歯周病菌と空気(酸素)の関係
相談者:
ユキエさん (59歳:女性)
投稿日時:2014-06-11 14:28:24
また質問させていただきます。
歯周病菌は空気(酸素)に出会うと死滅するので歯磨きでポケット内の歯垢を除去する
除去したこと自体に効果があり
さらに、その下層が空気にさらされるので歯周病菌は死ぬということ。
毎日正しい歯磨きを繰り返すことの大切さを聞きました。
しかし現実的には歯周病菌はさらに空気から逃れようとポケット奥深く進むということです。
これは矛盾していないでしょうか?
質問@
歯周ポケット内に強力酸素を送り込む治療法はありますか?
質問A
口呼吸で舌の上にある歯周病菌が退治されるように思うが実際には舌の下層に逃げ込むということ。
これは本当でしょうか?
質問の前に基本的なことが自分自身で分かっていないのかもしれません。
解説をお願いいたします。
歯周病菌は空気(酸素)に出会うと死滅するので歯磨きでポケット内の歯垢を除去する
除去したこと自体に効果があり
さらに、その下層が空気にさらされるので歯周病菌は死ぬということ。
毎日正しい歯磨きを繰り返すことの大切さを聞きました。
しかし現実的には歯周病菌はさらに空気から逃れようとポケット奥深く進むということです。
これは矛盾していないでしょうか?
質問@
歯周ポケット内に強力酸素を送り込む治療法はありますか?
質問A
口呼吸で舌の上にある歯周病菌が退治されるように思うが実際には舌の下層に逃げ込むということ。
これは本当でしょうか?
質問の前に基本的なことが自分自身で分かっていないのかもしれません。
解説をお願いいたします。
回答1
美江寺歯科医院(岐阜県瑞穂市)の小牧です。
回答日時:2014-06-11 18:05:38
ユキエ さん、今日は
誤った認識が有るようなので、訂正しておきます。
>歯周病菌は空気(酸素)に出会うと死滅するので
酸素が有ると生存できない菌と、酸素が有っても生存できる菌が有ります。
>歯磨きでポケット内の歯垢を除去する
歯磨きで除去するのは、ポケットの外の歯垢です。
ポケットの中も、僅かには除去できるかもしれませんが、歯磨きの目的はあくまでもポケットの外の歯垢の除去です。
>その下層が空気にさらされるので歯周病菌は死ぬということ。
歯周病を治療している場合。
ポケットの外の歯垢をとっただけでは、ポケットの中の方の歯周病菌は死にません。
ポケットの中は、歯科医師や歯科衛生士が、器具を使って取り除きます。
治療が終わり、歯周病が治った後のメインテナンスの場合。
歯肉溝(歯周病が治るとポケットと言わず、歯肉溝と言います)には歯周病菌は感染していませんので、歯肉溝の外を磨くことで、再感染を防ぎます。
>歯周病菌はさらに空気から逃れようとポケット奥深く進むということです。
そんなことはないでしょう。
予測ですが、酸素にさらされれば、増殖してさらに進行する力はなくなるでしょう。
>これは矛盾していないでしょうか?
これで矛盾は解けましたでしょうか?
質問@
>歯周ポケット内に強力酸素を送り込む治療法はありますか?
超音波スケーラーでできると思います。
ご家庭ではできません。
質問A
>口呼吸で舌の上にある歯周病菌が退治されるように思うが
舌の上に歯周病菌はほとんどいないと思います。
いたとしても、舌の上の菌からポケットに感染することは有りません。
>実際には舌の下層に逃げ込むということ。
>これは本当でしょうか?
嘘でしょう。
誤った認識が有るようなので、訂正しておきます。
>歯周病菌は空気(酸素)に出会うと死滅するので
酸素が有ると生存できない菌と、酸素が有っても生存できる菌が有ります。
>歯磨きでポケット内の歯垢を除去する
歯磨きで除去するのは、ポケットの外の歯垢です。
ポケットの中も、僅かには除去できるかもしれませんが、歯磨きの目的はあくまでもポケットの外の歯垢の除去です。
>その下層が空気にさらされるので歯周病菌は死ぬということ。
歯周病を治療している場合。
ポケットの外の歯垢をとっただけでは、ポケットの中の方の歯周病菌は死にません。
ポケットの中は、歯科医師や歯科衛生士が、器具を使って取り除きます。
治療が終わり、歯周病が治った後のメインテナンスの場合。
歯肉溝(歯周病が治るとポケットと言わず、歯肉溝と言います)には歯周病菌は感染していませんので、歯肉溝の外を磨くことで、再感染を防ぎます。
>歯周病菌はさらに空気から逃れようとポケット奥深く進むということです。
そんなことはないでしょう。
予測ですが、酸素にさらされれば、増殖してさらに進行する力はなくなるでしょう。
>これは矛盾していないでしょうか?
これで矛盾は解けましたでしょうか?
質問@
>歯周ポケット内に強力酸素を送り込む治療法はありますか?
超音波スケーラーでできると思います。
ご家庭ではできません。
質問A
>口呼吸で舌の上にある歯周病菌が退治されるように思うが
舌の上に歯周病菌はほとんどいないと思います。
いたとしても、舌の上の菌からポケットに感染することは有りません。
>実際には舌の下層に逃げ込むということ。
>これは本当でしょうか?
嘘でしょう。
相談者からの返信
相談者:
ユキエさん
返信日時:2014-06-11 21:07:16
回答2
国際ビル歯科(千代田区丸ノ内)のさがらです。
回答日時:2014-06-16 09:01:25
ご相談ありがとうございます。
>しかしもう少し他説もうかがいたいと思い催促することにしました。
いろいろな情報があふれていますが、科学的に検証された方法はそう多くはありません。
小牧先生はその根拠に基づいて回答されているはずです。
実際には、一つの時点で何か一つしか治療方法を選んで実施することができません。
もちろん他の方法に後で変更はできますが、人生や健康に無駄遣いをする暇はありません。
その間に抜けた歯を戻すことはできません。
確実な方法を選択することが唯一、効果が見込まれ、かつ、危険が一番少ないと考えられます。
ご自身に都合がいい他説を待つという考えもあるかもしれませんが専門的にはあまりお勧めできません。
質問@
>歯周ポケット内に強力酸素を送り込む治療法はありますか?
そのような治療方法はあるのかもしれませんが一般的ではありません。
歯周病菌が強力酸素で死ぬことはあると思いますが、治療効果は疑問です。
なぜならばポケット内には、フラフラしてそのようの方法に反応するグループもいれば、菌の回りにバリアを張って薬などをハネ返してしまうグループもいるからです。
また歯周病菌を殺菌できたとしても、それまで菌がばらまいてきた毒素を酸素で消すことはできません。
菌も毒素も、また身体が反応した物質も原因と考えられているからです。
質問A
>口呼吸で舌の上にある歯周病菌が退治されるように思うが
それは酸素を与える効果を狙った考えでしょうか。
確かに口を閉じている時よりも増えそうですが、とても強力酸素というまではいきません。
一般的に口呼吸をすると歯周病が悪化することが認められています。
それどころか咽頭喉頭、気管や肺に感染を起こしたり、免疫力を下げるとても危険な行為です。
歯周病対策、全身の健康のためには鼻呼吸が大前提です。
>実際には舌の下層に逃げ込むということ。
残念ですが、そんなことが証明されたとは寡聞にして知りません。
>しかしもう少し他説もうかがいたいと思い催促することにしました。
いろいろな情報があふれていますが、科学的に検証された方法はそう多くはありません。
小牧先生はその根拠に基づいて回答されているはずです。
実際には、一つの時点で何か一つしか治療方法を選んで実施することができません。
もちろん他の方法に後で変更はできますが、人生や健康に無駄遣いをする暇はありません。
その間に抜けた歯を戻すことはできません。
確実な方法を選択することが唯一、効果が見込まれ、かつ、危険が一番少ないと考えられます。
ご自身に都合がいい他説を待つという考えもあるかもしれませんが専門的にはあまりお勧めできません。
質問@
>歯周ポケット内に強力酸素を送り込む治療法はありますか?
そのような治療方法はあるのかもしれませんが一般的ではありません。
歯周病菌が強力酸素で死ぬことはあると思いますが、治療効果は疑問です。
なぜならばポケット内には、フラフラしてそのようの方法に反応するグループもいれば、菌の回りにバリアを張って薬などをハネ返してしまうグループもいるからです。
また歯周病菌を殺菌できたとしても、それまで菌がばらまいてきた毒素を酸素で消すことはできません。
菌も毒素も、また身体が反応した物質も原因と考えられているからです。
質問A
>口呼吸で舌の上にある歯周病菌が退治されるように思うが
それは酸素を与える効果を狙った考えでしょうか。
確かに口を閉じている時よりも増えそうですが、とても強力酸素というまではいきません。
一般的に口呼吸をすると歯周病が悪化することが認められています。
それどころか咽頭喉頭、気管や肺に感染を起こしたり、免疫力を下げるとても危険な行為です。
歯周病対策、全身の健康のためには鼻呼吸が大前提です。
>実際には舌の下層に逃げ込むということ。
残念ですが、そんなことが証明されたとは寡聞にして知りません。
回答3
ポプラ小児歯科医院(千葉県茂原市)の森川です。
回答日時:2014-06-16 12:21:32
まず嫌気性の「気」というのは空気の気ではなくて水に溶け込んだ酸素のことです。
それから「逃げる」という行為は動く生き物だけに可能な行為です。
歯周病の原因菌の中で動けるのは運動性桿菌だけかと思います(厳密にいうと球菌も動きますが、逃げるという表現にあてはまるほどは動かないはずです。)
運動性桿菌だけで(球菌なしで)歯周病が引き起こされるのかどうかは定かではありませんので、逃げ込んだから悪化するとは単純には言えませんし、かりに逃げ込んだとしてもその逃げ込んだ先の環境がもともと細菌にとって都合のよくない環境であればそこには定着しません。
それから「逃げる」という行為は動く生き物だけに可能な行為です。
歯周病の原因菌の中で動けるのは運動性桿菌だけかと思います(厳密にいうと球菌も動きますが、逃げるという表現にあてはまるほどは動かないはずです。)
運動性桿菌だけで(球菌なしで)歯周病が引き起こされるのかどうかは定かではありませんので、逃げ込んだから悪化するとは単純には言えませんし、かりに逃げ込んだとしてもその逃げ込んだ先の環境がもともと細菌にとって都合のよくない環境であればそこには定着しません。
回答4
美江寺歯科医院(岐阜県瑞穂市)の小牧です。
回答日時:2014-06-16 14:33:06
>歯周病菌が嫌気性ということは共通見解です。
嫌気性菌には、通性嫌気性菌と偏性嫌気性菌が有ります。
酸素が有っても無くても、どちらの環境でも生きられる菌と、酸素が無いところでしか生きられない菌が有ります。
つまり、歯周病菌の中には、酸素が有っても生きられる菌がいるということです。
ちなみに、好気性菌は、酸素がないと生きられません。
付け加えて、歯周病菌はおそらく半分もわかっていません。
現在わかっている菌よりも、もっと悪い菌が沢山いるかもしれませんね。
>そのため歯と歯茎の間にブラシを当て
歯ブラシの仕方に関しては、科学的に見て、特にどの方法が良いということは有りません。
歯周病的観点からは、歯と歯ぐきの境目の歯垢が落とせていて、歯ぐきを傷つけなければどの方法でも、治療や予防の結果は変わりません。
>いろいろ歯科医のサイトを読みましたが医師によって真っ向から違う見解を見かけます。
>どうしてこうも意見が違うのか。
現時点で、科学的に証明された、歯周病に対する学問は、およそ30年前に確立しており、その後大きく変わるような、科学的に証明された新たな発見はほとんど有りません。
おそらく私が書いた説明は、ほぼ、その内容に沿っているものと思います。
付け加えて、「科学的な証明」とは、実験室の中で行われる研究ではなく、実際の患者さんで系統立てて行われる研究をもとにしたものです。
嫌気性菌には、通性嫌気性菌と偏性嫌気性菌が有ります。
酸素が有っても無くても、どちらの環境でも生きられる菌と、酸素が無いところでしか生きられない菌が有ります。
つまり、歯周病菌の中には、酸素が有っても生きられる菌がいるということです。
ちなみに、好気性菌は、酸素がないと生きられません。
付け加えて、歯周病菌はおそらく半分もわかっていません。
現在わかっている菌よりも、もっと悪い菌が沢山いるかもしれませんね。
>そのため歯と歯茎の間にブラシを当て
歯ブラシの仕方に関しては、科学的に見て、特にどの方法が良いということは有りません。
歯周病的観点からは、歯と歯ぐきの境目の歯垢が落とせていて、歯ぐきを傷つけなければどの方法でも、治療や予防の結果は変わりません。
>いろいろ歯科医のサイトを読みましたが医師によって真っ向から違う見解を見かけます。
>どうしてこうも意見が違うのか。
現時点で、科学的に証明された、歯周病に対する学問は、およそ30年前に確立しており、その後大きく変わるような、科学的に証明された新たな発見はほとんど有りません。
おそらく私が書いた説明は、ほぼ、その内容に沿っているものと思います。
付け加えて、「科学的な証明」とは、実験室の中で行われる研究ではなく、実際の患者さんで系統立てて行われる研究をもとにしたものです。
相談者からの返信
相談者:
ユキエさん
返信日時:2014-06-17 11:19:23
小牧先生
回答1と回答4をありがとうございます。
回答1にて
>歯肉溝(歯周病が治るとポケットと言わず、歯肉溝と言います)には歯周病菌は感染していませんので
・・・歯周病が治るということはポケットが正常の深さになるということですか?
歯周病が治るというよりも、ポケット底の菌が休止中の状態になると考えるのですが、違いますか?
それゆえ歯周病は油断してはいけない、常にポケットの内部に歯ブラシの先が当たるようにしなさい・・・?(一つの説でしょうけど)
回答4にて
>歯周病に対する学問は、およそ30年前に確立しており、
30年前というと歯学の長い歴史のなかではそれほど昔ではないと思います。
治療法がそれ以降とそれ以前と基本的に変わらないように思いますが、細かな点が修正されたということでしょうか。
ド素人のため愚問かもしれませんが以上の点が不明です。
よろしくお願いします。
回答1と回答4をありがとうございます。
回答1にて
>歯肉溝(歯周病が治るとポケットと言わず、歯肉溝と言います)には歯周病菌は感染していませんので
・・・歯周病が治るということはポケットが正常の深さになるということですか?
歯周病が治るというよりも、ポケット底の菌が休止中の状態になると考えるのですが、違いますか?
それゆえ歯周病は油断してはいけない、常にポケットの内部に歯ブラシの先が当たるようにしなさい・・・?(一つの説でしょうけど)
回答4にて
>歯周病に対する学問は、およそ30年前に確立しており、
30年前というと歯学の長い歴史のなかではそれほど昔ではないと思います。
治療法がそれ以降とそれ以前と基本的に変わらないように思いますが、細かな点が修正されたということでしょうか。
ド素人のため愚問かもしれませんが以上の点が不明です。
よろしくお願いします。
相談者からの返信
相談者:
ユキエさん
返信日時:2014-06-17 11:33:57
さがら先生
ご回答ありがとうございます。
>実際には舌の下層に逃げ込むということ。
この表現が悪かったのですが舌には糸状の組織がありそこに悪い菌がいるので、軽く舌磨きを薦める説と舌を痛めるので不要説と二通りあります。
とくに後の説は仮に表面のばい菌が取れても強い菌が空気から逃れようとする、このようなことです。
医学説はそれまで信じられてきた定説でも突然大きく転覆することもあるので、患者にすれば信じるほうを選ぶしかありません。
ご回答ありがとうございます。
>実際には舌の下層に逃げ込むということ。
この表現が悪かったのですが舌には糸状の組織がありそこに悪い菌がいるので、軽く舌磨きを薦める説と舌を痛めるので不要説と二通りあります。
とくに後の説は仮に表面のばい菌が取れても強い菌が空気から逃れようとする、このようなことです。
医学説はそれまで信じられてきた定説でも突然大きく転覆することもあるので、患者にすれば信じるほうを選ぶしかありません。
相談者からの返信
相談者:
ユキエさん
返信日時:2014-06-17 11:50:38
回答5
美江寺歯科医院(岐阜県瑞穂市)の小牧です。
回答日時:2014-06-17 17:27:13
まず、「諸説」に関してですが、科学的な証明が有る説も有れば、ほとんどか科学的な証明がなされていない説も有ります。
一般の方からすればどちらも同じようなものかもしれませんが、私にとっては、混合玉石で論じてもあまり意味がないように思います。
私は、一般臨床において、科学的な証明がなされている説が有ればそちらを採用することが、医療人としての倫理だと思っています。
しかしそう思われない先生方もおみえになるようで、ほとんど科学的な証明がなされていないような方法を採用されるかともみえます。
もう少し詳しく説明する為には、一部専門用語も理解していただく必要が有りますので、専門用語の解説も含めて回答していきます。
回答1にて
>・・・歯周病が治るということはポケットが正常の深さになるということですか?
歯周病は治った場合は「ポケット」とは言わないので。
「ポケット」と「歯肉溝」の違いについて。
歯と歯茎の境の溝を、歯周病がある状態では、「ポケット」と表現し、炎症が無い状態を「歯肉溝」と言います。
その深さを、「ペリオドンタルプロービングディプス」略して「PPD」と言います。
深さの測定時の出血を「プロービングオンブリーディング」略して「BoP」と言います。
歯周病が治ったという状態は、一般的にはPPDが3mm以下で、BoPが無い状態です。
4mmでも良いという説や、僅かなBoPなら有っても良いという説等、諸説は有ります。
どれも科学的な証明から論じられています。
>歯周病が治るというよりも、ポケット底の菌が休止中の状態になると考えるのですが、違いますか?
上記の条件が揃えば、歯周病が治ったと言っても良いでしょう。
その場合、「歯肉溝」の中は、健康な状態で、常在菌が存在します。
>それゆえ歯周病は油断してはいけない、常にポケットの内部に歯ブラシの先が当たるようにしなさい・・・?
>(一つの説でしょうけど)
科学的な証明のない説ですね。
基礎医学の証明では、基本的には「歯肉溝」の中に、歯ブラシの毛を入れることは不可能であるとされています。
また、「歯肉溝」の中を磨かなくても歯垢が落とせていれば、歯周病にはならない。
さらに、歯肉炎は「ポケット」の中を磨かなくても、歯垢が落とせれば治ることが、科学的に証明されています。
回答4にて
>30年前というと歯学の長い歴史のなかではそれほど昔ではないと思います。
世界的に見れば、もう少し前ですね。
>治療法がそれ以降とそれ以前と基本的に変わらないように思いますが細かな点が修正されたということでしょうか。
私が大学を卒業して、大学の「補綴科」に在籍していた当時、「歯周病科」の教授が退官され、新しい教授が着任して、歯周治療の考え方が、大きくがらりと変わったのを今でもよく覚えています。
相当大きな変化でしたね。
その後も、細かな点は修正されていますが、大きな変化は有りません。
さがら先生への質問のようですが。
舌の表面には、かなり長い舌乳頭が有ったとして、相当深くなったとしても、その中は歯周病で最も悪さをするという「偏性嫌気性菌」が住み着けるほどの環境にはなりません。
また、抜歯が適応と思われる、相当深いポケットが有って、悪い細菌が沢山住み着いていそうな歯が有っても、隣の歯に感染することは無いことが、科学的に証明されています。
隣の歯からでも感染しないのに、舌から感染することは考えにくいですね。
森川への質問にも
>>まず嫌気性の「気」というのは空気の気ではなくて水に溶け込んだ酸素のことです。
酸素が水に溶けていると言うことですね。
>たとえばソニッケアという音波で歯垢を除去するという歯ブラシも原理は音波で歯垢を飛ばし、その下の歯垢を空気にさらすことを繰り返すうちに歯周病に効果的とか・・・・
ソニケアでも、手用の歯ブラシでも、効果は同じです。
歯垢を取り除くことで、歯周病を治す、あるいは予防します。
ソニケアは、基礎研究では、「歯肉溝」あるいは「ポケット」の中に振動を与えて、細菌に対して何らかの効果を及ぼう様な結果が出てるかもしれませんが、臨床研究では、手用歯ブラシとほとんど効果は変わりませんでした。
私が思うに、「歯肉溝」や「ポケット」の中に振動を与えても、臨床的には意味がないということだと思います。
一般の方からすればどちらも同じようなものかもしれませんが、私にとっては、混合玉石で論じてもあまり意味がないように思います。
私は、一般臨床において、科学的な証明がなされている説が有ればそちらを採用することが、医療人としての倫理だと思っています。
しかしそう思われない先生方もおみえになるようで、ほとんど科学的な証明がなされていないような方法を採用されるかともみえます。
もう少し詳しく説明する為には、一部専門用語も理解していただく必要が有りますので、専門用語の解説も含めて回答していきます。
回答1にて
>・・・歯周病が治るということはポケットが正常の深さになるということですか?
歯周病は治った場合は「ポケット」とは言わないので。
「ポケット」と「歯肉溝」の違いについて。
歯と歯茎の境の溝を、歯周病がある状態では、「ポケット」と表現し、炎症が無い状態を「歯肉溝」と言います。
その深さを、「ペリオドンタルプロービングディプス」略して「PPD」と言います。
深さの測定時の出血を「プロービングオンブリーディング」略して「BoP」と言います。
歯周病が治ったという状態は、一般的にはPPDが3mm以下で、BoPが無い状態です。
4mmでも良いという説や、僅かなBoPなら有っても良いという説等、諸説は有ります。
どれも科学的な証明から論じられています。
>歯周病が治るというよりも、ポケット底の菌が休止中の状態になると考えるのですが、違いますか?
上記の条件が揃えば、歯周病が治ったと言っても良いでしょう。
その場合、「歯肉溝」の中は、健康な状態で、常在菌が存在します。
>それゆえ歯周病は油断してはいけない、常にポケットの内部に歯ブラシの先が当たるようにしなさい・・・?
>(一つの説でしょうけど)
科学的な証明のない説ですね。
基礎医学の証明では、基本的には「歯肉溝」の中に、歯ブラシの毛を入れることは不可能であるとされています。
また、「歯肉溝」の中を磨かなくても歯垢が落とせていれば、歯周病にはならない。
さらに、歯肉炎は「ポケット」の中を磨かなくても、歯垢が落とせれば治ることが、科学的に証明されています。
回答4にて
>30年前というと歯学の長い歴史のなかではそれほど昔ではないと思います。
世界的に見れば、もう少し前ですね。
>治療法がそれ以降とそれ以前と基本的に変わらないように思いますが細かな点が修正されたということでしょうか。
私が大学を卒業して、大学の「補綴科」に在籍していた当時、「歯周病科」の教授が退官され、新しい教授が着任して、歯周治療の考え方が、大きくがらりと変わったのを今でもよく覚えています。
相当大きな変化でしたね。
その後も、細かな点は修正されていますが、大きな変化は有りません。
さがら先生への質問のようですが。
舌の表面には、かなり長い舌乳頭が有ったとして、相当深くなったとしても、その中は歯周病で最も悪さをするという「偏性嫌気性菌」が住み着けるほどの環境にはなりません。
また、抜歯が適応と思われる、相当深いポケットが有って、悪い細菌が沢山住み着いていそうな歯が有っても、隣の歯に感染することは無いことが、科学的に証明されています。
隣の歯からでも感染しないのに、舌から感染することは考えにくいですね。
森川への質問にも
>>まず嫌気性の「気」というのは空気の気ではなくて水に溶け込んだ酸素のことです。
酸素が水に溶けていると言うことですね。
>たとえばソニッケアという音波で歯垢を除去するという歯ブラシも原理は音波で歯垢を飛ばし、その下の歯垢を空気にさらすことを繰り返すうちに歯周病に効果的とか・・・・
ソニケアでも、手用の歯ブラシでも、効果は同じです。
歯垢を取り除くことで、歯周病を治す、あるいは予防します。
ソニケアは、基礎研究では、「歯肉溝」あるいは「ポケット」の中に振動を与えて、細菌に対して何らかの効果を及ぼう様な結果が出てるかもしれませんが、臨床研究では、手用歯ブラシとほとんど効果は変わりませんでした。
私が思うに、「歯肉溝」や「ポケット」の中に振動を与えても、臨床的には意味がないということだと思います。
回答6
ポプラ小児歯科医院(千葉県茂原市)の森川です。
回答日時:2014-06-18 08:49:35
>水に溶け込んだ酸素というのはH2Oの結合した酸素分子のことでしょうか?
>それ以外にも酸素が水に溶けているのでしょうか?
水を構成する酸素原子と(二原子分子の)酸素は別の物質です。
水の中にはその水と接触する空気中のすべての物質(気体)が溶け込んでいます。
たとえば窒素、酸素、二酸化炭素などであり、希ガスや水素もものすごく微量ですが溶け込んでます。
水に溶け込んでいる気体でイメージしやすいのは二酸化炭素でしょうか。
炭酸飲料には二酸化炭素が加圧により大量に溶解させてあります。
あと、水中の生物たとえば魚が生きていけるのも水中の酸素があるおかけです。
もともと生物の発生は水中からですからね、当たり前と言えば当たり前です。
あと余談ですが、酸素を作るのは陸上の植物とイメージしてしまいがちですが、水中の植物や植物性プランクトンがおおよそ半分の酸素を作り出していると考えられています。
つまり通常の状態では水中には大量の酸素が存在することになります。
>それ以外にも酸素が水に溶けているのでしょうか?
水を構成する酸素原子と(二原子分子の)酸素は別の物質です。
水の中にはその水と接触する空気中のすべての物質(気体)が溶け込んでいます。
たとえば窒素、酸素、二酸化炭素などであり、希ガスや水素もものすごく微量ですが溶け込んでます。
水に溶け込んでいる気体でイメージしやすいのは二酸化炭素でしょうか。
炭酸飲料には二酸化炭素が加圧により大量に溶解させてあります。
あと、水中の生物たとえば魚が生きていけるのも水中の酸素があるおかけです。
もともと生物の発生は水中からですからね、当たり前と言えば当たり前です。
あと余談ですが、酸素を作るのは陸上の植物とイメージしてしまいがちですが、水中の植物や植物性プランクトンがおおよそ半分の酸素を作り出していると考えられています。
つまり通常の状態では水中には大量の酸素が存在することになります。
相談者からの返信
相談者:
ユキエさん
返信日時:2014-06-19 17:58:26
小牧先生
森川先生
丁寧な再回答をありがとうございます。
知識のない私のような者にも分かりやすく大変勉強になりました。
またほかの先生も多忙の中、回答いただき感謝しております。
これからもよろしくお願いいたします。
森川先生
丁寧な再回答をありがとうございます。
知識のない私のような者にも分かりやすく大変勉強になりました。
またほかの先生も多忙の中、回答いただき感謝しております。
これからもよろしくお願いいたします。
タイトル | 歯周病菌と空気(酸素)の関係 |
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質問者 | ユキエさん |
地域 | 非公開 |
年齢 | 59歳 |
性別 | 女性 |
職業 | 非公開 |
カテゴリ |
歯周病(歯槽膿漏)治療 歯周病その他 |
回答者 |
- 上記書き込みの内容は、回答当時のものです。
- 歯科医療は日々発展しますので、回答者の考え方が変わることもあります。
- 保険改正により、保険制度や保険点数が変わっていることもありますのでご注意ください。