ハイブリッドセラミック・クラウンの問題点は何でしょうか

相談者: ともやんさん (50歳:男性)
投稿日時:2008-12-24 23:30:22
先日に続いて連続の質問で恐縮ですが、よろしくお願いいたします。

参考:前回の相談
パラジウム合金による金属アレルギーの発症率は?


その後、クラウンに何を使うかについて決めることになりました。

歯チャンネルの説明を読ませていただき、アレルギー審美性などの点でセラミック系がよいように思われました。

値段のを聞きしますと、ハイブリッドでは38000円ほど、セラミックですと80000円ほどということでしたので、ハイブリッドセラミックが、コストパフォーマンスがよいように思えました。


そこで、先生に伺ってみたところ、

「ハイブリッドは中途半端な素材なので、自分なら使ってもらわない」

とのご意見でした。
どのように「中途半端」なのかなどはお聞きしたのですが、

「割れることがあるし・・・。」

というように言葉を濁されて、はっきりしたお答えはいただけませんでした。

やはりハイブリッドセラミックは欠点の多い素材なのでしょうか。


ご意見をいただければ幸いです。


回答 回答1
  • 回答者
回答日時:2008-12-25 00:15:50
こんにちは。

結局パラジウムは避けることにされたのですね。


ハイブリッドについては、私も担当の先生と同じ印象を持っていますね。
歯科材料は年々進歩してますので将来は分かりませんが、今のところは『高級な仮歯』ぐらいの位置づけで考えてます。

ハイブリッドセラミックは、実質レジン(仮歯と同じ)です。

ですから割れる、かける、変色する、プラークが付着しやすい、適合精度が悪い、接着がうまくいかないことが多い・・などの問題が起きやすい"傾向"はあるかと思います。

メーカーや使用法、咬み合わせなどにもよるのでしょうが、私が2年前に製作したハイブリッドセラミックのブリッジ(左右臼歯部、40代男性)なんかは、先日久しぶりに来院されて拝見したところ、パキパキのペキペキに割れてまして・・



とは言えセラミック系と比べれば非常にコストが安く抑えられるのは確かに大きな魅力ですので、5年か10年ごとには交換すると割り切れるのならありだと思いますよ。

細かく症例を選んで、相当に手間をかけて製作し、きちんとメインテナンスに通ってもらえるなら結構「使える」場合もあるとは思います。

例えばこのサイトでもタイヨウ先生は非常に多用されてますし、トラブルはほとんどないそうです。

つまり材料の特性を知り尽くして、かける手間をかけ尽くして下さる先生なら何でもありだと思いますが、文面からは(ハイブリッドに関しては)そういう先生でもなさそうですよね。

価格的にもあまり手間はかけられなさそうな印象は・・なんとなく受けてしまいます。



とりあえず材料の良し悪しはともかくとしても、担当の先生が勧めない材料をごり押しはされない方が賢明かと思いますよ。

いつも書くのですが、材料よりも先生選びの方が重要です。
同じ先生であれば、その先生のお勧めする方法がベターでしょう。


どうしてもハイブリッドセラミックが良い場合は、ハイブリッドセラミックが得意そうな先生を頑張って探された方が良いかと思いますよ。

回答 回答2
  • 回答者
回答日時:2008-12-25 05:44:37
ともやんさまおはようございます。

コストパフォーマンスを考えて、修復にハイブリッドセラミックを考えていらっしゃるようですね。

基本的には私も渡辺先生と同じように考えています、症例を選んで使えばそれなりにいい結果をもたらします。

コストを優先して症例を誤ると咬耗して金属が露出してしまったり、ハイブリッドセラミックがはがれてしまうような経験をしたことがあります。


リスクを知り慎重に症例を選んで作る分にはいいと思います、参考になさってください。

回答 回答3
  • 回答者
回答日時:2008-12-25 08:56:12
>メーカーや使用法、咬み合わせなどにもよるのでしょうが、私が2年前に製作したハイブリッドセラミックブリッジ(左右臼歯部、40代男性)なんかは、先日久しぶりに来院されて拝見したところ、パキパキのペキペキに割れてまして・・

いい材料だと思っていますがこれがあるんですよね・・・

もともと、ノンメタル(金属を使わない)で開発されていますから、金属との相性があまりよくないようです。


>細かく症例を選んで、相当に手間をかけて製作し、きちんとメインテナンスに通ってもらえるなら結構「使える」場合もあるとは思います。

この言葉に集約されています。

回答 回答4
  • 回答者
回答日時:2008-12-25 09:24:43
ハイブリッドは、オールハイブリッドって事でしょうか??
それとも、前装冠のようなメタルの裏打ちがあってのハイブリッドの話でしょうか??

それによって、リスク等は変わってくると思います。


お答えしている先生は、全員オールハイブリッドでお話しされているようです。
僕は、てっきり金属の裏打ちのあるハイブリッドについてだと思ってしまいました。

回答 回答5
  • 回答者
回答日時:2008-12-25 09:42:11
はい。
ハイブリッド大好きのタイヨウです。


先日、渡辺先生がウチのオフィスに遊びに来られた時にディスカッションしたのですが、僕も以前は手放しで「ハイブリッドいいよ〜」と言っていたのですが、どうもそうでは無いと‥。


ハイブリッドセラミックスは担当の先生がおっしゃられているように「非常に中途半端な材料」であると思います。

しかし、渡辺先生、山田先生がお書きのように「適応症を選ぶ」「材料の特性を生かす工夫」が必要です。

特に「特性を生かす工夫」が重要なのではないかと‥。


例えば、考え方としてはインレーメタルインレー修復の延長と考えると失敗します。

レジン充填の延長線上にハイブリッドセラミックスインレーがあると考えて前処理を行う必要があります。
具体的に言えば「レジンベースが必須」と言う事ですね。

クラウンに関しても同様で「レジンベースが必須」であり「極度のブラキサーには使用しない」と言う考えです。


僕は修復処置のほとんど全てをハイブリッドセラミックスで行いますが、年に数ケースは割れてきます。

女性の場合は(咬合力があまり強くないので)心配する事は無いのですが、男性の大臼歯に応用する場合には事前に「割れる事がある」と言う事は伝えます。

もし、半年〜1年で割れてくる場合にはハイブリッドセラミックスは諦めて「ゴールドでの作り直し」をお勧めしています。


インレーでもクラウンでも接着操作はメタル修復以上にシビアに行う必要があります。



また

「5年か10年ごとには交換すると割り切れるのならありだと思いますよ。」

これも大切な事です。
ハイブリッドセラミックスと言うものが世に出てからまだ10年しか経っていません。
20年持つ保証はどこにもありません。

僕も患者さんには「5〜10年で作りかえる可能性があります」とは必ず伝えます。

ただ、それはデメリットとしてではなく「5年後、10年後のあなたのお口の中の環境変化を考慮して、その時のお口に合ったものに作り替える必要があるかも」と言う事です。


セラミックスポーセレン)は色は変わりませんし、擦り減りも少ないです。
しかし、天然のは年々、色が変わります。
周りの歯はくすんでいるのにポーセレンだけ真っ白‥と言うのはちょっとねぇ。

また、筋肉の衰えや咬耗とともに咬み合わせも微妙に変化します。

10年間咬み合わせが全く変わらない‥と言う事は‥?ですよね。


と。




渡辺先生の書かれている

「とりあえず材料の良し悪しはともかくとしても、担当の先生が勧めない材料をごり押しはされない方が賢明」

だと思いますよ。

回答 回答6
  • 回答者
回答日時:2008-12-25 21:31:26
中途半端言っている井野です^^;

>値段のを聞きしますと、ハイブリッドでは38000円ほど、セラミックですと80000円ほどということでしたので、ハイブリッドセラミックが、コストパフォーマンスがよいように思えました。

比べる対象物は口の中に入っている期間・時間でも見る必要があります。


レジンの寿命はセラミックに比べ短いので、やり代えの期間は間違いなくレジンの方が早く来ます。

セラミック自体は劣化しませんが、ハイブリット(レジン)は目に見えて劣化・変色します。
5年もって38000円
10年もって80000円

また、被せ物と言えど何回もやり代えの利くものではありません。
うまくいって3〜4回で打ち止めです。

抜歯になった場合、インプラントを選択すると30〜40万の費用がさらにかかります。

歯科治療全般に言えることですが、治療とは今ベターな方法をしておかないと、次はもっとひどい状態でスタートするわけなので更に予後の安定は悪くなります。


治療費は今で考えるのではなく、将来を見越した眼で見る必要があります。

結論を言えば、同じレベルでの治療が前提になりますが、コストパフォーマンスは確実にセラミックが上です。


注)材料選びより先生選びがほんと重要ですからね。



ハイブリットクラウンでもジャケット冠か金属の裏打ちがある前装タイプの2種類ありますが。
私がもし口の中にクラウンを入れようとするのであれば両方なしです。

なぜ私がハイブリットクラウンを勧められないかと言うと、ハイブリットクラウン、セラミッククラウン、両方とも綺麗な被せ物を作ろうとすると形成量はほぼ同じになります。


ですが、ここから違いが生まれ。
セラミックは劣化しないので(厳密には劣化していますが)見た目の問題はすぐには起こりにくいです。

ただハイブリット(レジン)は劣化していき時間が経てば、ほとんど保険のレジンと見分けがつかないようになってしまいます。

ほんと、初めの艶など数か月すれば無くなります。
カメレオン効果などで艶があるように見えるだけです。
(私の感覚ですが、たばこなどを吸われている方のレジンの変色は・・・、2年前に入れたハイブリットインレーも・・・)


3〜5年後にの色が気に入らなくて外してしまえば、数回しかやり代えの利かない歯の1回を使うことになります。




ハイブリットはインレーもあるのですが、私はハイブリットインレーはありだと思います^^

クラウンと比べインレーは何が異なるかと言うと形成量が異なります。
セラミックインレーは形成がかなりシビアで、形成量も相当大きくとらないと精度は保障できません。


ですから、

クラウンでは削る量が
セラミック≧ハイブリット(ほとんど同じぐらいです)

インレーでは、
セラミック>>ハイブリット

となります。

また私の感覚ですが、セラミックインレーの方がハイブリットインレーに比べ気をつける、守るべき点が多く、テクニカルエラーがどうも出やすい気がして、積極的にセラミックインレーを勧める気にはなれません。

(もう少し腕が上がれば言うことが変わってくるかもしれませんが、今の私の技術ではハイブリットインレーに軍配があがります)


レベルの高い先生がどのようにお感じになられているかは知りませんが、少なくとも一般的な歯科医師の私と私の技工物を作ってくれる技工士はこのような感想をもっています。

インレーはやり代えるたびにインレーの面積は大きくなります、ですから十分な形成量のセラミックインレーを入れると次はアンレーorクラウンとなります。


ハイブリットインレーを入れて数年〜10年後、変色などが気になればその時に少し大きく削ってセラミックインレーをいれる選択肢が残せるところに、ハイブリットインレーはメリットがあると思います。

先生によっては初めからきっちりとしたセラミックインレーを入れて、それを長持ちさせると言う考え方をお持ちの先生もいます。
これはこれで1つの考え方です。


私の治療コンセプトは少しでも歯を口の中に保存させる、その為の材料選択であり、奇麗に見せる為に歯の寿命を犠牲にするような治療を行いたくありません。

歯は一度削れば再製のサイクルに入ります、必ずやり代えの時期は来ます。

ただし、次の再製までの期間を長くすることも出来ますし、次の再製時の治療のことも考えた配慮も行うことができます。
こうすることで歯を延命&延命させ結果、自分の歯を長く保存することが出来ると思っています。


そのような面から見るとハイブリットクラウンは材質的に再製のサイクルがセラミックに比べ早いので、出来るだけ再製の期間が長くなるセラミックを進める訳です。

数年後に、保険で作った被せ物と差が出ていないと自費で治療する価値などは少ないと思います。


私の中で、保険の前装冠を1点、きっちり作ったセラミッククラウンを10点とするとハイブリットクラウンは4点ぐらいの感覚です^^;


*またクレームが来そうで怖いですが、全て今の私の感覚・感想で書かせてもらっていますので読み流してください。
数年後全く違ったことを言っているかもしれません。
(たぶん変わらないと思いますが^^;)


コストパフォーマンスを重視するなら保険の被せ物が絶対良いです。
世界的に見ても超破格の治療費ですから^^ 
     

相談者からの返信 相談者からの返信
相談者: ともやんさん
返信日時:2008-12-25 23:00:46
多くのご意見(しかも非常に丁寧な)をいただき、誠にありがとうございます。
とても勉強になりました。

お教えいただいたハイブリッド素材のクラウンの問題点を集約しますと(おおざっぱで恐縮ですが^^;)、


適応として
1、歯ぎしりをする人には向かない。
2、男性の大臼歯だと割れやすいかもしれない。

技術的には(こちらのほかの質問のご回答も参考にしますと)
1、合わせこみをしっかりする必要がある。
2、接着をしっかりする必要がある。

審美的に(セラミックに比べ)
1、プラークがつきやすい。
2、変色しやすい。

耐久性として(セラミックに比べ)
1、摩耗しやすい。
2、割れやすい。
3、(金属で裏打ちする場合)金属からはがれやすい。



そういった問題点から、使用するなら、

1、ハイブリッド素材に慣れた先生にお願いして、
2、適応をお聞きし、
3、5−10年で作り変えの時期が来ることも覚悟しておくべき

だということのようですね。



差し支えなければ、井野先生にもう一つお聞きしたいのですが、

今回の治療は普段は見えない臼歯ばかりですので、私としては見た目としては、出来れば金属でないほうがよいのですが、大体白ければある程度の変色は構わないような気がします。

従って、クラウンの寿命としては、割れたり外れたり、あるいは二次的な虫歯がおきなければ、その間は持たせられるような気がするのです。

それでも、やはり、コストパフォーマンスは確実にセラミックが上でしょうか。

また、何回もかぶせ替えが必要になり、やがてインプラントにしなければならなくなる可能性が高いものでしょうか。


もしお時間がおありでしたら、お教えいただければ幸いです。
回答 回答7
  • 回答者
回答日時:2008-12-26 00:47:59
クラウンの寿命としては、割れたり外れたり、あるいは二次的な虫歯がおきなければ、その間は持たせられるような気がするのです。
>それでも、やはり、コストパフォーマンスは確実にセラミックが上でしょうか。

ん〜〜、たら・ればで言われると・・・^^;


こんな事を言えば、

>また、何回もかぶせ替えが必要になり、やがてインプラントにしなければならなくなる可能性が高いものでしょうか。

もし今回入れたハイブリットクラウン死ぬまで持てばインプラントは必要ないでしょうね。

と言う回答になりますよ^^;

実際長く持つかは、材質の選択より先生の腕と患者さんの日頃のメンテナンスの方が大きなウエイトを占めますね。



今年面白い論文が北海道大学から発表されています。
そこには大臼歯補綴インレーレジン、4/5冠、メタルボンドブリッジ)は咬合支持域と修復物の寿命に関連がある。

と言う論文があります。


ですから一概に口の中を見ずに、ハイブリットで大丈夫!!
セラミックの方がともやんさんに良い!!
とは言えませんよ。


先生方の意見も出ましたし、ともやんさんもハイブリットのことは十分理解されたようですから、後は先生と相談し、補償面などを聞き被せ物を選ばれたら良いのではないでしょうか。

 

相談者からの返信 相談者からの返信
相談者: ともやんさん
返信日時:2008-12-27 02:13:55
井野先生、お忙しいところを、ご返事いただきありがとうございます。


回りくどい書き方をしてしまってすみません。

クラウンの寿命としては、割れたり外れたり、あるいは二次的な虫歯がおきなければ、その間は持たせられるような気がするのです。それでも、やはり、コストパフォーマンスは確実にセラミックが上でしょうか」

と書いてしまいましたが、これは

ハイブリッドの場合、変色などの審美的な問題を気にしなくとも、割れたり外れたり、二次的な虫歯などで、長期的にはセラミックよりコストパフォーマンスが悪くなる可能性が高いでしょか」

ということをお聞きしたかったのです。


いずれにしても、やはり口の中を見られている主治医の先生と良くお話をする必要がありますね。

先生方、丁寧に教えていただきありがとうございました。



タイトル ハイブリッドセラミック・クラウンの問題点は何でしょうか
質問者 ともやんさん
地域 非公開
年齢 50歳
性別 男性
職業 非公開
カテゴリ ハイブリッドセラミッククラウン
材料・機材関連
お勧めのクラウン(被せ物・差し歯)
回答者




  • 上記書き込みの内容は、回答当時のものです。
  • 歯科医療は日々発展しますので、回答者の考え方が変わることもあります。
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