下6番にクラウン、特にCADCAM冠について教えてください

相談者: rei_reiさん (44歳:女性)
投稿日時:2020-12-02 23:01:56
お世話になります。

クラウン、特にCADCAM冠についてお聞きします。


下の6番の歯を根管治療していただき、これから土台とクラウンの治療に入ります。

土台は、ファイバーコアにしていただきたいと先生にお伝えし可能との返答がございました。

クラウンについてですが、CADCAM冠が保険内で良いなと思っているのですが、他のクラウンに比べてCADCAM冠は自分の歯をかなり削るとネットで見て不安も感じております。

この6番の歯のむし歯はそれほど進行していなかったです。
神経が突然死んでしまい根管治療をした為、自分の歯は結構残っています。



Q1 
フルジルコニアメタルボンド、ジルコニアセラミック、e-max、オールセラミック、CADCAM冠、銀歯の7種類を、自分の歯を削る量が少ないクラウン順に並べるとどのような順番になりますか?
(一般的に)


Q2
CADCAM冠は強度が弱いため壊れやすいと聞きますが、強度が弱いということは、CADCAM冠がクッションのような感じになって、被せる自分の歯にかかる負担は他のクラウンよりも少なくなると考えられますか?

逆に強度が弱いことにより、自分の歯にかかる力が多くなり負担をかけてしまいますか?


Q3
被せる歯に負担をかけるのが少ない順に並べるとフルジルコニア、メタルボンド、ジルコニアセラミック、e-max、オールセラミック、CADCAM冠、銀歯の7種類はどのような順番になりますか?
(一般的に)


Q4
CADCAM冠は、歯を多く削るため、将来再根管治療をし難くなることは考えられますか?
また、CADCAM冠について、強度が弱いこと、自分の歯を多く削ること以外のデメリットはありますか?


お忙しいところ申し訳ございません。
宜しくお願いいたします。


回答 回答1
  • 回答者
あすとら歯科クリニック相模原(神奈川県相模原市)の滝野です。
回答日時:2020-12-03 09:43:00
rei_reiさん、こんにちは。

Q1 

削る量の少なさであれば、金属修復が1番薄くできますから、削る量が少なく済むと思います。
(あくまで材料の物性上の話で、保険診療と自費治療の工程や精度の差は論じないとして)

また、セラミック系の中では、ポーセレンを盛る工程を入れるのであればその分の厚みが必要です。
ですから、メタルボンドジルコニアボンドは、自分の歯を削る量という点では不利になると思います。

(記載のジルコニアセラミックはジルコニアボンドを指しているのでしょうか。
オールセラミックと表現されているものも、具体的に何を指すのか医院によって異なっているかもしれません)


材料ごとに必要なクリアランスや形成の条件は違いますが、歯科医師によってもかなり異なるのではないかと思います。



Q2
問題が起き割れる時にはクラウンが割れたり脱離するでしょうから、歯根のほうは守られるという考え方は確かにできると思います。

ただし、2年以内に割れてしまえば補綴物維持管理の問題が発生しますから、2年以内に割れないであろう厚みを確保することになると思います。
再治療は繰り返すほど歯質は少なくなります。



Q3
クラウンの素材よりも、咬合のバランスなど精密に治療されたかという要素のほうが大きいように思います。

ジルコニアは硬い材料で負担が強いという考え方もありますが、被せた歯というよりは、噛み合わせの歯のほうの負担になると思います。



Q4
再根管治療のし難さというより、クラウンの作り替え可能な回数でしょうか。
歯質が少なくなれば、再治療できる回数には影響があると思います。

また、少しずつ咬耗していくと、その分、挺出して咬合や歯根の位置の変化があるのかもしれませんが、まだ保険導入されて時間の経っていませんので、予後に関するエビデンスが確立されていない、という点はデメリットとして挙げられるのではないかと思います。


参考にされてください。

回答 回答2
  • 回答者
船橋歯科医院(岡山市北区)の船橋です。
回答日時:2020-12-03 17:41:45
こんにちは。

Q1.
歯を削る量が少なくてよいのは金属で、俗称バケツ冠ですね。
アルミ冠みたいな軟らかい冠はメタル自身がのびますから、あまり形成しなくてもボテっと内面グズグズの冠を作製可能でつける際にセメントで固めて固定する事ができます。
よく乳歯に使われたりしました。

またバケツをひっくり返したような金属の冠で噛む面に凸凹をほとんどつけない冠の為の形成というのもあります。


噛み合わせ面に天然歯並みにしっかり溝をつけて作る冠になればなるほど金属冠でも歯の形成量は多くなります。

また、冠のマージン(縁)を歯茎側に設定すればするほど歯質は多く削る必要が生じます(維持力や審美性、清掃性との兼ね合い)


金属は薄くても割れませんが、生涯の噛み合わせを維持させようとすれば金銀パラジウム合金くらいの硬さが必要だろうという事で曲がらない金属を永久歯には使います。
ですから軸面形成が必要になります。

金属はナイフエッジという形成でも問題ないとされていますから一番軸面形成量を減らせます。
後は、噛む面の形成量をどれだけ取って溝や咬頭をしっかり作ってあげるか?という事を考えて形成されます。

また、軸面と咬む面の角があっても金属冠なら割れないので角が残せますからその分も歯質は残せます。
クラウンならば維持力は、軸面で得ますから軸面をどれくらいの角度でどれくらいの高さ取れるか?という事も考えて咬合面形態をイメージして形成されます。


ただ、通常、すでに失活している歯であれば形成量は多少多くても支障ないと考えるのが一般的かと思います。




Q2.
クッションにはなりません。
割れる時はあっさり割れます。
そういう素材です。



Q3.咬む歯に負担をかけないのは考え方次第と言われています。

過剰な力がかかると欠けやすい素材であれば冠が欠けてくれる事で歯根は守れると考えることもできますからね。
ただ、通常は歯科医が入れた冠が欠けたり割れて歯根が保存できたからといって喜ぶ患者さんは滅多にいませんから、出来るだけ割れない冠にしておこうかなということになりがちです。

近年はしっかり形成したジルコニア冠が好評だと思います。
銀色が気にならないならば保険の金銀パラジウム合金やチタン冠でもよいのではないでしょうか?

他の素材では、メンテナンスで噛み合わせの調整をしていないといつか冠が欠けたり割れます。



Q4.銀色が気にならないならば金属冠でよいのではないでしょうか?
歯科医も技工士もスタッフも扱い慣れていますからね。
(この度保険適応になったばかりのチタン冠は皆扱い慣れていませんから当分は冒険です)

歯冠色にこだわりたいならばとりあえずCAD/CAM冠を入れて噛み合わせ面の経年的な削られ具合などを確認した後自費素材を選択してもらうというのでもよいかもしれませんね。

流石に2年は持つと判断できないケースであれば歯科医の方からお断りされるのではないでしょうか?



人によったり噛み合わせや歯の位置や状態により歯科医は様々なことを考えてお勧めする素材を変えています。

できれば生活習慣や運動習慣や口腔ケアの状態やメンテ通院への理解度と協力度や経済的な事情などまでよく理解してくれているかかりつけ歯科医に責任を持って治療してもらっておかれると良いだろうと思います。

かかりつけ歯科医院選びはフリーアクセスですから相当な目利き力が必要です。


虫歯ではなく、歯質がしっかり残っていてクラック等も見受けられず他の歯でしっかり咬合維持もできていて、本当に根管治療のためだけの歯質の喪失だけで済んでいるならばわざわざ冠にしなくてもよいように思いますが、冠選択しかないというのは何かマイナス因子があるのでしょう。

しっかりおかかりの歯科医と相談して決めてください。

相談者からの返信 相談者からの返信
相談者: rei_reiさん
返信日時:2020-12-05 18:02:14
滝野先生、Dr.ふなちゃん先生

とても詳しくご返答くださり、有難うございます。
とても勉強になりました。


歯根破折のリスクを少しでも減らしたいため銀歯ではなく、保険内、保険外であっても白い歯を希望したいと思っております。



再度お聞きしたいのですが、

Q1 削る量の比較について
CADCAM冠にした場合、自分の歯を削る量は、フルジルコニアメタルボンドよりも多くなりますか?

なる場合はどの程度の違いが考えられますか?
(下6番の歯に使う場合)


CADCAM冠は銀歯の2倍位自分の歯を削るとネットで読みました。
フルジルコニアやメタルボンドはCADCAM冠と比べて一般的にはどのくらい削る量の違いが出ますか?



Q2 クラウンの接着の仕組みについて

保険外の白いクラウンは接着の仕組みが銀歯と違い、銀歯よりも被せる歯にしっかりと密着しやすいと聞いたことがあります。

CADCAM冠の接着の仕組みは、保険外の白いクラウンと同じ接着方法になりますか?
それとも、銀歯と同じ接着方法でしょうか?

保険外の接着方法の方が、2次むし歯が発生するリスクが低いと聞きました。


保険外の治療費は高いですが、歯への負担や接着方法の違いなどを考え長い目で見たら保険外の治療を選んだ方が良いのかとも思い、まだ決断出来ないでいます。

白い歯を希望しておりますので、Dr.ふなっちゃん先生が仰られましたように、CADCAM冠を入れて経過を確認し自費素材を選択する方法で治療できたら良いなと思っております。


以前、被せた後再根管治療をした歯があり、歯の残りが少なかったためぎりぎりの状態で被せていただきました。

そのようなケースが今後この歯に起きた時のことを考えるとCADCAM冠の削る量が多いということに迷いと不安が残ってしまっております。


宜しくお願いいたします。
回答 回答3
  • 回答者
船橋歯科医院(岡山市北区)の船橋です。
回答日時:2020-12-06 13:43:23
歯根破折のリスクを少しでも減らしたいため銀歯ではなく、保険内、保険外であっても白い歯を希望したいと思っております。

色は破折リスクには関係しません。


保険内で白い冠を希望されればCAD/CAM冠の選択になり、

保険外であれば
・CAD/CAM冠、
・フルジルコニア(硬さが5段階に分かれていると思います。またメーカーにより色も異なると思います)、
・積層ジルコニア(他の表現もあります)(ジルコニアにセラミックを焼き付けたもの)、
メタルボンド(メタルにセラミックを焼き付けたもの)(どこにセラミックを焼き付ける設計にするかによって冠全体が白いもの、見える面だけが白いもの、マージンは金属色が出ているものなどいろいろ分かれると思います。)(内部に使用する金属の種類も多種あります)、
・e.maxなどの二ケイ酸リチウム、
その他にもいくつか白いものはあります(また作り方によってCAD/CAMもあればpressもあります、そしてそれにセラミックを焼き付けるのか?焼き付けないのか?でも異なります)。



>Q1
削る量は歯の位置、咬み合わせによって大きく左右されますが、基本的に変な位置に生えた困った形態でもそのまま再現することを前提に比較すると、削る量が少なくてすむのは、金属が一番少ないです。

次に金属面が表に見えてよいならば金属が見える部分だけは削る量を抑えられる一部金属が見えるメタルボンドです。

ただ、咬む面にメタルボンドのセラミックが来るならば厚みが必要になるため咬む面も見えない舌側も金属というタイプですね。

次にフルジルコニアでも強度の高いタイプのフルジルコニア(強度が高いタイプから低いタイプに続きます)、咬合面も白くするメタルボンド、e.max press、e.max CAD、最後がCAD/CAM冠の順ではないかと思います。


ただ、素材特性をどの程度勘案して形成(歯の削り方)に反映しているのか?については歯科医によりけりでしょうからわかりません。

いったん形成していて、型どりして技工士に渡した後にここを再形成してくださいと指示が来ると患者さんの来院回数が増え、歯科医院では再診料なしの診療はできない為患者さんの支出につながるため(来院するのもいろいろ大変でしょうし)どちらかといえば多めに削っておくという事はよくされていると思います。(ひどい形成はいくらでも見ます)


多めに削っておきさえすれば患者さんにとって短期的不満はなくなりますからね。

(何回も来院させられて再形成されて型どりをやり直されると下手な歯科医だな〜〜と思うでしょ??コストが安価で回転の速い歯科医院ではツンツルテンに削られがちだと思います。
細かい事を気にしないで形成すると早いですからね)



Q2.だれに聞かれたのですか??

銀歯でも冠ならば接着剤なしでも外れませんよ。
ちゃんと形成して綺麗に型採取してうまい技工士に作ってもらえばですけどね。(茶筒を想像してみてください)

しかし、接着剤なしというわけにいきませんからしょうがなく接着剤が固まる前に浮き上がりなく逃すことが可能になるように形成軸に一定の角度をつけることになっています。
本来はそれくらい適合がよいのが金属修復です。


保険外でも保険内でも白い冠はpress以外は(pressも埋没材の性質から金属ほど密着できませんけど)割とグスグスです。
ほとんど作り方がCAD/CAMなのでしょうがないです。

ただ、接着剤はグラスアイオノマーを使う以外は、ほぼレジン系セメントを使いますからレジン系セメントコーティングされるという意味で接着といっていますね。



>保険外の接着方法の方が、2次むし歯が発生するリスクが低いと聞きました。

保険内でもレジン系セメントは使えます。
というか普通によく使われていますし、日本の場合、テクニカルエラーが少ない製品で規格に受かれば基本的に保険適用されています。

日本では保険適用されたほうがユーザーが増えるのでメーカーは儲かるからです。
(保険適用外か保険適用かで販売価格はあまり変わりません。包装の方法など特殊な事情では変わります。また個人輸入品は高くなります)


2次虫歯が発生するリスクが高いというのは保険治療だからではないでしょうか?
(接着剤は関係ないのでは?)



>保険外の治療費は高いですが、歯への負担や接着方法の違いなどを考え長い目で見たら保険外の治療を選んだ方が良いのかとも思い、

自費は技術力です。
また設備力です。

保険外治療が高いのは当たり前でその高い治療費のほうが世界標準に近いです。
保険の治療費は安すぎるので歯科医院側のモチベーションが低下するために差がでているのではないでしょうか。


歯科の治療は材料の良しあしもありますが、技術の良しあしのほうが大きいです。
保険治療でもきちんとした治療を心がけている歯科医院を探してとりあえずCAD/CAM冠からでよいのかもしれませんね。。

冠が割れたら歯根は割れていないことが多いのでよかったと思える方であればそちらでもよいかもしれません。
補管もあるので2年持たないと判断されたら歯科医がお断りするはずです。

下手な保険外治療よりよほどよいかもしれません。

相談者からの返信 相談者からの返信
相談者: rei_reiさん
返信日時:2020-12-07 03:49:05
Dr.ふなちゃん先生

私が疑問に思っていたことを詳しく分かりやすくご説明くださり、有難うございます。
大変勉強になりました。

こちらのサイトにご相談して良かったです。
本当に有難うございました。



タイトル 下6番にクラウン、特にCADCAM冠について教えてください
質問者 rei_reiさん
地域 非公開
年齢 44歳
性別 女性
職業 非公開
カテゴリ 保険のクラウン(奥歯:銀歯)
ハイブリッドセラミッククラウン
オールセラミック(陶器の被せ物)
メタルボンド
クラウン(差し歯・被せ)その他
ジルコニアクラウン
回答者




  • 上記書き込みの内容は、回答当時のものです。
  • 歯科医療は日々発展しますので、回答者の考え方が変わることもあります。
  • 保険改正により、保険制度や保険点数が変わっていることもありますのでご注意ください。

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