回答 回答1
  • 回答者
湯浅です。
回答日時:2008-10-22 20:04:53
湯浅です。

親知らず抜歯後 (感染防止用)薬の服用について」

で宿題がでてました(^^)。

すでに、遅くなってますが。



ネオステリングリーン:海外でまったく使われていませんので、僕も、使っていません。


イソジンガーグル:これも、海外で、ほとんど使われてませんので、研究が、少ししかありません。


グルコン酸クロルヘキシジン:海外では、0.12%で使われてます。
しかし、日本では、0.05%をさらに薄めたものなので、効果は、不明です。

これは、感染予防というより、ドライソケット予防に効果があるという報告があったと思います。

しかし、多くの海外の施設で、抜歯後でなく、抜歯前に、グルコン酸クロルヘキシジンでのうがいが推奨されています。
当方でも、0.05%未満ですが、抜歯前に、なるべく使っています(外来ですと、使えないことも多いです)。



そもそも、親知らずの抜歯後感染の頻度が少ないので、うがい薬を使った群と使わなかった群との差がないため、研究そのものが成立しません。

よって、1回のうがいが1000円ぐらいで、確実に使われるという事でない限り、臨床試験ができません。
よって、今後も不可能です。



さて、消毒剤によって、創部の治癒が遅れるかどうかですね。

これに関しては、有名なサイト

http://www.wound-treatment.jp/

があります。


僕も顔の口唇とオトガイ部以外の切り傷は、このサイトに準じて行っています。

ここによると、創部の消毒は、必要ないというか、害となっています。


そこで、臨床研究を調べると、創部の湿潤についてはあるものの、消毒をすると害で治癒が遅れるという論文は、みつかりませんでした(2年前の湯浅の検索)。

もっとも、大きな傷では、もともと、生理食塩水とブラシ(歯ブラシなど)で、しっかりと洗浄して、壊死部を除去、死腔を作らない、または、2次治癒とすることが重要ですので、消毒剤の効果は、それほど言われてませんでした。


また、口腔内で、歯科医師による、抜歯後の1〜2回の消毒で細菌が除外されるとは、思えません。
それに、強い消毒剤は、使えないし。

よって、利益も害もないような気がしています(想像)。
まあ、強酸性水への期待も、まだありますが。


しかし、

【裁判長は「敗血症は汚染されたカテーテルによる感染が原因と考えるのが合理的」とし、病院が消毒などを徹底していれば発症を防げたと指摘。

「発症後もカテーテルを除去し、適切な呼吸管理などを行っていれば病死を防ぐことができた」と病院の過失を認め、県に1億2600万円の支払いを命じ、県側が控訴していた。 】

などの記事もあります。

よって、現状で、まったく、消毒しないというのは、消毒しない理由を説明して、その同意を文書で得なければなりません。

そんな面倒なことをするぐらいなら、消毒したほうが良いです。もちろん、この時に、消毒剤が、苦くないと、これまた、これは、苦くない消毒剤ですが、効果は・・・と説明しないと、不信感を持たれますので、苦い方が、良いということになります。



もともと、感染の発生率は低いので、消毒剤で発生率が変わることはありません。
創部の治癒が遅れるというほど、消毒剤で組織の細胞が死滅する濃度でもありません。

しかし、社会通念上、苦い味のする消毒剤で、抜歯後に、1〜2回の消毒をしないと、いろいろな問題?が生じるということになります。

回答 回答2
  • 回答者
回答日時:2008-10-22 21:20:49
湯浅先生、ありがとうございます。


消毒と「傷の治り」の関係については実際のところはどうなのか?

私もいまいちよく分からず、気になっていたので分かりやすいまとめで勉強になりました^^

迷いながら書いてた過去の回答もチェックしましたが・・

イソジンによる、歯の着色について

親知らず抜歯後、何日ぐらい消毒や経過観察で歯科医院に行くのですか?


↑一応訂正なしで良さそうでした、ふぅ^^



口腔内で、歯科医師による、抜歯後の1〜2回の消毒で細菌が除外されるとは、思えません。
>それに、強い消毒剤は、使えないし。
>よって、利益も害もないような気がしています(想像)。
>まあ、強酸性水への期待も、まだありますが。

同感です。

回答 回答3
  • 回答者
回答日時:2008-10-23 10:33:31
湯浅先生ありがとうございます。

面白いサイトですね。勉強になります。


渡辺先生同様

口腔内で、歯科医師による、抜歯後の1〜2回の消毒で細菌が除外されるとは、思えません。
>それに、強い消毒剤は、使えないし。
>よって、利益も害もないような気がしています(想像)。
>まあ、強酸性水への期待も、まだありますが。

同感です。


>しかし、社会通念上、苦い味のする消毒剤で、抜歯後に、1〜2回の消毒をしないと、いろいろな問題?が生じるということになります。

面白い解釈ですね。
是非、今日からの臨床に役立てたいと思います。

ありがとうございました。 




タイトル 親知らず抜歯後、(感染防止用の)うがい・消毒について
質問者 湯浅 秀道さん
地域  
年齢 44歳
性別 男性
職業  
カテゴリ 抜歯:8番(第三大臼歯、親知らず)
親知らずの抜歯
親知らずその他
口腔外科関連
回答者




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