前歯の歯冠破折、空気でしみると告げたら抜髄に。覆髄できたケース?

相談者: はなkoさん (31歳:女性)
投稿日時:2015-12-14 19:03:21
こんにちは。
突然のご質問で申し訳ありません。

1週ほど前に、右前歯歯冠破折し、根元1/2〜1/3を残す形で水平に折れてしまいました。
12時間後くらいに、かかりつけの歯科医院を受診したところ、

「うーん、歯髄がでているかレントゲンでは微妙だなぁ。」

とおっしゃいました。
根は割れていないようでした。


私が、水を飲んでもしみないが、空気でしみることを伝えると、

「しかしそれはもう神経が出ているということだから、抜くしかないよ。」

と言って抜髄になりました。
破片はレジンで裏側から補強して頂きました。


しかし家に帰った際、抜髄に父が疑問を持ち、私も事前に少しは調べて受診したのですが、抜髄した後で歯の外傷治療ガイドラインを見つけ、そこには

------------------------
3)露髄を伴う歯冠破折

定 義:露髄を伴うエナメル質象牙質の実質欠損

診 断:臨床的には形態が変化し、歯冠構造の喪失が認められる。破折面の Endodontic meter 値で32以上を示す。多くの場合、破折面にピンク色の歯髄の一部が確認できる 治療目的:歯髄の生活力を維持し、正常な外観と機能を回復する

治 療:
 (1) 根未完成歯の場合
  ・局所麻酔下に、露髄の程度と露出した歯髄の状況に応じて直接覆髄法か部分生活断髄法、 あるいは生活断髄法を行う。そして、覆髄部を含めた破折面を封鎖性が確実なセメントか 接着性レジンで仮封する。破折歯冠片は水に浸漬し、冷蔵庫保管する
  ・1〜2か月後、仮封材を除去し、歯冠形態を回復する。歯冠形態の回復は2)と同じ方法 で行う

(2) 根完成歯の場合
 イ)露髄面が新鮮な場合(受傷後、概ね 24 時間以内のもの)
  ・(1) と同じ方法で治療する ロ)露髄面が陳旧性である場合
  ・抜髄または根管治療を実施する

経過観察:1および3か月後に予後を確認する。その後少なくとも3年間は経過を観察する
予 後:受傷後の迅速な診察と処置が良好な治療結果をもたらす
------------------------

と記載されていました。
根完成歯とは成人のことだと思うのですが、私のケースは受傷後24時間以内、であれば、まずは覆髄するべきだったのでは?!
と大変ショックを受けています。

後から、抜髄した歯は取り返しがつかない、と記載された歯科医院のHPが多く出てきて、大変つらいです。

大学病院や大きな病院の歯科口腔外科を受診すれば、このようなことにならなかったのでは…と思い始めると、ここ1週間ろくに眠れません。
食欲もなく、つらいです。

30歳そこそこで抜髄、そのうち歯が変色して、差し歯になるのが35〜40歳、神経のない歯の寿命が10〜20年とすると、以降根が割れたとすると、50歳でインプラントを入れるようなことになるのでしょうか。

割と歯並びもよく、きれいな前歯であったのに・・・
写真をとるたびに、黄色い歯が写ってしまうのか。
審美性ももちろんですが、抜髄により虫歯になりやすくなるのでは。

もちろん、歯冠破折を受傷したということ自体の予後があまり良くないのかも、とも思いますが、抜髄しなくてもよかったのでは…

あまりに悩みすぎて、仕事が手につきません。

毎日辛く、これ以上耐えられないので、主治医に連絡して、再度説明を求めようと思いますが、
このケースの抜髄は妥当だと思われますか?

先生方のご意見をお伺いしたく思います。


回答 回答1
  • 回答者
藤森歯科クリニック(兵庫県西宮市)の藤森です。
回答日時:2015-12-14 19:33:57
実際に診られた先生が、そう判断されたものだと思います。
それ以上の事は分かりません。

回答 回答2
  • 回答者
回答日時:2015-12-15 11:07:53
んんん…

何とも言えませんね…。
確かに、治療としての判断は藤森先生の書かれているように「担当医の判断以上の事はわからない」のですが、個人的には

健康保険のルールの中で歯髄覆罩を行うのは無理がある」

とは思います。


そもそも、医療における医師(歯科医師)と患者との契約は「準委任契約」になります。

準委任契約とは「行った行為に対して費用が発生する」「完成責任を負わない」というのが原則です。

しかし、歯髄覆罩においてはなぜか

直接歯髄覆罩算定後、1か月以内の抜髄については所定の点数から減算した点数を算定する」

という「請負契約的なルール」となっております。

直接覆罩はガイドラインにもあるように「少なくとも3年間は経過を観察する」という、ある意味「予後が判定しにくい処置」でもあります。

そう言ったリスクのある処置に対して「うまくいかなかったら次回の処置料は減額する」という保険のルールから考えれば「危なそうなら危険を冒さず抜髄する」と考える歯科医は少なくないと思います。
(実際問題として、全国的に直接覆罩を行う歯科医は少ないです)

 歯髄を残そうと最善の努力はした
      ↓
 結果、残念ながらうまくいかなかった(医療に100%はありません)
      ↓
 自分の給料が減額される

だったら「給料を減額されない方法を取る(=抜髄)」と考える人間は(歯科医師でなくとも)少なくないでしょう。


現在の患者のニーズを満たす医療を提供するには健康保険のルールでは限界があります。
40年以上前に作られたシステムが現時点で正常に機能するはずがありませんからね…。
(だからと言って健康保険そのものを否定するわけではありません)

回答 回答3
  • 回答者
回答日時:2015-12-15 11:25:36
心配だとは思いますが、あまり気にされない方がいいと思いますよ。


>歯の外傷治療ガイドラインを見つけ

私も過去一度外傷歯学会に参加したことありますが、このようなガイドラインがあること自体知りませんでした。


我々開業医は多岐にわたる治療範囲の為全てのガイドラインに目を通せる訳ではありません。

また
「外傷歯学会」は比較的マイナーな学術団体だと思います。

むしろある一部の得意分野の治療を希望されるのであれば、その分野の先生に最初からかかって頂く必要がありますが、その見つけ方は国の方針でネット以外では分からないようになっています。
(またネットは広告に近い部分もあり正しい情報ではないことも多々ありますので、全ては信用しない方がいい部分もあります)


難しい問題なのですが、

>空気でしみることを伝えると

という部分から先生は症状を抑える為に抜髄を選択されたのではないでしょうか。

治療はお願いされた先生が今最善だと思う治療を行います。


もしこの世の中で最も最善の方法をと希望するのであれば、今後生活の中で起こりるあらゆる病気・事故に関して専門医レベルで患者さんが知識として知っており、それができる先生をあらかじめ探しておく必要がありますが、こんなことは不可能です。


正直言えば、緊急処置内容の最善であったかの妥当性を問われるとすればまず治療はお断りせざるを得ません。

我々の仕事はまず患者さんの苦痛を取る所をメインにしていますからその点から言えば抜髄という選択肢も1つではあります。


>根完成歯とは成人のことだと思うのですが

いえいえ違いますよ。

歯が生えてからおおよそ3年ぐらいで根の先は完成されてきます。
ただし根尖孔はまだ比較的大きく開いています。


>このケースの抜髄は妥当だと思われますか?

お気持ちは分かりますが、既に抜髄したのであれば今後どのようなことに注意すれば歯が長持ちするかを話された方がいいと思います。

たぶん私のイメージでは外傷の歯の場合多くの場合で抜髄することが一般的だと思います。

今回のケースが特殊だとは思いません。

外傷を受けた歯はホント取り扱いに悩むことがあります、もし次に同じようなことになってしまったら専門の先生の歯科医院で相談してみてください。


http://www.ja-dt.org/file/20150817日外歯学会認定医訂正.pdf
*リストはありますが住所がないので探しにくいですね^^;


櫻井先生がおっしゃるように、
はっきり言えばガイドライン通りに治療を行うのは保険治療ではまず赤字でボランティアになりますね。。。


おだいじに

回答 回答4
  • 回答者
回答日時:2015-12-15 13:54:53
抜髄した歯は取り返しがつかない、と記載された歯科医院のHPが多く出てきて、大変つらいです。

当然抜髄自体取り返しがつかない処置ではありますが、抜髄した歯のすべてが10年ほどで取り返しのつかないこと=抜歯になるわけではありません。


>そのうち歯が変色して差し歯になるのが35〜40歳

歯牙の漂白をすれば差し歯を回避できると思います。
またラミネートベニアという方法ですとかなり削除量が減らせると思います。


>大きな病院の歯科口腔外科を受診すれば、このようなことにならなかったのでは…と思い始めると、ここ1週間ろくに眠れません。
 
口腔外科での歯科医根管治療CR充填やフクズイなどを日常的にしている開業医よりは経験値が小さいと思います。
やはり開業医のほうがよいように思います。


>このケースの抜髄は妥当だと思われますか?

大学病院の外科医でも腕の差はあります。当然できる手術できない手術があります。
できない手術をして失敗することは許されないと思います。

歯科医も同様に歯髄を温存するテクニックを持っているかどうかは大いに違いがあると思います。
また抜髄の適応かどうかの判断は主治医にしかできないことだと思います。

相談者からの返信 相談者からの返信
相談者: はなkoさん
返信日時:2015-12-18 20:19:08
藤森先生
櫻井先生
井野先生
柴田先生

業務でお忙しい中で、ご意見を頂き大変感謝いたします。
お返事が遅れまして申し訳ございませんでした。

神経を残す、という治療がどこでも一般的に行うわけではないことが分かりました。
待機手術でしたら、自分で時間に余裕を持って、事前に情報を得た上で、主治医の先生としっかり相談して治療にあたる、ということができますが外傷ではそうもいかず…

どうしてこんなことで怪我をしてしまったんだろう、とか、受傷後の自分の対応が悪かったのではないか、と思ったりしていましたが、起こってしまったことで自分を責めるのはやめにします。

定期的に歯科医院に通院して、今後感染がおこらないかチェックすること、歯磨きをしっかり行うこと、など感染予防に気をつけたいと思います。
30も超えておりますが女ですので変色は心配です。
が、その際はホワイトニングなども検討してみます。

ご意見を頂き誠にありがとうございました。
先生方のますますのご活躍をお祈りしております。



タイトル 前歯の歯冠破折、空気でしみると告げたら抜髄に。覆髄できたケース?
質問者 はなkoさん
地域 非公開
年齢 31歳
性別 女性
職業 非公開
カテゴリ 歯が割れた・折れた・欠けた
根管治療その他
覆髄・覆罩(覆ずい・覆とう)
回答者




  • 上記書き込みの内容は、回答当時のものです。
  • 歯科医療は日々発展しますので、回答者の考え方が変わることもあります。
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