有名な歯科技工士によるクラウンを強く勧められ決めかねている

相談者: るろうに犬歯さん (49歳:女性)
投稿日時:2017-03-22 00:34:07
こんにちは。いつも拝見しております。50歳目前女性のるろうに犬歯です。
クラウン歯茎の間の隙間の大きさと細菌感染歯根の寿命についての質問です。

治療して頂いている先生に,Oral design OSAKAの久保哲郎氏作成のオールセラミックジルコニア(18万円+消費税)×4本を勧められています。

先生は久保氏のクラウンのメリットを4点ほど挙げています。

1)世界的な歯科技工師のウィリーゲラーが認める人物
2)久保氏が作ったクラウンの審美性が高い
3)歯着がよいので歯周病菌の繁殖を防げる可能性(エビデンス無し)
4)医院では久保氏のクラウンを+3万円で提供できる

わたしは審美性は全く重視しません。
何とかクラウンをなるべく長く持たせたいという希望のみです。
そのため3)が気になります。

3)の根拠として,通常のクラウンは歯茎との隙間が約100μだが
久保氏のクラウンは歯茎との隙間が20μ
歯周病菌は0.2μだが,プラークで繁殖するため,
20μの方が100μよりも歯周病菌の繁殖は少なくなる

というご説明でした。

この説明は信頼がおけるでしょうか。


もしそれが信頼できるとして,隙間が20μのクラウンと100μのクラウンで,寿命がたとえば5年以上違ってくるものでしょうか。


それほど変わりないなら,通常オーダーのジルコニアクラウン(15万円+消費税)x4本にしたいと思っているのですが…
先生に非常に強く久保氏のクラウンを勧められるので迷っています。

その医院の料金表には久保氏のクラウンとその価格について説明はなく,唐突にお話があり2日後までに決めるよう告げられて困っています。


久保氏のポーレセンは,そんなにも素晴らしく歯の健康を保つのでしょうか??20μの価値とは??

情報を頂ける方,どうかよろしく願いいたします。




私の歯の状態ですが
上下左右1番の4本のクラウンは,最近まで20年以上メタルセラミッククラウンでした。最近イリジウムのアレルギーがポジティブとわかりオールセラミックに新調します。4本のうち,2本の感染が見つかりラバーダム使用で根管治療を終えてもらったところです。

今の先生には,他院で抜歯しかないと言われた歯根にMTAセメントで補修して頂き,ファイバーコアを入れて頂きました。1本は歯根に穴があり,別の1本は歯茎よりも下だったため,クラウンが合うように歯根を一部削って頂きました。先生の技術は信頼しています。

他に上左右6,左下7右下6がクラウンでセラミックに替えました。治療していない歯はありません。
…でもなるべく長くインプラントにならないようしたいです(涙)     

クラウンの選定にアドバイス頂ければ幸いです。


回答 回答1
  • 回答者
回答日時:2017-03-22 09:22:43
ご相談ありがとうございます。

>この説明は信頼がおけるでしょうか。

お話を読むと、患者さん向けに優しい言葉を使いながら説明していただいたようであり、あるいは聞き間違いもありえます。
厳密には専門性自体にも色々な立場や考えがあり、実は言葉の定義も厳格です。
したがってこの内容では科学的な的確性がなくて、専門的な評価をすることは少々困難です。

    >3)歯着がよいので歯周病菌の繁殖を防げる可能性

この意味が専門的にはよくわかりません。
もし実際に菌の繁殖を防げる可能性があれば、それはとても良いことだと思います。

    >通常のクラウン歯茎との隙間が約100μだが

比較する基準をどこに置くかは結果の判断を左右するため、科学的な評価には重要なことです。
それはある意味で少々ルーズな「通常」の話であり、もう少し精密を目指す方針の基準も別にあります。

    >久保氏のクラウンは歯茎との隙間が20μ

それは多分模型上の隙間のことと思われますが、もしそうであっても非常に精密であり好ましいクラウンです。
しかし、口腔内でそれだけの精度で作業はできません。

実際にはお口の中に精密にセットできるかどうかの方が重要であり、非常に精密に作業したとしても、30μくらいの誤差はあっという間に起きてしまいます。
削る時から初めて、型取り、摸型作製等々あらゆるステップで気をつけないと、セット時点でその一桁上までのオーダーでずれてしまうことも簡単に起こりえますから、模型上の精度以上に、歯科医師の作業精度の方が大きいと言えます。

    >歯周病菌は0.2μだが,プラークで繁殖するため,
     20μの方が100μよりも歯周病菌の繁殖は少なくなる

この説明もよく分かりません。
たしかに、適合性が優れていることは歯周病予防にはとても重要であることは間違いありません。


>久保氏のポーレセンは,そんなにも素晴らしく歯の健康を保つのでしょうか??

日本で活躍されている、世界的にみても優れた技工士さんは他にも少なくありません。
そのかたを私は直接存じ上げませんが、信頼できるお仕事をされているのであればとても良いと思います。

しかし、技工士さんは物作りが仕事です。
健康を保つのは歯科医院の仕事です。
中身が違います。


>20μの価値とは??

模型上と口腔内とで分けて考えたいと思います。 
患者さんにとって、模型上の成果より、お口の中でセット後の生活上の成果の方が大きいと思います。

>先生の技術は信頼しています。

それが一番大事です。
それによってのみ技工士さんの優れた仕事が生かされるからです。


>でもなるべく長くインプラントにならないようしたいです(涙)     

であれば、はっきりご希望をお話になり、将来の見通しをお尋ねになることの方が重要です。
まずは、その原因を突き止め、効果的な対策を立てていただき、その結果の検証を継続するしかありません。
そういうご希望があるならば、そのステップが済んでいることが前提です。
もしないのであれば、いきなりクラウンの物質の話になるのは飛躍があるとも言えます。

クラウンはその中のたしかにとても重要ですが、たった一つにしか過ぎない項目が技工士さんのお仕事です。
納得できるように相談しましょう。

3人の専門家がこの回答を支持しています  
回答 回答2
  • 回答者
回答日時:2017-03-22 12:22:34
>3)の根拠として,通常のクラウン歯茎との隙間が約100μだが
久保氏のクラウンは歯茎との隙間が20μ

多少説明が不十分な気がします。
石膏模型上でゴールドのクラウンの模型との隙間を20μにすることはできると思いますし、実際にそういうゴールドのクラウンを作る技工士はいると思います。

しかしながらあくまでこれは金属の世界でありオールセラミックの世界でそこまでの精度が出せるかどうかは自分にはわかりません。

また必ずセメントで接着しなければならないという宿命上ゴールドのクラウンにしろオールセラミックにしろ口腔内で接着すると浮き上がりは起こります。

私は誤差20μのクラウンを接着するとおおよそ100μになると教えられました。

1人の専門家がこの回答を支持しています  
相談者からの返信 相談者からの返信
相談者: るろうに犬歯さん
返信日時:2017-03-22 14:21:50
さがら先生

早速のご回答を有難うございます。

さがら先生がおっしゃる通りですね。
技工士の要因は,補綴物の寿命や歯周病に影響する多くの要因の中の一つにすぎないのだと承知しております。

それだからこそ,二つのクラウンの選択肢のうちどれにするかの意思決定が難しいと感じます。

お察しの通り,治療して頂いている先生に将来の希望や見通しについて相談した上でオールセラミックを入れて頂くところまでは決まっています。

わたしは別の分野の実験研究者ですので口腔内の現象を見極めて判断するのは難しいですので…。
かかりつけの先生と相談を重ねて頑張って決めたいと思います。

貴重なアドバイスを有難うございました。
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相談者: るろうに犬歯さん
返信日時:2017-03-22 14:35:01
柴田先生

ご回答を有難うございます。
冗長な質問に的確なポイントでのご回答を頂き恐れ入ります。

加療中の先生から頂いた隙間の情報は,模型上か口腔内かはっきり伺っておりません。

口腔内での浮き上がりの具体例をお示しいただき有難うございます。


金属アレルギーがあるため(今の医院では)セラミックのクラウンになりますが,頂戴したご意見を参考にしていずれのクラウンをお願いするか考えてみます。

貴重な情報を有難うございました。
回答 回答3
  • 回答者
回答日時:2017-03-22 16:53:59
るろうに犬歯 さん、こんにちは

>わたしは審美性は全く重視しません。
>何とかクラウンをなるべく長く持たせたいという希望のみです。


見た目が気にならないなら、一般的に、適合の上手な技工士さんなら、ジルコニアよりも、金や、メタルボンドの方がより適合よく作ってくれると思います。

金合金の被せ物やメタルボンドは選択肢にないのでしょうか。

1人の専門家がこの回答を支持しています  
相談者からの返信 相談者からの返信
相談者: るろうに犬歯さん
返信日時:2017-03-22 17:18:09
小牧先生

ご回答を有難うございます。


私の場合,審美性を重視しないので以前,金合金も他の金属クラウンインレーアンレー多数入れておりました。

しかし最近になってメタルタトゥー金属アレルギーが出ました。

イリジウムだけでなく金もポジティブです。イリジウム,白金,ニッケル,コバルト,鉄は皮膚科で++の診断でした。

そのため現在は先生がご提案下さった選択肢は今の歯科医師と相談して排除しております。


貴重なご意見を有難うございました。
相談者からの返信 相談者からの返信
相談者: るろうに犬歯さん
返信日時:2017-03-25 21:48:47
先生方,

多数ご意見を有難うございました。

ポーセレンのクラウンのfitは,歯科技工士の技術だけでなく,歯科医の技術の要因の影響も大きそうですね。


その後,私の方でWill Gellerについての文献をWeb of Scienceで探し当てたのだけれど,審美性の論文しか見当たらずfitのevidenceが得られませんでした。

クラウンの種類を決めるまでの時間が短く,他の先生にセカンド・オピニオンを受けに行く暇はありませんでした。

最終的に,fitの面で,oral designのクラウンを選ぶ積極的理由がみつからなかったため,主治医の歯科医院のスタンダードのクラウンをお願いしました。

主治医の先生に
「先生が高い技術をお持ちなので,HPに記載されている方で」とお願いし,先生もにっこり了承されました。


種々ご意見いただき誠に有難うございました。


るろうに犬歯



タイトル 有名な歯科技工士によるクラウンを強く勧められ決めかねている
質問者 るろうに犬歯さん
地域 東京23区
年齢 49歳
性別 女性
職業 専門職(医師・弁護士・会計士)
カテゴリ 補綴関連
技工士関連
ジルコニアクラウン
回答者




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