噛み合わせや歯並びと、うつなどの精神病との関係性

相談者: まるおまるさん (30歳:男性)
投稿日時:2018-11-27 21:14:46
一年ほど前、「強迫性障害」と診断された者です。
ネット等で精神病について調べてみると、「噛むことと脳の機能には密接な関係性がある。
精神病の原因の一つに歯並びの悪さもある」と書かれていることがあります。

実際、私は子供の頃から学校の歯科検診で「歯並びが悪い」と言われ続けてきたのですが、歯医者へ行くたびに「様子を見ましょう」と言われ続け、今までずっと深く考えて来ませんでした。

しかし、自分がこういった病にかかり、改めて考えてみると「もしかして歯並びも原因なのでは?」と、今さらになって気にするようになりました。

私の歯並びはいわゆる出っ歯で、噛み合わせると下の歯に上の歯がすべて覆い被るような形になります。
歯医者では、「下の歯がすべて内側に倒れている」というようなことも言われました。
ちなみに、顎関節症もあるのですが、歯医者で、「確かに口を開けるとき左顎が鳴り、筋肉にストレスもかかっているが、ここまで口が開くなら積極的に治療するほどでもない」と言われております。

その人による、というのは分かっているのですが、実際問題、歯並びや噛み合わせと精神病というのは、どのくらい関連性があるのでしょうか。
歯列矯正をしたら必ず精神病が治る、なんて魔法みたいなことは考えていませんが、そういった事例もあるのでしょうか。回答をお待ちしております。


回答 回答1
  • 回答者
船橋歯科医院(岡山市北区)の船橋です。
回答日時:2018-11-28 01:54:04
こんにちは。
まず現代医学は西洋医学を基本として発展していますから各分野毎に細かく人体を分けて分担して研究を進める事になるので統合的なことについてはよくわからないというのが基本でしょう。

ただ臨床では色々なケースに遭遇し人間として観察する事になりますから様々な部位が連携しあって現象が起きているのだろうなと言うことを推測することは可能です。
しかしそういう事は実証したりエビデンスを構築していくことは困難ですから論文にもなりませんし、そもそも論文を審査する人にその視点がないのですから、そういう分野に関しては全くよくわかっていないというのが現実でしょう。

色々な臓器や器官組織を総合的に見ることは、現代医学の苦手とするところではないかと思います。

ただ中には色々な仮説を唱えそれをもとに臨床を組み立てる先生もおられますから、歯並びを治すと精神病が治ると言う事を信じて臨床を追求している先生もおられるかもしれません。

色々な先生が色々な仮説を唱えて臨床に応用しようとしていますが、みんなが納得出来る実験系を組みにくい物が中にはあります。

精神病は診断がまず難しいのではないかと思います。
色々なタイプの人がいるのが当たり前ですから病名にどのくらいの妥当性があるのか?がわかりにくいかもしれませんしね。
保険治療が医科では基本ですから保険治療には必ず病名が必要です。
患者さんが困った状態に陥ったと感じられて来院されたので何もしないで返すと言うことは医師にはできないので、とりあえず何らかの分類に入れてつけた保険治療のための病名というのもありえますし、本当に精神病に分類していいのか?というところからひょっとしたらわかりにくいのではないかと思います。

基本的にバランスがとれている人は歯並びはよいものでしょう。
ですから歯並びが悪く育ったと言うことはどこかバランスに欠けている事を表しているわけです。
ですから卵が先か?鶏が先か?という感じで歯並びが悪いから精神病に分類されるような困った状態になっているのか逆なのかどちらかは言えないで、実際はそれが貴方だと言うことになるでしょう。つまり個性ですね。

それを歯並びだけ治してくれと言われたら今の歯科医学では可能です。
ただ、精神病も治して下さいと言われればそれは歯科の分野を逸脱して医療行為になるので医師免許が必要という事になるのではないでしょうか?
もちろん治せると言って治療に当たる先生も中にはおられますから歯並びを治して精神病も一緒に治すことを期待されておられるならば、できるだけそういう事を追求して自分の治療で精神病まで治せると言っている先生に診てもらったほうがよいのではないでしょうか?

回答 回答2
  • 回答者
回答日時:2018-11-28 08:37:01
ご相談ありがとうございます。

>「噛むことと脳の機能には密接な関係性がある。

あります。

これは学会に多くの論文が集められており、すでに研究によって下記のように色々と関連が証明されてきています。

正しくは、噛み合わせを「咬合」といい、よく噛むことを「咀嚼」といいます。
この二つの歯の働き(機能)により脳の機能に大きく影響が出ます。


精神的なことだけに限っての障害としては、
発達障害の可能性、学業不振、記憶力低下、非行、不眠、うつ病、不幸感、認知症、寝たきり、痛み、などがあります。


          咀嚼

逆に、咀嚼による健康へのメリットはとても大きくて、
特に、「硬めの食品を美味しく!よく噛む」ことによって得られるメリットは、

脳の血流量上昇、脳の温度上昇、学業トップ、記憶力向上、脳内ホルモンの増加、十分な睡眠、多幸感があります。


       歯科治療の究極の目的は、

咀嚼機能の回復や維持増進です。
噛める歯は、イキイキと生きていく上で、心身共に不可欠だからです。


>噛み合わせと、うつなどの精神病との関係性

重要です。

そのために咬合検査、咀嚼機能検査があります。

これは人生100年時代を迎えて、特に高齢期の認知症・寝たきり・がん・周囲を巻き込む介護・誤嚥・肺炎・骨粗鬆症などの「予防」にも有効であるため、今年から歯科保険に導入されたくらいです。

これは保険制度崩壊の「予防」も目的となっており、これから政府は本腰を入れて実施していきます。
これからは、その機能検査をする歯科医院だけを政府は優遇していくとみられています。


咬合検査、咀嚼機能検査が保険に入ったということは、公式に有効であると日本の国が認定した、標準医療であることを意味しています。

歯科の検査が、歯だけではなく、心身を含めて一番大事な検査であることがご理解いただけますでしょうか。


歯並びと、うつなどの精神病との関係性

すでに関係無いと結論されています。

見た目のことは、単に美容、が主な目的であるからです。

機能は、見た目では、決して判断できないからです。
見た目とはおよそ関係のない、機能により心身に関連するからです。

見た目は、気持ちや情緒の問題であり、感情で治療を決めても良いのでしょうか。

生活に影響があるかどうか、つまり健康か病気かという視点ならば、医療として科学的な方法があり、すでに機能検査で分類されているからです。
つまり、機能的不正咬合と、機能的正常咬合の二つだけです。

見た目の歯並びが悪いと言われても、もし生活に困らないことが検査で証明されれば健康だということです。


          人間の尊厳

これは少し考えれば納得できることばかりです。

人間は植物と違い動物ですから、口から食べて700万年前から人類は絶滅せずに生き残ってきました。

またヒトは進化して高等動物と言われ、他の動物とは違う、言葉による会話など高度な文化・文明を持った由縁は、ヒトの歯の進化にあったと人類学では結論づけられています。

高度な、とは精神活動を含むとすれば、人間らしい歯の使い方をしない人あるいは歯の病気でできなくなった人は、高度な機能を放棄し始めているとか、あるいは高等動物の権利を放棄して位を下げても良いのかなとか、体や脳が感じているかもしれないからです。

ただ長生きするだけでよいのでしょうか。

他の動物に混じってただ最低限に生きていくのではなく、もともと高等動物として、お腹の底から笑って、人間らしい楽しい暮らしができるはずだったのではないでしょうか。

つまり人間の尊厳を取り戻すこと、また、さらに輝けるよう維持増進することが歯科医院の本当の役割です。

歯科医院だけができる、医療です。
世界の人達はすでに知っています。
そこまで歯科医院に要求しています。

よく噛みましょう。

回答 回答3
  • 回答者
船橋歯科医院(岡山市北区)の船橋です。
回答日時:2018-11-28 10:10:53
注意点ですが、よく噛みましょうと言う標語は難しい側面をもっていて、歯と歯が当たっていることが良いことだと捉える方が多いのですが、歯と歯はそんなに頻回には当たっていない事が正常です。
また当たると神経、脳への刺激になりますからバランスよく当たってくれることが大切です。

通常は、歯は当たっていなくても体幹を支えられる全身の筋力がある事が大切で、そうでなければ歯は比較的早期に駄目になります。

咀嚼の測定法ですがグミやピーナッツの粉砕率を測定したり、咬合接触部位を測定したりしています。
よく噛むという行為は主にお食事の際に必要になります。
お食事が口から上手くできそれが良い姿勢でできるためには様々な神経筋機構を使います。
これらの連動性の評価はまだ臨床では難しいのではないかと思います。

よく噛みなさいより、本来はお食事の時間を大切にしなさいかもしれませんし、質の良い睡眠ができるようになりなさい(睡眠の質は歯並びと関連します)かもしれませんし、歯並びと姿勢には相関があるので(酸素を取り込めないと障害が起こるので)姿勢よく保てる身体作りをしなさいかもしれませんし、そのあたりはまだはっきり出来ていないので各歯科医が医科と共同してまだ情報交換しているところだと思います。

咀嚼は単純ではありませんから評価法は有効な目安にはなりますが複数を上手く組み合わせて診断し治療計画に反映させる事が大切で難易度は高めだと思います。
また咀嚼と嚥下をセットで考える事も必要ですから嚥下を調べる事もされています。

まぁ、少なくとも歯抜けよりちゃんとご自身の歯を大切にして下さいと言うことは言えますね。

回答 回答4
  • 回答者
回答日時:2018-11-28 17:42:25
歯並び噛み合わせと精神病というのは、どのくらい関連性があるのでしょうか

現時点では,関連性があるとは言えないという解釈が正しいと思います.

ちなみに,乳歯永久歯が混在する幼少期は,咬み合わせは決して安定しているとは言えない状況です.でも,子供に精神疾患が多いなどという報告は無いと思います.

1人の専門家がこの回答を支持しています  
相談者からの返信 相談者からの返信
相談者: まるおまるさん
返信日時:2018-12-02 19:52:55
回答ありがとうございました。
非常に参考になりました。



タイトル 噛み合わせや歯並びと、うつなどの精神病との関係性
質問者 まるおまるさん
地域 非公開
年齢 30歳
性別 男性
職業 非公開
カテゴリ 歯列矯正の治療法
噛み合わせ(咬合)治療
歯並びが悪い
鬱病(うつ病)、精神不安定
回答者




  • 上記書き込みの内容は、回答当時のものです。
  • 歯科医療は日々発展しますので、回答者の考え方が変わることもあります。
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