重度の歯周病に化学的除菌療法は有効でしょうか
相談者:
正解入道さん (55歳:男性)
投稿日時:2010-09-01 18:36:53
こんにちは。
参考:過去のご相談
・歯周病手術予定、部分入れ歯を避けるために抜歯したくない
重度の歯周病の歯を抜かれることを避けるために調べたところ、『3DS(Dental Drug Delivery System)』化学的除菌療法を取り入れて、成果を上げているという歯科がありました。
上の歯または下の歯全体に合ったプラスチックのケース(マウスピース)を作り、その患者の歯周病菌に適した薬剤を入れて、10分ほど毎日装着するというものです。
もちろん、歯磨きなど他の方法との組み合わせのようですが。
また、手術ができない場合、スケーラーでポケット内をきれいにした後、先の細いシリンジで抗生物質(ペリオクリン)を送り込む「局所薬物送達療法(LDDS)」というものも見つけたのですが。
以上、ご意見をお聞かせいただければ幸いです。
参考:過去のご相談
・歯周病手術予定、部分入れ歯を避けるために抜歯したくない
重度の歯周病の歯を抜かれることを避けるために調べたところ、『3DS(Dental Drug Delivery System)』化学的除菌療法を取り入れて、成果を上げているという歯科がありました。
上の歯または下の歯全体に合ったプラスチックのケース(マウスピース)を作り、その患者の歯周病菌に適した薬剤を入れて、10分ほど毎日装着するというものです。
もちろん、歯磨きなど他の方法との組み合わせのようですが。
また、手術ができない場合、スケーラーでポケット内をきれいにした後、先の細いシリンジで抗生物質(ペリオクリン)を送り込む「局所薬物送達療法(LDDS)」というものも見つけたのですが。
以上、ご意見をお聞かせいただければ幸いです。
回答1
回答2
森永歯科医院(千葉県安房郡鋸南町)の森永です。
回答日時:2010-09-01 21:52:32
こんばんは。
歯周病の化学療法について、正解入道さんがお調べになった2つの方法は「薬剤の局所適用」です。
ぺリオクリンに関しては条件が整えば保険適用もあります。
松山先生が書かれているのは「抗菌剤の全身投与」という方法。
また、詳しくは書きませんがその両方と位相差顕微鏡による観察を加味した「歯周内科」という治療法もあります。
今回仮義歯を入れたことが格好のシュミレーションとなり、治療法について熟考される機会がえられたことをむしろチャンスととらえて、担当の先生(病院)と十分にご相談されると良いと思います。
その上でセカンドオピニオンも視野に入るかも知れません。
その際、ご自分のご希望の優先順位がある程度固まっているとスムーズでしょう。
歯の保存なのか。
オペを避けたいのか。
義歯はどうしてもダメか。
長期間安定した状態が良いのか。
など色々あるかと思います。
私見ですが、やはりポイントは「最終的な補綴処置がどうなのか」ということだと思います。
違和感の少ない治療法が見つかるかもしれません。
「健康のためなら死んでもいい」という笑い話がありますが、「歯を残すためなら噛むのは二の次」では本末転倒ですしね。
いいアドバイスにはならなかったかも知れませんが、多少なりとも参考になればと思います。
歯周病の化学療法について、正解入道さんがお調べになった2つの方法は「薬剤の局所適用」です。
ぺリオクリンに関しては条件が整えば保険適用もあります。
松山先生が書かれているのは「抗菌剤の全身投与」という方法。
また、詳しくは書きませんがその両方と位相差顕微鏡による観察を加味した「歯周内科」という治療法もあります。
今回仮義歯を入れたことが格好のシュミレーションとなり、治療法について熟考される機会がえられたことをむしろチャンスととらえて、担当の先生(病院)と十分にご相談されると良いと思います。
その上でセカンドオピニオンも視野に入るかも知れません。
その際、ご自分のご希望の優先順位がある程度固まっているとスムーズでしょう。
歯の保存なのか。
オペを避けたいのか。
義歯はどうしてもダメか。
長期間安定した状態が良いのか。
など色々あるかと思います。
私見ですが、やはりポイントは「最終的な補綴処置がどうなのか」ということだと思います。
違和感の少ない治療法が見つかるかもしれません。
「健康のためなら死んでもいい」という笑い話がありますが、「歯を残すためなら噛むのは二の次」では本末転倒ですしね。
いいアドバイスにはならなかったかも知れませんが、多少なりとも参考になればと思います。
回答3
回答日時:2010-09-01 23:36:29
こんばんは。
歯周病治療の基本は、ブラッシングなどの物理的なセルフ・プラークコントロールだと思います。
それと、生活習慣の問題点の洗い出し&改善。
(歯周病は細菌感染症でありながら、生活習慣病とも言われていますから)
その次が歯科医院でのクリーニングなどのプロによるプラークコントロール。
化学的療法は、その次かなと思います。
一時的に劇的な効果が上がっても、長持ちしなければ意味がありませんからね。
(急性症状を落ち着かせるのに薬剤を用いるのは、ありだと思いますが)
喩え話ですが、納豆ご飯を食べたあとのお茶碗。
ベタベタ、ネバネバしていると思いますが、洗剤をぶちまけるだけでキレイになると思いますか?
やってみれば分かりますが、擦らなければキレイにはならないと思います。
もし、物理的なプラークコントロールをしっかりされていて、それでもなかなか改善しないので、化学的な方法をと提案されているのであれば、もしかしたらやってみる価値はあるかも知れません。
>位相差顕微鏡による観察
菌のおおまかな量や活動性は観察できるかとは思いますが、菌の同定はこれだけでは不可能ですから、どれだけの意味があるか。。。
「うわっ、気持ち悪っ!! 歯磨き頑張ろっ!!」というモチベーションアップにはつながりやすいみたいですが・・・ (^^;)
・http://www.youtube.com/watch?v=ITFksbQcbmM
ご参考までに
歯周病治療の基本は、ブラッシングなどの物理的なセルフ・プラークコントロールだと思います。
それと、生活習慣の問題点の洗い出し&改善。
(歯周病は細菌感染症でありながら、生活習慣病とも言われていますから)
その次が歯科医院でのクリーニングなどのプロによるプラークコントロール。
化学的療法は、その次かなと思います。
一時的に劇的な効果が上がっても、長持ちしなければ意味がありませんからね。
(急性症状を落ち着かせるのに薬剤を用いるのは、ありだと思いますが)
喩え話ですが、納豆ご飯を食べたあとのお茶碗。
ベタベタ、ネバネバしていると思いますが、洗剤をぶちまけるだけでキレイになると思いますか?
やってみれば分かりますが、擦らなければキレイにはならないと思います。
もし、物理的なプラークコントロールをしっかりされていて、それでもなかなか改善しないので、化学的な方法をと提案されているのであれば、もしかしたらやってみる価値はあるかも知れません。
>位相差顕微鏡による観察
菌のおおまかな量や活動性は観察できるかとは思いますが、菌の同定はこれだけでは不可能ですから、どれだけの意味があるか。。。
「うわっ、気持ち悪っ!! 歯磨き頑張ろっ!!」というモチベーションアップにはつながりやすいみたいですが・・・ (^^;)
・http://www.youtube.com/watch?v=ITFksbQcbmM
ご参考までに
回答4
長崎大学大学院包括的腫瘍学講座の中本です。
回答日時:2010-09-02 01:02:44
正解入道さん、こんにちは。
前回のご相談とトータルで拝見させていただきました。
→・歯周病手術予定、部分入れ歯を避けるために抜歯したくない
>重度の歯周病の歯を抜かれることを避けるために調べたところ、
と書かれているように、正解入道さんとしては、何とか抜歯を回避したいというお気持ちが強いのだと思います。
そのお気持ちはよく分かります。
正解入道さんに限らず、同じ状況にあれば大半の方がそのように思われるのではないでしょうか。
ただし、現実問題として、大多数の歯科医が診ても、抜歯以外の選択肢が考えにくい口腔内状態・歯牙の状態ということはありえます。
そういった状態であれば、薬物療法が抜歯に取って変わる(≒抜歯を回避できる)手段とはなりえないと思います。
もっとも、正解入道さんが書かれる『重度の歯周病』というのは、この場では具体的にどのような状況なのかは分かりません。
前のご相談では、ポケットの深さなども書かれておられますが、やはりこれは直接診察をした歯科医師でなければ分からないと思います。
そこで、今現在の正解入道さんの歯周病の状況が、
・現時点で抜歯が妥当な状況にあるのか
・フラップ手術の状況次第で抜歯or非抜歯が決まるのか
(つまり、現在の担当の先生と同じ意見)
・現時点で抜歯以外の治療で状況をみていく余地があるのか
そういった情報を得るためのセカンドオピニオン的な受診は、意味があるのではないかと思います。
一つの選択肢として、歯周病の専門医を探すということも考えられます。
なお、私の個人的意見とすれば、前のご相談で細見先生のご回答にある、
『抜歯が必要な歯の抜歯を無暗に先延ばしにする事は医学的にも決して勧められる事ではありません。』
ということに同意見です。
お大事になされてください。
前回のご相談とトータルで拝見させていただきました。
→・歯周病手術予定、部分入れ歯を避けるために抜歯したくない
>重度の歯周病の歯を抜かれることを避けるために調べたところ、
と書かれているように、正解入道さんとしては、何とか抜歯を回避したいというお気持ちが強いのだと思います。
そのお気持ちはよく分かります。
正解入道さんに限らず、同じ状況にあれば大半の方がそのように思われるのではないでしょうか。
ただし、現実問題として、大多数の歯科医が診ても、抜歯以外の選択肢が考えにくい口腔内状態・歯牙の状態ということはありえます。
そういった状態であれば、薬物療法が抜歯に取って変わる(≒抜歯を回避できる)手段とはなりえないと思います。
もっとも、正解入道さんが書かれる『重度の歯周病』というのは、この場では具体的にどのような状況なのかは分かりません。
前のご相談では、ポケットの深さなども書かれておられますが、やはりこれは直接診察をした歯科医師でなければ分からないと思います。
そこで、今現在の正解入道さんの歯周病の状況が、
・現時点で抜歯が妥当な状況にあるのか
・フラップ手術の状況次第で抜歯or非抜歯が決まるのか
(つまり、現在の担当の先生と同じ意見)
・現時点で抜歯以外の治療で状況をみていく余地があるのか
そういった情報を得るためのセカンドオピニオン的な受診は、意味があるのではないかと思います。
一つの選択肢として、歯周病の専門医を探すということも考えられます。
なお、私の個人的意見とすれば、前のご相談で細見先生のご回答にある、
『抜歯が必要な歯の抜歯を無暗に先延ばしにする事は医学的にも決して勧められる事ではありません。』
ということに同意見です。
お大事になされてください。
回答5
大野歯科医院(群馬県前橋市)の大野です。
回答日時:2010-09-02 07:58:35
参考までに・・・
臨床データを解釈すると、重症な歯周病に対する化学療法は、保存困難は歯を治療するというより、保存が出来る歯に対する従来の治療法の効果を、少しだけ増幅してあげる、という意味でしかありません。
臨床データを解釈すると、重症な歯周病に対する化学療法は、保存困難は歯を治療するというより、保存が出来る歯に対する従来の治療法の効果を、少しだけ増幅してあげる、という意味でしかありません。
相談者からの返信
相談者:
正解入道さん
返信日時:2010-09-02 10:09:00
松山先生、森永先生、吉岡先生、中本先生、大野先生、ご回答ありがとうございます。
中心となる基本的な考え方に、それぞれの先生の微妙に異なるお考えが分かり、大変参考になります。
もし他の医院でセカンドオピニオンを聞き、「薬剤の局所適用」を受けるようになった場合でも、事前に心構えを作ることができたように思います。
それにしても、お仕事で大変お忙しい中、貴重なお時間を割いて、専門的なご意見をお聞かせいただける先生方に、いつも大変感謝しております。
また、よろしくお願いいたします。
中心となる基本的な考え方に、それぞれの先生の微妙に異なるお考えが分かり、大変参考になります。
もし他の医院でセカンドオピニオンを聞き、「薬剤の局所適用」を受けるようになった場合でも、事前に心構えを作ることができたように思います。
それにしても、お仕事で大変お忙しい中、貴重なお時間を割いて、専門的なご意見をお聞かせいただける先生方に、いつも大変感謝しております。
また、よろしくお願いいたします。
タイトル | 重度の歯周病に化学的除菌療法は有効でしょうか |
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質問者 | 正解入道さん |
地域 | 非公開 |
年齢 | 55歳 |
性別 | 男性 |
職業 | 非公開 |
カテゴリ |
歯周病(歯槽膿漏)治療 薬による歯周病(歯槽膿漏)治療 |
回答者 |
- 上記書き込みの内容は、回答当時のものです。
- 歯科医療は日々発展しますので、回答者の考え方が変わることもあります。
- 保険改正により、保険制度や保険点数が変わっていることもありますのでご注意ください。