[写真あり] 外科矯正の治療方針、歯根露出について

相談者: ワールドワイドさん (38歳:女性)
投稿日時:2011-10-02 01:02:56
参考:過去のご相談
外科矯正、不親切でも症例数が多い総合病院か他の歯科医院か・・


こんばんは。
現在外科矯正の方向で歯列矯正を考えています。
精密検査後、医師から提示された3つの診療方針で迷っており相談させて頂きました。


診断では、開咬に加え若干の受け口叢生があり、平均よりも長顔とのことでした。

上顎は下顎に比べて小さく個々の歯が大きいため通常の歯列矯正では歯にかかる負担が大きいので、上顎を広げる装置を使うと歯根が更に露出する(現時点で露出しており、歯根も丸いです)危険性があるので上顎の真中を骨折させて、新たに骨を形成し、上顎を骨ごと広げて歯列矯正することを勧められました。

そのような手術方法を聞いたのが初めてだったのでかなり動揺してしまい、その日は治療方針を決めずに保留という形で終わりました。


医師からの治療方針は

  
a)上述の上顎を骨折させて骨を形成後、矯正開始。
歯が並んだところで上下顎骨切術で上顎をスライス(前後に出したりすることは無く、上下をカットする)して長顔を短く、切った上顎に下顎をあわせて下げ、受け口を治す。


b)歯を並べた後に上下顎骨切術で上顎をスライス、切った上顎にあわせて下顎を下げる。
その時同時に上顎の真中を骨折させ骨を形成、上顎の歯列は術後矯正で微調整を繰り返し歯根露出を極力少なくする。


c)歯を並べた後、下顎のみ骨切術で下顎を下げる。
下顎のみのため顔の長さはそれほど変わらないので、頤形成術も取り入れる。



a)が最良の方法なのでしょうが、プレート除去を含め合計3回の手術はかなり負担です。

私としてはb)の治療でいくべきかと思っておりますが、歯を並べた後に上顎を拡大する手術をした場合、歯根露出が著しく進んでしまうのではないのかと不安に思います。

医師が言うには、b)の方法だと上顎を拡大した後の術後矯正となるため歯と歯の間に隙間が必ず出てくる。
それを埋めるのに予測が立てづらいため、微調整に時間がかかる。
よって術後矯正が通常の半年〜1年余計にかかるとのことでした。

デメリットが矯正期間だけなら我慢できるのですが、歯根露出など懸念されることが他にあるのではと不安です。


下顎骨切術だけでは長年の悩みであった受け口と顎の長さ(医師が言うには、セファロで見ると顔の上下が長いため上顎を切れば平均の顔の長さになるが、下顎だけ下げても今の顔の長さに大きな変化はみられないとのこと)が解消されないのでは、大きな手術を受けるメリットが無いように思えてなりません。



そこで質問なのですが、

@現時点で歯根の露出があるため、歯列矯正をすることでますます露出してしまうのではないのか。
そういった場合でも、一般的に矯正は行うものなのか。
露出が著しくなり、歯が抜けてしまわないのか。

A提示された上下顎骨切術と下顎骨切術+頤形成術を比べて、仕上がりにどのような差があるのか。

B長顔で上下顎骨切術を施術する症例はよくあることなのか。

Cガミースマイルでは無い症例に、上下顎骨切術をすると笑った時に前歯が見えなくなるのではないか。


長文で申し訳ありませんが宜しくお願いします。


回答 回答1
  • 回答者
回答日時:2011-10-02 09:57:51
以前の質問でもお答えしたと記憶しています。

その後、担当医が決定して、外科矯正の検討を始めたんですね。

基本的には、精密分析を担当した担当医以外には、詳しい状況がわかりません。
ですから、担当医がもっともおすすめする治療を選択されれば良いと思います。
そのうえで、以下ご参考にしてください。
 
治療方法は、プランaかプランcが良いと思われます。

プランbは、手術回数を減らすため、予知性や確実性を犠牲にしていると感じます。
 
担当医に聞いて、プランaとプランbで、矯正期間が延長する以外のデメリットがないのか詳しく説明を受けた方が良いと感じます。

プランcは、治療ゴールが異なるようです。
メリットでもあり、デメリットでもありますが、上顎骨にアプローチしないプランですよね。


@現時点で歯根の露出があるため、歯列矯正をすることでますます露出してしまうのではないのか。
そういった場合でも一般的に矯正は行うものなのか。
露出が著しくなり、歯が抜けてしまわないのか。

→ 一概に言えませんが、メリット、デメリットを考えて、できるだけ、歯根露出が悪化しない矯正治療方法を適用するべきと考えます。
現在の状況は、上顎歯列の横幅が下顎歯列の横幅と比較し狭いことが推測されます。

その場合には、骨内で上顎歯を横方向に広がるように移動するよりも、Distractionという方法で、土台の骨自体を広げる方が、歯に対するダメージが少ない場合が多いです。
 
歯が抜ける可能性は低いと思われますが、ある程度、歯根露出が悪化することは予想されます。

詳しくは、担当医にお尋ねください。



A提示された上下顎骨切術と下顎骨切術+頤形成術を比べて、仕上がりにどのような差があるのか。

担当医の御説明どおりです。
上下顎骨にアプローチした方が、オトガイ形成で対応するよりも、長顔(Long face)への対応幅が広いです。
また、長顔の場合には、上下顎骨へのアプローチの方が、術後の安定に優れるというメリットもあります。



B長顔で上下顎骨切術を施術する症例はよくあることなのか。

長顔の場合では、上下顎骨への手術適用は多いです。



Cガミースマイルでは無い症例に、上下顎骨切術をすると笑った時に前歯が見えなくなるのではないか。
 
患者さんの骨格形態にあわせて、骨の移動方向と移動量を3次元的に決定します。
 
治療計画立案では、前歯部の審美性も慎重に検討しますので、問題は発生しないと思います。

詳しくは、担当医に質問ください。

回答 回答2
  • 回答者
回答日時:2011-10-02 10:36:31
堀内先生と同じ意見です。

相談者からの返信 相談者からの返信
相談者: ワールドワイドさん
返信日時:2011-10-02 16:11:11
堀内先生、戸苅先生、早速のご回答ありがとうございます。


<プランbは、手術回数を減らすため、予知性や確実性を犠牲にしていると感じます。>

→専門の先生からするとこの治療方法はかなり無理があり危険なのでしょうか。
仕上がり度合いや、将来的な歯の寿命の面でもやめておくのが賢明でしょうか。

仕事柄、なかなか休暇がもらえないことと、幼い子どもをおいての入院に抵抗があり、なんとか手術を最低限に抑えたいのが本音です。



<長顔の場合には、上下顎骨へのアプローチの方が、術後の安定に優れるというメリットもあります。>

→術後の安定というのは、後戻りということでしょうか。

再度の質問で申し訳ありません。

次回の診察時に担当医に聞くつもりでおりますが、それまでにある程度のことを知っておきたいのです。
回答 回答3
  • 回答者
回答日時:2011-10-02 17:24:49
「専門の先生からするとこの治療方法はかなり無理があり危険なのでしょうか。仕上がり度合いや将来的な歯の寿命の面でもやめておくのが賢明でしょうか。」

→ ネット相談者が示せるのは、一般論ですから、具体的な予測は担当医にお聞きください。



「仕事柄なかなか休暇がもらえないことと、幼い子どもをおいての入院に抵抗があり、なんとか手術を最低限に抑えたいのが本音です。」

→ 担当医に、質問すればはっきりすると思いますが、もしプランaで進める場合には、1回目の手術(上顎骨を分割する手術)は簡単な手術です。
2回目の手術のような、おおがかりな手術ではないと思います。
入院は必要だと思いますが、事情を話せば、短期入院での対応を検討していただけるかもしれません。



「術後の安定というのは、後戻りということでしょうか。」

→一般的に、長顔の手術の場合には、下顎骨の後戻りを最小限にするため、下顎角という部分が、術後に下方移動しないように配慮する必要があります。

2つの添付ファイルをみてください。

咬筋の走行と、上下顎骨の手術計画例(ペーパーサージェリー)です。

黒い線が手術前の状態、青い線が上顎骨の移動計画、赤い線が下顎骨の移動計画です。

下顎角は、黒い丸で囲まれた部分です。

人間の下顎角には、咬筋という太い筋肉がついています。

そのため、もし、手術の際に、下顎角が下方移動するような位置にが固定されてしまうと、咬筋が引き伸ばされてしまいます。

手術後、引き伸ばされた咬筋は、手術前の長さに戻る方向へ影響を及ぼします。その際に、下顎角が上方に後戻りをおこして、下顎骨が安定せず、かみ合わせが大きく崩れる場合があります。

対応策としては、上顎骨に骨切りを行い、上方移動した位置で固定して、術後に下顎角が下方移動しないように工夫するのが基本です。

そのような手術計画の場合には、長顔も緩和されるという審美的なメリットもあります。

ただし、「ワールドワイド」さんの状態が術後の安定のために、上記のような工夫が必要な骨形態かはわかりません。
骨形態によっては、プランcのように、下顎だけの手術で充分な安定が望める場合もあります。

ご参考までに、緑の線は、オトガイ形成術の予想線です。
この計画では、ワールドワイドさんの計画とはことなり、オトガイを前方に出しています。
ワールドワイドさんの場合には、オトガイを上方に移動して、長顔を緩和する計画だと思います。

詳しくは、担当医に聞いてみてください。

画像1画像1 画像2画像2

回答 回答4
  • 回答者
伊藤矯正歯科クリニック(名古屋市中区)の伊藤です。



※2013年9月14日までは伊藤和明先生、それ以降は伊藤雅大先生がご回答されています。
回答日時:2011-10-02 17:40:31
長顔をより改善できる可能性が大きいのは、上下手術です。

しかし上顎挙上量が大きいと、(特に前方部の挙上量が大きくなると)おとがい部の前突が目立つことがあります。

a,bのプランでも、頤形成手術を付加したほうがいい場合もあります。

治療予測を元に担当の先生としっかりご相談ください。

相談者からの返信 相談者からの返信
相談者: ワールドワイドさん
返信日時:2011-10-02 23:51:53
堀内先生、伊藤先生、ご回答くださりありがとうございます。


たいへんわかりやすい資料を添付していただき、とても参考になりました。

術後の安定性や審美面も含めて、上下顎の手術が採用されることがあるとわかり安心しました。


bプラン等々、頤形成術も含め担当の先生とよく相談しようと思います。



タイトル [写真あり] 外科矯正の治療方針、歯根露出について
質問者 ワールドワイドさん
地域 非公開
年齢 38歳
性別 女性
職業 非公開
カテゴリ 歯列矯正の治療法
矯正関連
その他(写真あり)
外科矯正
回答者




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