ドックベストセメントを用いた治療に効果はありますか?

相談者: きたかつおさん (51歳:男性)
投稿日時:2022-06-20 22:10:32
先日、右第二臼歯の深い虫歯の治療で根管治療にならないために、ドックベストセメントを用いた削らない治療を勧められました。


この治療について調べたところpubmed掲載の論文が”copper cement”で1件しかなく、内容が銅セメント塗布により細菌の繁殖が抑制されたというもので、半永久的な効果や削らない治療としての効果とは異なるものでした。


ネットで肯定的なページの記載では、
・削らないで虫歯が治せる
・安全性が認められている
・効果が半永久的
FDAが認可などのこと
が書かれています。

否定的な意見として、
虫歯治療に効果があるとの論文がない
・効果が永続的で安全性が高いことの裏付けデータがない
・RedはFDAの検索で商品名が該当しない
・日本の薬事法で認可されてない
・Cooly&Cooly社が廃業しているのに商品が流通している

がありました。


この治療が有効であるということは何か証明されたものなのでしょうか。
あまり削らずにこちらを充填した後にかぶせをしても大丈夫なのでしょうか?


肯定的なご意見があれば、根拠となるような客観的な情報を教えて頂けないでしょうか?


回答 回答1
  • 回答者
船橋歯科医院(岡山市北区)の船橋です。
回答日時:2022-06-20 22:53:18
こんにちは。

ドックスベストセメントは使い方がマチマチだと思いますよ。

製造元の使用法ではない使用法を推奨した歯科医から日本で普及した訳ですから。

ですから亜流というか臨床経験から上手く使えば使えるセメントだなぁと使っている歯科医が多いという印象です。
エビデンスレベルは低いですからエビデンス重視の歯科医には目の敵にされます。

エビデンスレベルが高い治療を期待されるならば保険治療でしてくださいとお願いされると良いと思います。

相談者からの返信 相談者からの返信
相談者: きたかつおさん
返信日時:2022-06-20 23:35:39
船橋先生

ご返信ありがとうございます。


経験上有用とのことですが、先生はこの治療をされる場合、虫歯部分を(一部?)残したままセメントを充填してからかぶせをされるのでしょうか?
それとも十分に削った上で殺菌効果を期待して塗布するのでしょうか?


また、かぶせをした後に、どのくらいの頻度でどのような検査(目視?レントゲン?CT?)をもって虫歯が進行してないことを評価されていますか?
進行が疑われた場合は改めて通常の治療を行うのでしょうか?
回答 回答2
  • 回答者
船橋歯科医院(岡山市北区)の船橋です。
回答日時:2022-06-21 10:02:08
〉先生はこの治療をされる場合、虫歯部分を(一部?)残したままセメントを充填してからかぶせをされるのでしょうか?
〉それとも十分に削った上で殺菌効果を期待して塗布するのでしょうか?

虫歯は実際に治療しなければわからないですよ。
一括りに虫歯と言ってもそれは原因論を含めた呼称で病気の分類の一つです。

歯は反応性に組織変化する構造体です。
象牙質の虫歯は6層に分類され表層から深部にかけて多菌層、寡菌層、先駆菌層、混濁層、透明層、生活反応層に病理組織的に分けられます。


炭水化物や蛋白が細菌代謝により出来た酸によりミネラルが溶け出し正常構造が破壊されて、グズグズベチョベチョした細菌がいかにも落ち込んでいそうな細菌叢を取り除くとザラザラもそもそもした細菌が入り込んでいない反応層あるはずなのですが、急進性の虫歯の場合は硬く反応する前に虫歯が進んでいる訳です。

全部取り除こうとするとボコッと穴が空き露髄出血抜髄に至るので、最後は手用切削具等で実際に染め出ししながら硬さや器具から届く感覚を確認しながら取り除いてみないとどんな感じなのかがわからないです。


ですから、細菌由来の慢性的な酸に生体が反応して作る層を作れるように条件を整えて待ってあげる訳です。
でもそれは保険適用治療で水酸化カルシウム製剤を使っても可能ですし、抗菌剤を置きたい歯科医もいます。

ドックスベストセメントは、ただ、扱いやすい高い薬で認可を取る気がないセメントで販売元のアメリカでもほぼ知られていないマイナーなセメントです。


ただ、歯科医がそのセメントなら自分の治療の進め方で歯髄保存の可能性を高められるというような、なんらかのメリットを感じているものを使い慣れていく訳で歯髄保存を目指したけどトラブルばかりあればそのやり方はされなくなるはずですが、まだまだ日本では使っている人が多いのでそれだけトラブルケースに繋がりにくいのかもしれません。



保険適用で日本の学会が提唱しているAIPCで使える薬剤は日本認可品だけですから、使いづらいなとか、自分が使ったら上手くいかなかったなという臨床経験が沢山あれば何か別の薬を使って成果に繋げようと考えることは当然かと思っています。



〉進行が疑われた場合は改めて通常の治療を行うのでしょうか?

次は抜髄か、感染根管治療に進むことになるでしょう。

確認は問診や打診、歯髄診、レントゲン検査でしょう。
歯の中の中の話ですから見ても分かりにくいでしょう。

回答 回答3
  • 回答者
回答日時:2022-06-21 13:05:01
前にも書きましたが。
効果云々の前に保険歯科治療費が安すぎる為、保険適応外の薬を治療の中にいれることで自費治療化できるので、それで赤字にならないように治療をしているだけだと思います。
 
今の先生に自費になってもいいから歯髄保存をしてもらいたいと思われれば、そのままドックスベストセメントを用いた歯髄保存を行ってもらえばいいと思いますし、自費治療が嫌なら保険治療で歯髄保存を行ってくれる歯科医院を探せばいいと思います。


  
私は自費治療しかしていませんが、薬剤の差で予後に大きな差が出るとは私の臨床では感じません。
色々試しましたが、今は虫歯を残したシールドレストレーションもしますが、むしろこちらの方が症状も出ずに歯髄の経過が良い場合もあります。

歯髄保存は、薬剤ではなく先生の知識と技術・経験に大きく依存する治療だと感じています。

 
おだいじに

回答 回答4
  • 回答者
回答日時:2022-06-22 00:39:41
舟橋先生の回答の中のAIPC(歯髄温存療法)も井野先生の回答の中のシールドレストレーションにしても、辺縁封鎖がきっちりできなければ失敗すると思います。

当院でもAIPCもどきの治療は行いますが、やはり気にするのは辺縁封鎖のための健全歯質の確保です。
しっかりと封鎖ができなければ内部にドックスベストセメントMTAセメント、ダイカル、松風テンポラリーセメントなどを置いても成功しないと思います。



個人的な経験としては転院されたドックスベストセメントをしてあったケースは2,3人の方しかみていません。
ただどなたも辺縁封鎖ができておりませんでした。


個人的な意見ですが、ドックスベストセメントで成功するには健全歯質の確保は必要最低条件だと思います。

1人の専門家がこの回答を支持しています  



タイトル ドックベストセメントを用いた治療に効果はありますか?
質問者 きたかつおさん
地域 非公開
年齢 51歳
性別 男性
職業 非公開
カテゴリ 虫歯治療
う蝕関連
回答者




  • 上記書き込みの内容は、回答当時のものです。
  • 歯科医療は日々発展しますので、回答者の考え方が変わることもあります。
  • 保険改正により、保険制度や保険点数が変わっていることもありますのでご注意ください。

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