質問 |
saian1 2023/11/10(Fri) 16:03
こんにちは。
予防歯科の保険適用について知りたいことがあり、質問をさせていただきます。
2020年の診療報酬改定により、
「予防を目的とする処置に保険が適用されるようになった」とネット上で目にしました。
おうかがいします。
@フッ素塗布は保険適用で受けられるのでしょうか?受けられる場合、保険適用でフッ素塗布を受けるための条件をおしえてください。
A予防目的の歯のクリーニング(クリーニング&歯石取り)は保険適用で受けられるのでしょうか?
(これまでのように歯周病治療という名目でのクリーニングではなく、予防目的の歯のクリーニング、という意味です)
B「か強診」でなければ、予防処置を保険適用で行えないのでしょうか?
上記についてご教示いただければ幸いです。
どうぞよろしくお願いいたします。 |
回答1 |
森川 2023/11/10(Fri) 16:31
@Ce(エナメル質初期う蝕)の状態の歯が1本でもある、もしくは治療済みの歯が年齢に応じた本数ある場合に適応となります。
A歯石が付着していれば保険適応です。歯石が付着していなければもともと除石の必要はありません。
B「か強診」とは無関係です。(費用は変わります)
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回答2 |
Dr.ふなちゃん 2023/11/10(Fri) 18:23
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船橋歯科医院(岡山市北区)の船橋です。
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こんにちは。
か強診の歯科医院の方が予防に向いていると思います。
国の政策で、施設基準を細かく分けて保険適用可能な内容と点数、期間等が分けられています。
歯は毎日のお手入れ不足からダメになっていきますから、3ヶ月に一度と決められていたものを毎月保険で受けられるようにしてあるのが、か強診の歯科医院を選択する主なメリットだろうと思います。
例えば、白濁や表面荒れ程度のエナメル質初期虫歯でも、かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所では歯科疾患の重症化予防が可能になっています。
[エナメル質初期虫歯管理加算の算定要件]
・かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所において、エナメル質初期う蝕に罹患している患者に対して、管理及び療養上必要な指導等を行い、その内容について説明を行った場合は、算定される。
・エナメル質に限局した表面が粗造な白濁等の脱灰病変であるエナメル質初期う蝕の治癒又は重症化予防を目的として実施する指導管理等を評価するものをいう。
・患者の同意を得て管理等の内容について説明を行った上で、エナメル質初期う蝕に対して、フッ化物歯面塗布及び口腔内カラー写真の撮影を行った場合に算定する。また、必要に応じて、プラークコントロール、機械的歯面清掃又はフッ化物洗口の指導を行う。
この加算がつかないと歯科医院側にそこまでの事を期待しがたいだろうと思います。
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回答3 |
森川 2023/11/11(Sat) 11:55
勘違いする人がいるかもしれませんので、一応書いときますが、か強診は在宅歯科診療も行ってないと施設基準をみたしません。在宅ってむし歯予防とは無関係ですよね。
つまり、か強診を満たしている歯科医院はいわば、歯科のオールラウンダー(=かかりつけ医の理想?)です。
ですので、むし歯予防の十分条件は満たすかもしれませんが、必要条件ではないです。
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回答4 |
柴田 (評価4.0) 2023/11/11(Sat) 13:04
森川先生の回答に追加すると
@ 年齢の上限は15歳までだと思います。
>予防目的の歯のクリーニング、という意味です
このクリーニングが機械的歯面清掃処置を指すのであれば不可だと思います。これを保険で行う煮は歯科疾患に罹患している患者が対象だからではないかと思います。
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返信1 |
saian1 2023/11/11(Sat) 17:43
複数の先生からご回答をいただき、ありがとうございます。
@フッ素塗布はCO以上(脱灰以上)のむし歯が1本でもあれば、(または年齢に合わせ、むし歯に対する既定の歯冠修復歯があれば)保険適用で受けられる。ただし、条件に該当する場合でもフッ素塗布の年齢の上限は15歳まで。
フッ素塗布の保険適用については、私自身、保険で受けております。また、ネット上の歯科医院HPでも大人のフッ素塗布を保険適用で行っている記述を見かけます。なので、15歳が保険適用の上限、というのはどうなんでしょうか??
Aわずかでも歯に歯石が付着していれば、保険適用で歯のクリーニング(PTC)を行える。ただし、機械的歯面清掃(PMTC)は歯石が付着しているだけでは保険適用は不可。PMTCを保険適用で行うためにはむし歯や歯周病などにかかっている必要がある。
B「か強診」、それ以外の歯科医院にかかわらず、どの歯科医院でも予防処置が行える。
(2020年の診療報酬改定により、それまでは禁じられていた予防処置がどの歯科医院でも行えるようになった)
上記で合っていますでしょうか?
先生によって回答が異なるため、ご教示いただければ幸いです。
どうぞよろしくお願いいたします。
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回答5 |
柴田 (評価4.0) 2023/11/11(Sat) 23:09
いまだに保険診療には地方ルールがあると思います。
お住まいの都道府県を監督する地方厚生局に聞くのも一つの手段かと思います。
私たちの税金で働いている公僕ですから、権利としてちゃんと利用しましょう。
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回答6 |
Dr.ふなちゃん 2023/11/12(Sun) 10:12
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船橋歯科医院(岡山市北区)の船橋です。
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か強診の歯科医院になる為には必要要件がかなり高めですから、なれないか、またはならない歯科医院も沢山あるのが現状です。
また、本来医療とはその資格を有した者が専門的な知識をもとに診断を下し処置や指導観察を行うので、保険のルールに当てはまらない内容もかなりありますから(個々で状況が異なる為)歯科医は保険での請求に毎回大変苦慮します。保険算定基準に応じて単純作業にできれば良いですが、壊れたり壊れつつあるものを治す医療行為はそんなに単純ではありませんからね。
各エリア毎の保険診療の解釈実行について毎回の保険ルールの改定、疑義解釈通知により都度かなり細かい修正を余儀なくされる為、歯科医師会や保険医協会、また個人的なやり取りにより一々確認を行いつつ請求、支払いはなされています。
以下、保険医協会からの一部引用です。
〈フッ素塗布〉
Q1 フッ化物局所応用加算の算定要件に、「う蝕に罹患している13歳未満のう蝕多発傾向者で、継続的な管理が必要な者」とあるが、年齢ごとの、う蝕多発傾向者の判断基準にある歯冠修復終了歯は、他院での治療終了歯も含まれるか。シーラントも終了歯に数えてよいか。
A1 他院での治療終了歯や、シーラントも終了歯に数えます。
こちら、2013年の回答(ネット上で簡単に拾える物を一例としました)ですから今は年齢が上がり0歳以上16歳未満に適用拡大されています。う蝕多発傾向者とは、0から4歳 乳歯で1本以上。 5から7歳 乳歯3本以上 or 永久歯1本以上。 8から10歳 永久歯2本以上。11から12歳 永久歯3本以上の歯冠修復終了歯がある人。
これによればそもそもシーラントは予防処置ですからシーラント部含めた治療終了歯で良いというのですからシーラントをきちんとしてもらっておけばフッ素塗布も保険でしてもらえる可能性が高くなり予防の比重はより高くなりますね。
各自治体から子どもの保険治療費の支援もあるはずですから虫歯予防が大切な小児期の歯科受診を利用しないのはもったいないですね。親御さんはお子さんを頑張って歯科受診させてください。
Q3 歯科疾患管理料(歯管)を算定した日の次の日にフッ化物塗布を行い、F局80点(以後、点数変更あり)を保険請求したが返戻された。なぜか。
A3 F局は、歯管の加算点数ですので、歯管と別の日に加算点数のみの算定はできません。ご注意ください。
(そもそも歯管を取っていなければ適用外、また、2回目以後の算定には細かい期間ルールがある為、一々チェックが大変になるので3ヶ月に一度と言われる事が多くなるでしょう。これが、か強診になるとCeがあれば毎月算定可能なので毎月来ても良いですよと言われるので保険で予防がしやすくなるのです。ただし保険診療の算定要件は2%濃度の歯科向けのものを使用した場合です。そもそもCeもないならば歯科医院に保険を過度に使って定期的に虫歯管理だけで通院する必要はないでしょう。また、歯科医院によるでしょうが、汚い歯面にフッ素塗布をするより綺麗にした後フッ素塗布した方が効果的と考えれば塗布前に歯磨きか、機械的歯面研磨をしてくれるでしょう。それが保険算定されているか?は、算定要件に合致していなければ算定はできません)
Q4 う蝕多発傾向ではない13歳未満のう蝕患者(これが今回の保険改定で16歳未満になった)に対して継続的な指導管理を行い、フッ素塗布を行った場合、自費で徴収してよいか。
A4 「C選療」として費用を厚生局に事前に登録が必要。院内掲示も必要。
Q5 まったくう蝕や病名がつかず、歯冠修復終了歯もない患者に対して、予防的にフッ素塗布を行った場合は、保険請求ができないのでまるまる自費で徴収してよいか。
A5 自費のみとなります。
とあります。
地方により解釈運用が異なる可能性がありますから、正しくお知りになりたい場合は、柴田先生の回答にあるように地方厚生局か、加入している保険組合に問い合わせいただく事になるように思います。
また、別のネットから拾える最近のものから引用すると、
フッ化物歯面塗布処置の対象となる患者さんは、以下の通りです。
@う蝕多発傾向者(年齢は既出)
A初期の根面う蝕に罹患している(在宅等で療養を行っている通院困難な方、または、
65歳以上)
Bエナメル質初期う蝕に罹患している
それに対して、フッ化物洗口指導加算は @ の患者さんのみ、エナメル質初期う蝕管理加算は B の患者さんのみに適用されます。また、エナメル質初期う蝕管理加算はかかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所(以下、か強診)でないと算定できないことも大きな特徴です。
(Ce管理は年齢制限はない)
〉フッ素塗布の保険適用については、私自身、保険で受けております。また、ネット上の歯科医院HPでも大人のフッ素塗布を保険適用で行っている記述を見かけます。なので、15歳が保険適用の上限、というのはどうなんでしょうか??
それは、保険算定されていますか?算定要件外なのに算定していた場合、保険組合から算定不可と返戻があるはずではないでしょうか?返戻があれば保険が歯科医院に入りませんから素直に説明したら10割負担になりますね。
つまり、お受けになっているフッ素塗布は歯科医院がサービス(オマケの無料)で行ってくれているのではないでしょうか?特に低濃度の歯科医院で販売されているものの場合はオマケでという事になりますね。そういう歯科医院は案外地方には沢山ありそうです。保険診療で赤字になっていないのでしょう。(人件費、地代等エリアによりかなりの差が有るのに全国一律の保険料ですからサービス内容に違いが生じてしまう方が当たり前のような気がします。国も自治体も歯科医院に赤字の補填はしてくれませんからね)
PMTCも同じように、保険算定されずにサービス(無料)で行うならば何ら問題ないように思います。診療所には一定のサービス提供の差別化は許されているように思います。
ただ、自費では全く別物のグレードでされる場合がほとんどではないか?と想像します。それぞれの歯科医院が研鑽を積み健康維持増進予防目的だけで喜んで定期的に自費で来院いただけるようになる為にはかなり工夫しているように想像します。
歯科医院にも自費レベルの医療サービスを提供できる歯科医院になる為に様々な高額セミナーの案内が来ます。
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回答7 |
森川 2023/11/13(Mon) 15:57
>@フッ素塗布はCO以上(脱灰以上)のむし歯が1本でもあれば、(または年齢に合わせ、むし歯に対する既定の歯冠修復歯があれば)保険適用で受けられる。ただし、条件に該当する場合でもフッ素塗布の年齢の上限は15歳まで。
フッ化物歯面塗布処置には2種類あります。
1.う蝕多発傾向者への処置
この場合年齢に応じた処置歯数の条件(=う蝕多発傾向の条件)があり、適応年齢は0歳から15歳です。
2.エナメル質初期う蝕への処置
病名はCe(COは学校歯科健診用です。)となりいまのところ年齢制限はありません。(うちの場合は高校生までは請求出してますが、返戻されたことはありません。都道府県によって見解が異なる可能性が十分あります。)
保険請求できるのが上記の2通りであって、フッ化物塗布自体を請求しない(=再診料に含める)のであれば年齢制限はありません。
あと、自費で請求できるパターンでC選療というのがありますが、説明が複雑になるので省略します。
ABはまた時間のある時に回答させていただきます。
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返信2 |
saian1 2023/11/15(Wed) 14:31
先生方、ご回答をくださりありがとうございます。
ご返信内容を読ませていただきました。
@フッ素塗布はう蝕多発傾向者およびエナメル質初期う蝕への処置の2通りに限り、保険を適用できる。
ただし、歯科医院によっては上記2通りに当てはまらない患者に対して「サービス」としてフッ素塗布を行っているケースが少なくない(私のかかりつけの歯科もおそらくその可能性があるかと思われます)。
Aの
「予防目的の歯のクリーニングは保険適用で行えるのか」
についてはご回答が複数あるため、ご返信についてはまだ保留とさせていただきます。
Bの
「か強診」でなければ、予防処置(予防目的の検診&歯のクリーニング)を保険適用で行えないのか」
についても未回答のため、ご返信については保留とさせていただきます。
>厚生局に直接尋ねる
上記の質問について地方の厚生局or厚生労働省本局に質問してみようかと思います。アドバイスをくださりありがとうございます。
お忙しい中、ご回答をくださりありがとうございます。
お手すきの際でかまいませんので、また、ご回答・ご見解をいただければ幸いです。
ひきつづき、どうぞよろしくお願いいたします。
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回答8 |
森川 2023/11/15(Wed) 17:43
>Aわずかでも歯に歯石が付着していれば、保険適用で歯のクリーニング(PTC)を行える。ただし、機械的歯面清掃(PMTC)は歯石が付着しているだけでは保険適用は不可。PMTCを保険適用で行うためにはむし歯や歯周病などにかかっている必要がある。
理論的にはそうかもしれませんが、現実的に歯石が付着しているにもかかわらず歯肉炎の兆候がまったくみられないというのは非常に稀です。
うちは小児歯科なので低年齢の子は機械的紙面清掃自体にあまり意味がないと個人的に歯考えますので行いませんが、非常に特殊なケースかと思います。
>B「か強診」、それ以外の歯科医院にかかわらず、どの歯科医院でも予防処置が行える。
(2020年の診療報酬改定により、それまでは禁じられていた予防処置がどの歯科医院でも行えるようになった)
保険診療で行われるのは予防ではなくてメインテナンス(維持管理)で、20年以上前から導入されてます。ただ、予防で行われる処置とメインテナンスで行われる処置が同じなため予防処置が行えるようになったと解釈されているのかと思います。
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返信3 |
saian1 2023/11/20(Mon) 19:17
森川先生、ご返信くださりありがとうございます。
ご回答を拝見させていただきました。
ご回答を拝見させていただいた上で、質問があります。
@日本の法律では予防目的の医療行為には保険を適用できない。
A歯科医院で保険診療で行うのは「予防」ではなく、「維持管理(メインテナンス)」。
B@の法律が存在するため、いまだに、日本の歯科医療では予防ではなく、「維持管理」という名目でむし歯・歯周病予防を保険診療で行っている。
歯石が少しでもついていれば保険で歯のクリーニングを行える、という事から見て取れるように、「歯周病の維持管理」という≪名目≫で実質的なむし歯・歯周病予防を行っている、のが日本の保険の歯科医療なのでしょうか?
以前は「歯周病治療の一環」(という名目でむし歯・歯周病予防を行っていた)のが、2020年の診療報酬改定により治療の一環ではなく、「歯周病治療の維持管理(歯周安定期治療)」に“限り”、保険診療で歯のクリーニングを行えるようになっただけ、ということでしょうか?つまり、現在も日本の歯科医療では予防目的での歯のクリーニングは行えない(法律上は)ということでしょうか?
上記について、お時間があるときにでもご返信いただければ幸いです。
どうぞよろしくお願いいたします。
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回答9 |
森川 2023/11/20(Mon) 22:06
個人的には、saian1さんの解釈でよろしいかと思います。
あと現状で、組合にもよりますが、(当然、純粋に予防の範疇である)予防接種の全額補助をしてくれるところもありますし、人間ドックの補助をしてくれるところもあります。
今後は、学生生徒では義務となっている歯科健診を企業にも義務付ける方向で厚労省も動いているようですし、それに付随して(健康保険が使えないなら別の方法で)予防処置を受けられる範囲は広がっていくものと思われます。
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返信4 |
saian1 2023/11/27(Mon) 02:13
森川先生、お忙しい中ご返信くださりありがとうございます。
>個人的には、saian1さんの解釈でよろしいかと思います。
2020年の診療報酬改定により、日本でも歯科医療で予防に保険を適用できるようになったと早とちりしておりました。
>今後は、学生生徒では義務となっている歯科健診を企業にも義務付ける方向で厚労省も動いているようですし、それに付随して(健康保険が使えないなら別の方法で)予防処置を受けられる範囲は広がっていくものと思われます。
森川先生のご指摘のとおり、ネット上でも、今後、日本でも保険で予防処置を受けられる(その方が医療費を減らすことができ、国民の歯の健康をより守りやすくなる?)ようになるのでは、という意見が見られます。
大変、勉強になりました。
この度はご回答くださり、ありがとうございました。
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