乳歯完全脱臼、母親の手で再植したその後。永久歯への影響は?
相談者:
キラキラさん (1歳:女性)
投稿日時:2010-07-22 22:53:51
先日標題の件で、乳歯右下Aの再植後の経過が悪く抜歯する際の麻酔について質問させて頂きました。
⇒参考:前回の相談「10ヵ月、乳歯が抜けて再植後経過が悪く抜歯する際の麻酔について」
その後病院へ行きましたら、歯茎の腫れが引いてきていて、グラつきも前回病院に行った時より良くなっている状況でしたので抜歯はしませんでした。
この時、脱臼→再植から2週間が経過しています。
このまま、良くなったり悪くなったりを繰り返すようなことが無ければ抜歯はしなくて良いと言って頂きました。
今の所歯茎の裂傷も腫れも悪くはなっていない様子です。
そこで、教えてください。
10ヵ月の子供が完全脱臼→再植という例が少ないとは思いますが、もし過去にそういう子供を診られた歯医者様がいらっしゃいましたらどのような経過をたどって永久歯に入れ替わったか、永久歯に影響があったかなど教えて頂けませんでしょうか。
(神経のこと、歯を支える骨のこと、再植した乳歯自体の強度などのこと、永久歯の種のことなどどんなことでもお願いします。)
また、私は今後この乳歯に関して特別にどのようなことに注意すれば良いでしょうか。
私の子供が完全脱臼した状況を記入します。
不安定なテーブルの脚につかまり立ちをして、背伸びをしてやっと届いた天板にかじりついてそのまま後ろに転びました。
転んだ衝撃は大した事はなく、テーブルが子供に乗ったりもしなかったと思います。
歯は、転んだ時ではなく転ぶ前のバランスを崩した時にすでに抜けてしまったと思います。
(泣くのが早かったので。)
歯の前面の歯茎左右Aの真ん中に縦に裂傷ができていました。
抜けた歯は15〜20分テーブルに置いていたと思います。
(テッシュで拭いたり、水道水で洗ったりはしていませんが、牛乳にも浸していません。)
その後ビニールの袋に入れ、小児歯科へ行き、歯を消毒後脱臼から2時間半後に再植しました。その日から17日経過しました。
1歳未満という年齢もあり、珍しいケースなだけにより多くの先生のご意見とご経験を教えて頂きたく存じます。
よろしくお願いいたします。
⇒参考:前回の相談「10ヵ月、乳歯が抜けて再植後経過が悪く抜歯する際の麻酔について」
その後病院へ行きましたら、歯茎の腫れが引いてきていて、グラつきも前回病院に行った時より良くなっている状況でしたので抜歯はしませんでした。
この時、脱臼→再植から2週間が経過しています。
このまま、良くなったり悪くなったりを繰り返すようなことが無ければ抜歯はしなくて良いと言って頂きました。
今の所歯茎の裂傷も腫れも悪くはなっていない様子です。
そこで、教えてください。
10ヵ月の子供が完全脱臼→再植という例が少ないとは思いますが、もし過去にそういう子供を診られた歯医者様がいらっしゃいましたらどのような経過をたどって永久歯に入れ替わったか、永久歯に影響があったかなど教えて頂けませんでしょうか。
(神経のこと、歯を支える骨のこと、再植した乳歯自体の強度などのこと、永久歯の種のことなどどんなことでもお願いします。)
また、私は今後この乳歯に関して特別にどのようなことに注意すれば良いでしょうか。
私の子供が完全脱臼した状況を記入します。
不安定なテーブルの脚につかまり立ちをして、背伸びをしてやっと届いた天板にかじりついてそのまま後ろに転びました。
転んだ衝撃は大した事はなく、テーブルが子供に乗ったりもしなかったと思います。
歯は、転んだ時ではなく転ぶ前のバランスを崩した時にすでに抜けてしまったと思います。
(泣くのが早かったので。)
歯の前面の歯茎左右Aの真ん中に縦に裂傷ができていました。
抜けた歯は15〜20分テーブルに置いていたと思います。
(テッシュで拭いたり、水道水で洗ったりはしていませんが、牛乳にも浸していません。)
その後ビニールの袋に入れ、小児歯科へ行き、歯を消毒後脱臼から2時間半後に再植しました。その日から17日経過しました。
1歳未満という年齢もあり、珍しいケースなだけにより多くの先生のご意見とご経験を教えて頂きたく存じます。
よろしくお願いいたします。
回答1
ふかみ歯科・矯正科クリニック(奈良県大和高田市)の深見です。
回答日時:2010-07-22 23:32:43
キラキラ さんこんばんは
乳児の歯の再植についてですが、神経が大きく開いており乾燥した部分の神経・歯を支える組織から死んでしまうと言われています。
2時間半が長いか短いかは状態により判断できませんが、通常歯の動きが止まっても神経が死に、歯が黒から茶に変色してきます。
1が月をめどに歯の動きの確認、神経の処置の必要性を確認し、処置後自然脱落まで経過を見ることになります。
神経の処置を行った歯の場合、歯の根っこが短く、永久歯が早く生え始めます。
小学生に上がる6歳前後が通常の交換時期です。
乳児の歯の再植についてですが、神経が大きく開いており乾燥した部分の神経・歯を支える組織から死んでしまうと言われています。
2時間半が長いか短いかは状態により判断できませんが、通常歯の動きが止まっても神経が死に、歯が黒から茶に変色してきます。
1が月をめどに歯の動きの確認、神経の処置の必要性を確認し、処置後自然脱落まで経過を見ることになります。
神経の処置を行った歯の場合、歯の根っこが短く、永久歯が早く生え始めます。
小学生に上がる6歳前後が通常の交換時期です。
回答2
回答3
藤森歯科クリニック(兵庫県西宮市)の藤森です。
回答日時:2010-07-23 10:58:03
私の場合は「乳歯の再植」の経験がありませんので、今後の予測でしかありません。
>抜けた歯は15分〜20分テーブルに置いて
(おそらく乾燥させた訳ですね)
>小児歯科へ行き、歯を消毒後
(消毒という言葉が気になります 生理食塩水での洗浄だとは思われますが)
>2時間半後に再植
以上より(以前にも回答させていただいたように)、通常の再植成功のケースとはならない可能性が高いと考えられます。
歯根膜と呼ばれる部分を欠いたまま骨(・歯茎)とくっついている状態なのでしょう。
もし今後の根管治療を上手く進められない場合には「炎症性の歯根吸収」、根管治療が奏功するか、或いは幸いにして内部からの炎症が外に及ばなければ「置換性の歯根吸収」という機転を取るものと推測されます。
後者の場合の吸収スピードは大人の場合の比ではないため(上田先生の言われる「再生能力」とは少し異なりますが、骨の改造能力が高いため)に、遅くとも永久歯が出てくるまでに根が吸収されて歯冠部分(歯茎より外の部分)が脱落しするものと思っています。
(つまり、永久歯への影響は非常に少ないではないか?と・・)
詳しい先生からの回答もお待ちください。
>抜けた歯は15分〜20分テーブルに置いて
(おそらく乾燥させた訳ですね)
>小児歯科へ行き、歯を消毒後
(消毒という言葉が気になります 生理食塩水での洗浄だとは思われますが)
>2時間半後に再植
以上より(以前にも回答させていただいたように)、通常の再植成功のケースとはならない可能性が高いと考えられます。
歯根膜と呼ばれる部分を欠いたまま骨(・歯茎)とくっついている状態なのでしょう。
もし今後の根管治療を上手く進められない場合には「炎症性の歯根吸収」、根管治療が奏功するか、或いは幸いにして内部からの炎症が外に及ばなければ「置換性の歯根吸収」という機転を取るものと推測されます。
後者の場合の吸収スピードは大人の場合の比ではないため(上田先生の言われる「再生能力」とは少し異なりますが、骨の改造能力が高いため)に、遅くとも永久歯が出てくるまでに根が吸収されて歯冠部分(歯茎より外の部分)が脱落しするものと思っています。
(つまり、永久歯への影響は非常に少ないではないか?と・・)
詳しい先生からの回答もお待ちください。
回答4
誠安・瑞石牙医診所(台湾)の王です。
回答日時:2010-07-23 19:58:06
キラキラさん
こんばんは。
私も他の先生からのコメントをずっと待っておりましたが・・・ないようなので私から私見でお答え致します。
>もし過去にそういう子供を診られた歯医者様がいらっしゃいましたら
スポーツや交通事故などによる永久歯の歯牙脱落再植は常に対応してきました。
乳歯に関しては、転落などの外傷による完全脱落、部分脱臼、打撲例を診た事がありますが、再植は予後が悪いので、これまで試みた事がありません。
ただ、個人的な経験として、外傷を受けた乳歯は初診で一見軽度と思われても、受傷数ヵ月後に変色し、根管治療をしようがしまいが、早期の歯根吸収を認めるようになって行きます。
打撲を受けただけで、その後の永久歯の萌出遅延を何例も見てきていますし。
それほど、乳歯の外傷治療成果は良くなく不安定のように思います。
>永久歯に影響があったかなど教えて頂けませんでしょうか。>>(神経のこと、歯を支える骨のこと、再植した乳歯自体の強度などのこと、永久歯の種のことなどどんなことでもお願いします。)
前回も触れましたが、外傷乳歯が継続永久歯に及ぼす影響として、
a.永久歯の萌出障害
b.永久歯胚の壊死
c.歯根屈曲や湾曲
d.歯根発育の部分的あるいは完全停止
e.エナメル質形成異常 白濁色・黄褐色への変色
等などが今までの研究報告で挙げられています。
この中で最も頻度の高い影響として、エナメル質の変色と減形成、萌出障害が報告されていて、受傷年齢が低いほど継続歯に及ぼす影響が高頻度に認められ、0〜4歳児で50%以上を超えています。
確かに、受傷時の外傷の強さや方向、年齢、治療協力度、永久歯胚の形成時期、距離や位置関係などの違いによって、保存を試みた症例も幾つか報告されていますが、永久歯胚に重度な障害を与える、又は与える可能性が高いと判断した場合は保存すべきではないと結論づけています。
今回の場合、
>歯の消毒をして頂いて、手をきれいに洗ってから麻酔なしで押し込みました。
>テッシュで拭いたり、水道水で洗ったりはしていませんが、牛乳にも浸していません。
>その後ビニールの袋に入れ、小児歯科へ行き、歯を消毒後脱臼から2時間半後に再植しました。
>1歳未満という年齢もあり
特に、歯科医師ではなくご自身で「押し込んだ」再植が一層気懸かりです。
再植時に歯槽骨側に半分残っている歯根膜をこれ以上傷つけないために、再植歯はそぉーと挿入すべきで、歯科外傷学の世界権威であるDr.Andreasenも「Gently replanted into the socket」と促しています。
実際に、我々歯科医は再植時にそうしています。
なので、押し込むようなやり方ですと、予後が悪くなる可能性が高くなってきます。
歯槽骨側の空洞も時間からして血塊が出来ていたと思うのですが、ご自分でされたのですから、歯科医による生理食塩水の洗浄、血塊の処置などしていないのですよね?
保存状態も方法も理想的ではないと思います。
外界暴露時間が長すぎます。(2時間半)
年齢が幼すぎて、治療協力度を得る事がとても困難です。
歯根吸収の経過観察のためには、レントゲンが必要になるのですが、お母さんに協力してもらったとしても、この年齢で果たして撮れるかどうか心配です。
といった点で、個人的には、これからの予後が心配です。
少し変な表現を致しますが、
小さな子供を「リスキーなギャンブル事に近づかせたくない」と云う点で、悪条件の場合、ほとんどの先生は再植を躊躇し、又致しません。
それは「1%でも良いから奇跡を信じたい」と、子を想うその親心と同じで、皆、お子さんのためを想ってそうしているのです。
その点をご理解下さい。
>私は今後この乳歯に関して特別にどのようなことに注意すればよいでしょうか?
継続永久歯に与える影響はお母さんにとっては心配事だと思いますが、どのような障害を与えたかについては、その萌出過程で発見される事が多いため、早期に適切な対応が受けられるように、永久歯萌出まで慎重な長期フォロー観察が必要だと思います。
前回もくどいように申し上げたのですが、一日も早く長期フォローをして下さる小児歯科専門医を見つけることが、キラキラさんのなすべき事だと思いますよ。
お大事に。
こんばんは。
私も他の先生からのコメントをずっと待っておりましたが・・・ないようなので私から私見でお答え致します。
>もし過去にそういう子供を診られた歯医者様がいらっしゃいましたら
スポーツや交通事故などによる永久歯の歯牙脱落再植は常に対応してきました。
乳歯に関しては、転落などの外傷による完全脱落、部分脱臼、打撲例を診た事がありますが、再植は予後が悪いので、これまで試みた事がありません。
ただ、個人的な経験として、外傷を受けた乳歯は初診で一見軽度と思われても、受傷数ヵ月後に変色し、根管治療をしようがしまいが、早期の歯根吸収を認めるようになって行きます。
打撲を受けただけで、その後の永久歯の萌出遅延を何例も見てきていますし。
それほど、乳歯の外傷治療成果は良くなく不安定のように思います。
>永久歯に影響があったかなど教えて頂けませんでしょうか。>>(神経のこと、歯を支える骨のこと、再植した乳歯自体の強度などのこと、永久歯の種のことなどどんなことでもお願いします。)
前回も触れましたが、外傷乳歯が継続永久歯に及ぼす影響として、
a.永久歯の萌出障害
b.永久歯胚の壊死
c.歯根屈曲や湾曲
d.歯根発育の部分的あるいは完全停止
e.エナメル質形成異常 白濁色・黄褐色への変色
等などが今までの研究報告で挙げられています。
この中で最も頻度の高い影響として、エナメル質の変色と減形成、萌出障害が報告されていて、受傷年齢が低いほど継続歯に及ぼす影響が高頻度に認められ、0〜4歳児で50%以上を超えています。
確かに、受傷時の外傷の強さや方向、年齢、治療協力度、永久歯胚の形成時期、距離や位置関係などの違いによって、保存を試みた症例も幾つか報告されていますが、永久歯胚に重度な障害を与える、又は与える可能性が高いと判断した場合は保存すべきではないと結論づけています。
今回の場合、
>歯の消毒をして頂いて、手をきれいに洗ってから麻酔なしで押し込みました。
>テッシュで拭いたり、水道水で洗ったりはしていませんが、牛乳にも浸していません。
>その後ビニールの袋に入れ、小児歯科へ行き、歯を消毒後脱臼から2時間半後に再植しました。
>1歳未満という年齢もあり
特に、歯科医師ではなくご自身で「押し込んだ」再植が一層気懸かりです。
再植時に歯槽骨側に半分残っている歯根膜をこれ以上傷つけないために、再植歯はそぉーと挿入すべきで、歯科外傷学の世界権威であるDr.Andreasenも「Gently replanted into the socket」と促しています。
実際に、我々歯科医は再植時にそうしています。
なので、押し込むようなやり方ですと、予後が悪くなる可能性が高くなってきます。
歯槽骨側の空洞も時間からして血塊が出来ていたと思うのですが、ご自分でされたのですから、歯科医による生理食塩水の洗浄、血塊の処置などしていないのですよね?
保存状態も方法も理想的ではないと思います。
外界暴露時間が長すぎます。(2時間半)
年齢が幼すぎて、治療協力度を得る事がとても困難です。
歯根吸収の経過観察のためには、レントゲンが必要になるのですが、お母さんに協力してもらったとしても、この年齢で果たして撮れるかどうか心配です。
といった点で、個人的には、これからの予後が心配です。
少し変な表現を致しますが、
小さな子供を「リスキーなギャンブル事に近づかせたくない」と云う点で、悪条件の場合、ほとんどの先生は再植を躊躇し、又致しません。
それは「1%でも良いから奇跡を信じたい」と、子を想うその親心と同じで、皆、お子さんのためを想ってそうしているのです。
その点をご理解下さい。
>私は今後この乳歯に関して特別にどのようなことに注意すればよいでしょうか?
継続永久歯に与える影響はお母さんにとっては心配事だと思いますが、どのような障害を与えたかについては、その萌出過程で発見される事が多いため、早期に適切な対応が受けられるように、永久歯萌出まで慎重な長期フォロー観察が必要だと思います。
前回もくどいように申し上げたのですが、一日も早く長期フォローをして下さる小児歯科専門医を見つけることが、キラキラさんのなすべき事だと思いますよ。
お大事に。
相談者からの返信
相談者:
キラキラさん
返信日時:2010-07-24 21:48:18
お忙しい所ご回答頂きありがとうございます。
一度抜けてしまった歯は、神経が切れているので変色してしまうことは、診て頂いた歯科医師からも教えて頂きました。
前回診て頂いた際に、神経の処置は必要ならば押さえつけてでもやる。
それでも歯がないよりは良いのでとおっしゃいました。
確率はかなり低いけど抜けてしまった年齢が低年齢な程神経が復活する可能性もあるとおっしゃっていました。
期待はしていませんがそれはどれくらい稀なことなのでしょうか?
深見先生
神経の処置を行った歯の場合、歯の根っこが短く、永久歯が早く生え始めるとの事ですが、どれくらい早くなりますか?
やはり一概には言えないですか?
私は正直なところ、再植した歯の隣の右下Bがきちんと生えてしまうまでもってくれれば良いかなと思っていました。
永久歯のスペースがあいていた方が良いのかなと思いまして・・・。
この考え方は甘いですか?
やはり新しい乳歯が生える度にあいているスペースにだんだんと寄ってくるものなのですか?
上田先生
この先すべてのことがうまくいかなかった場合も考えなければいけないと充分感じていますが、希望が持てました。
ありがとうございます。
藤森先生
私が勉強不足で申し訳ありません。
「置換性の歯根吸収」という機転を取るものと推測されます。
という部分が少し難しかったのですが、つまり消えて無くなってしまうのですか?
自然に脱落してしまうということですか?
私の子供の場合自然に脱落するのを待っても良いのでしょうか?
もうなるべく痛い怖い思いはさせたくないのです。
王先生
いつも詳しくご回答頂きありがとうございます。
先生が乳歯の再植はされないということは充分に理解しました。
前回も説明して頂きましたし、このサイトでも勉強しましたので、再植したことが子供をもっと辛い治療へと導いてしまったのではないかと自問自答し、胸を痛める日々を送っています。
ですが、もう再植はしてしまったのです。
なので今後のことを考えたいと思っています。
今、子供の歯はグラつきが無くなってきていて、歯茎の腫れもひき、色も通常のピンク色に戻りつつあります。
この状況で、先生は抜歯することを勧められますか?
教えてください。
それから、病院につきましては今後も歯科大学の附属病院へ継続的に通院するつもりでいます。
一度抜けてしまった歯は、神経が切れているので変色してしまうことは、診て頂いた歯科医師からも教えて頂きました。
前回診て頂いた際に、神経の処置は必要ならば押さえつけてでもやる。
それでも歯がないよりは良いのでとおっしゃいました。
確率はかなり低いけど抜けてしまった年齢が低年齢な程神経が復活する可能性もあるとおっしゃっていました。
期待はしていませんがそれはどれくらい稀なことなのでしょうか?
深見先生
神経の処置を行った歯の場合、歯の根っこが短く、永久歯が早く生え始めるとの事ですが、どれくらい早くなりますか?
やはり一概には言えないですか?
私は正直なところ、再植した歯の隣の右下Bがきちんと生えてしまうまでもってくれれば良いかなと思っていました。
永久歯のスペースがあいていた方が良いのかなと思いまして・・・。
この考え方は甘いですか?
やはり新しい乳歯が生える度にあいているスペースにだんだんと寄ってくるものなのですか?
上田先生
この先すべてのことがうまくいかなかった場合も考えなければいけないと充分感じていますが、希望が持てました。
ありがとうございます。
藤森先生
私が勉強不足で申し訳ありません。
「置換性の歯根吸収」という機転を取るものと推測されます。
という部分が少し難しかったのですが、つまり消えて無くなってしまうのですか?
自然に脱落してしまうということですか?
私の子供の場合自然に脱落するのを待っても良いのでしょうか?
もうなるべく痛い怖い思いはさせたくないのです。
王先生
いつも詳しくご回答頂きありがとうございます。
先生が乳歯の再植はされないということは充分に理解しました。
前回も説明して頂きましたし、このサイトでも勉強しましたので、再植したことが子供をもっと辛い治療へと導いてしまったのではないかと自問自答し、胸を痛める日々を送っています。
ですが、もう再植はしてしまったのです。
なので今後のことを考えたいと思っています。
今、子供の歯はグラつきが無くなってきていて、歯茎の腫れもひき、色も通常のピンク色に戻りつつあります。
この状況で、先生は抜歯することを勧められますか?
教えてください。
それから、病院につきましては今後も歯科大学の附属病院へ継続的に通院するつもりでいます。
回答5
藤森歯科クリニック(兵庫県西宮市)の藤森です。
回答日時:2010-07-25 13:06:17
現状で上手くいった場合、乳歯の歯根部分すべてが吸収していって(そのスペースは骨に置き換わっていきます)、根がなくなることで、自然に脱落するといったシナリオを考えています。
その時期は永久歯が生えてくるよりも、かなり以前だと推測しています。
これなら永久歯に対する為害性もほとんどないはずですが・・。こうなる事を願っています。
しかしながら、もし炎症性の歯根吸収になった場合の吸収のスピード及び永久歯胚への影響、或いは上記置換性吸収の場合でも、万一歯根吸収速度が遅く、永久歯萌出までに吸収し切れなかった場合の永久歯への影響はちょっと想像出来ません。
今からの抜歯と言うのも、安全性という点からは依然無難な選択枝の内の一つではあるでしょう。
その時期は永久歯が生えてくるよりも、かなり以前だと推測しています。
これなら永久歯に対する為害性もほとんどないはずですが・・。こうなる事を願っています。
しかしながら、もし炎症性の歯根吸収になった場合の吸収のスピード及び永久歯胚への影響、或いは上記置換性吸収の場合でも、万一歯根吸収速度が遅く、永久歯萌出までに吸収し切れなかった場合の永久歯への影響はちょっと想像出来ません。
今からの抜歯と言うのも、安全性という点からは依然無難な選択枝の内の一つではあるでしょう。
回答6
ポプラ小児歯科医院(千葉県茂原市)の森川です。
回答日時:2010-07-25 23:20:45
>10ヵ月の子供が完全脱臼→再植という例が少ないとは思いますが、もし過去にそういう子供を診られた歯医者様がいらっしゃいましたらどのような経過をたどって永久歯に入れ替わったか、永久歯に影響があったかなど教えて頂けませんでしょうか。
10ヶ月での完全脱臼のケースはかなり少ないと思います。
私は一応小児歯科医院を標榜して15年以上になりますがいまだに経験がないです。
また、下顎の症例はさらにまれです。
ですので、キラキラさんのお子さんのようなケースを複数、経験されている歯科医師は非常に限られていると思います。
また、実際に見せていただいているわけでもありませんので、今後の詳しい予想はほとんど不可能です。
現在、大学病院の小児歯科へ通院中とのことですので、そちらで詳しく聞いていただき、それでも疑問点があるようでしたら再度、質問していただいたほうが良いように思います。
10ヶ月での完全脱臼のケースはかなり少ないと思います。
私は一応小児歯科医院を標榜して15年以上になりますがいまだに経験がないです。
また、下顎の症例はさらにまれです。
ですので、キラキラさんのお子さんのようなケースを複数、経験されている歯科医師は非常に限られていると思います。
また、実際に見せていただいているわけでもありませんので、今後の詳しい予想はほとんど不可能です。
現在、大学病院の小児歯科へ通院中とのことですので、そちらで詳しく聞いていただき、それでも疑問点があるようでしたら再度、質問していただいたほうが良いように思います。
回答7
横浜相鉄ビル歯科医院(横浜市西区)の田中です。
回答日時:2010-07-26 00:41:36
こんばんは。
お気持ちはよく解るのですが、私が思うのは今回の件でその歯がくっつくのかそうでないのかという点は誰にも判断出来ませんし、それがどのくらいで?という確率が出るほどの統計が無いため、あえてその部分については意見も出ているので割愛させていただきます。
>もうなるべく痛い怖い思いはさせたくないのです。
これを(お子さんの立場で)考えた場合には、むしろ藤森先生のお書きになっておられる、
>今からの抜歯と言うのも、安全性という点からは依然無難な選択枝の内の一つではあるでしょう。
このご意見が私も同感と言えます。
ただし、今すぐ抜歯する事をお奨めしているわけではありません。
もし経過が悪いと歯科医師が判断したのならば、それが例えばすぐ数週間後であっても数ヵ月後であっても、また何も見た目上で症状が無くてもという意味です。
今目の前に歯がひとつ抜けた状態でお子さんがいたとしましょう。
確かに痛々しいでしょうし、そうなってしまった事を悔いてしまうのが親心だと思います。
結果的に良い経過をたどってくれたならそれが一番なのですが、その可能性がとても低いであろうというのが我々歯科医師の多数の意見である事から思うと、その後経過が思わしくなかった時には、より大変な治療が待っている事になります。
>今、子供の歯はグラつきが無くなってきていて、歯茎の腫れもひき、色も通常のピンク色に戻りつつあります。
>この状況で、先生は抜歯することを勧められますか?
>教えてください。
王先生ではありませんが・・・
これが治っているのか、一時的にただ単に傷が塞がれている状態なので治癒しているように見えるだけなのかは、さらに時間が経たなければ判断不可能と思われます。
なので先に書きました通り、その経過が良いのか悪いのかを判断するのは歯科医師であり、見た目判断は危険ではないでしょうかという事なのです。
むしろ王先生は、予後に希望を持ち過ぎた結果その後の経過によっては、お母様の方が無用に心を傷めてしまうのではないかと心配なさっているのだと思いますよ。
なので今お母様に出来る事は、治療によく頑張った事をほめてあげる事です。
そしてそのままあせらずに静観し、当時の状況をよく知っておられる担当医に継続的にフォローをお願いする事でよいのだと思います。
お気持ちはよく解るのですが、私が思うのは今回の件でその歯がくっつくのかそうでないのかという点は誰にも判断出来ませんし、それがどのくらいで?という確率が出るほどの統計が無いため、あえてその部分については意見も出ているので割愛させていただきます。
>もうなるべく痛い怖い思いはさせたくないのです。
これを(お子さんの立場で)考えた場合には、むしろ藤森先生のお書きになっておられる、
>今からの抜歯と言うのも、安全性という点からは依然無難な選択枝の内の一つではあるでしょう。
このご意見が私も同感と言えます。
ただし、今すぐ抜歯する事をお奨めしているわけではありません。
もし経過が悪いと歯科医師が判断したのならば、それが例えばすぐ数週間後であっても数ヵ月後であっても、また何も見た目上で症状が無くてもという意味です。
今目の前に歯がひとつ抜けた状態でお子さんがいたとしましょう。
確かに痛々しいでしょうし、そうなってしまった事を悔いてしまうのが親心だと思います。
結果的に良い経過をたどってくれたならそれが一番なのですが、その可能性がとても低いであろうというのが我々歯科医師の多数の意見である事から思うと、その後経過が思わしくなかった時には、より大変な治療が待っている事になります。
>今、子供の歯はグラつきが無くなってきていて、歯茎の腫れもひき、色も通常のピンク色に戻りつつあります。
>この状況で、先生は抜歯することを勧められますか?
>教えてください。
王先生ではありませんが・・・
これが治っているのか、一時的にただ単に傷が塞がれている状態なので治癒しているように見えるだけなのかは、さらに時間が経たなければ判断不可能と思われます。
なので先に書きました通り、その経過が良いのか悪いのかを判断するのは歯科医師であり、見た目判断は危険ではないでしょうかという事なのです。
むしろ王先生は、予後に希望を持ち過ぎた結果その後の経過によっては、お母様の方が無用に心を傷めてしまうのではないかと心配なさっているのだと思いますよ。
なので今お母様に出来る事は、治療によく頑張った事をほめてあげる事です。
そしてそのままあせらずに静観し、当時の状況をよく知っておられる担当医に継続的にフォローをお願いする事でよいのだと思います。
回答8
誠安・瑞石牙医診所(台湾)の王です。
回答日時:2010-07-26 05:00:26
キラキラさん
こんばんは。
>もう、再植はしてしまったのです。なので、今後のことを考えたいと思っています。
そうですね。
確かに、今後のことを考えるべきですね。
それを考える前に、ずっとお聞きしたかったのですが、レントゲンはお撮りになりましたか?
もし、まだお撮りしていないのでしたら、何を参考にして永久歯に悪影響はないとおっしゃっているのでしょうか?
>先生が再植しないのは分かっています。
「私」が再植しないのではなく、このような悪条件だらけの不適合乳歯を再植しようと試みる先生はいらっしゃらないと思いますよ。
最悪条件の乳歯を再植なさる先生がいらっしゃるとしたら、それはきっと、歯牙外傷学と小児外傷学にとんでもなく疎い先生か、研究報告のデーター集めのために強行する先生のどちらかです。
本来、私たち医師は、膨大な国内外の研究報告と、先人や患者さんが身を挺して残してくれた治療経験に基づいて予後の予測を立て、患者さんに最も適した成功率の高い治療を提案しなければなりません。
提案したものが、患者さんの希望されているものと違う場合もありますが、何の医学的根拠もなく、ただ患者さんに迎合して「では、仰るとおりにやりましょう。」と軽率に対応すべきではないと思っています。
特に予後が厳しいと解っている場合は、ありのままの事をお伝えし、早期にそれを受け入れて下さるように導いてあげるのも、長い眼で見て患者さんのためになると信じています。
これまでに遭われてきた先生が、皆、親御さんの心情を鑑みて、今日こういう状態になったわけですが・・・・・・・
根管治療を試みるようですね・・・・・
10ヶ月という幼子が、根管治療を受けられるだけの協力度があるとは、個人的にどう考えてもあるとは思えません。
取り押えて、縛ってまで強行されようとしている根管治療の意義とその成果が何処にあるのか、私にはどうしても理解出来ないのです。
非協力的な幼児の重度虫歯治療時に、場合によっては全身麻酔を使用していることはご存知だと思います。
それほど、意識があるまま押さえたりしながらの治療は小さなお子さんにとっては精神的な苦痛になるのです。
でも、じっと安静にしていただかないと精密度を要求する歯科処置が出来ないのも事実です。
特に、根管治療に至っては、唾液からの再感染を防ぐためと、器具・消毒洗浄液の誤飲を防ぐために、ラバーダムというゴムマスクを歯に付けて行なっているのですが、どう考えても無理ですよね、お子さんは・・・・・・。
10ヵ月のお子さんで、舌の下の唾液腺開口に一番近いAの根管治療って、どうやってなさるつもりなのでしょう・・・・・?
とてつもなく困難のように思えてなりませんが。
例え、カーゼを入れて保湿しながら、押さえつけながら強行して根管治療を終えたとしても、高クオリティーの治療は望めないでしょう。
よって、成果も期待出来ないのではないかと思います。
成果が期待出来ないなら、根管治療はやっても、やらなくても同じ感じが致します。
>確率はかなり低いけど抜けてしまった年齢が低年齢な程神経が復活する可能性もあるとおっしゃっていました。
確かに、お子さんの中で歯根が未完成の歯を「好条件」下で再植したり、亜脱臼(完全に抜けていない)といった症例に、Transient apical breakdownという歯髄の自然治癒(歯髄腔に毛細血管の増殖が見られ、生きた新組織で満たされている現象)が観察された報告がありますが、乳歯では必ずしも起こるとは限らないとされています。
乳歯の神経は乾燥損傷を起こしやすく、感染に弱いと云った点で起き難いとされています。
なので、希望を持たないでとは申しあげませんが、過度の期待もなさらない方が良いと思います。
>つまり消えて無くなってしまうのですか?自然に脱落してしまうということですか?
私の子供の場合自然に脱落するのを待っても良いのでしょうか?
Aが歯髄壊死されていると仮定します。
歯髄壊死を放置しますと、免疫反応で炎症性の歯根吸収が生じてくるわけですが、根管処置を行なう事で、この病的吸収をある程度停止させることが可能だと解っています。
「必要になったら根管治療しましょう。」と言っているのは、この事を指しているのですが、行なうゴールデンタイムをとっくに過ぎているような・・・・・・・
再植後一週間から十日に行なうのが一般的で、外界暴露時間が長すぎる場合は、再植時に口外で先に処置する事もあるくらいです。
ここまでが、「根っこの内側」のお話で、
この難関を突破したとしても「根っこの外側」の問題が残っています。
歯根膜の損傷や乾燥によるダメージが大きい根っこは病的に吸収され、その部分が骨組織で添加されていきます。
それが置換性吸収、アンキローシス。
前回もご説明致しましたね。
根っこが完全に、ある意味できれいに吸収され骨組織に全部置き換われば(セメント質+象牙質)、歯冠が脱落すること「も」有り得ますが、部分的に骨に置き換わっているだけですと骨と癒着していきます。
そうなりますと、抜けません。
継続永久歯の萌出障害につながっていくのです。
骨と癒着しているので、抜歯も困難になっていきます。
藤森先生がおっしゃっている、
「置換性吸収の場合でも、万一歯根吸収速度が遅く、永久歯萌出までに吸収し切れなかった場合の永久歯への影響はちょっと想像出来ません。」
というのは、こういった意味です。
前回の回答で、乳歯外傷後の永久歯萌出遅滞を多く見て来たというのは、こういう症例の事を指しているのです。
歯茎も正常で、がっちりと骨と癒着しているためグラつきが全く無いので、ほとんどの親御さんは治ったと勘違いされてしまうのです。
他の永久歯が生え変わっても、一本だけ低く埋もれた状態で残っている様子から、アメリカでは俗にsubmerged teethと呼ばれています。
あれ?と親御さんが気付いて、はじめて歯科医院を受診するわけです。
残念な事に、現在この病的吸収と骨性癒着を止める治療法はありません。
いつ何時吸収・骨置換が始まるのかもはっきりしていません。
ただ、統計的に歯根膜の乾燥ダメージが酷いと起きやすくなることが解っています。
押し込むような粗雑な手順で再植すると起きやすくなることも解っています。
望まれているように自然に脱落出きるかどうかは、神のみぞ知るとしか申し上げられません。
>やはり新しい乳歯が生える度にあいているスペースにだんだんと寄ってくるものなのですか?
Bが中央よりに少し寄ってくる可能性はあると思いますが、乳犬歯C以降のD、Eは寄って行きません。
顎の骨も成長とともに大きくなって行きますので、心配するほどのものではないと思います。
仮に矯正が必要になったとしても、経過観察中に矯正もやられる小児歯科医の先生なら簡単に処置して下さると思いますし、こちらの方がはるかに予後が良いと思います。
>歯茎の腫れもひき、色も通常のピンク色に戻りつつあります。この状況で、先生は抜歯することを勧められますか?教えてください。
この乳歯を残す事に、全スポットを当てないでほしいと思います。
何事もバランスが大事で、医療も例外ではありません。
強制的に押さえつけて、唾液の再感染防止も出来ないような根管治療を施して、奇跡的に運良く炎症性吸収を防げたとしても、置換性吸収や継続永久歯胚へのリスクは全く回避出来ていないことを分かっていただきたいのです。
下顎1番のエナメル質形成は生後3ー4ヶ月から始められているとされていますので、永久歯胚との距離や位置によってはダメージを与えかねません。
その点が心配なのです。
レントゲンで継続歯との位置関係などは確認されていますか?
歯茎がピンク色だから歯根に問題がないとは云えません。
がっちりとしてきたと云う点もしかり。
外傷歯の経過観察はレントゲンに頼らなければならないので、歯茎の色だけで判断出来るものではありません。
以上の超長文をお読みになれば、書かずとも、私の答えは出ております。
ただ、キラキラさんが、これからどの様な結果になっても後悔せずに、ご自分で納得出来ると思われていらっしゃるのであれば、私はもうこれ以上何も申し上げる事はありません。
現時点で抜歯しても、抜歯しなくても、慎重な長期フォローが必要だという点では同じなので、担当の先生にお願いされて下さいね。
前回のご質問から、毎回毎回とキラキラさんの希望を打ち砕くような事ばかり申し上げて、私もとても心苦しいのですが、いつか、小さなお子さんを、歯科医師の立場で心配しているからこう申し上げているんだと言う事を少しでも分かって下さったらと願っています。
最後に、歯牙外傷学の権威であるDr.Andreasenの言葉を書いておきます。
「乳歯の外傷は常に萌出待機中の永久歯への影響を最大限に優先的に考慮せよ」
お大事に。
こんばんは。
>もう、再植はしてしまったのです。なので、今後のことを考えたいと思っています。
そうですね。
確かに、今後のことを考えるべきですね。
それを考える前に、ずっとお聞きしたかったのですが、レントゲンはお撮りになりましたか?
もし、まだお撮りしていないのでしたら、何を参考にして永久歯に悪影響はないとおっしゃっているのでしょうか?
>先生が再植しないのは分かっています。
「私」が再植しないのではなく、このような悪条件だらけの不適合乳歯を再植しようと試みる先生はいらっしゃらないと思いますよ。
最悪条件の乳歯を再植なさる先生がいらっしゃるとしたら、それはきっと、歯牙外傷学と小児外傷学にとんでもなく疎い先生か、研究報告のデーター集めのために強行する先生のどちらかです。
本来、私たち医師は、膨大な国内外の研究報告と、先人や患者さんが身を挺して残してくれた治療経験に基づいて予後の予測を立て、患者さんに最も適した成功率の高い治療を提案しなければなりません。
提案したものが、患者さんの希望されているものと違う場合もありますが、何の医学的根拠もなく、ただ患者さんに迎合して「では、仰るとおりにやりましょう。」と軽率に対応すべきではないと思っています。
特に予後が厳しいと解っている場合は、ありのままの事をお伝えし、早期にそれを受け入れて下さるように導いてあげるのも、長い眼で見て患者さんのためになると信じています。
これまでに遭われてきた先生が、皆、親御さんの心情を鑑みて、今日こういう状態になったわけですが・・・・・・・
根管治療を試みるようですね・・・・・
10ヶ月という幼子が、根管治療を受けられるだけの協力度があるとは、個人的にどう考えてもあるとは思えません。
取り押えて、縛ってまで強行されようとしている根管治療の意義とその成果が何処にあるのか、私にはどうしても理解出来ないのです。
非協力的な幼児の重度虫歯治療時に、場合によっては全身麻酔を使用していることはご存知だと思います。
それほど、意識があるまま押さえたりしながらの治療は小さなお子さんにとっては精神的な苦痛になるのです。
でも、じっと安静にしていただかないと精密度を要求する歯科処置が出来ないのも事実です。
特に、根管治療に至っては、唾液からの再感染を防ぐためと、器具・消毒洗浄液の誤飲を防ぐために、ラバーダムというゴムマスクを歯に付けて行なっているのですが、どう考えても無理ですよね、お子さんは・・・・・・。
10ヵ月のお子さんで、舌の下の唾液腺開口に一番近いAの根管治療って、どうやってなさるつもりなのでしょう・・・・・?
とてつもなく困難のように思えてなりませんが。
例え、カーゼを入れて保湿しながら、押さえつけながら強行して根管治療を終えたとしても、高クオリティーの治療は望めないでしょう。
よって、成果も期待出来ないのではないかと思います。
成果が期待出来ないなら、根管治療はやっても、やらなくても同じ感じが致します。
>確率はかなり低いけど抜けてしまった年齢が低年齢な程神経が復活する可能性もあるとおっしゃっていました。
確かに、お子さんの中で歯根が未完成の歯を「好条件」下で再植したり、亜脱臼(完全に抜けていない)といった症例に、Transient apical breakdownという歯髄の自然治癒(歯髄腔に毛細血管の増殖が見られ、生きた新組織で満たされている現象)が観察された報告がありますが、乳歯では必ずしも起こるとは限らないとされています。
乳歯の神経は乾燥損傷を起こしやすく、感染に弱いと云った点で起き難いとされています。
なので、希望を持たないでとは申しあげませんが、過度の期待もなさらない方が良いと思います。
>つまり消えて無くなってしまうのですか?自然に脱落してしまうということですか?
私の子供の場合自然に脱落するのを待っても良いのでしょうか?
Aが歯髄壊死されていると仮定します。
歯髄壊死を放置しますと、免疫反応で炎症性の歯根吸収が生じてくるわけですが、根管処置を行なう事で、この病的吸収をある程度停止させることが可能だと解っています。
「必要になったら根管治療しましょう。」と言っているのは、この事を指しているのですが、行なうゴールデンタイムをとっくに過ぎているような・・・・・・・
再植後一週間から十日に行なうのが一般的で、外界暴露時間が長すぎる場合は、再植時に口外で先に処置する事もあるくらいです。
ここまでが、「根っこの内側」のお話で、
この難関を突破したとしても「根っこの外側」の問題が残っています。
歯根膜の損傷や乾燥によるダメージが大きい根っこは病的に吸収され、その部分が骨組織で添加されていきます。
それが置換性吸収、アンキローシス。
前回もご説明致しましたね。
根っこが完全に、ある意味できれいに吸収され骨組織に全部置き換われば(セメント質+象牙質)、歯冠が脱落すること「も」有り得ますが、部分的に骨に置き換わっているだけですと骨と癒着していきます。
そうなりますと、抜けません。
継続永久歯の萌出障害につながっていくのです。
骨と癒着しているので、抜歯も困難になっていきます。
藤森先生がおっしゃっている、
「置換性吸収の場合でも、万一歯根吸収速度が遅く、永久歯萌出までに吸収し切れなかった場合の永久歯への影響はちょっと想像出来ません。」
というのは、こういった意味です。
前回の回答で、乳歯外傷後の永久歯萌出遅滞を多く見て来たというのは、こういう症例の事を指しているのです。
歯茎も正常で、がっちりと骨と癒着しているためグラつきが全く無いので、ほとんどの親御さんは治ったと勘違いされてしまうのです。
他の永久歯が生え変わっても、一本だけ低く埋もれた状態で残っている様子から、アメリカでは俗にsubmerged teethと呼ばれています。
あれ?と親御さんが気付いて、はじめて歯科医院を受診するわけです。
残念な事に、現在この病的吸収と骨性癒着を止める治療法はありません。
いつ何時吸収・骨置換が始まるのかもはっきりしていません。
ただ、統計的に歯根膜の乾燥ダメージが酷いと起きやすくなることが解っています。
押し込むような粗雑な手順で再植すると起きやすくなることも解っています。
望まれているように自然に脱落出きるかどうかは、神のみぞ知るとしか申し上げられません。
>やはり新しい乳歯が生える度にあいているスペースにだんだんと寄ってくるものなのですか?
Bが中央よりに少し寄ってくる可能性はあると思いますが、乳犬歯C以降のD、Eは寄って行きません。
顎の骨も成長とともに大きくなって行きますので、心配するほどのものではないと思います。
仮に矯正が必要になったとしても、経過観察中に矯正もやられる小児歯科医の先生なら簡単に処置して下さると思いますし、こちらの方がはるかに予後が良いと思います。
>歯茎の腫れもひき、色も通常のピンク色に戻りつつあります。この状況で、先生は抜歯することを勧められますか?教えてください。
この乳歯を残す事に、全スポットを当てないでほしいと思います。
何事もバランスが大事で、医療も例外ではありません。
強制的に押さえつけて、唾液の再感染防止も出来ないような根管治療を施して、奇跡的に運良く炎症性吸収を防げたとしても、置換性吸収や継続永久歯胚へのリスクは全く回避出来ていないことを分かっていただきたいのです。
下顎1番のエナメル質形成は生後3ー4ヶ月から始められているとされていますので、永久歯胚との距離や位置によってはダメージを与えかねません。
その点が心配なのです。
レントゲンで継続歯との位置関係などは確認されていますか?
歯茎がピンク色だから歯根に問題がないとは云えません。
がっちりとしてきたと云う点もしかり。
外傷歯の経過観察はレントゲンに頼らなければならないので、歯茎の色だけで判断出来るものではありません。
以上の超長文をお読みになれば、書かずとも、私の答えは出ております。
ただ、キラキラさんが、これからどの様な結果になっても後悔せずに、ご自分で納得出来ると思われていらっしゃるのであれば、私はもうこれ以上何も申し上げる事はありません。
現時点で抜歯しても、抜歯しなくても、慎重な長期フォローが必要だという点では同じなので、担当の先生にお願いされて下さいね。
前回のご質問から、毎回毎回とキラキラさんの希望を打ち砕くような事ばかり申し上げて、私もとても心苦しいのですが、いつか、小さなお子さんを、歯科医師の立場で心配しているからこう申し上げているんだと言う事を少しでも分かって下さったらと願っています。
最後に、歯牙外傷学の権威であるDr.Andreasenの言葉を書いておきます。
「乳歯の外傷は常に萌出待機中の永久歯への影響を最大限に優先的に考慮せよ」
お大事に。
相談者からの返信
相談者:
キラキラさん
返信日時:2010-07-26 13:52:58
皆様お忙しい所、本当に親身にご相談乗って頂き色々とご享受下さりありがとうございます。
どうせこのまま子供の乳歯がなくなってしまうなら、せめて抜歯という怖い思いをさせず、一カ月後でも一週間後でも良いので自然に抜けてくれるのを待ちたいと思っていたのですが、そんなに簡単なものではないのですね。
詳しくご説明頂いて本当に理解がいきました。
レントゲンは、明日の通院時に撮る予定です。
以後は、抜歯も含めて、今診て頂いてる歯科医師にお任せしようと思っています。
セカンドオピニオンを求めたくともなかなか小児歯科が見つからなかっ為、このサイトを利用させて頂きました。
疑問に思っていた様々なことの知識を得ることができました。
本当に本当にありがとうございました。
子供の永久歯の事を一番に考えて、長期通院していきたいと思います。
どうせこのまま子供の乳歯がなくなってしまうなら、せめて抜歯という怖い思いをさせず、一カ月後でも一週間後でも良いので自然に抜けてくれるのを待ちたいと思っていたのですが、そんなに簡単なものではないのですね。
詳しくご説明頂いて本当に理解がいきました。
レントゲンは、明日の通院時に撮る予定です。
以後は、抜歯も含めて、今診て頂いてる歯科医師にお任せしようと思っています。
セカンドオピニオンを求めたくともなかなか小児歯科が見つからなかっ為、このサイトを利用させて頂きました。
疑問に思っていた様々なことの知識を得ることができました。
本当に本当にありがとうございました。
子供の永久歯の事を一番に考えて、長期通院していきたいと思います。
タイトル | 乳歯完全脱臼、母親の手で再植したその後。永久歯への影響は? |
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質問者 | キラキラさん |
地域 | 非公開 |
年齢 | 1歳 |
性別 | 女性 |
職業 | 非公開 |
カテゴリ |
歯の生えかわり(生え変わり) 小児歯科その他 口腔外科関連 乳歯(子供の歯)が抜けた・抜歯予定 歯をぶつけた、歯が欠けた・抜けた 再植(再植術、再植法) |
回答者 |
- 上記書き込みの内容は、回答当時のものです。
- 歯科医療は日々発展しますので、回答者の考え方が変わることもあります。
- 保険改正により、保険制度や保険点数が変わっていることもありますのでご注意ください。