前歯インプラント上部構造の審美性を重視した場合の選択
相談者:
N.Nakayamaさん (30歳:女性)
投稿日時:2014-11-04 20:50:06
いつも大変参考にさせていただいております。
衝突事故で右上1番を抜歯し、5月に大学病院で骨造成のうえインプラント手術を行いました。
経過は良好で、これから頭出しの2次手術を行います。
アバットメントはジルコニアの予定ですが、クラウンをオールセラミックにするかジルコニアセラミックにするか検討中です。
歯並びはよく、該当欠損歯以外に治療痕は一切ありません。
歯の色もB1で揃っているので何よりも審美性を重視しオールセラミックを第一選択肢にしていますが、食いしばりがあるため強度についてすこし懸念があります。
以下、現状と質問です。
・食いしばりは日中は意識するようになりかなり改善されています。
・就寝中はナイトガードを装着しています。
・いかなる素材でも破損の可能性があることは理解しています。
・ケアは行き届いており抜髄歯虫歯共にありません。
1) 前歯の場合、オールセラミックとジルコニアセラミックの間に強度の差があるとしたら、その差はどの程度ですか?
もしくは差がわかる基準はありますか?
2) ジルコニアセラミックはオールセラミックに比べ透明感がやや劣ると聞いたことがあります。
事実ですか?
3) 前歯のインプラントにオールセラミックかジルコニアセラミックか選択する際、なにを基準にされていますか?
症例によりけりかと存じますが、一般的にどのような選択がなされているかを参考にしたく、ご意見いただければ幸いです。
よろしくお願いいたします。
衝突事故で右上1番を抜歯し、5月に大学病院で骨造成のうえインプラント手術を行いました。
経過は良好で、これから頭出しの2次手術を行います。
アバットメントはジルコニアの予定ですが、クラウンをオールセラミックにするかジルコニアセラミックにするか検討中です。
歯並びはよく、該当欠損歯以外に治療痕は一切ありません。
歯の色もB1で揃っているので何よりも審美性を重視しオールセラミックを第一選択肢にしていますが、食いしばりがあるため強度についてすこし懸念があります。
以下、現状と質問です。
・食いしばりは日中は意識するようになりかなり改善されています。
・就寝中はナイトガードを装着しています。
・いかなる素材でも破損の可能性があることは理解しています。
・ケアは行き届いており抜髄歯虫歯共にありません。
1) 前歯の場合、オールセラミックとジルコニアセラミックの間に強度の差があるとしたら、その差はどの程度ですか?
もしくは差がわかる基準はありますか?
2) ジルコニアセラミックはオールセラミックに比べ透明感がやや劣ると聞いたことがあります。
事実ですか?
3) 前歯のインプラントにオールセラミックかジルコニアセラミックか選択する際、なにを基準にされていますか?
症例によりけりかと存じますが、一般的にどのような選択がなされているかを参考にしたく、ご意見いただければ幸いです。
よろしくお願いいたします。
回答1
回答日時:2014-11-05 00:23:38
事故は大変でしたね。
ただ歯に関してはここまでの経過が順調な様で何よりです。
さて、オールセラミックとジルコニアセラミックについてですが、この言葉の使い方だと色々なケースが想定されてしまうので、予測でもう少し絞って回答をします。
@オールセラミック=e.max(二ケイ酸リチウムガラス)単味のもの
Aジルコニアセラミック=ジルコニアコーピング+表層はメタルボンドと同じ様な陶材
だとすれば・・
1)について
@の方が物性的には丈夫です。
表層に来るセラミックが同じ厚みだとすれば@よりAが1/3ぐらいの割れやすさで、エナメル質と同じ厚みなら天然歯と較べても同等かやや下回る強度ということになりすが、Aは二層構造になっている分さらに不利とも言えるかも知れません。
2)について
基本的にはその通りだと思いますが、技工士の技量によっては同等で、インプラントの上部構造ということを考えればどちらかと言えば作りやすい条件だと思います。
3)について
自分なら@です。
ただし、@、A、の仮定が間違っているかも知れません。
@でも二層構造で作る方法もあれば他の材質の場合もありますし、Aでも表層に二ケイ酸リチウムガラスをもってくる作り方もありますので、担当の先生とよく相談されるのが一番だと思いますよ。
よく誤解されるポイントとしては、ジルコニアは確かに非常に強度が高いのですけど、クラウンとして使用する際に表層まで単味でもってくることは、少なくとも前歯のケースではまずありません。
ですのでジルコニア=強度が高い と言う先入観はなくして考えられた方が良いかと思います。
お大事にどうぞ。
ただ歯に関してはここまでの経過が順調な様で何よりです。
さて、オールセラミックとジルコニアセラミックについてですが、この言葉の使い方だと色々なケースが想定されてしまうので、予測でもう少し絞って回答をします。
@オールセラミック=e.max(二ケイ酸リチウムガラス)単味のもの
Aジルコニアセラミック=ジルコニアコーピング+表層はメタルボンドと同じ様な陶材
だとすれば・・
1)について
@の方が物性的には丈夫です。
表層に来るセラミックが同じ厚みだとすれば@よりAが1/3ぐらいの割れやすさで、エナメル質と同じ厚みなら天然歯と較べても同等かやや下回る強度ということになりすが、Aは二層構造になっている分さらに不利とも言えるかも知れません。
2)について
基本的にはその通りだと思いますが、技工士の技量によっては同等で、インプラントの上部構造ということを考えればどちらかと言えば作りやすい条件だと思います。
3)について
自分なら@です。
ただし、@、A、の仮定が間違っているかも知れません。
@でも二層構造で作る方法もあれば他の材質の場合もありますし、Aでも表層に二ケイ酸リチウムガラスをもってくる作り方もありますので、担当の先生とよく相談されるのが一番だと思いますよ。
よく誤解されるポイントとしては、ジルコニアは確かに非常に強度が高いのですけど、クラウンとして使用する際に表層まで単味でもってくることは、少なくとも前歯のケースではまずありません。
ですのでジルコニア=強度が高い と言う先入観はなくして考えられた方が良いかと思います。
お大事にどうぞ。
回答2
国際ビル歯科(千代田区丸ノ内)のさがらです。
回答日時:2014-11-05 08:42:17
ご相談ありがとうございます。
まず言葉の定義が少々曖昧ですから、まず言葉を整理してから説明いたします。
オールセラミック・クラウンという言葉は、ざっくり言えば金属を全く使わず、セラミックの材料だけで作ったクラウンです。
従来はPFM(陶材焼き付け鋳造冠)という、内部の補強に金属を使っていたクラウンから改良されてきた経緯があります。
また、ジルコニア・クラウンはオールセラミック・クラウンの中で分類された一種類です。
つまりどちらも金属を使わない、セラミックだけのクラウンという同じ意味になります。
オールセラミック・クラウンの中の種類は実は複雑です。
材料の違い、製作方法の違いという大きな二つの分類ができます。
材料としては、ジルコニア、二ケイ酸リチウム、アルミナ、ポーセレン、があります。
製法は、CAD/CAM、鋳造、プレスなどがあります。
実際に使われる場合はそれらの組み合わせで商品名などもっと多彩ですが、FMZ(オールジルコニア)、PFZ(陶材焼き付けジルコニア)、e-maxプレス、e-max CAD、プロセラ、昔はアルミナス・ジャケット、などのクラウンと呼ばれています。
いずれもとてもきれいに作ることができます。
今回の場合であれば、アバットメントにジルコニアを選んだのであれば、どのオールセラミックでもきれいにできます。
ただ透明感など審美性を大切にしたいのであれば、オールジルコニアは透明感が劣るため奥歯用と考えて除外したほうが良いと思います。
特に前歯1本だけは、隣の歯に色を合わせることがとても難しいため注意が必要です。
適している材料はPFZ、e-max、プロセラ、です。
強度はオールジルコニアよりもやや落ちます。
しかし、一番大事な選択は、歯科医師と歯科技工士です。
彼らの審美感と技術で材料の違いは完全に越えてしまうからです。
また治療で気をつけないと、噛み合う下の前歯をあっという間に削ってしまう、例えればセラミック・ヤスリと化したクラウンになってしまうこともあります。
治療はコンセプト、知識、技術、経験、材料、という順番で効果が決まります。
まず言葉の定義が少々曖昧ですから、まず言葉を整理してから説明いたします。
オールセラミック・クラウンという言葉は、ざっくり言えば金属を全く使わず、セラミックの材料だけで作ったクラウンです。
従来はPFM(陶材焼き付け鋳造冠)という、内部の補強に金属を使っていたクラウンから改良されてきた経緯があります。
また、ジルコニア・クラウンはオールセラミック・クラウンの中で分類された一種類です。
つまりどちらも金属を使わない、セラミックだけのクラウンという同じ意味になります。
オールセラミック・クラウンの中の種類は実は複雑です。
材料の違い、製作方法の違いという大きな二つの分類ができます。
材料としては、ジルコニア、二ケイ酸リチウム、アルミナ、ポーセレン、があります。
製法は、CAD/CAM、鋳造、プレスなどがあります。
実際に使われる場合はそれらの組み合わせで商品名などもっと多彩ですが、FMZ(オールジルコニア)、PFZ(陶材焼き付けジルコニア)、e-maxプレス、e-max CAD、プロセラ、昔はアルミナス・ジャケット、などのクラウンと呼ばれています。
いずれもとてもきれいに作ることができます。
今回の場合であれば、アバットメントにジルコニアを選んだのであれば、どのオールセラミックでもきれいにできます。
ただ透明感など審美性を大切にしたいのであれば、オールジルコニアは透明感が劣るため奥歯用と考えて除外したほうが良いと思います。
特に前歯1本だけは、隣の歯に色を合わせることがとても難しいため注意が必要です。
適している材料はPFZ、e-max、プロセラ、です。
強度はオールジルコニアよりもやや落ちます。
しかし、一番大事な選択は、歯科医師と歯科技工士です。
彼らの審美感と技術で材料の違いは完全に越えてしまうからです。
また治療で気をつけないと、噛み合う下の前歯をあっという間に削ってしまう、例えればセラミック・ヤスリと化したクラウンになってしまうこともあります。
治療はコンセプト、知識、技術、経験、材料、という順番で効果が決まります。
相談者からの返信
相談者:
N.Nakayamaさん
返信日時:2014-11-07 19:45:30
渡辺先生、さがら先生
きめ細やかなご返答をありがとうございます。
オールセラミック、ジルコニアセラミックという言葉の定義から全く認識していなかったので大変参考になりました。
渡辺先生のご指摘のとおり、ジルコニア=強度が高いと思い込んでいましたし、さがら先生にご説明いただいたオールセラミック・クラウンにそれだけの種類があることも知りませんでした。
治療も半ばとなりましたのでこれから「歯科医師と歯科技工士を選択する」、とはなりませんが、担当の先生に自分の希望を的確に伝えるにあたってとても有益な知識となりました。
ありがとうございました。
審美性にはかなりこだわっているので、きちんと慎重に担当の先生と話し合おうと思います。
最後に、このような機会をくださった田尾先生にもこの場を借りてお礼申し上げます。
きめ細やかなご返答をありがとうございます。
オールセラミック、ジルコニアセラミックという言葉の定義から全く認識していなかったので大変参考になりました。
渡辺先生のご指摘のとおり、ジルコニア=強度が高いと思い込んでいましたし、さがら先生にご説明いただいたオールセラミック・クラウンにそれだけの種類があることも知りませんでした。
治療も半ばとなりましたのでこれから「歯科医師と歯科技工士を選択する」、とはなりませんが、担当の先生に自分の希望を的確に伝えるにあたってとても有益な知識となりました。
ありがとうございました。
審美性にはかなりこだわっているので、きちんと慎重に担当の先生と話し合おうと思います。
最後に、このような機会をくださった田尾先生にもこの場を借りてお礼申し上げます。
タイトル | 前歯インプラント上部構造の審美性を重視した場合の選択 |
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質問者 | N.Nakayamaさん |
地域 | 非公開 |
年齢 | 30歳 |
性別 | 女性 |
職業 | 非公開 |
カテゴリ |
オールセラミック(陶器の被せ物) インプラント治療法 審美歯科治療(人工の歯) 材料・機材関連 ジルコニアクラウン お勧めのクラウン(被せ物・差し歯) |
回答者 |
- 上記書き込みの内容は、回答当時のものです。
- 歯科医療は日々発展しますので、回答者の考え方が変わることもあります。
- 保険改正により、保険制度や保険点数が変わっていることもありますのでご注意ください。