何度も外れるファィバーコア+セラミック冠の原因と対策

相談者: アルト姫さん (54歳:男性)
投稿日時:2015-12-05 17:43:50
何度もとれた右上1番のファイバーコアセラミッククラウンの土台からのやり直しを再度予定しています。

入れてから数カ月でスポッと抜けました。

入れた時にはEDTAとプライマーは使用したそうですが、治療を受けている側の感触ではほんの数秒でその工程は終わってました。


このWebとともに広くネットで調べたところ、光硬化性レジンを盛る前にEDTAなどの洗浄剤や、エッチング液、プライマーの塗布などの工程があるようですが、セカンドオピニオンを求めた別の歯科医の話では、最近は何も塗らなくてもいいレジンもあるそうでした。

ですが、私の読んだ文献では数十秒の洗浄、処理が必要とあります。

高倍率ルーペ検査では土台の歯にはひび割れはないそうですし土台の歯は薄いものの長さは足りているらしいです。
たぶん15mm位。
担当医は原因を絞ることはできないそうです。



私の考えでは、下記のような原因も想定しています。

A.土台の歯の薄さにより強度不足と相まって、土台の歯の表面処理、脱油が不十分で接着が弱かった。
 
B.コア成形直後の仮歯の脱着時に強い力がかかったのでその際にコアが損傷を受けた。(仮歯がはずれず頭が揺れるほど何度も引っ張られた)

私の見た所、レジンの破断面は破壊なのか剥離なのか判断がつかないレベルです。

C.その他一般的な理由。就寝中の歯ぎしりや、堅いものを噛んだとか、あたりが悪いとか。
自分ではそのような記憶はありませんが。

D.高性能ルーペでも局所レントゲンでも発見できないような微小クラックが存在するのか?



そこで質問させてください。

1.Aが原因の可能性があるならばコア形成前にさらに十分な下地処理をすることで対策として有効か。

2.Bが原因の可能性があるなら、完全硬化を待って翌日にコアの整形と仮歯の装着をすることは有効か?

3.他に有効な対策はないか。


何十年も通って信頼している歯科医ですので、私も頑張って調べて協力しようとしておりますが、コアごと抜た状態ですので残り時間があとわずかです。

同じ歯が複数回抜けると今回ばかりは不信感をぬぐえません。


別の医者や知人には大学病院に行くのも一つの手だよとも言われてますが、踏ん切りがつきません。
ベストなのはこの場でお知恵をお借りして担当医と協力し今後も良好な関係で主治医として一生私の面倒を見てもらえることです。

どうかお助けください。


回答 回答1
  • 回答者
回答日時:2015-12-06 04:17:53
>ベストなのはこの場でお知恵をお借りして担当医と協力し今後も良好な関係で主治医として一生
私の面倒を見てもらえることです。

なるほどそういったご事情なのですね。

通常、ここまでマニアックに患者さんが調べるのはデメリットが多い気がするので個人的にはお勧めしたくないのですが、そういうご事情でしたら自分なりに推察してみます。



実はこのあたりの話を最近国内の全てのメーカー開発者と一緒に勉強会をしたところで、自分がコア担当でしたのでその経験と、エビデンスとは言えなくても「雰囲気」の様なものもありましたので、その辺り踏まえて考えてみますね。

まず、ファイバーコアが外れる要因は通常3パターンぐらいで、
@歯面との接着不良
A着脱時の破断
B咬合力による破損
C歯根破折
だと思います。

見事にアルト姫さんの想像通りで脱帽です。



@については、操作そのものを側で見ていないとコメントのしようがありません。。
一応、マニュアル通りのことを行えば必要十分な接着強さは得られるようになっています。

開発者いわく、「接着の話はもう飽きた」というレベルまで来ていますので、製品そのものの問題はまずありません。
ただしテクニカルなエラーは山程考えられますので、ざっとでも

・接着剤(プライマー・ボンディング剤)の保管状態の不良
・歯面清掃不良
・接着剤操作不良
・光の到達不良
ファイバーポスト側の前処理(清掃やシラン処理)の不良

など



あとたぶん、「光硬化性レジン」と書かれていますが、たぶんデュアルキュアタイプ(光重合+化学重合)ではないかと想像します。
(個人的には光硬化性のものが好きですが、ややマニアックなので)

で、光硬化性レジンであれば光の到達性の話には詳しく触れたいところなのですがデュアルキュアと仮定すればそれほど重要ではなくなるので、あとは際立って可能性の高いのは考えにくいと思います。



前処理でEDTAというのはたぶん必要ないと思います(使い方によっては接着力低下の可能性もありですがたぶん問題にはならない程度)が、プライマーの操作はかなり繊細さが必要です。
が、これもそこまで問題になるかと言うとどうなのか・・微妙なところです。

製品によるので一概には言えませんが、

@清掃(削ったばかりなら念入りな水洗ぐらいで良さそう EDTA使う場合は短時間で使用して念入りに水洗)

Aプライマー処理(おそらくマイルドエッチ+プライマー+ボンディングが一緒になったワンステップの製品だと思います)は、数秒ではなく、マニュアル通り(20秒とか)の時間、アジテーション(こすらない程度の力で塗り足していく・・のが良いのですが、製品によっては塗布後放置を指示するものもありますし、色々)、エアー乾燥(当初は弱い力で、その後強い力)(根管内だとうまく出来ないため、ペーパーポイントを使って余剰を吸うとか、スプレー缶の様なものを使って細い尖端からエアーを吹きかける方法もあります)

B光照射(デュアルキュアならそれほどシビアにならなくて良いかも知れませんが、通常術者が想像している程の光は届いていないため、短距離、長時間を心がける)

・・とここまで書いて致命的なミスが思い浮かびました。
異なるセットのプライマーを使用していると接着力が全然駄目になる場合があります。

例えばA社のデュアルキュアタイプのコア剤なのに、普段むし歯治療で使っているB社の光重合用のプライマーなど、使用される先生がいらっしゃいますが、この場合は接着力が極端に低下する危険がありますね。



ただ書いておいてなんですが、こういうことを患者さんがチェックするというのもどうかと正直思いますし、実際無理だと思いますので、お勧めとしては、今度はファイバーコアなりメタルコアでもいいと思いますが、それを間接法(型採りをして技工所で作って貰う方法)で作ってもらって、スーパーボンド等の化学重合型レジンセメントで装着するのが断然無難だと思いますよ。

それがどうしても無理だったらコア剤ときちんとセットのプライマーを使用されているかそれとなくお聞きしてみる・・ぐらいではないでしょうか。



長くなりそうですが続いてAの可能性についてです。

これは実際多いと思いますが、完全にテクニカルなことですし、経験で上手くなっていくしかありません・・

それとこの場合、数カ月後ではなくその時点で折れる等して分かることだと思いますから、今回は関係なさそうな感じがします。
(ポストが入っているので中途半端な折れ方という可能性は否定出来ませんが・・)



Bはフェルールを確認すると良いと思います。

フェルールは歯肉の外に出てる部分の高さと厚みを見るのですが、高さを確保するためには厚みもそれなりに必要になりますから、例えば「薄いものの長さは足りている」、という状態なら歯肉の中の歯根部分については厚みは十分、ということになります。

歯根が「薄いものの長さは足りている」という状況ならフェルール不足は考えられますが、これもあまり決定的な理由とは考えにくいですね。

少なくとも、ポストごとスポッと抜けてくるというよりは歯頸部で折れる状況が可能性の方が高いと思います。



あとCの歯根破折ですが、これについては100%の否定はどうやっても出来ません。
歯根破折の場合もやはりポストごとスポッと抜けてくる可能性が高いのですが、たぶん・・ないとは思います。



長々考えながら書いて見ましたが、

「入れてから数カ月でスポッと抜けました。」

というヒントから考えると、@の歯面との接着の問題が可能性としては一番高いかなと思います。

だと仮定すればアルト姫さんに取れる対応としては先ほども書いたように、

@ファイバーコアを間接法で作って貰う。
A無理ならコア剤ときちんとセットのプライマーを使用されているかそれとなくお聞きしてみる

あたりではないでしょうか。

見当違いなことを書いていたらすみません。
お大事にどうぞ。

相談者からの返信 相談者からの返信
相談者: アルト姫さん
返信日時:2015-12-06 20:20:08
渡辺先生、
詳細な回答ありがとうございました。

私も間接法でのコア形成が無難だと思いますが、担当の先生は直接法にこだわりがあるようで間接法は提案されませんでした。

あと、昨晩の事ですがあまり眠れずに枕の上で寝がえりを打っては意識が目覚める状態が何度も続き、その際に多少歯ぎしりをしていることに気がつきました。

これも原因なのかもしれないとおもうようになりました。
回答 回答2
  • 回答者
回答日時:2015-12-07 01:18:28
ストレスを抱えていらっしゃいそうですね。

歯ぎしりも要因の一つなのは間違いないと思いますが、単独であればコアは折れるか、歯根が破折するか、クラウンは破折するかではないかなと思いますよ。

何れにせよぐっすり眠れる環境作りも大切そうですね。

相談者からの返信 相談者からの返信
相談者: アルト姫さん
返信日時:2015-12-07 04:27:51
素人なりに考えた結果ですが光硬化性と書いたのは、担当医が

「光は1mmしか届かないよ」

と言っていますし、事実としてコア形成ではレジンを盛る回数が10回を超えていて盛る時間は8分程度です。

私と担当医との会話でも私が光重合といっても否定せずヂュアルキュアと訂正はされませんでした。
回答 回答3
  • 回答者
回答日時:2015-12-07 08:43:39
>担当医が「光は1mmしか届かないよ」と言っていますし、

ということでしたら、担当医の先生は相当お詳しくて、かつ慎重な先生だと思いますよ。
(カタログ上は硬化深度は遥かに大きいですが臨床上は少な目に考えた方がいいため、そういう発言になっているものと思われます)

となると現場を見てもいない私のような第三者や専門外のアルト姫さんが口を挟むよりも、先生にお任せする他ないような感じもしますが・・

相談者からの返信 相談者からの返信
相談者: アルト姫さん
返信日時:2015-12-09 10:19:01
異なるセットのプライマーの話とか、色々な角度から複数の要因を詳細に上げて頂きましたのでこれにて解決とさせていただきます。

渡辺先生、ありがとうございました。



タイトル 何度も外れるファィバーコア+セラミック冠の原因と対策
質問者 アルト姫さん
地域 非公開
年齢 54歳
性別 男性
職業 非公開
カテゴリ ファイバーコア(プラスチックとファイバーの芯の土台)
オールセラミック(陶器の被せ物)
クラウンが取れた・外れた
土台(コア)が取れた・外れた
回答者




  • 上記書き込みの内容は、回答当時のものです。
  • 歯科医療は日々発展しますので、回答者の考え方が変わることもあります。
  • 保険改正により、保険制度や保険点数が変わっていることもありますのでご注意ください。

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