抜歯矯正における歯体移動について
相談者:
あゆ121さん (30歳:女性)
投稿日時:2018-02-02 12:50:04
はじめまして。
先生方のご意見を頂戴したく、相談させていただきます。
横顔の口元突出感を改善したく、上下計4本を抜歯し(親不知は4本抜歯済み)、ハーフリンガル矯正をしているものです。
下の歯は、早い段階で抜歯跡がなくなり、自身でも引っ込んだと思います。
上の歯は、前歯4本を後ろに下げる工程に入り、半年ほど経過したところです。
笑った時に抜歯跡が見えることを私が気にしているので、まずは抜歯跡を埋める様傾斜移動をし、ある程度抜歯跡がなくなった所で歯体移動(トルクコントロール)を始めると担当の先生はおっしゃっていますが、そもそも抜歯跡1、2ミリ程度の隙間で歯体移動は可能なのでしょうか。
口元の突出感については、歯茎が移動しないことには改善されないと素人ながら思うので、これから十分に歯体移動がされていくのか心配です。。
ご回答いただきたいことをまとめると以下の通りです。
@抜歯跡のサイズにかかわらず歯体移動の成果は同じか?
もしくは抜歯跡のサイズに比例し、歯体移動の成果が変わるのか?
A通常は前歯を下げる過程であわせてトルクコントロールを行うものか?
また、トルクコントロールを後から行った場合、成果が変わってくるのか?
私がすきっぱを気にするがあまり、治療を急いで本来得られる効果が減ってしまったのではないかと毎日後悔しています。。
ご回答の程、よろしくお願い致します。
先生方のご意見を頂戴したく、相談させていただきます。
横顔の口元突出感を改善したく、上下計4本を抜歯し(親不知は4本抜歯済み)、ハーフリンガル矯正をしているものです。
下の歯は、早い段階で抜歯跡がなくなり、自身でも引っ込んだと思います。
上の歯は、前歯4本を後ろに下げる工程に入り、半年ほど経過したところです。
笑った時に抜歯跡が見えることを私が気にしているので、まずは抜歯跡を埋める様傾斜移動をし、ある程度抜歯跡がなくなった所で歯体移動(トルクコントロール)を始めると担当の先生はおっしゃっていますが、そもそも抜歯跡1、2ミリ程度の隙間で歯体移動は可能なのでしょうか。
口元の突出感については、歯茎が移動しないことには改善されないと素人ながら思うので、これから十分に歯体移動がされていくのか心配です。。
ご回答いただきたいことをまとめると以下の通りです。
@抜歯跡のサイズにかかわらず歯体移動の成果は同じか?
もしくは抜歯跡のサイズに比例し、歯体移動の成果が変わるのか?
A通常は前歯を下げる過程であわせてトルクコントロールを行うものか?
また、トルクコントロールを後から行った場合、成果が変わってくるのか?
私がすきっぱを気にするがあまり、治療を急いで本来得られる効果が減ってしまったのではないかと毎日後悔しています。。
ご回答の程、よろしくお願い致します。
回答1
月島矯正歯科(中央区月島)の今村です。
回答日時:2018-02-02 15:36:02
歯の移動は、まず傾斜移動がおこり、そののち歯軸がアップライトされてくるという連続で、教科書的な平行移動のような動きはしないのだろうと考えております。
その意味で、現在まず傾斜移動を行いそのあとから歯軸をアップライトしようということになっているのだろうと考えます。
歯軸のアップライトは、角ワイヤーにねじれを入れることによるもので実際にはすでにブラケットのスロットに角度が付いている為、ワイヤー自体をねじるものではないのですが、わずか1ミリ幅程度のもので改善しようとするものです。
わずか1ミリ程度のものですので、なかなか思ったように行かないというのが実際のところでもあります。
そういうことで、大きく傾斜させた歯をアップライトするためには時間もかかります。
後方に移動する量が大きければ大きいほど、成果を出す為には時間がかかるということになります。
もちろん、それで成果が変わるようでは困るわけです。
単純にラウンドワイヤーで歯を後方に移動するのであれば、傾斜しか起こりません。
しかし、角ワイヤーを用いるのであれば、一定のトルクがかかった状態で後方に動かすことになります。
「まずは抜歯跡を埋める様傾斜移動をし」ということからしますと、この際にラウンドワイヤーを用いたということかもしれません。
ラウンドワイヤーで傾斜を行い、しかる後に角ワイヤーでアップライトのみを行う場合何が違うのかといえば、おそらく移動の速度が異なってくるのだろうと思います。
ラウウンドワイヤーで傾斜を行う方が後方に傾斜するスピードは速いでしょう。
もちろん、そのあとに角ワイヤーでアップライトすることで、結果としてはそれほど違いは出ないと思います。
>口元の突出感については、歯茎が移動しないことには改善されないと素人ながら思うので、これから十分に歯体移動がされていくのか心配です
もともとの上顎骨と下顎骨の前後的な位置が大きくずれていたとすれば、歯の傾斜を行ったとしても、上顎骨自体の位置は変わりませんので、上顎の前突感は残るでしょう。
歯を動かし終わったときにそういう状態になっていたとすれば、もともとの上下の顎の関係がそうだったということになるのではないかと思います。
その意味で、現在まず傾斜移動を行いそのあとから歯軸をアップライトしようということになっているのだろうと考えます。
歯軸のアップライトは、角ワイヤーにねじれを入れることによるもので実際にはすでにブラケットのスロットに角度が付いている為、ワイヤー自体をねじるものではないのですが、わずか1ミリ幅程度のもので改善しようとするものです。
わずか1ミリ程度のものですので、なかなか思ったように行かないというのが実際のところでもあります。
そういうことで、大きく傾斜させた歯をアップライトするためには時間もかかります。
後方に移動する量が大きければ大きいほど、成果を出す為には時間がかかるということになります。
もちろん、それで成果が変わるようでは困るわけです。
単純にラウンドワイヤーで歯を後方に移動するのであれば、傾斜しか起こりません。
しかし、角ワイヤーを用いるのであれば、一定のトルクがかかった状態で後方に動かすことになります。
「まずは抜歯跡を埋める様傾斜移動をし」ということからしますと、この際にラウンドワイヤーを用いたということかもしれません。
ラウンドワイヤーで傾斜を行い、しかる後に角ワイヤーでアップライトのみを行う場合何が違うのかといえば、おそらく移動の速度が異なってくるのだろうと思います。
ラウウンドワイヤーで傾斜を行う方が後方に傾斜するスピードは速いでしょう。
もちろん、そのあとに角ワイヤーでアップライトすることで、結果としてはそれほど違いは出ないと思います。
>口元の突出感については、歯茎が移動しないことには改善されないと素人ながら思うので、これから十分に歯体移動がされていくのか心配です
もともとの上顎骨と下顎骨の前後的な位置が大きくずれていたとすれば、歯の傾斜を行ったとしても、上顎骨自体の位置は変わりませんので、上顎の前突感は残るでしょう。
歯を動かし終わったときにそういう状態になっていたとすれば、もともとの上下の顎の関係がそうだったということになるのではないかと思います。
相談者からの返信
相談者:
あゆ121さん
返信日時:2018-02-06 12:44:10
今村先生
ご丁寧にご回答頂きありがとうございました。
結果的にどちらでも同じ成果を得られそうでひとまず安心しました。
>まず傾斜移動がおこり、そののち歯軸がアップライトされてくるという連続で、教科書的な平行移動のような動きはしないのだろうと考えております。
>その意味で、現在まず傾斜移動を行いそのあとから歯軸をアップライトしようということになっているのだろうと考えます。
→平行移動をしないとなると、そもそも突出感は少しも減らないこととなるのでしょうか。(顔貌的に)。
歯自体は傾斜移動をしたためか凹んできましたが、肝心の鼻の下が凹みません。
歯を動かし終わった後に凹んでいなかった場合、外科手術しか方法はないのでしょうか。
現在若干ガミー気味なので、可能な限りの圧下をお願いしているところですが、歯軸がアップライトすることで多少の変化は起こるものでしょうか。
お忙しいところ恐れ入りますが、お時間あるときにご回答いただければ幸いです。
よろしくお願いします。
ご丁寧にご回答頂きありがとうございました。
結果的にどちらでも同じ成果を得られそうでひとまず安心しました。
>まず傾斜移動がおこり、そののち歯軸がアップライトされてくるという連続で、教科書的な平行移動のような動きはしないのだろうと考えております。
>その意味で、現在まず傾斜移動を行いそのあとから歯軸をアップライトしようということになっているのだろうと考えます。
→平行移動をしないとなると、そもそも突出感は少しも減らないこととなるのでしょうか。(顔貌的に)。
歯自体は傾斜移動をしたためか凹んできましたが、肝心の鼻の下が凹みません。
歯を動かし終わった後に凹んでいなかった場合、外科手術しか方法はないのでしょうか。
現在若干ガミー気味なので、可能な限りの圧下をお願いしているところですが、歯軸がアップライトすることで多少の変化は起こるものでしょうか。
お忙しいところ恐れ入りますが、お時間あるときにご回答いただければ幸いです。
よろしくお願いします。
回答2
船橋歯科医院(岡山市北区)の船橋です。
回答日時:2018-02-06 13:32:10
こんにちは。
抜歯しても奥歯の固定をしっかりしておかなければ奥歯が近心移動しますし近心傾斜もしますから、抜歯跡を出来るだけロスしないように前歯を後方へ引く際は、パラタルアーチで臼歯の近心移動を防止したりアンカースクリューで固定を行っておくほうが確実に引っ込めることが出来るとされていると思います。
固定源の加強は上手く出来ているのでしょうか?
奥歯が十分に固定されていることを前提に前歯を傾斜させて後ろに引っ込めているとして、矯正治療で出来ることは歯の根の先から頭までの移動になるでしょう。
通常、前歯の歯槽骨は薄く(特に唇側)根や根尖を歯槽骨から飛び出さす訳にいきませんから、外科を伴わずに出来る移動の距離には限界があるでしょう。
鼻の下の骨に根の先があっても移動は限られるので、薄い骨を改造させながら歯を傾斜させたり移動させることが出来る範囲は歯槽骨の範囲内が通常でしょう。
一塊で後方に傾斜させても移動量に限界があるので顔形変化に満足できないケースもあるでしょうから、その場合は骨の位置を外科的に移動させるほうがよい場合もあります。
矯正治療の途中でセファロを撮影したりCTを撮影して歯根と骨の関係を再評価する場合があるのはそのためです。
ご心配であれば再検査再評価をしてもらうとよいかもしれませんね。
抜歯しても奥歯の固定をしっかりしておかなければ奥歯が近心移動しますし近心傾斜もしますから、抜歯跡を出来るだけロスしないように前歯を後方へ引く際は、パラタルアーチで臼歯の近心移動を防止したりアンカースクリューで固定を行っておくほうが確実に引っ込めることが出来るとされていると思います。
固定源の加強は上手く出来ているのでしょうか?
奥歯が十分に固定されていることを前提に前歯を傾斜させて後ろに引っ込めているとして、矯正治療で出来ることは歯の根の先から頭までの移動になるでしょう。
通常、前歯の歯槽骨は薄く(特に唇側)根や根尖を歯槽骨から飛び出さす訳にいきませんから、外科を伴わずに出来る移動の距離には限界があるでしょう。
鼻の下の骨に根の先があっても移動は限られるので、薄い骨を改造させながら歯を傾斜させたり移動させることが出来る範囲は歯槽骨の範囲内が通常でしょう。
一塊で後方に傾斜させても移動量に限界があるので顔形変化に満足できないケースもあるでしょうから、その場合は骨の位置を外科的に移動させるほうがよい場合もあります。
矯正治療の途中でセファロを撮影したりCTを撮影して歯根と骨の関係を再評価する場合があるのはそのためです。
ご心配であれば再検査再評価をしてもらうとよいかもしれませんね。
回答3
月島矯正歯科(中央区月島)の今村です。
回答日時:2018-02-06 16:34:09
>平行移動をしないとなると、そもそも突出感は少しも減らないこととなるのでしょうか
もともとの歯が唇側に傾斜していたのであれば、舌側に傾斜することで口元の突出感は改善されます。
逆に、もともと舌側に傾斜していたのだとすれば、歯を舌側に傾斜させても前突感は残るということになります。
それが「もともとの上顎骨と下顎骨の前後的な位置が大きくずれていたとすれば」ということになるわけです。
改善されているのかいないのかということについては、治療前との比較をしなければはっきりとは判断もできないでしょう。
治療前のセファロや顔貌写真などを現在のものと比較して、はじめて治療の効果があったかなかったかが判断できます。
ご自身ではまったく変化がないと思われている場合でも、比べてみるとずいぶんと違うということはあるでしょう。
その上で、改善はされていてもまったく満足できないということであれば、それは初診の状態がかなりずれていたと考えるべきで、移動の仕方によってそうなったということではないのだろうと思います。
もともとの歯が唇側に傾斜していたのであれば、舌側に傾斜することで口元の突出感は改善されます。
逆に、もともと舌側に傾斜していたのだとすれば、歯を舌側に傾斜させても前突感は残るということになります。
それが「もともとの上顎骨と下顎骨の前後的な位置が大きくずれていたとすれば」ということになるわけです。
改善されているのかいないのかということについては、治療前との比較をしなければはっきりとは判断もできないでしょう。
治療前のセファロや顔貌写真などを現在のものと比較して、はじめて治療の効果があったかなかったかが判断できます。
ご自身ではまったく変化がないと思われている場合でも、比べてみるとずいぶんと違うということはあるでしょう。
その上で、改善はされていてもまったく満足できないということであれば、それは初診の状態がかなりずれていたと考えるべきで、移動の仕方によってそうなったということではないのだろうと思います。
相談者からの返信
相談者:
あゆ121さん
返信日時:2018-02-08 12:20:13
Dr.ふなちゃん様
ご回答いただき有難うございます。
パラタルアーチで臼歯の近心移動を防止してはいますが、固定源の加強は上手く出来ているかは不明です。
歯槽骨の範囲内であれば移動は可能との事、少なからず引っ込む可能性はあるということですね。
満足いくかいかないかは別としてまずは矯正治療内でできるだけのことをやってもらいたいと思います。
今村先生様
ご回答いただき有難うございます。
もともと舌側に傾斜していました。。この場合は突出感は残るのですね。
上下顎前突だったため、下唇の突出感については概ね満足しているところです。
確かにおっしゃる通り、治療前との比較において随分と変わっている可能性もあります。
外科手術は考えていないので、ある程度のところであきらめるほかないですね。
最後にもう一点だけご回答いただけないでしょうか。
前歯4本を圧下をする場合、ワイヤーループによる圧下とインプラントスクリュー?での圧下とでは効果は一緒でしょうか。
よろしくお願いします。
ご回答いただき有難うございます。
パラタルアーチで臼歯の近心移動を防止してはいますが、固定源の加強は上手く出来ているかは不明です。
歯槽骨の範囲内であれば移動は可能との事、少なからず引っ込む可能性はあるということですね。
満足いくかいかないかは別としてまずは矯正治療内でできるだけのことをやってもらいたいと思います。
今村先生様
ご回答いただき有難うございます。
もともと舌側に傾斜していました。。この場合は突出感は残るのですね。
上下顎前突だったため、下唇の突出感については概ね満足しているところです。
確かにおっしゃる通り、治療前との比較において随分と変わっている可能性もあります。
外科手術は考えていないので、ある程度のところであきらめるほかないですね。
最後にもう一点だけご回答いただけないでしょうか。
前歯4本を圧下をする場合、ワイヤーループによる圧下とインプラントスクリュー?での圧下とでは効果は一緒でしょうか。
よろしくお願いします。
回答4
月島矯正歯科(中央区月島)の今村です。
回答日時:2018-02-08 15:23:35
>ワイヤーループによる圧下とインプラントスクリュー?での圧下とでは効果は一緒でしょうか
ワイヤーで圧下するときには、他の歯が支えとなって歯を動かします。
一方、スクリューを用いると、直接歯を動かすことになり他の歯に影響を与えません。
どちらが効果的かといえば、アンカースクリューを用いたほうでしょう。
直接引っ張る分、より大きく移動することができるといわれております。
そのため、圧下を行う場合のスクリューの使用は増えているように思います。
ワイヤーで圧下するときには、他の歯が支えとなって歯を動かします。
一方、スクリューを用いると、直接歯を動かすことになり他の歯に影響を与えません。
どちらが効果的かといえば、アンカースクリューを用いたほうでしょう。
直接引っ張る分、より大きく移動することができるといわれております。
そのため、圧下を行う場合のスクリューの使用は増えているように思います。
相談者からの返信
タイトル | 抜歯矯正における歯体移動について |
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質問者 | あゆ121さん |
地域 | 非公開 |
年齢 | 30歳 |
性別 | 女性 |
職業 | 非公開 |
カテゴリ |
歯列矯正の治療法 上顎前突(出っ歯) 下顎前突(受け口) インプラント矯正 |
回答者 |
- 上記書き込みの内容は、回答当時のものです。
- 歯科医療は日々発展しますので、回答者の考え方が変わることもあります。
- 保険改正により、保険制度や保険点数が変わっていることもありますのでご注意ください。