根管治療後、頭頂部に痺れと頭痛

相談者: ホークさん (51歳:男性)
投稿日時:2013-06-13 22:47:17
左上3番の抜髄治療後の根幹治療を4月25日に行いました。

その日の治療の終り頃、根尖部をリーマーで突かれた際に、麻酔をしているにも関わらず、体をのけぞる程の激痛。そこで治療終了。
Drの話では「出血している」とのこと。


その治療後、歯の痛みの他、徐々に左側頭部、左頭頂部にかけて痺れと圧迫されるような頭痛を感じるようになり、現在まで続いています。

当初は、痛み止めを飲んでも効かない程の痛みでしたが、現在は痛み止めを飲まなくても我慢できる程度の痛みにまで緩和しています。
但し、日常生活上は大きな苦痛です。



3番を舌で押したり、指で叩いたりすると、2〜3秒後に頭の痺れと頭痛が増幅するので、明らかに連動しており、原因が3番であることは間違いないと思われます。

3番の歯自体は鈍痛が続いています。

現在、根尖部に膿や分泌物の排出は見られないとのこと。


このような状況の場合、一般論としては、現況はどのような診断になりますでしょうか。

又、その診断に対する有効な治療法は、どのようなものでしょうか。


現在は、上記の治療をした歯科から他医院に転院し、治療を受けていますが、現在のDrは頭頂部の痺れと頭痛については「分からない」とのことで、治療法についても行き詰まっているように思われます。


ちなみに、実際の治療としては、最初、ビタペックスを貼薬されましたが、痛みが強く増した為、充填したビタペックスを除去。

その後、Ca(OH)2系の薬を貼薬。ビタペックス程の強い痛みの増加はないものの、2週間経っても痛みの改善は無く、むしろ若干強まったことから、根尖部を除いて薬を除去。現在は代わりにCP薬を充填している状態です。


2ヶ月近くも、頭頂部の痺れと頭痛が続いており、参っています。
どうぞ宜しくお願い致します。


回答 回答1
  • 回答者
回答日時:2013-06-14 01:33:59
こんにちは。

歯の治療や歯の痛みと頭頂部の痺れと頭痛が連動しているということであれば、抜髄による神経障害性疼痛が疑われます。

上顎の歯は三叉神経第2枝の上顎神経支配領域ですが、頭頂部は三叉神経第1枝の眼神経支配領域です。
神経損傷による影響がかなり中枢側に遡って生じているのでしょうか。


頭頂部の痺れと頭痛が必ずしも歯の治療と関係しているとは言い切れません。
頭蓋内の病変の有無も確認した方がよいと思います。

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回答 回答2
  • 回答者
回答日時:2013-06-14 04:51:38
ホークさん、こんにちは。
歯の治療後も痛みが続いて辛そうですね…


残念ながら、インターネット上で診断および指導をする事は法律で禁止されています。
一般論として話すにしても、痛みに関しての情報が限られているために、診断をつける事ができません。



歯の痛みがどこか別の部位に広がる場合、私は2つの可能性を考えます。
一つは関連痛、もう一つは中枢性神経障害性疼痛(Central Sensitization)です。


頭頸部の痛みを伝える神経は、脳幹の同じ場所で別の神経へと橋渡しをします。
この際に脳が別の部位から来た信号と混同して、痛みの原因がある部分とは別の部分の痛みとして認識してしまう事があります。
これを関連痛といいます。

痛みの原因がある部分をAとして、痛みを感じている部分をBとします。
Aの刺激を強めると、Bの痛みが増強される。
逆に、Bへの刺激を強めても、Bでの痛みはあまり増強されない。
これが関連痛の特徴です。


Central Sensitization とは、末梢神経へのダメージが長期間継続される事で、末梢神経が刺激に対してさらに敏感になり、その上、神経のネットワークも変化して、痛みの信号を脳まで届けやすくなっている状態の事を言います。

これには末梢神経よりも中枢での神経のネットワークの変化や脳全体の痛みへの敏感度が高まっている状態ですので、原因の部位よりもさらに広い部位での痛みが生じます。



この二つの状態を鑑別するために、anesthetic test(麻酔試験・ブロック試験)という検査を行います。

先ほどのAとBの痛みの例に戻ると、神経障害性疼痛が末梢に限定され、関連痛を起こしている状態であれば、Aに麻酔をするとBの痛みも消失します。
しかし、central sensitizationが生じている場合は、麻酔をしても完全には痛みが消失しません。


その他に、もともと偏頭痛をお持ちの方は、頭頸部の痛み刺激が増強する事により偏頭痛が引き起こされる場合もあります。


さて、ホークさんの場合は、歯根膜への刺激が続いているために炎症が持続していることも考えられますし、炎症は治まっているけど末梢神経障害性疼痛を起こしているのかもしれません。

頭痛に関しては、末梢神経障害性疼痛や歯根膜炎が関連痛を起こしているのかもしれませんし、中枢性神経障害性疼痛に発展しているのかもしれません。


また、局所の痛みから頭痛を増強している状態なのかもしれません。
さらには、頭痛やしびれは歯とは全く関係ない疾患から生じているのかもしれません。


私にとっては、診断に結びつけるための情報が乏しいために、このような漠然とした説明となってしまいます。

もしも、お困りの場合は顎顔面部の痛みに関する診断とマネージメントに理解のある病院や先生に診察をしてもらう事をお勧めいたします。


お大事になさってください。

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相談者からの返信 相談者からの返信
相談者: ホークさん
返信日時:2013-06-17 15:56:47
樋口先生

コメント大変ありがとうございます。

今回の痛みのきっかけとなった根幹治療は、実は抜髄治療日から2週間後のもなので、抜髄自体が原因ではなく、リーマーによる歯根膜または神経系統の損傷が原因と思われます。

上顎部と頭頂部では、神経領域が違うのですね。
診断や治療法選定ががますます困難なように思えてきました。
相談者からの返信 相談者からの返信
相談者: ホークさん
返信日時:2013-06-17 16:32:49
安藤先生

コメント大変ありがとうございます。

とても納得感のあるご説明です。
このような神経系統からの痛みの原因を解説して下さる先生は、安藤先生が初めてです。


実は、今、治療を受けているのは、歯科の世界ではとても有名な某私立歯科大学の付属病院なのですが、私がいくら説明しても頭頂部の痺れや頭痛の原因に関する診断をせずに、単に一般的な根幹治療に終始しており、痛みは増すばかりです。

今日は、業を煮やして、医局長というDrに担当医の変更と、頭頂部の痺れや頭痛の原因に関する診断を求めましたが、安藤先生のような納得感のある説明は全く無く、「神経」という言葉は一言も出ませんでした。


新たにテラコート軟膏という貼薬名と、ペインクリニックも視野にという話が出ましたが、ペインクリックは痛みの解消が目的であって、原因患部の治療にはならないと思います。

医局長の上の教授と相談して、診察日を決めるということで連絡待ちの状態ですが、適切な診断と治療が期待できるのか、正直な所、不安をかかえています。
回答 回答3
  • 回答者
回答日時:2013-06-18 04:32:17
ホークさん、ご納得いただけたようで幸いです。


口腔外科医は手術、歯内療法専門医は歯の神経の治療というように専門分野が分かれています。

根管治療は歯内療法化の専門分野となりますが、彼らが治療するのは感染症に起因する炎症です。
ペインクリニックは痛みの解消も一つの分野ですが、私が以前に書いたように、神経自体が過敏になっている状態の治療も専門分野となります。

頭痛や痺れに関しては相談してみて損はないと思います。

もしも、歯の治療において、感染や炎症の兆候が認められず、痛みの原因がわからないのであれば、ペンクリニックはとても力になると思いますよ。


ご参考までに。

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回答 回答4
  • 回答者
湯浅です。
回答日時:2013-06-18 07:32:20
少し、補足です。と言っても、安藤先生ほど、詳しくないので間違っているかもしれませんが。

(1)
安藤先生の書かれた文章の中に、「炎症は治まっているけど」という言葉に注意してください。

すなわち、現時点で、根管治療は成功している可能性があります。

もちろん、「3番を舌で押したり、指で叩いたりすると、2〜3秒後に頭の痺れと頭痛が増幅するので、明らかに連動しており、原因が3番であることは間違いないと思われます。」と書かれているのは、読みました。


しかし、それは、3番が原因だという考えから、そのように感じてしまうことが多いです。

もちろん、だからといって、痛みが気のせいと言っているのでなく、実際に痛みがおこっていることはわかっております。
原因でないにもかかわらず、ある部位を触ると、他の部位が決まって痛くなるということも一般論として、拝見することが多いということです。

よって、私見ですが、根管治療の専門の先生に、これ以上、この問題を追及しても解決にはならないと思いました。



(2)
リーマーによる歯根膜または神経系統の損傷が原因」と書かれていますが、抜随処置は、必ず、神経を切断します。

今回の痛みは2度目以降とのことですが、神経が少し残っており、それを取り切ったことも考えられます。


すなわち、別に、どこの病院かも知らないですし、このサイトの他の投稿をみていただいて理解されていると思いますが、どこかの病院を弁護することはないのですが、歯科医師の治療が失敗でおこったのではないことも多いということです。

診察もしていませんし、後からの診察では、だれも、失敗かどうかは判断できなので、ホークさんの場合が、歯科医師に責任がないと判断しているのではありません。

わかりませんと書いています。
わからないことを書くなと言われないことを祈っておりますが、わからないということを理解して欲しくて書いています。


すなわち、現在の状況に原因があり、その原因を取り除けば、痛みから解放されるとの信念が、治療を妨げている方も多くみてきました。そのため、ホークさんが、それに当てはまるか、わかりませんが、一般論として記載しております。

***

よって、口腔顔面痛・リエゾン療法(リエゾン外来)・ペインクリニックなどをキーワードに、診察を受けられる病院を探されると良いと思います。

特定の病院を紹介できないので(もちろん診察もしてないので、決まりというか、安易な紹介は危険なので)、申し訳ないのですが、過去にも、多くの投稿があるはずです。

ホークさんの痛みが、早く軽減することを祈っております。

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回答 回答5
  • 回答者
回答日時:2013-06-18 07:54:52
湯浅先生、補足どうもありがとうございます。

我々が注意しなくてはいけないのは、我々も3番を診察してみない限りは、3番に異常が無いと言い切ることができません。

ですので、すべての可能性にオープンに考える必要があると思いました。


それ以外の部分では、湯浅先生と同意見です。


口腔顔面痛に理解の先生に診察を受けるのが最適と思いますが、叶わない場合はペインクリニックが適していると思います。


お大事になさってください。




タイトル 根管治療後、頭頂部に痺れと頭痛
質問者 ホークさん
地域 非公開
年齢 51歳
性別 男性
職業 非公開
カテゴリ 根管治療に関するトラブル
頭痛、めまい
回答者




  • 上記書き込みの内容は、回答当時のものです。
  • 歯科医療は日々発展しますので、回答者の考え方が変わることもあります。
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