ミラクルデンチャーは従来の自費入れ歯より優れている?(第三者より)

相談者: 茶虎さん (78歳:男性)
投稿日時:2015-01-19 22:54:46
こんばんは。

ミラクルデンチャーは従来の自費入れ歯より優れているのかについて質問させてください。

その前に質問するに至った経緯についてひと通り説明させてください。

長文失礼します。
最後に質問事項があります。

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■[対象者と症状の具合]

私の父が以下のような症状で治療が必要になっています。

■11/ぐらぐら(中)。抜歯の危険性あり。
■12/虫歯あり。
■13/虫歯あり。
■14/割れてる可能性あり。抜歯の危険性あり。
×15/抜歯済み。
■16/歯槽骨が減り、抜歯の危険性あり。
×17/抜歯済み

■21/ぐらぐら(中)。抜歯の危険性あり。
■22/OK
■23/OK
×24/抜歯済み
■25/ぐらぐら(大)。抜歯の危険性あり。
■26/割れてる可能性あり。深い虫歯あり。ぐらぐら(中)。抜歯の危険性あり。
×27/抜歯済み

■31/OK
■32/OK
■33/OK
×34/抜歯済み
×35/抜歯済み
■36/OK
×37/抜歯済み

■41/OK
■42/OK
■43/OK
■44/割れてるので抜歯適応。
■45/抜歯の危険性あり
×46/抜歯済み
×47/抜歯済み


なにぶん80にも手が届こうかという高齢で、歯周病もあり、大分悪くしています。
近所の歯医者にはかかっていましたが、その場しのぎの治療しかしてもらえず、説明もなくどんどん歯を失っていく一方なので、私に相談をもちかけてきました。

今現在、何軒かの候補の中からしっかりとした歯医者さんを探している最中です。
上記の診断は、かかりつけだった所とは別の歯医者さんによるものです。

それぞれの歯医者さんの診断は結構まちまちです。

かなりの本数を抜歯しなければならないと言う歯医者さんもいれば、おそらく抜歯1本で済むだろうと言う保存学会の専門医もいらっしゃいます。

大体共通しているのは、

「下顎の歯槽骨はしっかりしているが、上顎の歯槽骨がかなり溶けてきている(ただし、骨再生すればインプラントはできる)」

「結構な本数を抜歯しているために、残りの歯に負荷がかかりすぎている。
あと1本抜くと全体が一気に崩壊しかねない」

というものです。

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■[治療方針]

本人の希望は、

「なるべく抜かない。
削らない。
たとえ後々悪くなって抜歯する結果になっても、今抜くのではなく、残す努力をやってからにしたい」

「ただし、残すことによるデメリットが大きすぎる場合は抜歯もやむなし」

審美性は気にしない」

というものです。

私はその意思に沿って、父を歯医者まで送り迎えして、地元を中心に先生方と話をしてきました。

皆様、とても真剣に相談にのっていただき、まことに感謝しております。

父と色々話し合いをした結果、インプラントはひとまず置いておいて、虫歯と歯周病を徹底的に治療して、上顎と下顎の損失した歯を補う自費の入れ歯を入れようという結論にいたりました。

これは診察してもらった歯医者さんからも現実的なプランとして認めてもらいました。

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■[ミラクルデンチャーのメリット]

父の上下それぞれの入れ歯を、従来通りの自費入れ歯(数十万円するような高級品)にするのか、比較的新しい入れ歯、その中でもミラクルデンチャーにするのか迷っています。

ミラクルデンチャーについては興味をもっており、2年ほど前から少しずつ調査を入れてきました。


それは以下のようなものです。

(a)開発から10年くらい経っている

(b)素材は樹脂で他の入れ歯と変わったところはない

(c)金属床がない

(d)制作テクニックが非常に重要(※開発者談「ミラクルデンチャーはほぼ全てテクニックでできています」)

(e)着脱方向がその歯によって違う

(f)1本の歯でも残っていれば装着可能

(g)咀嚼力は天然歯の10〜30%程

(h)ほとんどの食べ物を噛める

(i)義歯の下に食べ物が入りにくい

(j)自分の歯と錯覚するくらいフィット感がいい

(k)天然歯を削らない

(l)歯自体への負荷を減らす
出し入れが上下ではないため大きな負荷が歯にかからない

(m)支持歯を傷めない
歯の上方に横揺れの力が歯だけに加われば、歯は動き始めるが、それがない
数本の歯の根本に力が分散してくれる
さらに、入れ歯が動かないので、歯の横揺れも減り、好循環が生まれる

(n)動揺歯を逆に固定して保護する
入れ歯と歯と歯肉が一体化し、お互いが支えあって歯を守るので、堅く動揺しない


これが全て本当なら素晴らしい入れ歯だと思いました。
もし、ミラクルデンチャーが従来通りの自費入れ歯より明らかにすぐれている点が少しでもあれば、そちらを選びたい気持ちがあります。

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■[ミラクルデンチャーは本当にそんなに素晴らしいのか?]

しかし、本当にミラクルデンチャーにそんなに優れているのかどうかは、実際に治療に使っている歯医者でもない私にはわかりません。

もし、ミラクルデンチャーが性能的に、従来の昔ながらの入れ歯と大差がないのであれば、従来の入れ歯を扱い慣れた補綴に強い先生につくってもらった方が良いのではないかとも思います(基本を重視)。

そこで、実際にそれを扱っている複数の歯医者さんたちに話を伺ったり、実物を見せてもらったりもしました。
説明を受けた限りでは、たしかに支持歯を痛めないことは本当らしいです。

ただ、インターネットで大々的に宣伝して受ける素晴らしい性能のイメージからは、かなり差っ引いた印象を受けることが結構ありました。

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■[そして質問]

そして本題の質問です。
できるだけ多くの先生方に思ってることを率直に書いていただきたいです。


@普段扱っている入れ歯の種類について教えて下さい。


Aミラクルデンチャーに関して先生方の周囲や所属している学会などの評判はどうですか?


Bミラクルデンチャーの性能を裏付けする学術的な論文やエビデンスはあるのでしょうか?


C学会で取り上げられたり、(たとえば日本補綴歯科学会などの)資格をもった先生方がミラクルデンチャーを扱っている事例をあまり見かけません。

それはどうしてだと思われますか?


D私のかかりつけの歯医者さん(父のかかりつけとは違います)は、ミラクルデンチャーのHPの説明を読んだ上で「自費入れ歯でも同じようことはできますよ」と仰いました。

(c)金属床がない

(g)咀嚼力は天然歯の10〜30%程

(h)ほとんどの食べ物を噛める

(i)義歯の下に食べ物が入りにくい

(j)自分の歯と錯覚するくらいフィット感がいい

(k)天然歯を削らない

(l)歯自体への負荷を減らす
出し入れが上下ではないため大きな負荷が歯にかからない

(m)支持歯を傷めない
歯の上方に横揺れの力が歯だけに加われば、歯は動き始めるが、それがない
数本の歯の根本に力が分散してくれる
入れ歯が動かないので、歯の横揺れも減り、さらに、好循環が生まれる

(n)動揺歯を逆に固定して保護する
入れ歯と歯と歯肉が一体化し、お互いが支えあって歯を守るので、堅く動揺しない

以上の性能は、従来通りの自費入れ歯でもできること(性能に大差がない)なのでしょうか?
また、できないものがあれば、それらを教えて下さい。



(※)ここからは実際にミラクルデンチャーを扱っている歯医者さんのみお願いします。

E実際にミラクルデンチャーを扱っていて、従来の自費入れ歯にはないメリットを感じてらっしゃいますか?


Fそれは具体的にどんなところですか?


Gインターネットの宣伝文ではあらゆる歯の状態に適応できると書いてあるのに、実際に会って話を聞くと「できない」と言う歯医者さんがいました。
これは、ミラクルデンチャーの性能としてできないという意味ではなく、テクニックが不足しているその医院ではできなかったと考えればいいのでしょうか?(失礼なので直接は聞けませんでした)


Hテクニックさえあれば、宣伝文どおり、ほとんどの歯の状態に対応できると思いますか?


I「(f)1本の歯でも残っていれば装着可能」については実際に使用している歯医者さんでも疑問視している人がいました。
1本の歯だけで長期にわたって安定使用することは現実的にできると思いますか?


J虫歯や歯周病治療とミラクルデンチャー制作をそれぞれ別の歯医者さんでやってもらった場合でも問題ありませんか?


Kミラクルデンチャーを扱い慣れていない先生にミラクルデンチャーをつくってもらうのと、従来の入れ歯を扱い慣れた補綴に強い先生に従来の自費入れ歯をつくってもらうのとではどちらがいいと思いますか?


以上です。

長文お読みいただき、まことにありがとうございました。
ご回答よろしくお願い申し上げます。


回答 回答1
  • 回答者
回答日時:2015-01-20 00:09:44
茶虎 さんこんばんは


>@普段扱っている入れ歯の種類について教えて下さい。

一概に種類と行っても、床の材質でもレジン硬質レジン、金属などありますし、金属でsも、チタンなやコバルトクロムなど様々です。

アタッチメントや、クラスプの種類も数えきれない程ありますし、最近ではインプラント支持型のものもあります。


>Aミラクルデンチャーに関して先生方の周囲や所属している学会などの評判はどうですか?

個人的には、いわゆるエステティックデンチャー全般ととらえていますが、あまりおすすめ出来るものではありません。

実際に、エステティックデンチャーを専門で研究されている某歯科大学の准教授もほんの一部の適応症には向いているが一般的な症例には金属のバネを組み合わせるなどしないとだめだとおっしゃっていました。


>Bミラクルデンチャーの性能を裏付けする学術的な論文やエビデンスはあるのでしょうか?

詳しくはしらないので推測になりますが、大学などで研究はほとんどされていないのでほとんどないかと思います。


>それはどうしてだと思われますか?

入れ歯の基本を考えるとすぐにおかしいのではないかという事がわかるからです。


自費入れ歯でも同じようことはできますよ」と仰いました。

私も同意見です。


>(c)金属床がない

これがメリットという意味がわかりません。金属は固いので薄くつくる事ができますし、熱を伝えやすいのでレジンなどに比べて食べたときの感覚が伝わりやすいとされています。


>(k)天然歯を削らない

これは、設計によっては可能ですが、入れ歯の沈下のを抑制するために必用なレスト座などを形成するのに多少は削らないと行けない事があります。

ミラクルデンチャーは、歯の根元から歯肉の周囲を覆うような形になります。
1日中付けられるとうたってますが、歯周病の方が付けられた場合に歯の清掃性が悪くなると歯周病が悪化すると考えられます。

入れ歯の大きさが小さくて良いとありますが、小さい=粘膜での咬合力の負担が少ないと考えられるので、残存歯に負担がくるか力が出なくて噛めない可能性があります。

また、入れ歯の沈み込みを防止するレストなどが無い、しかも入れ歯が小さいので沈み込みがあると考えられます。
小さい部分に常に大きな圧が加われば、土手の吸収が早まる可能性も考えられます。

他にも沢山問題はありますが、きりがないので主なものにしました。

最後に、もし、抜けそうな歯が抜けてしまった場合に修理が可能かどうか、また、土手が減った場合ににリベースが可能かどうかも合わせてお聞きになられるのが良いと思います。
出来ない場合、もしかしたらつくり直しになってしまうかもしれません。

わたしは、入れ歯の得意な先生につくっていただくのが一番かと思います。

ご参考になれば

2人の専門家がこの回答を支持しています  
相談者からの返信 相談者からの返信
相談者: 茶虎さん
返信日時:2015-01-20 03:02:27
水川先生、遅くまでお疲れ様です。
ご回答、本当にありがとうございました。

多くの歯医者さんのご意見を伺うため、基本的にニュートラルな姿勢ですので、ご回答一つ一つの所見に対して返信することができません。
それぞれの先生によって考えの違いがあっても、様々なご意見は私にとって有益な情報ですので。

ただ、土手(おそらく粘膜のこと)の吸収に関しては、私も非常に心配なので、実際に扱っている歯医者さんに伺ったことがあります。

私が記憶する限りでは「心配になるような粘膜部分の吸収はないと思う」とのことでした。
記憶ですので曖昧ですけど。

その他の先生も広くご意見いただければありがたいです。

答えられるところだけであとは端折ってもらっても構いませんので、父の助けにご協力いただければ幸いです。

よろしくお願いします。
相談者からの返信 相談者からの返信
相談者: 茶虎さん
返信日時:2015-01-20 03:20:23
すみません。
もう一つ補足させてください。

>最後に、もし、抜けそうな歯が抜けてしまった場合に修理が可能かどうか、また、土手が減った場合ににリベースが可能かどうかも合わせてお聞きになられるのが良いと思います。

付け足しや補正、リベースなどは技術的には(比較的容易に)可能だそうです。
回答 回答2
  • 回答者
回答日時:2015-01-20 14:20:02
入れ歯には大まかにいうと、

・噛むことの回復
・見た目の回復
・他の歯を守る

上記3つの役割があります。

ミラクルデンチャーなどのエステティックデンチャーはその中でも「見た目の回復」に重点を置いた入れ歯です。
その分、「噛むことの回復」「他の歯を守る」ということに関しては通常の入れ歯より劣ります。

特に、「他の歯を守る」という部分が非常に重要なポイントで、元々残っている歯が健康で多少の負担にも耐えられるようであれば、ミラクルデンチャーなどのエステティックデンチャーも有力な選択肢となります。

逆に、残っている歯が弱ってしまっているような場合は、見た目を多少犠牲にしてでも一般的な入れ歯を使ったほうが良いことがあります。

つまり、「どの入れ歯が最適か?」ではなく、「○○さんに最適な入れ歯は何か?」ということになります。

お父様の場合歯周病もおありで、年齢もご高齢だということですので、一般論で考えると通常の入れ歯のほうが向いている可能性が高いのではないかと想像します。

(通常の…といっても、自費の場合は医院によって設計はかなり異なりますので、「義歯の原則に則った」という言い方のほうが良いかもしれません。
この点については水川先生のご回答をご参考にされてください)

あと、ネット上ではもの凄く素晴らしいもののように書かれていることがありますが、もし本当にそのように素晴らしいものであればほとんどの歯科医院が取り扱うようになるはずです。

ですが、実際に取り扱っている医院がそこまで多くないということは、相応の理由があるのだと思います。(個人的には製作が難しいということが理由ではないと思います)


以上、ご参考までに。

4人の専門家がこの回答を支持しています  
相談者からの返信 相談者からの返信
相談者: 茶虎さん
返信日時:2015-01-21 18:26:04
田尾先生、ご回答まことにありがとうございます。
運営者の方からも回答もらえるとは思ってませんでした。

素人向けに入れ歯のわかりやすい理解の仕方を説明していただき、大変に参考になりました。
無意識に自分が知りたいと思っていた情報をいただいた感じがします。

先日、実際にミラクルデンチャーを扱っている歯医者さん自費の入れ歯との比較で質問させてもらったときは、

「制作において非常に勘に頼る部分が大きい。
樹脂のねり方、硬化のタイミング、温度、外すタイミング、外すときに動かす量など、多くの症例を扱うことでやっと理解できる。
テクニックの入れ歯なのでどうしてこれで機能するか経験しないとわかりません。
ですのでなかなか普及していかないと思います(大略)」

というようなことは仰っていました。



タイトル ミラクルデンチャーは従来の自費入れ歯より優れている?(第三者より)
質問者 茶虎さん
地域 非公開
年齢 78歳
性別 男性
職業 非公開
カテゴリ 部分入れ歯 その他
義歯・入れ歯関連
回答者




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  • 歯科医療は日々発展しますので、回答者の考え方が変わることもあります。
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