根の薬(根管充填材)が、根の先まで入っていない場合、再治療は必要?

相談者: ソウタさん (29歳:男性)
投稿日時:2008-04-22 09:42:34
こんにちは。

以前下6番で質問させていただきました。

歯の神経をとった後、コアの型取りを終えたところです。
レントゲンをそのとき撮ったのですが、見た所、根の先は薬が入っていません。

先生に、「この先っぽの方まで入ってなくていいのですか?」と聞くと、「大丈夫です」とのこと。

上が薬で蓋されていればよい、ということです。

そこで質問ですが、このサイトをみていると、やはり先まで薬が入っていることが望ましいと思うのですが、

その先生が言っているのは、歯科大や、学校でそのような教えがされているのでしょうか?一般的な見解なのでしょうか?

やはり、治療をしていただいている以上、悪意(というかほんとはだめなことを知っているけど、うそをついている)があるのか、

本当に知らないのか、というのは信頼関係上重要です。

開業医で、根まで薬を入れなければいけないということを、常識としないということはありえますか?

治療とは少しずれた質問ですみませんがよろしくおねがいします。


回答 回答1
  • 回答者
回答日時:2008-04-22 12:53:35
>そこで質問ですが、このサイトをみていると、やはり先まで薬が入っていることが望ましいと思うのですが

どのくらいまで薬が入っていたか覚えていますか?

実際の根端孔が根尖と一致していない事は多々あるので「ドンピシャ!」で入っていなくても大丈夫な事はあります。

また、レントゲン写真も完全に根っこと平行にX線が投影されているとは限りませんので、そこにも誤差は生じます。

僕の中ではレントゲン的に見て根尖からアンダー2mmくらいまでなら「良し」とする事が多いです。

実際にCTで確認してみても根尖と根端孔が一致していないケースもあり「だいたい信用しても良いかな?」と言う感じです(全てがそうとは言い切れませんが)。

ですから、

ドンピシャ〜約1mmアンダー=ベリーグッド
〜2mmアンダー=グッド
もっとアンダー=やり直し

と言う感覚です。


しかし、これは確実に根尖までリーマーが通っている場合の話です。

生まれつき細い根管や石灰化や狭窄と言ってリーマーが通らない根管もあります(僕も年に数ケースはあります)。

その場合、無理して根管をいじっていると「リーマー破折」をおこしたり、「パーフォレーション」と言って関係ないところに穴を開けてしまったりします。

そうなると最悪「抜歯」になることもあります。

ですから、開かない根管へのアプローチはある意味「引き際」も肝心です。

その場合、開いているところまでもしっかり消毒し、再感染させない事が重要です。


ソウタさんがどのようなケースに当てはまるかはわかりませんが「根まで薬を入れなければいけない」と言う事にこだわりすぎてしまう事は後々不幸を呼ぶことにも繋がりかねません。

担当の先生が信頼できる先生であれば、先生の「大丈夫です」と言う言葉を信じても良いのでは無いかと思いますがいかがでしょうか?

どうしても心配であれば根管治療の得意な先生のところでセカンドオピニオンを求められるのもテだとは思いますが‥。

回答 回答2
  • 回答者
回答日時:2008-04-22 13:14:57
一応、根の先端から2ミリ手前まで薬(というか、樹液なんですがね、本当は)が入っていればOKです。

根の治療と言うのは、根管充填よりもその前の段階の根管貼薬などで全て決まります。

厳密には根管充填で予後が大きく変わるわけではありません。

回答 回答3
  • 回答者
回答日時:2008-04-22 14:44:04
私はどんぴしゃあるいはオーバーでないとやり直しています。

やはり根尖部分にデッドスペースがあるのは気持ちが悪いです。

ただ私の症例で1ケースだけですが、右上の5番に根尖病巣(恐らく歯根膿胞)があって根尖まで根管形成ができずにやむなく根管充填をしたところ、2年弱で根尖病巣が消失したものがあります。

この方は私の医院のスタッフなので、根切もせずこのように予後のレントゲンを撮ることができた症例です、通常根切をします。

画像1 平成7年1月25日 根管充填直後のレントゲン

画像2 平成9年3月11日のレントゲン、根尖病巣が消失していた

抜髄(根管充填)
http://www.yamadashika.jp/infection02.html

感染根管治療
http://www.yamadashika.jp/infection.html

画像1画像1 画像2画像2

相談者からの返信 相談者からの返信
相談者: ソウタさん
返信日時:2008-04-22 21:15:51
回答、ありがとうございます!


タイヨウ先生、

>どのくらいまで薬が入っていたか覚えていますか?

ちょうど半分くらいは薬が入っていました。真ん中あたりから 下半分は空洞(レントゲンで黒く写っていました)です。

他の根にはおそらく先の方まで入っていました。



タカタ先生、

>厳密には根管充填で予後が大きく変わるわけではありません

そうなんですね!

ラバーダムは使用せず、神経を抜いた後もうがいをしたりで、不安材料はたっぷりです。



山田先生、

>やはり根尖部分にデッドスペースがあるのは気持ちが悪いです。

やはり、そうですよね。



最初の処置は、不適切でも、根の先までの充填にこだわったら少しはましなのでしょうか。

半分くらいしか入っていないのは、あまりにもリスクが高いのでしょうか?

しつこくてすみませんが、
今一度ご回答お願いいたします。
回答 回答4
  • 回答者
回答日時:2008-04-22 21:22:26
教科書的には根尖0.5mm手前まで根管形成をして、アピカルシートを作り、根管形成した所まで根管充填する、ということになるでしょう。

根が曲がっていたり、狭窄していれば大変な時間と労力が必要です。

しょうがないです、根管治療はそういうものと考えています。

回答 回答5
  • 回答者
回答日時:2008-04-23 12:18:03
横から失礼します。

>最初の処置は、不適切でも、根の先までの充填にこだわったら少しはましなのでしょうか。

逆ですね。

根管充填の質(長さや密度)は、成功率とある程度の相関はあるのですが、重要度はとても低いです。

あくまで処置全体の枝葉の話であって、根管治療の目的は

・可能な限り無菌に近い状況にすること
・再感染しない様にすること

のふたつです。
言い換えると、

・無菌的(少しでも無菌に近い状態で、と言う意味です)に処置を行い、出来るだけしっかり消毒すること

・しっかりと封鎖すること

です。



ソウタさんの場合、今回初めて神経を抜かれた様ですから(抜髄、初回治療と言います)、根管の中は元々ほぼ無菌です。

ですから、厳密に無菌状態での処置がもしも可能だったら(※現実には不可能ですが)、消毒もせず、根管充填はしなくても蓋さえきちんとすれば全く問題ありません。

実際には少々の細菌感染は残っても、身体の免疫力も強いですから、どんな処置方法でもうまく行くことは多々あります。



抜髄がもしも一度失敗して、根尖病変を作ってしまうと(感染根管・再治療)、根管の中(アリの巣みたいな形を想像して下さい。単純な形ではないです)では複雑でしつこい細菌感染を引き起こしてしまいます。

ですから初回治療の成功率が約90%に対して、再治療では約60-70%(※欧米の専門医が行って、です)に下がってしまう訳です。

参考⇒根管治療TOP



今回、根管充填の長さを気にされている様ですが、根管治療の成功のために根管充填の質(長さや密度)を最重要視していたのは70年代とか、たぶんその頃までだったと思いますよ。

因みに疫学的には、オーバーや根の長さちょうど(※解剖学的には実質オーバー)よりは、やや短め〜短めの方が良さそうな傾向はある様です。


●代表的な疫学調査記録

[Endodontic treatment and periapical state. I,?. Radiographic study of frequency of endodontically treated teeth and frequency of periapical lesions]

Bergenholtz G, Malmcrona E, Milthon R.
Tandlakartidningen. 1973 Jan;65(2):64-73. , Mar 1;65(5):269-79. より
(No abstract available. )

他院で根管充填されて、根尖病変が発現した1000本のの根管充填の質を記録したところ、そのうちの割合は

根管充填が  高密度  ぼそぼそ
2mm以上短い 24%   27%
2mm以内短い 12%   23%
0mm     25%   47%
飛び出してる 27%   55%  (※数値が小さいほど良い)


Prevalence of previous endodontic treatment, technical standard and occurrence of periapical lesions in a randomly selected adult, general population.
Odesjö B, Helldén L, Salonen L, Langeland K.
Endod Dent Traumatol. 1990 Dec;6(6):265-72.
文献はこちら

より、

ある地方で無作為に選ばれた920人、1876本の歯を調査
根尖病変の発現割合は、

根管充填が     高密度  ぼそぼそ
2mm以上短い    17%   23%
2mm以内短い    13%   15%
0mm〜飛び出してる 56%   47%  (※数値が小さいほど良い)


ですからソウタさんの場合、「根管充填の質」だけを見れば、一般的に言えば(重要度は高くはないですが)悪くはないと思いますよ。

・・と、そう言った訳で、現在では上述の様な根拠から、「良いに越したことはないけれど、それほど重要な要素ではない」と言う捉えられ方が一般的かと思います。



もしも仮に捉え方を誤って、ソウタさんが現在の医院で再根管充填をお願いしたとすると・・・

せっかくもしかしたら根管の中に大した量の細菌が残っていなかったとしても、治療中にまたうがいをしたりして、更に増える可能性があります。

更には無理やり根っこの先まで充填を試みてもらった為に、根っこの余計な方向に穴をあけてしまったり(パーフォレーション)、汚れを根っこの外にまで押し出してしまって、再根管治療が不可能になってしまう危険さえあります。



今回大事な歯の神経を抜くことになってしまい、少しでも良い治療を受けたい、と言う気持ちはあるかと思いますし大変理解できるのですが、日本の健康保険歯学部教育の現状から考えれば、ソウタさんが受けられた処置は平均的と言わざるを得ません。

例えばラバーダムは赤字覚悟でないと出来ませんし、無菌的処置の重要性は歯医者自身もあまり自覚していないと言うのが現状です。
担当の先生の言動も、悪意は全くないと思いますよ。

抜髄処置と言えども、欧米の専門医の様な内容で教科書通りに行えば1回のアポイントが1時間〜2時間はかかりますし、費用も海外だと5万円〜20万円とか、それぐらいはかかると思います。

厳しい書き方になってしまうかも知れませんが、今回受けられた処置は値段なりのものですし、根管充填が気に入らないからと言って似た内容の再治療を求めるとしたら、それはかえってリスクが高くなるだけだと私は思いますよ。


うーん・・書こうか迷ったんですが・・書いちゃいました^^;
ご参考までに。

相談者からの返信 相談者からの返信
相談者: ソウタさん
返信日時:2008-04-24 09:46:38
返答ありがとうございました!!

とっても納得しました。

このHPをみてから、不安が増大して、くよくよしていましたが、前向きな気持ちになりました。



>厳しい書き方になってしまうかも知れませんが、今回受けられた処置は値段なりのものですし、

そのとおりです。
そうなんですよね〜、わかってはいるのに、疑いばかり持ってしまって。

先生をいまさら変えようとまでは思ってなかったのですが、再度、『根の先まで充填して欲しい』と伝えたほうが良いのかでとっても迷っていたので、いろいろデーターを書いてくださって、本とに迷いが消えました。(^o^)

ホッとして、一人で泣けてきました。

これからは免疫を高めるように、体にムリをかけないよう、楽しく生活していきたいです。

なにしろ、最近ストレスが(人間関係)ひどくって、気も病んでいました。


このHPや、本などをみると、一般の町医者との付き合い方は、どうすればいいのかなと、良い治療は、確かに後のことを考えると、高くないのかもしれません。

しかし、田舎の人や、お金や、いろんな事情で、高度な医療を皆が受けられるわけではありません。

でも、そういう人にもちゃんと答えてくださるのだなぁと、感動しました。

ありがとうございました!!!



タイトル 根の薬(根管充填材)が、根の先まで入っていない場合、再治療は必要?
質問者 ソウタさん
地域 非公開
年齢 29歳
性別 男性
職業 非公開
カテゴリ 根管治療の治療法
根管治療の失敗・再治療
根管治療関連
根管充填
回答者




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