歯科医療について

相談者: Faithfulさん (30歳:男性)
投稿日時:2013-10-30 21:31:08
虫歯の原因が菌によるもの」は、ほとんどの人が異論のない事実だと思います

それを前提に考えると、ドリルで歯を削るというのは治療と呼べるのでしょうか?

感染部位の除去」を目的と考えた場合でも、『ドリルで削って四方に菌を飛散させ、それをバキュームで吸う』、というのが目的に沿った方法とは思えません

3mix-mp法、ドックスベストセメントなど「患者の甘え」「流行にのった人気取り」など実際の現場での是非は置いといて、考え方としては、「菌へのアプローチ」という自然な理路で、こちらが本筋では、と思います

分子生物学的な研究でかなりの事が解ってきているのに、治療に生かされてきているとは素人からは感じられません
 
現実に日々奮闘されている御先生方は、どう御感じ御考えですか?


回答 回答1
  • 回答者
回答日時:2013-10-30 22:55:11
Faithful さん、こんばんは。

>「菌へのアプローチ」という自然な理路で、こちらが本筋では、と思います

3mix-mp法、ドックスベストセメントなど」「ドリルで歯を削る」を含め、起きてしまった齲蝕に対しての、後ろ向きの治療に過ぎません。


>「虫歯の原因が菌によるもの」は、ほとんどの人が異論のない事実だと思います

なのであれば、そのコントロールこそが、予防という名前の、真の歯科医療なのではと思います。

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回答 回答2
  • 回答者
回答日時:2013-10-31 13:54:49
Faithful さん、今日は。


Faithful さんは、おそらく大きな勘違いをされてみえると思います。

3mix-mp法、ドックスベストセメントなどが、非常に優れた薬だと思ってみえるようですね。
ネットをみれば、非常に良いような印象を受けてしまうので致し方ないのかもしれません。
しかしよく見てみれば、そのほとんどが、歯科医院の宣伝に用いられているだけです。
本当に客観的な記述ではありません。


残念ながら、3mix-mp法に関しては、効果も害もほとんど研究されていません。
医療者として、今までの方法で十分に効果があるのに、効果も害もはっきり証明されていない薬を使用することは、私の倫理観では考えられません。

ドックスベストセメントに関しては、ある程度の研究があるのですが、従来の薬剤とほとんど効果の差はありません。



>「虫歯の原因が菌によるもの」は、ほとんどの人が異論のない事実だと思います

>それを前提に考えると、ドリルで歯を削るというのは治療と呼べるのでしょうか?

細菌をコントロールすることは十分可能なのですが、患者さんがそれを怠るため、削らざるを得なくなってしまうのです。


>「感染部位の除去」を目的と考えた場合でも、『ドリルで削って四方に菌を飛散させ、それをバキュームで吸う』というのが目的に沿った方法とは思えません

特に問題はないでしょう。
削らなくてはいけないような虫歯を作っている人は、既に、お口の中全体にたくさんの筋が住み着いています。

歯を削る治療は、虫歯の発症した部位の菌を取り除くことが目的で、お口の中全体の菌を取り除くことが目的ではありません。

むしろ、治療によって菌が飛散して増えるどころか、バキュームでお口の中を吸うことで全体の細菌数は一時的に減るのではないでしょうか。


>「菌へのアプローチ」という自然な理路で、こちらが本筋では、と思います

本当にそれが最も大切なことですが、多くの患者さん自身がそれを最も認識していないのではないでしょうか。


>分子生物学的な研究でかなりの事が解ってきているのに、治療に生かされてきているとは素人からは感じられません
 
今までの研究の成果を生かすなら、現時点では使用しないことが最も、「研究を治療に生かしている」と言うことだと思います。

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回答 回答3
  • 回答者
船橋歯科医院(岡山市北区)の船橋です。
回答日時:2013-10-31 15:05:06
>「虫歯の原因が菌によるもの」は、ほとんどの人が異論のない事実だと思います

原因の一つではあるが、すべてではないというのが基本だと思いますが…

エナメル質脱灰は細菌の出す分泌物によるもの以外にも起こりますから、きっかけから考えてもいろいろな原因があります。


ドリルで歯を削るというのは、治療と呼べるのでしょうか?

削らなくて治せるあるいは、除去可能な部位のものならばドリルは不要です。そういう治療法もありますからね。

多くの虫歯がエナメル質の喪失(破壊。酸によったり、咬耗、ヒビ、欠け、削除などなど)から開始しますが、エナメル質よりもその下の構造物である象牙質のほうが構造上虫歯が進行しやすいため、エナメル質を機械的に除去しなければアプローチできない。

それで、しょうがなくダイヤモンドの粒子のついた高速切削具で効率よく削ることから治療が始まる手順を踏みます。

象牙質では、感染象牙質を取り除く必要がありますし、保険適用の治療はそれしかできません。


3mix-mp法、ドックスベストセメント

その他にも、ヒールオゾン法や、樹脂に置き換える方法、MTA水酸化カルシウム剤など色々な治療法があります。
保険適用外です。

癌の免疫療法が保険適用されないのとよく似ていますね。


>分子生物学的な研究でかなりの事が解ってきているのに、治療に生かされてきているとは素人からは感じられません

基本的に歯科は外科系です。
悪いところは出来るだけ取り除き、人工物で修復し直す学問です。

もともと虫歯になりやすくて虫歯になった人の場合、環境や宿主の抵抗力・回復力を変えることなく感染象牙質を取り残して埋めてしまえば、長期的な予後が悪いだろうという考えに基づいています。

近年は予防法が色々と確立されてきていますから、治療も選択肢が広がってきていますが、保険適用までは至っていない段階です。

保険制度上、しょうがない(無理のない費用で誰もが平等に最低限必要な医療を受けることが出来る制度)のです。

色々な治療法が確立されてきていますから、患者さん自身がしっかり勉強し(ご自身の身体のことですから本来当たり前のことですよね)、自費治療も含まれると広い選択肢の中から治療法を選ばれることは可能になっていますね。

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回答 回答4
  • 回答者
回答日時:2013-10-31 17:23:04
困った状況でのご相談ではないようですので、手短に。

>「菌へのアプローチ」という自然な理路で、こちらが本筋では、と思います

私もドリルで歯を削ることが治療のすべてではないと思います。

ただお書きになった内容では「外因性感染」ということが念頭にあるような印象を受けました。
その場合はお書きになった分子生物学的な知見を臨床に応用すれば効果的でしょう。

ただし虫歯カリエス)は常在菌の一部が関与していると考えられており「原因菌」という考え方はもう行われていません。
複数の細菌がある特定の状況下で問題を起こすとされています。
したがって現代では個々の細菌へのアプローチよりも、「問題が起こりにくい環境を整える」ことを考えております。

よく行われる、またこれまで日本で広く行われてきた、「削って詰める治療」(「保存修復治療と呼ばれます」)の目的は、感染部位を取ることよりも、歯の形態を整えて、プラークコントロールが行われやすいようにして、環境を整えることがメインです。

もちろん、可及的に感染部位を取ることは処置の成功には大切な条件となります。
なるべく無菌化で処置することは理想でしょう。

しかし組織切片を観察してみると、感染部位の最深部を、完全に無菌にするのは非現実的であることがわかります。

以上参考になれば幸いです。

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相談者からの返信 相談者からの返信
相談者: Faithfulさん
返信日時:2013-10-31 22:14:08
小林 誠 先生 
小牧令二先生
船橋先生
大野 純一先生
 
はじめまして 貴重なご意見ありがとうございます


大野先生

>ただし虫歯カリエス)は常在菌の一部が関与していると考えられており、「原因菌」という考え方はもう行われていません。

たとえばこの研究http://p.tl/IPCHなどはリコントラクションと気張ったタイトルで、新しい観点を目指していますが、まさにそれが裏面の「原因菌」という考え方の強固さを物語っているように思います
http://p.tl/-6cI

>複数の細菌がある特定の状況下で問題を起こすとされています。
>したがって現代では個々の細菌へのアプローチよりも、「問題が起こりにくい環境を整える」ことを考えております。

素人ながら正しい筋道だと思います

ただ口内環境に絞って考えても(本当は身体全体、また身体が置かれている環境全体でしょうが)細菌を含め様々な相互作用を総体として認識するのは非常に難しく(ただ土壌微生物のように大半が詳細不明で土をざっくりPCRにかけ推論するしかないのに比べれば状況は良いでしょう)、分子生物学的な方法で近づいていくのが現実的なのかなと思います



船橋先生

エナメル質脱灰は細菌の出す分泌物によるもの以外にも起こりますから、きっかけから考えてもいろいろな原因があります。

いろいろな原因をご教示頂けたら幸いです


>癌の免疫療法が保険適用されないのとよく似ていますね。

これは適切なアナロジーでしょうか?
先生のバイアスの示すものですね
回答 回答5
  • 回答者
回答日時:2013-11-01 03:59:36
虫歯の原因は細菌」というのは一般の方向けの表現としては良いので使われていますが、実際のところ虫歯の発生・進行には、

・歯
・細菌
・食物
・時間

など、様々な要素が関与してきます。

そのため、虫歯の発生・進行を防ぐためには、それぞれの要素においてできることを積み重ねていく必要があります。


・歯

通常、エナメル質はph5.5以下で脱灰しますが、フッ化物と反応してフルオロアパタイトが形成されると、通常よりも脱灰しにくくなります。
(フッ化物配合歯みがき粉の使用など)


・細菌

虫歯予防には歯磨きが有効だと一般的には考えられていますが、これまでの研究では歯磨きだけでは十分な虫歯予防効果は期待できないという結果が出ています。

一方、歯磨き時にフッ化物を併用した場合は、確実に虫歯予防効果があることがわかっています。

つまり、虫歯予防における歯磨きの役割は細菌数を減らす、バイオフィルムを破壊するということよりも、フッ化物をお口の隅々まで行き渡らせるということのほうが大きいということだと思います。

なお、3mixやドックベスト、ヒールオゾンなどは局所の細菌数を一時的に減らすことはできますが、「局所の細菌数を減らす」=「虫歯を防ぐ」とは必ずしもなりません。

ある程度のリスク軽減にはなるのかもしれませんが、かかる手間やコスト、効果などを総合的に判断すると、現時点では虫歯の治療や予防に使う意義はほとんどないと思います。

ちなみに、歯磨きは歯周病予防のためには非常に重要ですので、フッ化物を併用しないで行う歯磨きも決して無駄ではありません。
(虫歯予防を目的とするのであれば不十分ではありますが)


・食物

細菌が酸を作るには糖が必要です。
逆に考えると、糖を取らなければ細菌がいたとしても虫歯にはなりません。

もちろん、普通に食事をしていて糖を取らないということは非現実的ですが、糖の摂取量やタイミングはかなりコントロールが可能な要素です。

虫歯予防においてはフッ化物の応用と同時に、食生活の改善というものが非常に重要となります。


・時間

歯は絶えず脱灰と再石灰化を繰り返していますが、脱灰の時間が長くなれば長くなるほど、虫歯になりやすくなります。

この時間を短くするには、例えばおやつは食後すぐに食べるようにしたり、寝る前には食べない、フッ化物を応用するなどの方法があります。



長々とご質問外のことまで書いてしまいましたが、要するに、局所の細菌のコントロールというのは虫歯予防という大きな木の中ではほんの枝葉に過ぎず、他にもっと日常的に取り入れやすく効果も高い方法がたくさんあるということです。

細菌の虫歯の原因の一つではあるので、そこにアプローチすることは大切なことなのですが、お口の中ではあまり強力な薬剤は使えませんし、咽喉や鼻腔にも細菌はいますので、そもそも無菌ということ自体が不可能です。

そして、一番重要なことは、無菌にしたり特別な薬剤を用いたりしなくても、これまでわかっている信頼性の高い情報を元に正しい予防行動を行えば、ほとんどの虫歯は予防できるということです。

「当たり前のことを、当たり前に行う」

というのが、地味ですが、最も効果的なのではないかと思います。

3人の専門家がこの回答を支持しています  
回答 回答6
  • 回答者
回答日時:2013-11-01 11:42:59
細菌の種類に関して。

細菌学者は新しい培養法で新しい細菌を見つける(もっとも最近ではおもに分類することで新しさを強調していますが)と、それに意味を持たせるために、さまざまは研究を行い結果を報告してきます。

ただし、我々(歯科医師、患者さんとも)は歯面に付着しているデンタル・プラークを除去すれば、対処が可能であることは知っているので、それにいつも付き合う必要はないと思います。


虫歯に関する限り、一番インパクトが大きいのは口腔内の環境で、それは個人としての生活習慣や社会的状況に相関しています。

我々はアプローチできるのは膨大な原因群のうちのごく一部に過ぎないのですが、少なくともそれらを徹底的に行えば、多くのケースでは予防が可能とされていることがわかっています。

以上です。

4人の専門家がこの回答を支持しています  
回答 回答7
  • 回答者
回答日時:2013-11-01 12:15:31
回答ではありません、感想です。
気に障るようでしたらスルーなさってくださいね。


相談なのでしょうか、それとも回答者の意見を聞く形をとって、ご自身の意見を開陳なさりたい方なのでしょうか。

素人と書いているわりに論文を検索させたりして、歯科的には素人だが、何か医科的な事に携わっている方なのでしょうか。

また素人と書いている割には上から目線の書き方もあるし、妙な気分です。


>分子生物学的な研究でかなりの事が解ってきているのに

現在の歯科の治療に取り入れうるのに、何が解かってきたのでしょうかねぇ、知りたい所です。

ステマでしょうか。


意見を書きたいのなら匿名ではなく、実名を書かれたほうがフェアでしょう。
結局書きたいことを書かれて、平行線で「おわり」になりそうです。


>「感染部位の除去」を目的と考えた場合でも、『ドリルで削って四方に菌を飛散させ、それをバキュームで吸う』というのが目的に沿った方法とは思えません。

なるほど、ではどうしたらご希望に叶えうるのでしょうか。
お答え頂かなくとも良いんですけど、そこもまた知りたい所です。
回路に特殊なお水を使えという啓蒙運動でしょうかねぇ。

業者の人?


おまとめさせて頂くと。


>分子生物学的な研究でかなりの事が解ってきている

のだから

>「感染部位の除去」を目的と考えた場合、『ドリルで削って四方に菌を飛散させ、それをバキュームで吸う』
>(ドリルで歯を削るというのは治療と呼べるのでしょうか?)

のではなく、

>「菌へのアプローチ」という自然な理路で、こちらが本筋

であるから、それを、行うべき。 
というお考えでしょうか。


そうか解かった!

「菌」へのアプローチに関して実際の治療現場で採用でき、害がなく、また将来的にも害がなく、(あっても極めて微量で無視でき)小児から大人まで適用できる何か知見をお持ちの方とみました。

どうかその為になるお話をお聞かせ頂きたいです。
何卒宜しくお願い申し上げます。


松浦 拝



追伸

僕の大学時代のクラブの先輩で、「腸管粘膜」を使って「菌」にアプローチする研究を東大医科研でなさっておられる方がいますが、まさか○○先輩ではございませんでしょうね。

もしそうであれば、坊主となって、学食前でお詫び申し上げます。
失礼致しました。

2人の専門家がこの回答を支持しています  
回答 回答8
  • 回答者
回答日時:2013-11-01 13:43:21
ご投稿ありがとうございます。
大事なことなので相談ではありませんが、簡単に説明いたします。


>「虫歯の原因が菌によるもの」はほとんどの人が異論のない事実だと思います


細菌が一つの要因であることは間違いありません。
従って虫歯とそれ以外の歯科疾患の治療は、以前から必ず細菌を考慮して行われております。
しかし菌への対策という一面だけでは虫歯治療とはなりません。


虫歯治療には歯を削ったりなどの外科処置による対症療法や根本治療法と同時に、感染等へ対する予防医療の二つの柱で構成されています。

歯を削る意味は除菌と同時に、日常困ることとなる咬合・接触・コミュニケーション・審美等の機能障害を回復し社会復帰をはかることが一つの目的であり、それは更なる心身を含めた健康の悪化を防ぐ二次・三次予防も意味します。

さらに、虫歯等の初期病変を起こさないことの一つに感染予防がありますが、お一人の口の中で今きれいな歯に移して新しい虫歯を作らないことや、全ての人が初めから虫歯にならないために母子垂直感染も含めることを一次予防と言います。

しかし、虫歯が歯の病変にとどまらず身体全体の臓器に重篤な病変を起こす焦点感染の原因ともなるという証明がありますから、虫歯を削るという手段は、歯の中で異常に増えた細菌を減らして活動を抑制し、それによって歯髄・象牙細管・歯根膜の感染を極力減らして、重篤な全身性疾患の一次予防となると考えられます。

しかしご存じの通り細菌他等微生物は生態が不明なことも多く、同一種が環境により生命活動を豹変してしまうことも知られており、虫歯除菌も一筋縄ではいかないことが知られています。

つまり虫歯の歯を削る方法は、細菌感染処置やその予防を直視下の外科処置で行えるというメリットと考えると、他科ではなかなか得難い特殊な歯科独自性の効果的医療とも言えます。


ただ仮に標的となる感染細菌種が同定されたとしても、他の口腔内約500種の細菌叢や体内菌叢への不要な影響を与えずにすむ対象菌だけの薬物による除菌は不可能ですし、また除菌に偏るだけでは効果が出ないかデメリットが増えますから、虫歯の治療に際しては田尾先生の説明にある発病4要素の関連を表す「カイスの輪」とよばれる考えと、歯が溶けることと自然に修復される生理学的に自然なサイクルであるステファン・カーブの時間軸の考えにより周到に生活習慣指導も計画され、単なる感染症ではなく行動性疾患として治療されます。

このように細菌や身体の生理的活動の研究成果を治療に取り入れて成果を上げています。



>それを前提に考えるとドリルで歯を削るというのは治療と呼べるのでしょうか?


上の観点から、我々は特殊性を発揮できる治療だと考えます。
また歯の削り方による影響は小さくありませんから、医療効果もさまざまです。

ある場合は、高血圧・高脂血症・肥満が現れ・それが治せたという報告もあり、ある場合は、目の充血・脾臓肥大・子宮がんが起きたという証明もあり、蓄膿症・上顎がん・脳炎・精神的疾患を起こして入院となった実態も見ています。

また運動能力への影響もあり、ある場合はスポーツのプロがトップの座を明け渡し、ある場合は飛躍的なパワーを発揮できたということも仄聞します。

我々歯科医師は総合的な健康を目指しています。
歯を削る穴掘りだけをしているのではありません。
また虫歯菌だけが相手ではありません。

虫歯ばかりに気を取られていると、殆どの皆様が見落としている細菌感染による歯周病によっても人生の足元をすくわれますが、動脈硬化・脳梗塞・心筋梗塞糖尿病・異常児出産・すい臓がん・腎臓がんのリスクが高まるという報告もあります。



>「感染部位の除去」を目的と考えた場合でも、『ドリルで削って四方に菌を飛散させ、それをバキュームで吸う』というのが目的に沿った方法とは思えません


菌の生態への理解が進んでおり、虫歯では特定の環境でしか増殖できませんから、その住みかをドリルで強制排除することは理にかなっており、また飛散させた菌の増殖力を奪うことになり病原性は減衰するはずで合目的です。

さらにバキュームで体外に排出することはさらに有益であり、ほかの歯への飛散付着を防ぐだけではなく、口腔外バキュームもあれば部屋中に菌が漂うことにより本人のみならず他の人間が呼吸により鼻腔や肺から感染することも予防できます。



3mix-mp法、ドックスベストセメントなど「患者の甘え」「流行にのった人気取り」など実際の現場での是非は置いといて、考え方としては「菌へのアプローチ」という自然な理路で、こちらが本筋では、と思います


「菌へのアプローチ」は大事です。
除菌の方法はいろいろあり、検証が必要です。

除菌と言っても通常の感染症対策とは違い、常在菌によるバイオフィルム感染と歯牙および口腔内環境という特殊な歯科感染症対策への配慮が必要です。

仮にその二つの目的が感染菌への対処であったとしても、滅菌することは不可能ですし、殺菌効果があったとしても持続性にはまったく疑問がありますからそれだけで治療は完結しませんし、仮に効果があってもその後の感染によるダメージへの処置と機能回復への対処がセットにならないと医療として意味がないと考えます。

日本人は世界的に見ても薬好きといえなくもありません。

薬の対象となる生物など自然界は、現代の科学でもほとんど解明できていない未知の領域です。
また合成薬品のことを一般の方は殆ど理解していません。

それにもかかわらず現代科学の最先端製薬であるからというだけで安心したい気持ちもわからないわけではありませんが、我々は科学的姿勢を崩さずまた無知による情に流されないようにしております。



>分子生物学的な研究でかなりの事が解ってきているのに、治療に生かされてきているとは素人からは感じられません
 

まだ十分とはいえないことも確かでさらに進歩が必要ですが、分子生物学的だけではなく生化学、生理学、薬理学、理工学、疫学、外科学、発生学、組織学、社会政治学を含め学際的・生物学的にかなり生かされてきていると思います。

むし歯ができる固い部分もミネラルという無機分子で構成されており、組織学的にも体内と体外を隔てる外胚葉性組織で直下の象牙質から内部の有機体内を守り、それ自体がミネラルバランスによって生理学的にも維持されていることを利用して、削る事はもちろん穴が開いていても削らない治療も選べるという歯科治療を行っています。

田尾先生は、我々が皆様に真実を知って頂く広報の努力が足りないと考え、日本の歯科を世界一にしたいという目標でこのサイトを運営しております。

我々一同、これからもさらに理解が深まるように努力して参ります。
またご不明の点や改善点などがあれば、どしどしご投稿お願いします。

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回答 回答9
  • 回答者
回答日時:2013-11-01 14:19:48
>それを前提に考えると、ドリルで歯を削るというのは治療と呼べるのでしょうか?

虫歯に関して言えば「予防」と「治療」を分けて考える必要があると思います。


予防に関して言えば、諸先生方の書かれているような「プラークコントロール」と言う概念で理解はされると思います。
(プラス、力のコントロールが必要だとは思いますが)


治療に関してですが、おそらくFaithful さんは「なぜ歯科医は分子生物学的なアプローチをしないのか?」と言う事に疑問を持たれているのではないかと思うのですが…。

僕としての回答は「分子生物学的アプローチでは解決できないから」です。

ナゼか?

理由を簡単に言えば2つ。

 1 エナメル質象牙質も一部を除き)は細胞では無いので再生しない
 2 感染歯質は強度不足でそのままでは機能させる事が出来ない

です。

4人の専門家がこの回答を支持しています  
回答 回答10
  • 回答者
藤森歯科クリニック(兵庫県西宮市)の藤森です。
回答日時:2013-11-01 23:03:20
でも、Faithfulさんの言われる「分子生物学」は、もしかすると、櫻井先生の考えておられるものとかなり異なるかもしれませんね・・・。

1人の専門家がこの回答を支持しています  
回答 回答11
  • 回答者
藤森歯科クリニック(兵庫県西宮市)の藤森です。
回答日時:2013-11-02 09:46:13
将来、各個人の遺伝子情報に基づいた予防プログラムや、再生治療を中心とした治療にシフトしていけば面白いかな・・とは思っています。

回答 回答12
  • 回答者
回答日時:2013-11-02 09:55:27
>再生治療を中心とした治療にシフトしていけば面白いかな

大学レベルではチョットづつ進んでいますよね。
(マウスレベルの報告ですけどね…)

以前、歯周病の予防ワクチンに関してはかなり完成度の高い所までは来ていると聞いた事があります。
(某大学と某発酵食品メーカーとの共同研究)

ただ、それが日本の歯科治療に反映されるのはだいぶ先では無いか?と言う見解でした。

相談者からの返信 相談者からの返信
相談者: Faithfulさん
返信日時:2013-11-06 23:04:10
田尾 耕太郎先生 
松浦 裕敬先生 
さがら先生 
櫻井 善明先生 
藤森 隆史先生

はじめまして 貴重なご意見ありがとうございます


予防について、各先生の御考えはほぼ一致してるようにみえます

>これまでわかっている信頼性の高い情報を元に正しい予防行動を行えば、ほとんどの虫歯は予防できるということです。

>少なくともそれらを徹底的に行えば、多くのケースでは予防が可能とされていることがわかっています。

>予防に関して言えば諸先生方の書かれているような「プラークコントロール」と言う 概念で理解はされると思います。
>(プラス、力のコントロールが必要だとは思いますが)
 

一方ドリルに関しては、各先生ごと様々な御考えがあります

>特に問題はないでしょう
>しょうがなく
>私もドリルで歯を削ることが治療のすべてではないと思います。
>特殊性を発揮できる治療だと考えます。
>合目的です。

予防に関する事柄は認識の違いが生じない程度「わかっている」、治療に関する事柄はそこまでは「わかっていない」という推論は誤りでしょうか


>現在の歯科の治療に取り入れうるのに、何が解かってきたのでしょうかねぇ、知りたい所です。

勿論先生ごとに信念、スタイルetc違いがあるのは当然ですが、言い換えると虫歯の発生までのプロセスは研究が進展、蓄積していて、虫歯になった歯その後は研究が少ない(歯内療法学系は多い)、というのが素人が検索した印象です

インセンティブの観点では当然ともいえて、予防は一般市場相手で(歯磨き粉、ガムetc)治療は歯科業界という特殊市場相手


>以前、歯周病の予防ワクチンに関してはかなり完成度の高い所までは来ていると聞い た事があります。
>(某大学と某発酵食品メーカーとの共同研究)



タイトル 歯科医療について
質問者 Faithfulさん
地域 非公開
年齢 30歳
性別 男性
職業 非公開
カテゴリ う蝕関連
専門的な質問その他
その他(その他)
回答者




  • 上記書き込みの内容は、回答当時のものです。
  • 歯科医療は日々発展しますので、回答者の考え方が変わることもあります。
  • 保険改正により、保険制度や保険点数が変わっていることもありますのでご注意ください。

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