歯列矯正の器具で迷っています
相談者：
ぱんだ322さん (28歳：女性)
投稿日時：2016-08-28 16:04:51
はじめに、前回のご相談にご返信いただいたさがら先生、松山先生に御礼申し上げます。
ありがとうございました。
お礼を投稿する前にクローズされてしまいました。
歯の根本に関しては、ただコピーの質が荒くはっきり写っていないだけでした。
お騒がせいたしました。
本日の投稿も矯正に関することなのですが、使用する矯正器具についての質問です。
小さなゴムをつける伝統的な矯正器具と、セルフライゲーションと呼ばれる器具とではどちらを使用したほうがいいのか迷っております。
当初の予定としては、痛みが軽減されるセルフライゲーション器具を使用するつもりでおり、担当ドクターも結果はどちらを利用しても差はないのでご自身で決めてくださいと言われました。
しかし、セカンドオピニオンとして別のドクターに相談したところ、私の場合は歯だけではなく骨も出ているようなので、セルフライゲーション器具は力が弱く時間がかかることが予想されるので、伝統的な矯正器具を使用したほうがよいと言われました。
自分なりにセルフライゲーション器具について調べたところ、こちらのほうが歯を動かす力がより強く診療期間も短縮できると書いてあったので上記のドクターの言葉に疑問を持っております。
なお、レントゲンや模型作りなどの結果、前歯を6ミリ後退させる必要があるとの診断結果でした。
もちろん個人個人で状況が違いますから、一概にどれがいいとは言えないと思いますが、一般的なご意見をおきかせいただけると助かります。
よろしくお願いいたします。
ありがとうございました。
お礼を投稿する前にクローズされてしまいました。
歯の根本に関しては、ただコピーの質が荒くはっきり写っていないだけでした。
お騒がせいたしました。
本日の投稿も矯正に関することなのですが、使用する矯正器具についての質問です。
小さなゴムをつける伝統的な矯正器具と、セルフライゲーションと呼ばれる器具とではどちらを使用したほうがいいのか迷っております。
当初の予定としては、痛みが軽減されるセルフライゲーション器具を使用するつもりでおり、担当ドクターも結果はどちらを利用しても差はないのでご自身で決めてくださいと言われました。
しかし、セカンドオピニオンとして別のドクターに相談したところ、私の場合は歯だけではなく骨も出ているようなので、セルフライゲーション器具は力が弱く時間がかかることが予想されるので、伝統的な矯正器具を使用したほうがよいと言われました。
自分なりにセルフライゲーション器具について調べたところ、こちらのほうが歯を動かす力がより強く診療期間も短縮できると書いてあったので上記のドクターの言葉に疑問を持っております。
なお、レントゲンや模型作りなどの結果、前歯を6ミリ後退させる必要があるとの診断結果でした。
もちろん個人個人で状況が違いますから、一概にどれがいいとは言えないと思いますが、一般的なご意見をおきかせいただけると助かります。
よろしくお願いいたします。
回答1
矯正歯科入江クリニック(岐阜市)の入江です。
回答日時：2016-08-28 19:17:40
こんにちは。
わかりやすくご質問をまとめて頂いてありがとうございます。
わかりやすいご質問に、わかりにくい回答になることをご容赦下さいませ。
少し遠回りになりますが、歯を動かすのに最適な力（至適矯正力-Optimal force）があり、これより弱くても、強くても歯は動きません。
この至適矯正力は、歯根面積に関連するとされており、さらにはその部分の毛細血管圧が決定するといわれており、厳密にはそれぞれの歯によって異なります。
従いまして、力が強いから早く動くことはありません。もし早く動くとしたら、骨が吸収して早く動くなど矯正のメカニズムではない動きの可能性も考える必要がでてきます。
さてさて、至適矯正力を歯に加えるのに、しばしばワイヤーの弾性を利用します。
時としてウレタンのチェーンを使うこともあります。
これらの力を歯に伝える仲介役を務めるのがブラケットです。
このブラケットのことを、「矯正器具」とも呼ばれています。
セルフライゲーションシステムは、私が1985年に歯学部を卒業して大学院で歯科矯正学を専攻する頃には既にありましたので（A-CompanyのActivaという商品名が記憶に残っていますｰたぶんJ & Jが特許を持っていたような・・・）、こちらも伝統はそこそこあると考えます。
ブラケットには、スロットと呼ぶワイヤーを挿入する溝があります。
この溝は、正確に直角の面で構成されています。正面から見て、奥の面、上の面、下の面。
そして、手前からワイヤーを挿入します。
このワイヤーを固定して、ワイヤーの力を確実にブラケットに伝えるために、「ライゲーション」操作をします。
この「ライゲーション」方法には、
１）細い針金でループを作りねじって締め付ける方法
２）ゴムのリングをブラケットの隅にかけて固定する方法
３）上記２つの方法の代わりに、手前にもう一面フタを作り、ドアみたいに開け閉めする方法-これをセルフライゲーションと呼びます
以上の3方法が代表的な方法でしょう。
３）の方法は、ワイヤーが接触する面の数が前方にひとつ増えるので、この面にワイヤーが持続的に接触すると、１）、２）の方法とは異なる歯の動きをする可能性が十分に考えられます
前方の面を有効に利用したい症例は３）の方法を選択するのもアリだと思います。
セルフライゲーションブラケットを使用しても、前方の面にワイヤーを接触させたくない時は、１）もしくは２）の方法を使ってライゲーションします。
前歯を後退させる治療計画がメインでしたら、前方の面を活用する場面は少ないかもしれませんね。
むしろ前方の面がない方が治療が進めやすいこともあるかもしれません。
一般論として、相談されたお二人のドクターのご意見、わたしはどちらも十分説得力があり、誠実な答えをされていると思います。
すばらしい矯正器具が色々と流通していますが、それを使う担当医の診たてがさらに大切だと思います。
余計に迷わせることにならなければと、思いながら失礼致します。
わかりやすくご質問をまとめて頂いてありがとうございます。
わかりやすいご質問に、わかりにくい回答になることをご容赦下さいませ。
少し遠回りになりますが、歯を動かすのに最適な力（至適矯正力-Optimal force）があり、これより弱くても、強くても歯は動きません。
この至適矯正力は、歯根面積に関連するとされており、さらにはその部分の毛細血管圧が決定するといわれており、厳密にはそれぞれの歯によって異なります。
従いまして、力が強いから早く動くことはありません。もし早く動くとしたら、骨が吸収して早く動くなど矯正のメカニズムではない動きの可能性も考える必要がでてきます。
さてさて、至適矯正力を歯に加えるのに、しばしばワイヤーの弾性を利用します。
時としてウレタンのチェーンを使うこともあります。
これらの力を歯に伝える仲介役を務めるのがブラケットです。
このブラケットのことを、「矯正器具」とも呼ばれています。
セルフライゲーションシステムは、私が1985年に歯学部を卒業して大学院で歯科矯正学を専攻する頃には既にありましたので（A-CompanyのActivaという商品名が記憶に残っていますｰたぶんJ & Jが特許を持っていたような・・・）、こちらも伝統はそこそこあると考えます。
ブラケットには、スロットと呼ぶワイヤーを挿入する溝があります。
この溝は、正確に直角の面で構成されています。正面から見て、奥の面、上の面、下の面。
そして、手前からワイヤーを挿入します。
このワイヤーを固定して、ワイヤーの力を確実にブラケットに伝えるために、「ライゲーション」操作をします。
この「ライゲーション」方法には、
１）細い針金でループを作りねじって締め付ける方法
２）ゴムのリングをブラケットの隅にかけて固定する方法
３）上記２つの方法の代わりに、手前にもう一面フタを作り、ドアみたいに開け閉めする方法-これをセルフライゲーションと呼びます
以上の3方法が代表的な方法でしょう。
３）の方法は、ワイヤーが接触する面の数が前方にひとつ増えるので、この面にワイヤーが持続的に接触すると、１）、２）の方法とは異なる歯の動きをする可能性が十分に考えられます
前方の面を有効に利用したい症例は３）の方法を選択するのもアリだと思います。
セルフライゲーションブラケットを使用しても、前方の面にワイヤーを接触させたくない時は、１）もしくは２）の方法を使ってライゲーションします。
前歯を後退させる治療計画がメインでしたら、前方の面を活用する場面は少ないかもしれませんね。
むしろ前方の面がない方が治療が進めやすいこともあるかもしれません。
一般論として、相談されたお二人のドクターのご意見、わたしはどちらも十分説得力があり、誠実な答えをされていると思います。
すばらしい矯正器具が色々と流通していますが、それを使う担当医の診たてがさらに大切だと思います。
余計に迷わせることにならなければと、思いながら失礼致します。
回答2
船橋歯科医院(岡山市北区)の船橋です。
回答日時：2016-08-29 15:45:30
こんにちは。
セルフライゲーションシステム使用とそうでないブラケットを使っても治療スピードと治療効果に有意な差はないという研究報告も出ているようです。
つまり何をどう使ってもらっても、使いこなす歯科医の腕や見立てによって期待できる効果は違ってくるので大きなこだわりがなければそこにそれほどこだわる必要はないと思っておかれてもよいと思います。
ただ、同じワイヤーを使用した際の痛みの度合いは異なるんじゃないかと思いますし、そういうブラケットで治る程度ならばそれはそれで結果も出てよいと思いますからそれぞれの先生にしっか説明をきかれ決定されればよいと思います。
セルフライゲーションは得意な動きもありますが苦手な動きもあるので両方を兼ね備えたものを選ぶと装置代だけでもかなり高額になりますから治療費や治療技術費の設定に反映してくるのが普通だろうと思います（ただし、自費治療なので取り決めはありません）
どのタイプがよいかはその先生の経験や手技によって大きく違うはずですからその先生の言うことはその先生が責任を持っていっているので信じたほうがよいと思います。
結局は歯科医の腕と症例の難易度で異なりますから、もっと違うところを選択基準の上位に持ってこられたほうがよいような気がします。
セルフライゲーションシステム使用とそうでないブラケットを使っても治療スピードと治療効果に有意な差はないという研究報告も出ているようです。
つまり何をどう使ってもらっても、使いこなす歯科医の腕や見立てによって期待できる効果は違ってくるので大きなこだわりがなければそこにそれほどこだわる必要はないと思っておかれてもよいと思います。
ただ、同じワイヤーを使用した際の痛みの度合いは異なるんじゃないかと思いますし、そういうブラケットで治る程度ならばそれはそれで結果も出てよいと思いますからそれぞれの先生にしっか説明をきかれ決定されればよいと思います。
セルフライゲーションは得意な動きもありますが苦手な動きもあるので両方を兼ね備えたものを選ぶと装置代だけでもかなり高額になりますから治療費や治療技術費の設定に反映してくるのが普通だろうと思います（ただし、自費治療なので取り決めはありません）
どのタイプがよいかはその先生の経験や手技によって大きく違うはずですからその先生の言うことはその先生が責任を持っていっているので信じたほうがよいと思います。
結局は歯科医の腕と症例の難易度で異なりますから、もっと違うところを選択基準の上位に持ってこられたほうがよいような気がします。
相談者からの返信相談者：
ぱんだ322さん
返信日時：2016-08-29 16:23:51
入江先生、こんにちは。
ご丁寧な回答をいただきありがとうございます。
大変わかりやすかったです。
セルフライゲーションでは前面に蓋があり、そこを中心にワイヤーが戻ろうとする力などを利用して、歯を引っ張り出すような動きができるとの解釈でよろしいのでしょうか。
実は、担当ドクターは抜歯矯正案だけではなく、歯の並びを広げ、ミニスクープで奥歯を後ろに引っ張る非抜歯矯正案も提案してくださっていました。
前回の投稿で6ミリの前歯後退が必要だと申し上げましたが、これは審美性を高く追求した場合の結果であり、Eラインに唇が多少触れても構わないと言うなら、抜歯せず3ミリ後退させる方法もあるとのことでした。
この非抜歯矯正は、セルフライゲーションブラケットでしかできないとおっしゃられた理由は、この歯を動かせる方向に関係があるのでしょうね。
（私は非抜歯でお願いしたいといったのですが、歯が健康であるためよく考えてほしいと言われまだどちらにするか正式には決めていませんが…。）
矯正の世界は大変奥が深く、興味深いですね。
使用するブラケットに関しては、もう一度先生とよくお話をしてみようと思います
ご丁寧な回答をいただきありがとうございます。
大変わかりやすかったです。
セルフライゲーションでは前面に蓋があり、そこを中心にワイヤーが戻ろうとする力などを利用して、歯を引っ張り出すような動きができるとの解釈でよろしいのでしょうか。
実は、担当ドクターは抜歯矯正案だけではなく、歯の並びを広げ、ミニスクープで奥歯を後ろに引っ張る非抜歯矯正案も提案してくださっていました。
前回の投稿で6ミリの前歯後退が必要だと申し上げましたが、これは審美性を高く追求した場合の結果であり、Eラインに唇が多少触れても構わないと言うなら、抜歯せず3ミリ後退させる方法もあるとのことでした。
この非抜歯矯正は、セルフライゲーションブラケットでしかできないとおっしゃられた理由は、この歯を動かせる方向に関係があるのでしょうね。
（私は非抜歯でお願いしたいといったのですが、歯が健康であるためよく考えてほしいと言われまだどちらにするか正式には決めていませんが…。）
矯正の世界は大変奥が深く、興味深いですね。
使用するブラケットに関しては、もう一度先生とよくお話をしてみようと思います
相談者からの返信相談者：
ぱんだ322さん
返信日時：2016-08-29 16:38:02
ふなちゃん先生、こんにちは。
最新の研究結果を教えていただきありがとうございます。
セルフライゲーションとその他の矯正器具を使っても、結果や治療時間に差がないとの報告もあるのですね。はじめて耳にしました。
私の職業は特にひと目につくものでもないので、ブラケット自体に強いこだわりはありません。ただし、痛みが軽減されるとなるならば、やはりセルフライゲーションブラケットに魅力を感じます。
また、ゴム周りは歯磨きがしにくいとの話を聞いたこともありますので、こちらも懸念しています。
担当ドクターはどちらも経験豊富なようですし、もう一度ブラケットの種類について相談してから最終的に決定したいと思います。
最後に重ねての質問で申し訳ないのですが、ご回答の中で「もっと違うところを選択基準の上位に」とのお言葉をいただきましたが、例えばどのようなことがありますでしょうか？
私が今回の担当ドクターを選んだのはこのような理由からです。
1.現在滞在している国の矯正認定医であること
2.大学院にて歯科矯正学を学んでいること
3.10年あまり国有数の総合病院の矯正歯科に勤務していたこと
4.現在も講師として医科大学にて教鞭をとっていること
5.何より話しやすく、こちらの意見に対していつも回答をくれること
6.家から近い
7.迷っていても考える時間を与えてくれ、治療を無理に先に進めようとしない
他に何か大切にすべき選択基準はありますでしょうか。
ドクターの選択基準ではなく、治療方針の選択基準でしたら申し訳ございません。
よろしくお願いいたします。
最新の研究結果を教えていただきありがとうございます。
セルフライゲーションとその他の矯正器具を使っても、結果や治療時間に差がないとの報告もあるのですね。はじめて耳にしました。
私の職業は特にひと目につくものでもないので、ブラケット自体に強いこだわりはありません。ただし、痛みが軽減されるとなるならば、やはりセルフライゲーションブラケットに魅力を感じます。
また、ゴム周りは歯磨きがしにくいとの話を聞いたこともありますので、こちらも懸念しています。
担当ドクターはどちらも経験豊富なようですし、もう一度ブラケットの種類について相談してから最終的に決定したいと思います。
最後に重ねての質問で申し訳ないのですが、ご回答の中で「もっと違うところを選択基準の上位に」とのお言葉をいただきましたが、例えばどのようなことがありますでしょうか？
私が今回の担当ドクターを選んだのはこのような理由からです。
1.現在滞在している国の矯正認定医であること
2.大学院にて歯科矯正学を学んでいること
3.10年あまり国有数の総合病院の矯正歯科に勤務していたこと
4.現在も講師として医科大学にて教鞭をとっていること
5.何より話しやすく、こちらの意見に対していつも回答をくれること
6.家から近い
7.迷っていても考える時間を与えてくれ、治療を無理に先に進めようとしない
他に何か大切にすべき選択基準はありますでしょうか。
ドクターの選択基準ではなく、治療方針の選択基準でしたら申し訳ございません。
よろしくお願いいたします。
相談者からの返信相談者：
ぱんだ322さん
返信日時：2016-08-29 16:49:40
入江先生へのご返信に入力間違いがありました。
（私は非抜歯でお願いしたいといったのですが、歯が健康であるためよく考えてほしいと言われまだどちらにするか正式には決めていませんが…。）
となっていますが、私は抜歯でお願いしたい、間違いです。
申し訳ございません。
（私は非抜歯でお願いしたいといったのですが、歯が健康であるためよく考えてほしいと言われまだどちらにするか正式には決めていませんが…。）
となっていますが、私は抜歯でお願いしたい、間違いです。
申し訳ございません。
| タイトル | 歯列矯正の器具で迷っています |
|---|---|
| 質問者 | ぱんだ322さん |
| 地域 | 非公開 |
| 年齢 | 28歳 |
| 性別 | 女性 |
| 職業 | 非公開 |
| カテゴリ |
歯列矯正の治療法 矯正関連 |
| 回答者 |
- 上記書き込みの内容は、回答当時のものです。
- 歯科医療は日々発展しますので、回答者の考え方が変わることもあります。
- 保険改正により、保険制度や保険点数が変わっていることもありますのでご注意ください。
