チタン合金製インプラントの心筋細胞への為害性

相談者: コウ。さん (28歳:男性)
投稿日時:2019-01-29 09:28:13
おはようございます。

このチタン合金製のインプラントは長期的に見て、心臓に持病があっても為害作用を引き起こすことはないでしょうか?

チタン合金(Ti-6Al-4V)に含まれているバナジウムが口腔内にて、イオンとして溶出した際に、生体内において細胞毒性を引き起こすと思いますが、それにより心筋細胞に対する為害性はございますか?

即ち心毒性の観点から考えた場合です。

ご回答よろしくお願い致します。


回答 回答1
  • 回答者
回答日時:2019-01-29 10:14:29
僕は化学の専門家ではないので詳しくはわかりませんが、Ti-6Al-4Vは数あるチタン合金の中でも特に化学的に安定した金属であると認識しています。

なので、個人的には唾液によるバナジウムイオンの溶出はほとんどない(影響ない)と考えています。


参考:チ タ ン合金 の電子 構造 と相 安定性
https://www.jstage.jst.go.jp/article/tetsutohagane1955/72/6/72_6_555/_pdf

「Ti-6Al4V はα+β 領域の中ほどにあり,少しの組成変動に対しても性質があまり敏感に変化しないことが予想される.」

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回答 回答2
  • 回答者
回答日時:2019-01-29 10:18:06
毒性があるとかないとかの意見が、机上の空論として散見しているようですが、今のところ、健康被害が発現したという報告は世界中どこにも無いように思います。

タイトルからは、既に埋入されているようですが、これ以上、歯を失わないよう、昔ながらのプラークコントロールや食品の摂り方のみならず、力のコントロールや栄養のコントロールのことまで、ちゃんと予防に取り組んでいる施設で、定期的に指導を受けてください。

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回答 回答3
  • 回答者
メイクスマイル歯科(東京都文京区)の森田です。
回答日時:2019-01-29 12:33:53
コウ。さん、こんにちは。

歯科インプラントはもう50年近い歴史があります。

また、チタン合金は、歯科だけでなく整形外科領域等、医療の現場で広く使用さています。

それでも櫻井先生、小林先生がご回答されていらっしゃいますように、溶出による健康被害の報告は無いように思います。

参考程度にしていただければと思います。

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回答 回答4
  • 回答者
回答日時:2019-01-29 23:26:30
コウ。さんこんにちは。

一般的にインプラント体は純チタンが多く、チタンはイオン化しにくく生体親和性の高い金属であるため、金属アレルギーは起きない材料であると従来は考えられていましたが、整形外科領域では1990年代からチタンアレルギーが疑われる症例の報告があり、近年では歯科インプラント治療においてもアレルギーと考えられる報告がみられます。

(Suspected association of an allergic reaction with titanium dental implants: a clinical report.Egusa H, Ko N, Shimazu T and Yatani H J Prosthet Dent, 100: 344-347, 2008.

インプラント中の金属アレルギーによる皮膚障害が疑われた10症例の検討 中川真実子,矢上晶子,清水善徳,ほか 日皮アレルギー会誌 2009;3:32-41

小野擴仁,草野圭吾.金属アレルギーにおけるインプラント除去の1症例.歯科学報 2004;104:491−496.

岩坪聆子,滝野雅文.インプラントでのチタンアレルギーを経験して.日本歯科評論 2009;804:113−120.

井上 孝,秦 暢宏,才藤純一,ほか.インプラントと金属アレルギーの考察.日本歯科評論 2000;689:101−110.)。


チタンでアレルギーを起こすとインプラント周囲に慢性炎症反応を惹起し、周囲粘膜の発赤、水疱形成、びらん、扁平苔癬などが発現することがありますので、金属アレルギーを疑ったら、インプラント埋入手術前にパッチテストやリンパ球刺激試験をして金属アレルギーの有無を確認することが必要です。

しかし、口腔内にいくつかの金属の被せ物詰め物があって金属アレルギーは問題ないと思われても、インプラント治療後にアレルギーを発症することもあります。

また、1,500名のインプラント患者に対しチタンアレルギーの有無を検索したところ、なんと8名(0.6%)が陽性であったと報告されています( Titanium allergy in dental implant patients: a clinical study on 1500 consecutive patients.
Sicilia A et al.Clin Oral Impl Res, 19: 823-835, 2008. )。


ですから症状があるのであればアレルギーテストを受けるのも必要ですが、症状が無いのであれば問題ないことが多いと思われます。

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相談者からの返信 相談者からの返信
相談者: コウ。さん
返信日時:2019-02-02 20:15:45
こんばんは。
先生方ご回答ありがとうございます。

1つだけお伺い致します。

アンカースクリューと呼ばれるチタン合金製(Ti-6Al-4V)のインプラント歯列矯正のため埋入しているのですが、少し事情があり、2年ほど矯正治療をお休みしていました。

その間治療は全く進んでいなかったのですが、アンカースクリューは入れっぱなしです。

先日、矯正再開の目処がついたのですが、矯正終了まで向こう2年ぐらいは掛かるので、今埋入しているスクリューを1度抜いて新しいスクリューを入れ直してもらった方が良いでしょうか?

今のスクリューのままで治療したら、実質4年程埋入したままになるので、その分経年と共にイオン化で溶出量が増える懸念はないですか?

溶出量の問題で、新しいのに取り替えてもらった方がより良いのなら、またスクリュー代は掛かりますが、主治医に頼んでみようと考えています。

先生方アドバイスの程よろしくお願い致します。
回答 回答5
  • 回答者
歯科医師の松山です。
回答日時:2019-02-02 22:30:21
>今のスクリューのままで治療したら、実質4年程埋入したままになるので、その分経年と共にイオン化で溶出量が増える懸念はないですか?

チタンの表面は酸化して不動態被膜をを作りイオン化しにくくなります。
それでも、チタンアレルギーの報告があることは否定できません。

アレルギーは極微量のアレルゲンでも出現して量の大小の問題ではないと言えるところがあるのですが、見方を変えると、アレルギーの報告例がすくないということから普通は無視する数ともいえます。

以上の観点から言うと、経年変化はゼロにちかく、もしもあったとしてチタンアレルギーを有していない限りは、4年たつ前に何らかの問題を生じていたでしょう。

人工歯根としての、インプラントの脱落を経年で見ると、例えば10年持ったとしたのちにでも漸減するのが普通で、これはアレルギーの反応とは相反するものです。

緩んでない限り使えるのであれば使えば良いとおもいます。
アレルギーがあればとっくに問題となっているでしょう。

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回答 回答6
  • 回答者
メイクスマイル歯科(東京都文京区)の森田です。
回答日時:2019-02-03 12:52:17
コウ。さん、こんにちは。

松山先生のご回答のように、チタンの表面は酸化膜ができることで安定化します。

除去する時に金属の道具でチタンのスクリューをさわると、チタンは柔らかい金属なので表面に傷がつき、酸化膜が剥がれてしまい、かえって不安定になりイオン化しやすくなることも考えられます。

酸化膜はすぐ再生されるので、普通は心配はありませんが、厳密に考えると起きている可能性がある現象です。

現在、そのアンカーに問題がないのであれば、そのまま使われた方が良いのではないでしょうか。

参考程度にしてください。




タイトル チタン合金製インプラントの心筋細胞への為害性
質問者 コウ。さん
地域 非公開
年齢 28歳
性別 男性
職業 非公開
カテゴリ インプラントその他
インプラント関連
歯科と全身疾患その他
回答者




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