もし不安に思われるお気持ちが大きいのであれば、利用をしないという選択もありだと思います。
虫歯予防が子育ての全てではありませんので。

その場合はフッ化物以外の予防法(定期健診やおやつの与え方など)をより一層心がけるようにされてください。



一度不信感を持ってしまうとそれを拭うことは非常に困難ですので、ネット上や、ごく一部の専門家などによるフッ素の不安を煽る記事に関しては現場も頭を悩ませています…


日本歯科医師会のホームページにもフッ化物洗口について詳しく書かれていますので、こちらも参考にされてみてください。

* http://www.jda.or.jp/park/prevent/index05_09.html

9人の専門家がこの回答を支持しています  
回答 回答2
  • 回答者
回答日時:2013-10-07 13:00:57
日本歯科医師会ホームページに記載されているQ&Aから参考になりそうなものを抜粋しておきます。

* http://www.jda.or.jp/park/prevent/index05_20.html

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■Q:フッ化物利用に反対論があります。
科学的にはどのように考えられますか。


■A:米国歯科医師会が発行している「フロリデーション・ファクツ2005」(財団法人口腔保健協会 Fluoridation facts 2005)によると、これまでの米国におけるこの60年にわたる水道水フロリデーションの歴史のなかで、これまでにだされた数多くの水道水フロリデーションに対する反対意見が、一般に認められた科学によって実証された試しはこれまで一度もない、とのことです。



次にそれらの反対意見に共通してみられる誤りのいくつかを列記します。

1.不備のあるデータをもとに反対意見が成り立っている。
2.一度否定された内容のことでも、繰り返し意見として発表する。
3.過量な場合や事故などの特殊な場合に起こる危険性を論じる。
4.実際は安全性を証明している論文であっても、その一部だけを引用して危険であるかのような主張をする。
5.癌や毒など、恐怖心を引き起こす言葉を多用する。
6.薬害や公害などと重なるような印象を与えようとする。
7.「絶対安全」など不可能な基準を持ち出して議論する。


この「絶対安全」の証明は、理論的に全く不可能なのです。
フッ化物も他のいかなる物質と同様、どのような対象に対しても、どのような時、条件でも、「絶対安全」であることを立証することは理論的にも不可能なのです。


一方、有害性は証明が可能です。
したがって、「絶対安全」は可能な限り有害かもしれない事項を科学的に否定することによって成り立っているのです。

反対意見の本質について、むし歯が減少することを望まない人、むし歯予防のために自分の仕事が増えることを嫌う人などが、そのことを理由に表立って反対できないため、健康に有害であるとする反対論を引き合いに出して、フッ化物応用の導入を止めようとしている、とする意見もあるくらいです。

少なくとも、こと、フッ化物の応用に対する有害論からの反対というのは不思議な現象といわなければならないでしょう。


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■Q:歯磨きや甘味制限などの基本になる努力をしないで、薬であるフッ化物に安易に頼るのは正しいむし歯予防とはいえないのではないでしょうか。

■A:まず、むし歯予防の基本ですが、(1)プラーク歯垢)を除去しフッ化物配合歯磨剤を用いる歯みがき、(2)砂糖摂取をコントロールする甘昧の適正な摂取、(3)歯の再石灰化による歯質強化を目的としたフッ化物応用、これら3つを合わせたものが、むし歯予防の基本です。

しかも、このうちの歯質強化を目的としたフッ化物応用が、科学的に最もむし歯予防効果が立証されている方法であり、学校等をベースとしたフッ化物洗口や地域を対照にした水道水フロリデーション(水道水フッ化物濃度調整)にみられるように公衆衛生特性の最も高い、社会的に見ても重要な方法といえるのです。


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■Q:フッ化物応用について学会でも賛否両論があるあいだは、「疑わしきは使用せず」の原則で実施を見合わせるべきである、という意見がありますが。

■A:わが国をはじめ国際的にも学会での学術的な賛否はありません。
また、「疑わしきは使用せず」といういい方は、刑事訴訟法の「疑わしきは罰せず」を転用したもので、たんなる語呂合わせであり、原則などというものではないのです。


しかも、現実的な適用には無理があることはすぐに分かります。

反対する人が「絶対安全」を求めて議論をすると、「絶対安全」が理論的に立証不可能である以上、すべてが「疑わしき」ことになってしまうからです。むし歯予防のフッ化物応用については、安全性および効果について疑わしいところはありません。


 わが国のこの分野の専門学会である日本口腔衛生学会も、2002年、「今後のわが国における望ましいフッ化物応用への学術支援」において、21世紀のわが国における国民の口腔保健の向上を図るため、専門学術団体として、フッ化物局所応用ならびに水道水フロリデーションを推奨するとともに、それらへの学術的支援を行うことを表明しました。

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■Q:フッ化物は劇薬であると聞きました。使用しても問題はありませんか。


■A:フッ化ナトリウム粉末の製剤は劇薬に指定されています。
これは一定量の製剤中のフッ化物の割合が大きい場合に劇薬指定になるのです。
しかし、私たちが実際に使用するフッ化物洗口液は劇薬ではなく普通薬です。

処方どおりに溶解された洗口液(フッ化物イオンとして1 %以下)は、普通薬とされるのです。

わが国では溶液としての洗口剤は製剤として販売されていませんが、日本以外のほとんどの国では洗口液はスーパーマーケットなどで他の商品と一緒に店頭に並べて販売され、一般の方が自由に購入できるようになっています。


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■Q:自分の子どもは年3回のフッ化物歯面塗布をうけており、むし歯はありません。
各自が気をつければ、フッ化物洗口に要する保育士の負担が減って、その分よりよい保育を受けることができるのではないでしょうか。


■A:個人的におこなって期待どおりの成果があげられる人もいるでしょうが、きわめてまれな恵まれた人です。
多くの人にとっては歯磨きの励行ですら実際には継続が困難であることが多いのです。

公衆衛生的思想には人々の健康格差をなくすという崇高な理念があるのです。
大切なことは、みんな(地域住民)の健康生活(QOL)の向上を図ることです。


公衆衛生的なフッ化物応用はこの健康格差をなくすのに最も大きな効果をもたらします。
また、フッ化物洗口を学校保健の一環として位置づければ、教育的な支援を受けることができるので、継続的な実施が確実なものとなり、よりむし歯予防の成果をあげることができることは、わが国の経験からも明らかです。

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相談者からの返信 相談者からの返信
相談者: 2ままさん
返信日時:2013-10-07 13:45:39
とても丁寧な解答ありがとうございました!


フッ素に対して全くの無知でネット上の記事を見てとても心配になってしまっていました!


ミラノール洗口は週1回方と毎日するのでは虫歯になりにくさの違いはあるのでしょうか?
回答 回答3
  • 回答者
回答日時:2013-10-07 14:51:06
1回当たりの濃度が低いので安全性が高いことと、ご家庭では毎日歯磨きもされると思いますので、基本的には毎日法が推奨されています。

(週1回法は学校などで行われる場合の手間の軽減を目的として考え出されたものです)

1人の専門家がこの回答を支持しています  
回答 回答4
  • 回答者
藤森歯科クリニック(兵庫県西宮市)の藤森です。
回答日時:2013-10-07 15:10:20
洗口前に歯磨き出来ている(歯の表面にプラークが無い状態)ようになさったら良いと思います。




タイトル フッ素洗口(フッ化物)でダウン症、癌、骨肉腫が増える?
質問者 2ままさん
地域 非公開
年齢 25歳
性別 女性
職業 非公開
カテゴリ 虫歯予防
フッ素
回答者




  • 上記書き込みの内容は、回答当時のものです。
  • 歯科医療は日々発展しますので、回答者の考え方が変わることもあります。
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