MTA由来アルミニウムの脳内蓄積

相談者: BerRY123さん (58歳:女性)
投稿日時:2019-02-08 09:28:14
MTAが、神経毒性のあるアルミニウムを含むことが気になっています。

2017年の海外の研究で、ラットの切歯を抜いてMTA Angelus、 MTA Fillapexor、Theracal LCを使用した結果、脳内でアルミニウム蓄積が確認されています。

https://www.researchgate.net/publication/311092972_Brain_aluminium_accumulation_and_oxidative_stress_in_the_presence_of_calcium_silicate_dental_cements (英文)

ラットが使われていますし、人体へのMTAの使用方法と同じとはいえませんが、自由診療ですと高額ですし体内に埋め込むので慎重になっています。


アルミニウムを含まない、MTAに替わる優れた製品はないでしょうか?


回答 回答1
  • 回答者
回答日時:2019-02-08 09:43:44
>アルミニウムを含まない、MTAに替わる優れた製品はないでしょうか?

MTAと同じ作用が期待できる素材は残念ながら現時点では無いと思います。

アルミニウムの蓄積が懸念されるのであれば、MTAを使用しない治療法を選択される方がよろしいかと思います。

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回答 回答2
  • 回答者
歯科医師の松山です。
回答日時:2019-02-08 10:43:54
興味があるので、論文のabstractを見てみましたが、

・transient peak was observed in brain Al level

・transiently increased on day 7 and then returned to almost normal levels

が見られます。

表題のaccumulation をそのまま受け取ってしまうか、それがどうであったか、(製品の違いがあるみたいですが)これをどう読み取るかでしょう。

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相談者からの返信 相談者からの返信
相談者: BerRY123さん
返信日時:2019-02-08 12:37:34
櫻井先生、
ご返信ありがとうございます。


MTAを使用しない治療法」は、具体的にどんな選択肢がありますか?

自由診療根管治療をされる歯科で、「MTAは使わないでください。」と伝えて通るものでしょうか?

よろしくお願いいたします。
回答 回答3
  • 回答者
回答日時:2019-02-08 12:48:12
1 歯髄覆髄
2 根管の穿孔の封鎖
3 MTAによる根管充填
4 歯根端切除術時の逆根管充填材

などが主な目的だと思います。


別の材料でほぼ置き換え可能なものは1だけだと思います。

1〜4のような状態でなければMTAを使わないと思いますのであまり気にすることはないと思います。

個人的には2.3.4の場合は成功率が下がるのではないかと思います。


「MTAを使わないで欲しい」ということを伝えたら歯科医が治療法を選択して提示するか治療を断ると思います。



>自由診療根管治療をされる歯科で、

これは根管治療の専門家と確定できないと個人的には思います。

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相談者からの返信 相談者からの返信
相談者: BerRY123さん
返信日時:2019-02-08 13:44:54
松山先生、
ご返信ありがとうございます。

既出URLにあるグラフをみますと、ラットの脳内のアルミニウム濃度は

MTA 未使用群は
7日後 1.48 ± 0.46ppm
30日後 1.19 ± 0.34 ppm
60日後 1.58 ± 0.90 ppm
に対して

MTA Angelus使用群
7日後 16.42 ± 10.42 ppm
30日後 9.25 ± 7.19 ppm
60日後 3.01 ± 2.64 ppm

MTA Fillapex使用群
7日後 3.64 ± 1.59 ppm
30日後 2.59 ± 0.98 ppm
60日後 4.95 ± 2.59 ppm

Theracal LC使用群
7日後 2.97 ± 1.68 ppm
30日後 2.59 ± 0.98 ppm
60日後 4.14 ± 1.48 pp


グラフのみのURLは
https://www.researchgate.net/figure/Aluminium-levels-in-brain-samples-of-rats-that-received-different-hydraulic-calcium_fig1_311092972 
です。

60日以降のデータがないのが残念ですが、MTA未使用群に比べて、60日後でもおおよそ2倍〜3倍のアルミニウムの蓄積が認められています。
回答 回答4
  • 回答者
歯科医師の松山です。
回答日時:2019-02-08 14:54:36
MTAangelusという製品において、7日目、30日目に多く検出されていますね。

論文では、further studies to reserchが必要と月並みな結論ですが、私は、transiently increased on day 7 and then returned to almost normal levelsを、大したことなさそうと理解しましたが、読む立場等で判断は異なるかもしれません。


ポルトラルドセメントについても見てみましたが、運よく最初のヒットでどうやら、アルミニウムは膨張材のようですね。
おかげで1つ知識が増えました、有難うございます。

相談者からの返信 相談者からの返信
相談者: BerRY123さん
返信日時:2019-02-08 17:16:57
柴田先生、
ご返信ありがとうございます。

再根管治療が必要と言われていますが、やはりMTAがないと成功率が下がりそうですね。

先生でしたら「MTAを使わないで欲しい」と伝えられたら、再根管治療でどんな選択肢を提示されますか?


保険診療の再根管治療では、さらに成功率は下がりますか?

教えて頂けますと幸いです。
回答 回答5
  • 回答者
回答日時:2019-02-08 18:06:37
BerRY123 さん、こんにちは

再根管治療が必要と言われていますが、やはりMTAがないと成功率が下がりそうですね。

現時点では、再根管治療でのMTAの使用は成功率に差がないとなっていますので、問題ないと思います。

相談者からの返信 相談者からの返信
相談者: BerRY123さん
返信日時:2019-02-08 20:27:55
松山先生、

いろいろと教えていただいて、ありがとうございます。
相談者からの返信 相談者からの返信
相談者: BerRY123さん
返信日時:2019-02-08 20:33:31
小牧先生、
ご返信ありがとうございます。

「再」根管治療でのMTAの使用は成功率に差がないとのこと、安心しました。
初回の根管治療では差があるということでしょうか?
回答 回答6
  • 回答者
回答日時:2019-02-08 20:35:54
普通の再根管治療であればMTAは必須ではないと思います。
私の回答の2.3.4でなければ元々使わないと思います。

再根管治療いってもいろんなグレードがあると思います。


>保険診療の再根管治療では、さらに成功率は下がりますか?

保険か自費かよりも誰が治療するかの方がウェイトが大きいと思います。

回答 回答7
  • 回答者
回答日時:2019-02-09 12:37:11
>現時点では、再根管治療でのMTAの使用は成功率に差がないとなっていますので、問題ないと思います。

MTAを2003年から使用し
現在、ほぼ毎日MTA使用している人間の肌感覚ですが。

根尖が開いたような再根管治療では明らかに治りがいい気がします。
(MTA使用前に感染源を徹底的に洗っての前提ですが)

また根尖病変が長期間あったような歯の再根管治療の場合、歯根吸収もあり必然的に根尖径が広がっているので私の臨床では現在7割近くはMTAで根管充填しています。
(顕微鏡で確認できるような太い根尖の場合はMTA詰めます)

http://eedental.jp/ee_diary/2019/02/post-1872.html

このケースもMTA使えなかったら明らかに2本は抜歯だと感じます。


個人的にはですが、根充剤のガッタパチャーには、接着性もないですし、滅菌も出来ず細菌の培地にもなりますし、根尖の封鎖性も低いですし、劣化して収縮するし、再治療の際に完全に除去するの大変ですし根尖から出たガッタとシラーは除去不可能ですし、。。。

あまり根管内に入れる意味が見えません。
 
今の所良い代用材料がないので仕方がなく抜髄にはガッタ使用していますけど^^;



それと、

> MTAが、神経毒性のあるアルミニウムを含むことが気になっています。

MTAは1998年から販売されて数年前に特許が切れジェネリックMTAがたくさん出てきています。

21世紀に入りこれだけ爆発的に売れた歯科薬剤は今の所ないでしょう。

世界中で当たり前のように使われていす。


そのアルミの健康被害の程度はどのぐらい出ているのでしょうか?


専門医でも殆ど話題になりません。


後、たぶん BerRY123 さんが知らないだけで歯科治療なんて小さな害など気にすれば治療できないと思いますよ。

再根管治療の際の水酸化Caだって神経毒ですし、ホルマリンだって、ガッタの溶解剤だって発癌性は言われていますからね・・・

ただそのどれもが気にするリスクではないということです。
 
 
個人的にはアレルギーなどで材料の制限がある患者さんは対応しますが、世界的に当たり前に使われている材料で、心配だからあれは嫌これは嫌など言われれば、私は成功率に拘りたいのでウチでは。。。

と話しますね。

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回答 回答8
  • 回答者
藤森歯科クリニック(兵庫県西宮市)の藤森です。
回答日時:2019-02-10 16:38:46
たしかに根管治療MTAを使用したいケースはありますね。
悩ましいところです。

因みに、歯根端切除術の逆根管充填剤としてはMTA以前にはSuperEBAというセメントをよく使ってました。
現在でも、某歯科大学では使用してるそうですよ。

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回答 回答9
  • 回答者
回答日時:2019-02-10 17:21:49
薬事法と保険診療とか倫理委員会とかなどのいろんな絡みからはスーパーEBAになりそうですね。

相談者からの返信 相談者からの返信
相談者: BerRY123さん
返信日時:2019-02-11 10:44:44
井野先生、藤森先生、柴田先生、
ご返信ありがとうございます。


遺伝的な問題で、発症リスクを高める可能性があるアルミニウムをできる限り避けたいと考えております。

MTAは避けたい、でも感染根管治療の成功率を少しでも高めたい、と勝手な患者で申し訳なく思います。


歯科治療のことは全く知識がない段階から、主にこのサイトで勉強させていただくうちに、歯科医の先生方の大変さが少しずつわかり始めました。
お忙しい中お答えいただき、本当にありがとうございます。


もう少し質問させていただきたく、よろしくお願いいたします。

SuperEBAは今でも使われるのでしょうか?
一般的でないようなので、使ってほしいとお願いしたらお困りになりますか?
回答 回答10
  • 回答者
歯科医師の松山です。
回答日時:2019-02-11 16:36:48
最初の質問にもどって、根管充填剤として使う事を想定しているのでしょうか。

その上で、根尖孔が拡大しているとか、パーフォレーションなどがあるのでしょうか。
そのような、ケースでは封鎖する部からの、根管充填剤の歯槽部への逸出が起きやすいことから(為害作用を問題にして)、材料選択は意味があります。
それ以外では数ある根管充填剤で大差ないと思います。


上記のようなケースでは、ハイドロキシアパタイトを主成分にした、根管充填剤を私は使っていました。
遅くなってからMTAはパーフォレーションに使いました。SuperEBA・MTA にこだわる理由が分かりません。

余談になりますが、MTAは、ポルトラルドセメント(建築用)と同じようなものだと、大手の製品製造販売会社から聞いたことがあります。
それで触れたのですが、封鎖性を良くするためのアルミ製剤の膨張剤の役割です。

回答 回答11
  • 回答者
回答日時:2019-02-11 17:36:35
>SuperEBAは今でも使われるのでしょうか?

茂久田商会で今でも取り扱いはあると思います。

http://www.mokuda.co.jp/catalogue.html


>一般的でないようなので、使ってほしいとお願いしたらお困りになりますか?

一人の患者さんのために新たにセメントを購入することは当院ではほとんどしないと思います。
つまり困りますね。

普段からお使いの歯科医院なら問題ないように思います。

1人の専門家がこの回答を支持しています  
回答 回答12
  • 回答者
藤森歯科クリニック(兵庫県西宮市)の藤森です。
回答日時:2019-02-11 18:05:10
うちには、まだSuperEBAがありましたがかなり古いです。
使用期限は分かりませんでしたが。
MTAと比べると遥かに廉価だったように思います。

もし柴田先生が必要とされ、古いので良ければ、お送りしますよ。
東京の某歯科大学歯内療法講座でまだ使用されてたように記憶しています。

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タイトル MTA由来アルミニウムの脳内蓄積
質問者 BerRY123さん
地域 非公開
年齢 58歳
性別 女性
職業 非公開
カテゴリ 根管治療の治療法
根管治療関連
材料・機材関連
MTA
回答者




  • 上記書き込みの内容は、回答当時のものです。
  • 歯科医療は日々発展しますので、回答者の考え方が変わることもあります。
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